【5月21日はフィーちゃんバースデー!】フィーちゃんお誕生日集会レポート!

 「アルファベット」という言葉の語源をご存知だろうか? それは言ってしまえば単純なもので、ギリシア文字の最初と2番目、α(アルファ)とβ(ベータ)を繋げたという由来になっている。しかし、世界で最も使われている「アルファベット」の源流が、ギリシア文字というまた別の文字から来ているというのはなんだか面白味がある。

 いきなり何の話? 暇な英語教師か? と思ったかもしれないが、もう少しだけ話を聞いて欲しい。それもギリシア文字の21番目……「Φ(ファイ)」についての話だ。聡明なる読者諸氏はご存知かもしれないが、このΦ(ファイ)という文字はギリシア文字であると同時に「500」を表すギリシア数字であり、そしてフィーという発音方法もある。

 つまり、Φはギリシア数字で500…………21番目のギリシア文字…………そしてまたの名を「フィー」…………。

 そう、だから5月21日はフィーちゃんのお誕生日だ。

フィーちゃんお誕生日集会!

 今回は2021年5月21日に開催された「フィーちゃんお誕生日集会」の振り返りレポートをお送りする。本集会はU-Stella Inc.のプロデュースするキャラクター『カリカチュアːCCD-0500[FEE]』、通称「フィーちゃん」のファン達が彼女の誕生日を祝福するという内容だ。

 集合した人々は皆フィーちゃんのアバターを使用しており、様々な改変で独自のオリジナリティが発揮されている。まずはそれらのスクリーンショットを紹介しよう。

様々なフィーちゃんの改変姿を紹介!

↑私服風&ノーマル衣装のフィーちゃん。誕生日集会は様々な姿のフィーちゃんを目に焼き付けることができ、視力がある限り目の保養が可能だった。

↑本集会は彼女をコンセプトにしたワールドで行われた。壁を見渡すとフィーちゃん関連アートが所狭しと並べられており、いわば彼女の記念館だ。浅学な筆者は記念館のある人物などイチローと太宰治くらいしか知らない。つまりフィーちゃんで三人目だ。

↑バリバリに改変を施した姿のフィーちゃん(上図左)と筆者の姿(上図右)。白を基調とした衣装と髪の毛に金色のブローチが映えている。私はその美しさに思わずツーショットをお願いしてしまった。

↑集会中、突如としてバースデーケーキが出現し、会場は大いに盛り上がった。ケーキがポップするなんて『星のカービィ』みたいな世界観だが、驚くべきことにこれは参加者のファンが作成したアバターである。つまりこのケーキ、アバターなので動くし喋る。世界広しといえどもケーキ自身が祝福の意志を持っているのはこの集会くらいではないだろうか。

↑身長差が姉妹のような仲睦まじい二人。まるで大好物を目の前にしているかのように心躍る表情だ。ちなみにフィーちゃんの好きなことは「読書」らしい。知識を得るのが好きとはゼウスの妻であり知恵の女神であるメーティスを想起させるが、上図の彼女たちにもその聡明さの片鱗を見ることができるかもしれない……。いや、シンプルにルンルンなキュートガールが二人だな。しかし彼女たちの方が女神より可愛いのは確かだ。

↑バーチャル世界では空中にアートを描くことが可能だ。筆者が上図左側のイラストを描いていると、白銀ヘアカラーのフィーちゃんがフレームインしてくれたので撮影した一枚。2Dも3Dも可愛い。可愛さに次元は関係ない。

↑壁に描かれた精緻なフィーちゃんイラストと画家自身のビジュアルイラスト。描いたのはアイリス氏(@AirisVR)。つまりバーチャルにもバンクシーが存在しているということだ。しかもただのバンクシーではない、美少女のバンクシーだ。

フィーちゃんの創造主 ALO氏 ミニインタビュー

 本集会の後日、U-Stella.Incの代表でありフィーちゃんの創造主ともいえるALO氏(@ALOHAGOTO)にフィーちゃんについて簡単なインタビューの機会を頂いた。

 ↑サイバー風ウェアに身を包んだフィーちゃんのALO氏。

―――フィーちゃんプロジェクトを始めたキッカケは何ですか?

ALO氏:現実にアンドロイドを作りたいと考え、その第一歩目として作ったのがフィーちゃんです。

 ※フィーちゃんには「人間の三大欲求をサポートするために生まれた汎用型アンドロイド」であるという設定があり、3Dアバターはそれらのプロダクトの中のひとつである。

ALO氏:現在は3DアバターやLive2D、リアルグッズなどでフィーちゃんというコンテンツを展開していますが、今後アンドロイドとしてより現実に近づけていくため、Voidol(※リアルタイム合成音声化ソフト)をリリースする予定です。表現の幅が広がり、例えば配信などにも使いやすくなるかと思います。

―――フィーちゃんのファンの方々に伝えたいことはありますか?

ALO氏:フィーちゃんは利用規約などで禁じている表現がほとんどなく、自分だけでは思いつかないようなアバター改変をしているファンの方々に良い意味で驚かされます。フィーちゃんというアンドロイドをユーザーと共につくりあげていくために、「ああいう機能が欲しい」「こういう製品はどうかな」などの要望やフィードバックが頂ければ嬉しいです。

 ↑フィーちゃんをファンと共につくり上げていきたい、と述べるALO氏。

 ひと昔前ならば、「現実にアンドロイドを作りたい」というのはSFフィクションの発言だっただろう。しかし人類がバーチャルに足を踏み入れた現在の世ならば、それは空想の台詞ではない。進化を続けていくフィーちゃんの世界に今後共、目が離せない。

キャラクターの誕生日を祝うということ

 さて、様々なスクリーンショットを紹介したが、登場する全ての人物がフィーちゃんのお誕生日を祝う気持ちで集まっているというのは間違いない。しかし、考えてみればキャラクターの誕生日を集まって祝うというのはなんだか不思議な風習である。キャラクターに限らず、ただ人物がこの世に生まれた日……というものを、何故人々は祝福するのだろうか?

 私の考えでは、誕生日というのは「愛を表現しやすい日」なのだろう。あなたも見たことは無いだろうか。普段見ることのない昔のゲームやアニメに登場するキャラクターのイラストが、彼らの誕生日にTwitterに溢れかえる光景を。これらは人々が「彼らへの愛を表現する」のにふさわしい日だったと言えるのだろう。

 本集会でも、参加者たちと交わしたのは「フィーちゃんのここが好き」「あれが可愛い」などの他愛のないお喋りだ。だが、彼らは皆楽しそうで、多幸な空間だったように思う。

 言葉にしてしまえば寂しいが、キャラクターというものは自分ではない。しかし自分ではないからこそ、そこに愛を表現する余地が生まれる。さらに誕生日という年の一度の記念日がその潤滑油となるのだ。それがこの集会に参加した筆者の感想である。

 願わくばまたいつの日かフィーちゃんへの愛を語れることを祈りつつ、本記事の結びとする。