
バーチャルライフマガジンの読者から寄せられたVRChatエピソードをもとに、バチャマガメンバーが語り合う座談会企画。第2回の今回は、VR劇団ユアクトのふわらゆらさんを迎えて開催しました。
「始めたころの自分にひとこと」から「VRChat老人会あるある」、「VRChatやっててよかったと思ったこと」そして「VRChatで感じた“リアル”」まで、たくさんのVRChatユーザーが日々過ごすなかで紡いできた、様々な想いにふれた今回の企画。座談会参加者それぞれのエピソードも添えてお届けします。今回のエピソード募集企画では、座談会に加えて、VR劇団ユアクトの手で舞台化されることも決定しています。記事の最後には、コラボ公演の情報もあわせてお届けします。
目次
VRChat始めたころの自分にひとこと


一体何が起こったんだ……

VRChatのSteamストアページに「VRChatはお勧めしない」みたいなレビューがあると思うんだけど、確かプレイ時間がすごいことになってたよね。それに近いものを感じる。
自分にひとことと言いつつ、これ自体が作品性を帯びた一言みたいな感じがするね。

『ライノシティの亡霊』っていうゲームワールドの作者さんだと思うんですけど、『のらきゃっと』・『ますきゃっと』の世界観に囚われまくっているので、(今帰れば)まだ間に合うっていうのもあるのかなあって考えました。


ちょっと解説してもらってもいいですか? パンジャンマンとは……?

VRChatには、パンジャンマンっていう頭にパンジャンドラムをつけたレオタード姿のおじさんがいて、そのアイドルグループがあったんですよ。

Questで表現できる範囲のパーティクルとか、ギミックとかを駆使して、VRChat内でライブをやったり、ネタ企画をやったり、動画撮ったりみたいなのをいろいろやってたのが、このパンジャンマン率いる『パンジャニ∞(エイト)』だったっていう。

なるほど、始めるころにあこがれていたパンジャンマンのところにたどりついたよって話なんですね。いい話だ。


これまで自分が積んできたものが、ちゃんと形になりましたよって話ですね。

現実じゃないけど現実だし、経験として自分にフィードバックされて成長になるんですよ。この経験っていうのは、コミュニケーションだったりいろいろあるけど、それが結局経験として自分のリアルにも反映される。すごい分かる。

いろいろ壁にぶつかったりしつつも、いいVRChatの過ごし方をされてきたんだろうなって感じました。
「8年前のお前、そのままVRChatにハマれば良かったんだよ。」

皆さんは「初心者の頃の自分にひとこと」ありますか?

いいですか? 自分に言っても。
「8年前のお前、そのままVRChatにハマれば良かったんだよ。すぐ辞めるんじゃない。8年バッジを意味あるやつにしなさい」
8年前にちょっとやってみたのはいいけど、一回入ったぐらいで外国人しかいないし、なんかゲームっぽいこともできないし、よくわかんないからいいやってなっちゃったんですよね。


持病で運転とかできなくなったり、ダイビングとかできなくなって、いろんな楽しみから隔離されちゃって。 で、VRの世界に未来というか、そういった世界を求めてやってきたあの頃の僕へ、大正解です。
このVRの世界は、どんな乗り物よりも、あらゆる世界に僕を連れてきてくれました。 そして今、その流れが世の中の大きいところに、ますます広がっていってます。 6年前、この世界に光を見出して飛び込んだその判断は大正解です。 ただ、いろいろあります。 いろいろあるので、生き残ってね。
VRChat老人会あるある

※DJイベントにおいて、音声や映像をVRChatワールド内に配信するサービス『TopazChat』が使用できない場合に、マイク入力を利用して音楽を流すこと。アバターの口から音楽が流れるように聞こえるため、「口からDJ」と呼ばれることも。

リアルで考えてみると口から音楽が流れてるひとって相当変なので、VRならではで面白いなって思いました。

TopazChat自体は2019年くらいに開発されてて、DJイベントで実際に使われるようになったのが2020年の4月くらいだったと思うんですけど、それまではみんな口からDJやってましたね。

Quest対応のDJイベントだと、もう少し後まで口からDJやってましたよね。

やっぱこれいいなぁ。 いまでも最終手段として扱われているの、映画『バトルシップ』の雰囲気を感じる。 最新の設備が使えなくなった時に旧式の手段を引っ張り出して応戦するみたいな。

TopazChat使われていないワールドでもDJできるので、今でも使われてる手段ではありますけどね。



ひとことの中に、1つの文化の変遷が内包されています。桔梗って衣装対応の概念が生まれた後ぐらい、つまり、衣装をアバターに対応する文化が出てきたころのアバターで、しなのはもうそれが普及しきった後の子なんですよ。
その後の色改変のミーシェが~ってあるじゃないですか。当時はまだ衣装改変するのがめちゃくちゃ大変で……

昔は素体がなかったんですよね。2018年くらいまで2万ポリゴン制限があって、それが7万ポリゴン制限になったのでようやく素体が作れるようになったんですよ。
だから、一番手軽に色だけ変えるっていうのが文化として定着しやすかったんです。
私は最初3~4年くらいずっとますきゃっとだったので、素体がない、衣装をどうするかってなってBlenderの技術を身につけたとかもあります。着せ替え大変だったんだよなぁ。

いまや対応衣装があって、Modular Avatarでポンってやったら着せ替えができて、もちふぃった~で対応衣装じゃなくても簡単に着れるようになったし、良い時代になりましたね。


カメラなかったんだ!?

なかったんですよ。Quest本体のスクリーンショット機能を使うしかなくて、だからワールドギミックで写真を撮って、視界ジャックされる球に頭を突っ込んでQuestのスクショを撮るという風景が見られました。

「老人会の話題といえば、『Dynamic Bone』」

老人会の話題といえば、『Dynamic Bone』ですよね。
※『Dynamic Bone』……『PhysBone』がリリースされるまでアバターやワールドの揺れ物の設定に必要だったツール。Unity Asset Storeにて有料で販売されている。

VRChatでアバターを楽しむには、衣装よりも“骨”が先っていう不思議な環境だったよね。


まずい! この話題で無限に時間が過ぎてしまう!
一旦次に行きましょう!
VRChatやっててよかったと思ったこと


これ共感できますね。縁と距離が近いというか、実現性が高いというか。

VR劇団ユアクトの公演『Hello world!』もこんな感じだったよね。

そうですね。演劇とかをリアルでやってみたいけど機会がなかった人でも、VRChatっていう場があることで実現できたみたいなところは結構あるので、こういうのはいいなと思います。私もVRがなかったら多分演劇やってなかったんじゃないかな。

自分の人生で普通通らないでしょみたいなことと縁ができるのが本当にすごいと思っています。
いろんな縁がとにかく近いから、現実で視野に入れないものが入ってくる。そこはね、すごい価値だなと感じますね。


よくある話ではないんですけど、ワールド『VRChatここから始めました』の作者は、私の中学、高校の同級生だし、他にも2人ぐらい中学、高校の同級生がいるんですよ。私が昔からこの声とこのハンドルネームだったので、「ひょっとして、その声はわが友nusaではないか?」みたいなことがあって身バレしました。
お互い性癖詰め込んだ姿だったりするんですけど、ある意味対等な立場として付き合えてるからよかったんじゃないかな。面白いですよ、VRChat。



大きいところだと『VRCくりえいてぃ部』が挙げられるけど、作業インスタンスの存在って、めちゃくちゃ大きいよなぁって。
実際に進捗を見せ合ったりとか、無言だけど隣で一緒に作業をしていることで、サボらなかったりとか。

演劇もそうなんですけど、VRChatでクリエイターとか好きな同志の人を集めるのがすごい楽なのは、物理的な距離がないからっていうのもあると思います。

バンドメンバーとか演劇メンバーってリアルだと集めるの大変だよなあ……。

確かに、リアルだと劇団作るのってかなり大変だよね。今ってVR演劇の劇団は20以上あるんでしょ?

この前、clusterとVRChatの劇団を数えたら、30以上ありました。すごい数だなって思います。


自分もイベントスタッフやった経験とかが、仕事や日常のちょっとしたことに活きたこともあったので、VRChatの経験がリアルに活きることって案外あると思うんですよね。もちろんその逆もあったりで、それぞれの経験がどちらにも生かせるっていうのはいいなって思います。


アバターに性格が引きずられるみたいなこと、私もありますね。

外見が行動を左右するみたいな効果をめちゃくちゃポジティブに活用してる例だね。

この方は、アバターに引きずられてって書いてあるけど、リアル側も強化されているわけなので、すごいと思います。


これマジで良いですね。さっきもちょっと言いましたけど、思ってなかった縁が来るんですよ。

実感として、昨今のインターネットは自分の知っている範囲、興味のある範囲しか見えないようになってきている中、自分の知らない世界を持ってきてくれたり、自分が知らなかったものに出会える世界というのが、ここにはまだ残っている。
だから、インターネットがインターネットである所以をまだ残しているのが、VRChatなんじゃないかなって思います。
『私がインターネット始めるきっかけになった人』との出会い

VRChat始める前から好きなアーティストがいて、ニコニコ動画で曲をずっと聴いてたり、ライブ行ったりしてたんですよ。
巡り巡ってVRChatでたまたま出会って、VRChatのフレンドのリアルライブの際にオフ会みたいな感じで会えたりとか、握手してもらったりっていうことがあって、本当に私がインターネット始めるきっかけになった人だったので、夢がかなったなって思っていて。それでVRChat始めてよかったなって思いました。


リアルですごい活動されているアーティストさんとかもいたりするのに、VRChatやっている仲間って感じで話聞いてくれるし、いろいろ協力してくれたりもするので、その辺はVRChatやっていて良かったなって感じます。VRChatやってなかったらその縁もなかっただろうし、そういう人と一緒に何かやったりすることもなかったんだろうなって。
VR劇団ユアクトでも、去年HONNWAKA88さんというアーティストとコラボで音楽ライブとVR演劇を組み合わせた公演をやらせていただいたんです。HONNWAKA88さんがSLT(SpotLightTalks)っていうオープンマイクイベントで初めて歌ってた時にたまたま遭遇して、そのときに歌に衝撃を受けて、機会があれば演劇で使わせていただきたいですってお願いしたらその場で快諾していただきました。
路上ライブやってるときとかに会いに行ったり、私がやってる演劇にご招待して見に来ていただいたりして、最終的にHONNWAKA88さんの曲をもとに脚本を作って、劇伴で生演奏・生歌唱で歌ってもらうみたいなことをやったんですけど、本当に面白くて楽しかったので、VRChatやっていて本当に良かったな、今のVRChatでしかできないことだなって思いました。
VRChatで“リアル”を感じた瞬間


この話読んで、「行きたい!!!」って思ったんですよね。

その場所に魅力があると分かったらコストを惜しまずに行くと思うんだけど、縁もゆかりもない場所に対しては、最初は魅力を感じづらいんだよね。でもVRChatにあるものは全部内輪の感覚になってくる。その内側にあるものから外の世界を仕入れるっていう良さがあるなあって。

“バーチャル”という言葉の本来の意味だなって思いました。


実際メタバースヨコスカ行ったことあったから、東京に旅行したときに横須賀行ってみるかってなったんですよね。メタバースヨコスカのワールドにあったプリンが食べたくて、メタバースヨコスカの担当の方に教えてもらって買いに行ったんだけど、VRChatで見たあれを食べれるって体験はすごく楽しかった。

一個前のエピソードもですけど、その魅力をどう伝えるか、どう興味を引くかっていうところが大事ですよね。横須賀のこと全然知らなかったけど、メタバースヨコスカのワールドにある戦艦三笠を見て、「ここにはこんなでっかい戦艦があるんだ」と思ったので、その土地の魅力を伝えるシンボルとしてうまく機能してるのはいいなあって思いました。


これ、うまいことやれたらリアルとVRとで聖地巡礼のループが起こると思うの。VRで最初遊びに行って楽しかったらリアルの方に行って、リアルを知ったらVRのコンテンツへの解像度がめっちゃ上がって最初に行った時より楽しめるんだよね。うまくハマればVRと観光はめちゃくちゃ強いんじゃないかなって思うよ。
「人間関係は本当にリアルです」

皆さんは、VRChatでリアルさを感じた経験とかってありますか?

リアルの話でいくと、私って生まれは大阪なんですけど、大学は鳥取で今住んでるのは岡山っていうのがあって、今の地元で知り合った友達みたいなのが全くいないんですよ。地元の友達って誰かなって考えると、結局、VRChatで知り合った地元の人なんです。
VRChatだと各地方ごといろんな集会があって、それぞれの地域に住んでる人とすぐ出会える。で、声も仕草も知ってるから結構オフ会とかのハードルも低いっていうのもあって、VRで友達作るっていうのは全然できてしまうし、自分も今付き合ってる友達って言える人誰だろうって考えると、VRでしか友達作ってないんじゃないかってくらいなので、リアルだけどVRChatの一面であり、良かったなと思うところですね。

VRChatやっているとそんな感じでリアルにつながる友達ができたりとか、それぞれ違う生活をしている人たちの実体験とか聞けるからいいよね。

僕のことでは全然ないですけど、本当に普通に結婚する人がいたりとか、仕事にしている人とかいるので、(VRの方が)よりリアル寄りなんじゃないかって思うことが多いです。僕の体験上、ちょっと半分仕事っぽいことも多いんで、リアルをどうしても感じてしまうというのがあります。
最初、この立体視を初めて見た時のすげーってなるあのファンタジーな感じはもうなくて、常にVRと同居してるって感じになっちゃいました。どうしても人間が見えるっていうか。まあ、目の前に人間がいるんですけど。
なので答えるとしたら、半分くらいはずっとリアルを感じてるって感じですね。

VRって言っても向こう側にいるのは人間なので当たり前なんですけど、もう一つのリアルみたいな感じはしますね。人間関係は本当にリアルです。VRでできる体験もどんどんリアルに近いものになっているような感じがします。

そのうち本当に境目が無くなっていくんじゃないかなって感じがしますね。一億総アバター社会が来るかもしれないし。
さいごに


今回もたくさんの方にエピソードを投稿いただき、ありがとうございました! 記事で触れられていないものもあると思いますが、投稿いただいたエピソードはすべて読ませていただき、いろいろな想いにふれることができました。

老人会の部分はカットしちゃったけど、これ単体で記事にできるくらい、いくらでも話せるかも。

いろんな世代の方を集めて世代間トークみたいな形も面白そうですね。
皆のエピソードが舞台化! VR演劇のコラボ公演が開催予定!

今回はVR劇団ユアクトさんとのコラボ企画ということで、バチャマガでは募集したエピソードをもとに座談会を行ったんですが、VR劇団ユアクトさんの方では、エピソードをもとに脚本を書き下ろしたVR演劇の公演が行われます!

3人でそれぞれ脚本を作ってるんですけど、それぞれ方向性が違っていて、面白い内容になっていると思いますので、ぜひ楽しみにしてください!

【公演概要】
エピソードを元にした短編VR演劇3本立てのオムニバス公演
【公演日程】
2026/9/22 (火) 開場21:30~
2026/9/24 (木) 開場21:30~
2026/9/29 (火) 開場21:30~
(公演は各日2時間程度を予定)
【参加方法】
VR劇団ユアクト観劇用グループ:https://vrc.group/VUACTV.3136
※こちらのGroupインスタンスで開催となりますので、事前加入をお願いいたします。
詳細はVR劇団ユアクト公式Xをチェック!
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ふわらゆら
VR劇団ユアクト代表
ゆーてる
バチャマガ広報隊長
trasque
バチャマガライター
Note
バチャマガライター
nusa
バチャマガライター
やまびこ
バチャマガ編集/ライター