アバター改変に革命来たれり。Modular Avatarはユーザーのみならず衣装・ツール製作者も必見

 本日2022年11月28日、Modular Avatarという革命的なアバター改変用ツールの正式版バージョン1.0.0が公開されました。
 早速触ってみたのですが、その機能群はとんでもなく、これまでのアバター改変の常識を根本から変えうるようなツールだったのです……!

Modular Avatarとは?

 Modular Avatarとは、bd_ さんが開発した、Unityプロジェクトに入れて利用できるアバター改変支援ツールです。

 ドラッグアンドドロップでアバター組み立て、というキャッチコピーの通り、利用者にとってはわずかな操作で既存のアバターに衣装を着せたり、各種ギミックを導入する助けになるのが最大の特徴です。
 加えて、衣装やアバター用ギミック・ツールを製作する方向けに、ユーザーがそれらを導入しやすくするための支援用コンポーネントも同封されています。

 Modular Avatarは、アバターの利用者だけでなく衣装やギミック・ツールの製作者にも恩恵があるツールなのです。

初心者向け:3ステップで衣装を着せてみよう!

Unityで衣装を着せるようす

 そもそも衣装を着せたことがないよー、もしくは一度試したことがあるけど難しくて断念してしまった、という方のために、このModular Avatarがどれだけ簡単に着せ替えできるのかをご紹介します。

①必要な物を諸々インポートする
②服プレハブをアバター本体直下に入れる
③服プレハブを右クリックして”Setup Outfit”をクリック

たったのこれだけ!
公式サイト内のチュートリアルに詳しい説明があるので、そちらも確認しながらやってみましょう。

経験者向け:これまでの衣装着せ替え・切り替えが各段に楽になる!

 前述の通り3ステップで着せ替えが終わってしまうことに脳内が混乱している方も多くいらっしゃるかと思います。大丈夫です、この記事を書いている私も同じです。

 そんなアバター改変に造詣の深い皆様に、Modular Avatarを利用する利点についていくつかご紹介させていただきます。

衣装やツールのプレハブをUnpackせずに着せ替えができてしまう

 既存の『ボーン in ボーン』での着せ替えや、各種着せ替えツールなどを利用する場合、衣装のプレハブをUnpackする必要がありました。

 しかし、このModular AvatarではUnpackせずに、プレハブのまま衣装の着せ替えをあっという間に終わらせることができてしまいます。

 つまり、衣装やツールのアップデートがあってもわざわざアバターに導入し直す必要がなく、アップデート後のunitypackageを入れるだけで一発対応できてしまうケースがとても多くなるのです!

衣装のプレハブをオンオフするだけで衣装の切り替えが可能

 アバター直下に置いた衣装のプレハブをオンオフするだけで衣装の切り替えが可能です。

 それに加え、衣装のボーンやPhysics Boneはプレハブ内のものが本体となっているため、『メッシュをオフにしたけどボーンやPhysics Boneが残っていて結局アバターが重い』という事象も避けられてしまいます。

 細かくボーンやPhysics Boneを指定してオンオフするアニメーションを作る必要もありません……!

アバター本体と衣装のシェイプキーを連動させる設定ができる

 アバター本体側メッシュのシェイプキーと衣装側メッシュのシェイプキーの値を連動させることができます。

 専用のコンポーネントを追加し対応するシェイプキーを指定するわずかなひと手間だけで、元アバターのシェイプキーをいじると衣装のシェイプキーが追従して変化するのです。

 片方のシェイプキーだけ変えてしまって後からアップロードし直し……ということがなくなるうえ、アニメーションで元アバターのシェイプキーをいじるだけで衣装側のシェイプキーも変化させられるんだそうな。すごすぎないか……!?

衣装やツールの製作者向け:利用者への導入支援が楽になる!

 このModular Avatarは衣装やツールを製作していらっしゃる皆様にも利点があります。Modular Avatar独自のコンポーネントを衣装やツールに適切に設定することにより、それを利用するユーザーがアバターへ導入するのを超簡単にしてくれるのです。

 わかりやすい例をご紹介しましょう。boothの ゆにさきスタジオ にて公開されている、可愛い座りツールです。
 こちらは基本的には有料なのですが、現在Moduar Avatarに対応したお試し版を無料でダウンロードすることができます。

 お試し版の利用方法は以下の通り。同封されているModularAvatarのバージョンが少し古いものになっているため、それだけは公式サイトの最新版を利用することをオススメします。

・「nadena.dev.modular-avatar-0.8.0.unitypackage」をインポート
・「KawaiiSitting_V0.1_MA.unitypackage」をインポート
・UnityのProjectタブの「Asset→UniSakiStudio→KawaiiSitting→KawaiiSitting_ModularAvater」のプレハブを、シーンのアバターの中にドラッグ&ドロップ
・通常通りアバターをアップロード

可愛い座りツール 内 商品説明文 2022年11月28日閲覧時のものより引用

 要するに、インポートして、アバター直下にツールのプレハブを入れて、アップロードするだけなのです。……えっ?それだけでいいの?と思い半信半疑のまま試してみたのですが、本当にそれだけでふかふかのベッドに寝転がることができてしまいました……!

追加設定の必要もなく、既存のAnimation Controllerを直接編集することもなく、機能を利用できてしまう

 補足させて頂くと、この可愛い座りツールはアバターがしゃがんだり匍匐したりする時のアニメーションを座るアニメーションや寝転んだりするアニメーションに変更してくれるツールです。
 そういったことを実現する場合、本来であればAnimation Controllerの置き換えや、アバター用のExpression Parameterの設定、さらには再生するアニメーションを変更するためのExpression Menuの設定などが必要になります。
 この可愛い座りツールも、Modular Avatarに対応する以前は自動で導入するための独自のUIやスクリプトが用意されていました。

 しかしModular Avatarに同封されたコンポーネントを適切に利用すれば、そういった独自UIや導入手順の説明を用意する手間を大きく省き、『インポートしてアバターにプレハブ入れてアップロード』だけでユーザーに導入してもらうことができます!
 素晴らしいギミックなどを用意したけど、導入手順が複雑でユーザーに使ってもらえない……と嘆いていた製作者の方には特に嬉しい話ではないでしょうか。

 公式ドキュメントには各種コンポーネントについての説明がありますし、簡易的なチュートリアルも用意されています。また、Modular Avatarに同封されているサンプルを確認することでイメージを掴むこともできます。

Modular Avatarがアバター改変の常識を変えるかも!?

 ここまで駆け足でModular Avatarの機能について紹介させて頂きましたが、一般の利用者だけでなく衣装やツールの開発者にとっても嬉しいツールであることがお分かり頂けたのではないかと思います。

 こういったツールは、やはり利用する側が増えれば増えるほど便利になり、いっそう私達に恩恵をもたらしてくれるようになるはずです。

 ドラッグアンドドロップでアバター組み立て、のキャッチフレーズに嘘はありません。まずは一度、次のアバター着せ替え改変の一助としてこのModular Avatarを利用してみてはいかがでしょうか。

 また、衣装やツールを製作して下さる皆様も、よろしければ是非このツールで導入を楽にすることをご検討いただければ幸いです……!(いち一般利用者からのささやかな願い)