
VRChatにおいて、よく耳にする「撫で」という文化。特に新しくVRChatを始めたユーザーにとっては、現実とは大きく異なる体験のうちの1つにあてはまるものと言っても過言ではないのではないでしょうか。
撫でを好むユーザーの中には、アバターを撫でたら音が鳴る「撫で音ギミック」というものを導入している方もおり、実際に筆者も導入してフレンドを撫でたり撫でられたりしています。そこで、今回「撫で音ギミック」についてより深く知るべく、VRChat向けに開発・リリースした「【フカさんの!】撫で音ギミック【VRChat】」の開発者であるフカさんにインタビューを実施しました。
撫で音ギミックとは?
撫で音ギミックとは、ギミックを有効にした状態で他者のアバターを撫でることで音が鳴るギミックの総称。現在では同様のギミックが複数出ており、作者によって機能や音などが異なったものになっています。
フカさんにインタビュー!
――本日はよろしくお願いします。
――開発に至った経緯を教えて下さい。

元々はただ私が自分で欲しいものを自分で作っただけで、個人用のつもりでした。でも、作りつつ人に見せたりしていたら、案外ニーズがあることが分かって、完成したら公開することになりました。Boothに出す時にはMoscoさんに依頼してこだわった撫で音を作っていただきました。
ギミック誕生のきっかけは、私自身がV睡をする時に、目を閉じると撫でられているかわからず「まだ撫でられているのかな?」と気になって目を開けてしまって、また目を閉じるということを繰り返していてうまく寝つけず、撫でられているのを感じながら眠りにつきたかったのが始まりでしたね。
撫でられながら寝落ちがしたい!
けど!!!
目を閉じたら撫でられてるかわ”か”ら”な”い”!!!
(Boothより引用)
――なるほど。VRだと目を閉じたら撫でられているかはわからないですしね。V睡っていつごろからされてますか?

正確には覚えてないんですが、去年の春(2024年春)ぐらいです。撫で音ギミックを作るちょっと前ぐらいにV睡を始めたので。
――実際ギミックを出してみてどうでした?ユーザーの反応とかいろいろあったと思いますが。

最初は結構スロースタートだったんですよね。リリース当日の反応はそこまで多くなかった記憶があります。ただ、ギミックを購入して使ってくれたユーザーさんからの評判はとても良いものが多くて、なでなで界隈の方の間で「視覚だけじゃなくて聴覚でもアプローチできるからいいぞ!」と話題になったようで、だんだんと口コミで広まっていった、という風に認識しています。
――その当時は「撫でたい」「撫でられたい」ユーザーってどんな感じでしたか?

最初は私がそう宣伝したこともあり、主にフレンド同士で寝る時に撫であう時の使い方が多かったのかなと思います。なでなで界隈の方々にも認知され始めてからはだんだんと、撫での没入感をあげるための補助としても使われ始め、用途が広がっていきましたね。

――今は「なでなでマッチング」がありますが、ユーザーの動向も結構違ったんですね。

そうですね。気が付いたら用途も増えていましたし、新しく出てきた用途に合わせてアップデートで機能を拡充していったというのもあります。元々は目を閉じながら撫でられを感じるのを想定して安定した音が鳴るようにしていたのですが、目を開けながら撫でられる場合は、手の動きと連動させた方が良いと思い、ユーザーの意見も反映しつつ改良をしていきました。
――ちなみにフカさんはどっち側ですか?

撫でたい人だと思われていますし、実際撫でるのも好きですが、撫でられるのも大好きです(笑)。自分が撫でられて寝落ちしたいがために、多大な労力とコストをかけて作っているので、そりゃ当然ですよね。最近は「あの撫で音ギミックを作ったフカさんだ!撫でて!」と言われてしまい、撫でてもらうムードに持っていけないことが小さな悩みのタネだったりします(笑)。なので、気にせず接して撫でてくれるフレンドさん達には感謝です。
――リリース当時は「フカさんの!」がついていなかったそうですが、なぜ付けたんでしょうか?

リリース当時は「撫で音ギミック」という言葉が存在しなかったんですよね。というか私が作った造語なので当然なんですけど。その後、いくつか撫で音ギミックがリリースされて、1つの文化になってきた時に「撫で音ギミックおすすめ!」だけだと、どの撫で音ギミックの話?となってしまうので、「フカさんの!」を付けました。撫で音という文化がここまで広がると思っていなかったので、単純に嬉しいですね。

――ギミックとしては、かなり頻繁にアップデートしていますが、ここを改良しよう!というようなのはあったりするのでしょうか?

バージョンごとにやりたいことはバラバラですね。バージョン1からバージョン2へのアップデートは、寝る時のみの用途から、起きている時にも撫でられるようにしたものです。バージョン3では揺らぎシステムやピッチ調整といったもので、より自然な撫でになるように意識したアップデートです。長時間撫でても聞き飽きず、現実のように撫でるたびに音が変わるのをイメージしています。バージョン4では音源の拡張をメインに、幅広いユーザーの方にもっと喜んでもらえるような内容にしました。
ギミックとしてはかなり完成されていると思っていて、もう大きいアップデートは必要ないかな、という気はしてきています…が、バージョン1から2の時も同じように思っていたので、今後もアップデートは続けると思います。今後のアップデート予定のもので今開発しているのは、ちょっと地味なんですがギミックの軽量化を行っていて、導入すると必ずVery Poorになってしまう、というようなことが発生しないようにしています。環境に影響を受けず動作がスムーズになるように、細かい部分も調整しています。
――なるほど。ユーザー目線に立ったアップデートが多いのはいちユーザーとしても嬉しいことです。ユーザーの声はどのように集めてるんですか?

「撫で音」とかでエゴサして、ユーザーさんの声は結構見てます(笑)。それはアップデートの参考に、という意味もありますが、単純に自分の作ったものを多くの方が使ってくれているのを見るのが楽しいので!
――今後もフレンドに積極的に使っていこうと思います。本日はありがとうございました。
さいごに
「撫で」という行為は、あくまでも対象の同意があって成立するものです。同意なく行う「撫で」は嫌がらせ・ハラスメントになりますので、節度を守って楽しみましょう!
フカさんについて

ギミック制作、モデリング、楽曲制作など、VRChat上の様々な創作活動に取り組むマルチクリエイター。
代表作は撫で音ギミック、幻影シェーダーなど。
X: https://x.com/fuka_shop
Booth: フカさんのなんでも屋

kuma
作詞・作編曲家。アニメ・声優・ゲーム音楽など、提供先は多岐にわたる。現在はVtuberにも楽曲提供中。
カジュアルビリヤード部 副部長 広報・総務
Billiards & Bar C9ue スタッフ・バーカウンター責任者
VRC華道部 運営
Polaris Racing 代表・ドライバー
X: https://x.com/kuma_t
投稿者プロフィール

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