初心者案内ってなにしたらいいの?ベテラン案内人にコツを聞いてみた!

皆さんは、VRChatの集会所ワールドやイベントなどで初心者さんとばったり出会って、話の流れで初心者案内をした経験ありますか? 筆者も以前そんな機会があったんですが、初心者案内に慣れていないので「何をどこまで案内したらいいんだろう」「ちゃんと案内できてるかな」「どんなワールドに連れて行ったら良いのかな」などと思いながら案内をしていました。読者の方で同じ経験をした方も少なくはないのではないでしょうか?

そこで、今回はベテランの初心者案内人の方のお力をお借りして、初心者案内のコツや心構え、初心者さんと行くのにどんなワールドがおすすめか聞いてみました!

これを読めば、案内する人もされる人もきっと楽しめる初心者案内ができるはず!

初心者案内人ポリゴンさんに案内のコツを教えてもらいました

今回ご協力いただいたのはポリゴンさん。これまでに300人以上を案内してきたという、超ベテランの案内人さんです!

ポリゴンさんプロフィール

初心者案内人として、これまで300人以上の初心者さんを案内。VRChatをより楽しく、充実したものにしたい方に向けた、1対1を中心としたサポートサービススグバースサポート』のバーチャルサポーターとしても活動中。初心者案内人としてnoteでの発信も行っている。

まずは『[JP]Tutorial world』へ!

やまびこ

早速『[JP]Tutorial world』に行ってみたいと思います!

ポリゴンさんはここでどれくらい時間をかけて説明されていますか?

ポリゴン

場合によります。初めてVRChatに入ってきたような方であれば30分くらい、ある程度動いてみてVR酔いとかが大丈夫そうという方だったら1時間くらいですね。

やまびこ

案内していてVR酔いしてしまう方って多いですか?

ポリゴン

多いですね。なので(少しでも酔いにくくするために)移動するときは必ず自分の方を向いてもらって、「こっちこっち」というふうに誘導しています。

「こっちこっち~」

何を説明する?

やまびこ

「今日初めてVRChatに入りました!」という方には、どういった内容を説明していくんですか?

ポリゴン

実際に順を追って説明していきますね。
まず、入ってすぐにあるメニューについては、自分はあまり説明しないです。というのも、人と交流できる場所に入ってこれている時点で、メニューの使い方はある程度把握できていると思うからなんです。

やまびこ

UIが日本語になったから、見て理解しやすくなったのもありますね。

ポリゴン

なので、実際に触りながら試してもらうのを優先して案内しています。次の「システム」のコーナーでは、パーソナルスペースだったり、アバターコンタクト、信頼されていないURL(Untrusted URL)の設定は簡単に説明して、あとはまた後で読んでねというふうにしています。

移動中も細かな気配り

ポリゴン

「システム」から2階に上がるところは、酔ってないですか? とか、デスクトップの方にはダッシュの仕方などを教えています。

やまびこ

移動中も後ろを見ながら先導してくれて気遣いを感じます……!

初心者案内はコール&レスポンス!

ポリゴン

フレンドの送り方、承認の仕方は実際にやってみます。特に、メニュー開いて相手にビームを当てる操作はよく使うので、覚えておいてくださいっていうのはお伝えしています。

そして、フレンドの部分が終わったあたりで、ここまででわからなかったことがないか聞くようにしています。

コール&レスポンスがないと相手も飽きちゃうんですよね。授業中も先生の話聞くだけだとつまらないじゃないですか。なので、わからなかったらどんどん聞いてって言いながらお互いの距離を縮めてより話を進めやすくするって感じですね。

「ジョイン」は「入る」、「インバイト」は「招待」

ポリゴン

ソーシャルの説明なんですけど、「入る」、「招待を送る」は積極的に使いましょうと伝えています。あとは「入る」のことは「ジョイン」、「招待」のことを「インバイト」と呼んだりしますっていうのもお伝えしていますね。

小学校1年のときのクラスメイト全員は覚えてないと思うけど、よく遊んでた友達の名前とか趣味ってある程度覚えてたりしますよね。それと同じ感じで、「ジョイン」、「インバイト」は積極的にして、印象付けていきましょうっていうのは言ってます。

その上で、プロフィールに「いつ始めたか」、「現実世界で何が好きか」、「この世界で何をしたいか」を書いておくとよりスムーズに交流できますよっていうのも伝えてます。

やまびこ

その方が初対面でも話を膨らませやすいですね。

ポリゴン

そうなんです。

説明に「『ジョイン』と呼ぶ人も多いです」の記載も

初心者案内で一番盛り上がる!? アバター

ポリゴン

アバターについても、説明するより実際に触ってもらったほうが早いので、説明は飛ばして鏡の前に誘導します。

まわりにいるサンプルアバターで気になった子を選んでもらったり、好みを聞いてサンプルアバターを出したりしています。

有名どころの男性アバター、女性アバターに加え、ケモノ系、ロボット系など複数の種類のサンプルアバターを出せるように持っておくといいですね。

やまびこ

ここは初心者さんの反応も良さそうだし、何人かで案内していると布教合戦が始まって盛り上がりそうですね!

ポリゴン

そうなんですよ! 複数人で案内しているときは、ここに来る直前に「布教したいアバターを出して!」って言ってます。

鏡の後ろにはサンプルアバターがズラリ
ポリゴン

アバターには無料のものから有料のものまであって、価格も様々という話をしたあとに、使っちゃいけないアバターの話にシフトします。

海賊版(規約に違反してアップロードされたパブリックアバター)だったり、版権アバターは作者さんやキャラクターの版権者さんに迷惑がかかっちゃうので、そういったものは使わないようにしましょうって言っています。

はじめのうちは海賊版を見分けるのは難しいので、怪しいところでアバターを拾わないようにしてねって感じで伝えてます。

こまめに質問コーナーを挟んでみよう!

ポリゴン

このあたりでまた質問コーナーを入れてます。大体2コーナー説明するごとに質問コーナーを入れる感じですね。あとちょっと休んでもらったり。

ちゃんと視線誘導していれば8割くらいの人は大丈夫だと思うので、様子を見ながら休憩を入れています。

やまびこ

それでも2割はちょっときついかもってなっちゃうんですね……。

ポリゴン

どうしてもVR酔いは人によるのでね……。なので移動するときは私の方を見てねって視線誘導だけはしっかりやってます。

やまびこ

どちらも初心者案内に慣れていないと意識しづらいポイントだ!

ポリゴン

主役はあくまで初心者さんなので、自分が話したいからやるんじゃなくて、相手に楽しんでもらいたいっていうのが一番大きいので。

なので案内を初めてする人は、どんどん質問タイムを作ってあげてほしいですね。

ローカル・グローバルのコーナーにある鏡の説明。「なにもない壁に向かってる人たちは『壁愛好家』じゃなくてローカルの鏡を見ているんですよ~」というユーモアを交えつつ説明が進みます。

ワールドと定番の記念写真!

ポリゴン

ワールドについてはほぼ飛ばしますが、インスタンスについて、ポータルについては実際に見てもらいながら説明します。あとポータルにレーザー飛ばすと離れたところのポータルに入ったり、ワールドをお気に入りに登録したりできるのは便利なので、これは毎回説明しています。

ポリゴン

自己防衛は説明したほうがいいんですけど、本当に時間がないときは最後の写真を優先します。

自己防衛の中ではセーフモードについては説明していますね。意外と間違えて押しちゃう人も多いので。

カメラは最低限ワールド固定とタイマーだけ説明して実際に撮影してみます。

やまびこ

初心者案内のチュートリアルといえばこれですね!

ポリゴン

ハッシュタグつけて投稿するといいねやリツイート(リポスト)がばっときてフォロワーが増えるので、気になる人に対してフォローを返してあげるとタイムラインが育っていくよって言ったりしてます。代わりに自分が撮って後から繋がって送ってあげるってのもかなり有効です。

ポリゴン

このあとはなにかやりたいことを聞いてみたり、『Himiko Avatar World 』でアバターを探して、その後に『ウシヲポート』や『クエストトビラ』でどんなワールドがあるか見てみたりってルートが多いです。

『ウシヲポート』で聞く、ワールド選びのコツ

説明を一通り聞いたあとは、ウシヲポートに移動して、ワールドの選び方や案内の心構えなどをお聞きました!

やまびこ

初心者さんを連れて行くワールドの選び方のコツってありますか?

ポリゴン

人によって違いますし環境にもよるんですけど、とにかくワールド選ぶときのコツは酔わせないことです。

パーティクルライブとか連れて行きたくなる気持ちもすごくわかりますし、自分でもたまに連れて行くんですけど、酔い耐性がない子だと割と視界が激しく動くので難しいかなと思います。

やまびこ

VRChatっぽさを出すってなると、パーティクルライブは割と選択肢に入りやすいかなと思うんですけど、言われてみればそうですね。

ポリゴン

パーティクルライブよりもVR感が強いのは空間に対してアクションを起こせるものかなというふうに思ってて、例えばゲームワールドでおすすめなのはクロスディスクのR3ですね。操作も簡単ですし、相手を常に見ることが意識されるんで酔いづらいんです。

短い案内のときだと、『Udon Bird Sanctuary』に行ったりします。

ポリゴン

ネットミーム系は見たことあるネタに入れるということでウケがいいですね。

それから、VRChat始めた人がVRにある程度慣れてから、仲のいいフレンドを連れて行ってみてほしいなと思うのが、『PROJECT˸ SUMMER FLARE』ですね。Userくらいになったら行ってみてねって言ってます。

初心者案内の心構えを聞いてみた

模擬初心者ツアーを終えて……。

やまびこ

言われてみれば最初に話す必要はないなっていうのもあったりして、案内する情報の取捨選択もすごく勉強になりました。

ポリゴン

最低限、設定、フレンドの作り方、ジョインとインバイト、アバターの変更、ポータル、あと写真の撮り方くらいがわかればいいのかなと思います。

説明は自分が話せるところだけでいいと思っています。最低限のところは、ちゃんと案内してるとき自分も使う操作が多いと思うので、そのときに説明すればいいかなと。

やまびこ

あんまり説明できないなってところは自分でもそんなに使わないってことですもんね。

ポリゴン

そうそう。ただ覚えておいて損はないんですけど、そこに覚えるぐらいなら酔わせないように、はぐれないように楽しませるように動いてほしいなと思います。

やまびこ

見通しの悪い曲がり角では、ついてくるまで待っていたのが印象的でした。

ポリゴン

あと案内するときに心がけてることで一番大きいのは、自分のやりたいことやっていいんだよって伝えることですね。

なのであれしろこれしろは絶対言わないようにしてます。「やってみても面白いかもね」とかいうふうに初心者さんにはそれぞれのルートに進んでいってもらいたいなというので。

それから、拾った子は最後まで面倒を見ようということです。やっぱり(初心者さんからすると)一番最初にフレンドになることが多いので、離れていっちゃうとさみしいじゃないですか。

初心者さんからしても最初のうちは行き場も少ないのと、なかなか遊びに行きづらいという人もいるので、私は自分からもガッツリ遊びに行っています。

やまびこ

案内したあとに1回でも会うときっと会いやすくなりますよね。

ポリゴン

やっぱ2回目って大事なんで。

やまびこ

もうそっくりそのまま真似をしたいルートでした。ここ真似をしたいな、ここが良かったなと気づくのは簡単ですが、自分がやるとなるとそこまで気を回すのが難しそうだなと感じました。

ポリゴン

そういう人は他の方の案内を見て回るのもいいと思います。ただ、人の案内にはあまり口を出さないようにして、ちょっと距離を開けてそっと見学する感じで。

終わりに──案内の節々に感じたプロフェッショナル

説明の内容といった初心者案内の本体はもちろん、初心者さんが安心できるコミュニケーションのとり方、自分の画面・手元が見えてるんじゃないかと思うレベルで常に初心者さんが何をしているか気を配っているところ見通しの悪い角などでは必ずついてくるまで待っているなど、案内ツアーの節々に経験の豊富さとプロフェッショナルさを感じました。

記事で紹介できたのはポリゴンさんが教えてくれたことのほんの一部。ただ上手に説明すればいいというわけではない、初心者案内の奥深さを知ることができた企画となりました。

初心者案内のやり方は人それぞれありますし、これが絶対の正解というものはないですが、もし自分が初心者案内をすることになったら、今回教えてもらったことを少しでも活かして行きたいと思いました。

これを読んでいるみなさんが突発的に初心者案内をすることになったとき、この記事が少しでもお役にたてると嬉しいです。

記事でお世話になった人

取材協力:ポリゴンさん
X(旧Twitter):@PolygonVR
note:https://note.com/polygonvr

撮影:Note、明月八雲

投稿者プロフィール

やまびこ
やまびこ
2020年11月ごろにQuest2を買ったことをきっかけにVRChatにハマりました。
自分が楽しい、面白いと感じたものをお伝えできるよう頑張ります!