高度経済成長に第二次ベビーブーム。
目まぐるしく変わる街並みや文化。
日々生まれる新しい価値観に夢や希望を抱いていた1970年代の日本。
そんな時代に建てられた建造物『中銀カプセルタワービル』がVRChatで再現されました。
とことん効率化!ビジネスマンのセカンドハウス
中銀カプセルタワービルは1972年(昭和47年)東京・銀座に建てられたカプセル型の集合住宅です。
こちらの建物は忙しいサラリーマンのセカンドハウスを想定して建設されました。
そう!
こちらの建物、ホテルではなく住宅なんです。
ジェンガのように詰まれた四角い箱1つ1つに人が住んでいたのですよ。
幾何学的な建築に大きな丸い窓。
その姿はまるで宇宙船のよう。
カプセル型の部屋に家の機能をぎゅ~っと詰めたSFチックな造形は、日本はもとより海外からも注目される建築物の1つです。
昭和の近未来タワマンに潜入
昭和時代の最新のタワマンはどんな姿だったのでしょう。
それでは早速VRで中へ潜入!
中銀カプセルタワービルはA棟・B棟に分かれ計140部屋の居室があります。
入り口右がA棟、左がB棟に繋がっています。
まずは正面のカウンターから部屋の鍵を貰いましょう。
今回貰ったのはA棟の706号室の鍵。
この鍵はワールドに入るたびにランダムで変わるようです。
貰った鍵の部屋以外は入れないので、自分の部屋まで足を運んでくださいね。
ビルにはエレベーターが付いています。
ボタンをぽちっと押して自分の部屋の階まで上がりましょう。
狭いビルをぐぐーんと上がるエレベーターはまるでアトラクションのよう。
階段もあるのですが、なにせ12階まであるのでVRでも自力で上がるのは一苦労です。
両手を広げれば壁に手が付くくらいの狭さ。
ぐるぐると螺旋階段を上がっているような感覚になるので、VR慣れしてない人は酔っちゃうかも。
部屋の中へ
それではお待ちかね、部屋の中にお邪魔します。
入り口の扉はまるで雑居ビルのドアのようですが、
ドアノブを回すと…
じゃじゃーん!
綺麗な白のカプセルハウスがお目見えです。
なんだか宇宙ステーションの船内にいるみたい。
室内はベッドとユニットバスだけのシンプルな作り。
ベッド脇には冷蔵庫、アナログテレビ、ステレオ、そしておまけ程度の収納。
キッチンや洗濯機置き場はありません。
食事は外で済ませて、洗濯はコンシェルジュに頼むことができるようですよ。
ベッドに寝そべるとこんな感じ。
ギリギリ足が伸ばせるくらいの広さです。
部屋の広さは10平方メートル。
畳で言うと6枚分程度の広さしかありません。
ここにシステムベッドを設置すると、部屋の中で動き回るスペースはほとんど無いですね。
本当に寝に来るだけの部屋って感じ。
窓の外にはフォトグラメトリで切り取った街と首都高速道路がチラリ。
なにこれ!SFじゃん!
ブレードランナー?
フィフス・エレメント?
SF映画みたいな世界来ないかな~って思ってたら、すでに昭和の時代に存在していたんだね。
ビュンビュン走る車を眺めるの楽しすぎる。
見える景色は部屋によって違います。
さぁ、あなたのお部屋はどんな景色かな?
風呂場の居心地もなかなかですよ。
狭いのが心地いいね。
物を置き始めると窮屈になっちゃうんだろうけど、簡易的に住むんだったらこれぐらいでもいいのかも。
建物横には写真ギャラリーも
VRChatの中銀カプセルタワービルには、エントランス横に写真ギャラリースペースが用意されています。
こちらでは実際の中銀カプセルタワービルの写真を眺めながら、建物の設計や当時の様子を学べます。
残念ながら中銀カプセルタワービルは老朽化により、2022年4月から解体工事が始まっています。
今年3月末には最後の入居者の退去が完了し、解体後は美術館での展示保存や宿泊施設としてのカプセル再利用などが検討されているそうです。
っていうか、けっこう最近まで住んでる人いたんだね。
無くなってしまうのは悲しいですが、現在中銀カプセルタワーのその建築的価値を残すため、建物全体を3Dデータで保存する“3Dデジタルアーカイブプロジェクト”が始動しています。
プロジェクトではミリ単位で正確な距離を計測するレーザースキャンデータと、一眼レフやドローンで撮影した2万枚以上の写真データを組み合わせて建物全体をスキャン。
中銀カプセルタワービルをスマートフォンで見ることができるARも公開されています。
こちらのプロジェクトの応援は2022年8月9日23:59まで行われています。
支援すると中銀カプセルタワービルの3次元点群データをもらえるみたいですよ。