Pimax最新クセつよVRシリーズ完全解説 & Crystal Light実食レビュー【寄稿】

「Crystal Light」「Crystal Super」「Dream Air」… !!! 近頃クセつよ新型VRゴーグルを連発している「Pimax」! 気になってはいるけど、機種大杉で正直何がなんだかわからない、という人も多いだろう。

この記事では、PimaxのVRゴーグル最新シリーズの複雑なラインナップを紐解き、独自に比較表を作成して超分かりやすく解説する。更に今回、その中でも最新普及モデルである「Pimax Crystal Light」を借りることができたので、実際に筆者が詳しくレビューして使用感をまとめた。普及機とは思えぬその尖った性能とは!?

この記事は、VRChatのヘビーユーザーであり、著書『メタバース進化論(技術評論社)』で「ITエンジニア本大賞(翔泳社)」を受賞、2024年には産総研のアバター国際標準化委員に就任した筆者「バーチャル美少女ねむ」がお送りする。

超わかりやすい「PIMAX最新ラインナップ比較表」作ってみた

Pimaxは中国・上海に拠点を置く企業で、2014年の設立以降10年以上VR機器を開発している。主に北米とヨーロッパで活動しており、日本では業務用の印象が強かったが、2023年の「Crystal」シリーズ以降はハイエンドコンシューマー向け製品を世界に向けて次々と打ち出しており、2025年には新型の「Crystal Super」「Dream Air」を出荷予定としている。

今回改めてラインナップを調べてみたが、開発している機種が多い上にそれぞれに細かいカスタマイズ差分も多い。日本語版公式サイトの情報も正直あまり整理されているとは言えず、筆者も全貌を掴むのにかなり苦労した。

そこで今回、筆者が着目した主要な性能をピックアップして独自に整理してまとめたものが以下の比較表である。念の為Pimax公式にも表の内容を確認してもらったのだが、公式にもこの表が非常に好評で、今後公式の説明でもこの表を使う予定だそうだ。

Pimax 最新ラインナップ比較表(2025/1、バーチャル美少女ねむ作成)

最新VRゴーグル解像度マップ

補足情報として、他メーカーの代表的な機種も合わせて最新VRゴーグルの解像度をまとめたものがこちらのマップだ。「Dream Air」は先日紹介した「MeganeX superlight 8k」と同等の解像度、「Crystal Super」はそれらをやや超える業界最高水準の解像度となっていることがわかる。

VRゴーグル解像度マップ(2025/1、バーチャル美少女ねむ作成)

PIMAX最新ラインナップの特徴

Pimax最新ラインナップ全体の特徴として、筆者は以下の6点に注目した。

  1. インサイドアウトトラッキングに対応しており単体でも動作することに加えて、別売フェイスプレートでライトハウス(外部センサ「ベースステーション」を室内に設置する規格)に対応し、既存の高性能な「フルトラ(フルトラッキング)」環境がそのまま利用可能
  2. 有線PCVRに対応しており、ゲーミングPCと接続することでSteamVRの高性能VR体験が可能(要するにフルのVRChatがプレイできる)
  3. 液晶ディスプレイに「QLED(量子ドット発光ダイオード)」を採用しており色の再現性が高く、バックライトに「Mini-LED」を採用しており通常の液晶よりコントラスト性能が高い。さらに上位モデルでは「Micro-OLED(有機EL)」を採用しており更にコントラスト性能が高い
  4. コンシューマー向けとしては最高水準の高解像度&高ピクセル密度
  5. 水平視野角が比較的広い(過去のPimax機種程ではないが)
  6. 眼球の動きや視線を検出する「アイトラ(アイトラッキング)」対応機種が多い(筆者のようなVTuberや技術勢には、アイトラ対応のライトハウス機の新型が出なくて困っている、いわゆる「アイトラ難民」も多いと思われる)

Crystal:Pimaxのコンシューマー向けシリーズ「Crystal」の初号機(以下、「無印Crystal」)

Pimax Crystal

・2023年2月発売、HMD単体で ¥258,999
・ディスプレイ:QLED + Mini-LED
・解像度:2880 x 2880 px
・ピクセル密度:レンズ違いの2種が存在
 ①標準レンズ:35PPD、②高精細レンズ:42PPD
・水平視野角(FOV):①125°、②110°
アイトラ搭載(①のみ)
・重さ(ヘッドストラップ含む):845g
※スタンドアローンVRと無線VRに対応

Crystal Light:Crystalの低価格帯普及モデル(スタンドアローン機能とアイトラをオミットして軽量化したもの)

Pimax Crystal Light

・2024年8月発売、フルセット総額 ¥163,194
ディスプレイ:QLED + Mini-LED
・解像度(片目):2880 x 2880 px
・ピクセル密度:35PPD
・水平視野角(FOV):115°
アイトラ無し
・重さ(ヘッドストラップ含む):535g

Crystal Super:Crystalの上位モデル(解像度アップ、スタンドアローン機能はオミットしたもの)

Pimax Crystal Super

・2025年1月出荷予定、フルセット総額 ¥313,956
ディスプレイ:光学エンジンを交換可能
  ①②QLED + Mini-LED ※発売時は2種から選択
  ③Micro-OLED(有機EL)※2025年4月出荷予定
・解像度:3840 × 3840 px
ピクセル密度:①57PPD、②50PPD、③未公開(絶賛開発中)
・水平視野角(FOV):①120、②135°、③102°
アイトラ搭載
重さ(ヘッドストラップ含む):815g

Dream Air:超軽量高性能の新シリーズ

Pimax Dream Air

・2025年5月出荷予定、フルセット総額 ¥345,343
ディスプレイ:Micro-OLED(有機EL)
解像度:3840 x 3552 px
ピクセル密度:未公開(絶賛開発中)
・水平視野角(FOV):102°
アイトラ搭載
重さ(ヘッドストラップ含む):200g未満

※出典:Pimax公式サイト、他

実食!「Pimax Crystal Light」体験レビュー

今回ラインナップの中でも最新普及モデルである「Pimax Crystal Light」を借りることができたので、実際に筆者がレビューした感想をまとめる。

Crystal Light:「Light」らしからぬデカさ!

まず箱を開けたファーストインプレッションとして、「Light」と言う名に似合わぬ大きさと存在感! ただし持ってみると見た目の割に軽い(535g)。見た目もVRゴーグルというよりSFヒーローのような未来感溢れる尖ったデザインだ。

Pimax Crystal Light:「Light」らしからぬデカさ!

こちらが筆者の私物で現在メイン機として使っている「VIVE Pro Eye(770g)」と比較したもの。重さは確かに「Crystal Light(535g)」の方が軽いが、かなり横幅があって存在感がある。

「Vive Pro Eye(左)」と「Pimax Crystal Light(右)」の比較

Crystal Light:同梱物はシンプル!

Pimax Crystal Light:同梱物

同梱物は本体(ケーブルはDPとUSB-C)、電源供給ケーブル(各国用アダプタ付き)、インサイドアウト用コントローラー (左右) 、コントローラー充電用のUSB-C × 2、という非常にシンプルな構成。

Pimax Crystal Light:同梱物

インサイドアウト用のコントローラーは割とオーソドックスな形状だ。筆者はすぐにライトハウス仕様に換装したので短時間しか使わなかったが、使用感は問題なさそうだった。

Pimax Crystal Light:同梱物

Crystal Light:ライトハウス仕様に換装!

これが別売のライトハウス対応用のフェイスプレート(商品名「Pimax Crystal Lighthouseフェイスプレート」、無印CrystalとCrystal Light共用)だ。こちらもウチワに使えてしまいそうな大きさがある。筆者は普段通りライトハウス環境でフルトラをしたいので、さっそくライトハウス仕様に換装してみた。

Pimax Crystal ライトハウスフェイスプレート(前面)
Pimax Crystal ライトハウスフェイスプレート(裏面)

本体のフェイスプレートも簡単に外れ、思ったより交換は簡単だった。

フェイスプレート交換の様子
取り外した通常のフェイスプレート(上)とライトハウスフェイスプレート(下)

こちらがライトハウス仕様として完成した「Crystal Light」だ。突起物が増え、さらにゴツくて迫力がある印象になった。

Pimax Crystal Light:ライトハウス仕様。ゴツい!

Crystal Light:色表現と精細感が凄いのでワールド巡りが楽しい!

実際にVRChatをプレイしてみたところ、2880 x 2880 pxの高解像度QLEDによる映像のクリアさ・精細感は確かに圧倒的で、色の表現も綺麗に感じた。最近ますます増えている綺麗なワールド巡りが捗りそうだ。115°の視野角は実際に被ってみても筆者のVive Pro Eye(110°)とほぼ同等で、十分な広さがあるように感じた。

VRChat : 筆者の大好きなワールド「Treehouse in the shade」

Mini-LEDのコントラスト性能のテストに暗めのチルワールドでフレンドとおしゃべりをしてみたが、さすがに有機EL(筆者のVive Pro Eyeは有機EL搭載)程ではないものの、暗さの表現には通常の液晶よりもかなり深みがあるように感じた。また、高いピクセル密度により、フレンドに顔を近づけたときの臨場感も増したように感じられた。またVIVEトラッカーを利用したライトハウスのフルトラも動作した。

VRChat : 暗めのチルワールドで密着おしゃべりテスト

Crystal Light:気になったポイント

被り心地については、先述の通り見た目の割には軽いのだが、ゴーグルが大きいためか重心がやや遠く若干頭が前に引っ張られる感覚があり、ホールド感もややピーキーな印象ではあった。長時間利用する人など気になる人もいると思うので、実際に被り心地を体験してみたほうがいいかもしれない。

もう一つの注意事項は、Crystalシリーズは一部の環境でマルチモニターとの併用ができない場合があるということだ。これはゴーグルが使用するPCIeのバス幅が大きいためだそうだ。筆者の環境(CPU : AMD Ryzen 9 3900X、GPU : GeForce RTX 3080 SUPER、RAM : 32GB)でも、PCのモニターを2つ接続していると動作が安定せず、モニターを一つにしたら問題なく動作した。

※出典(「Regarding the 12K」の項目を参照):
July Progress Update: 12K, non-local dimming Crystal Light, wide FOV & more

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以上、「Crystal Light」は、未来感のある見た目のインパクトと最高水準の高解像度&高ピクセル密度を持つ「クセの強い」非常に個性的なVRゴーグルだった。VRゴーグルの用途も多様化するなか、その尖った特徴が自分の利用スタイルにピタリとハマる人には購入候補になるだろう。

また、筆者が特に気になっているのはアイトラ難民待望の新型「アイトラ搭載ライトハウス機」である、上位モデル「Crystal Super」と「Dream Air」だ。これらもレビューするチャンスがありそうなので楽しみにして頂きたい。

「Pimax Crystal Light」割引で購入するチャンス!

今回Crystal Lightを貸して頂いたPimaxさんに特別にアフィリエイトリンクを作ってもらったので、気になる人はこちらから公式ストアにアクセスしてみてほしい。このリンクからの購入で割引価格が適用されるそうだ(筆者にもお小遣いが入ります)
・クーポンコード:nem-light
・お客様への割引:1,400円

割引リンク:x.gd/8QI0v

Pimax-Crystal-Light-HMD 116,599円 Pimax日本公式で購入する

カートに入れるとこんな風にクーポンコードと割引が適用されると思うので気になる人は試してみてほしい。

Pimaxについて気になる方は、こちらの公式コミュニティもチェックしてみてほしい。
Pimax日本語公式X
Pimax日本語公式VRChatグループ
Pimax日本語公式ディスコード

寄稿者紹介

バーチャル美少女ねむ

VTuber / 作家。「メタバースで生きていく」をテーマに人類の進化を促すべく活動中!
Twitter : https://x.com/nemchan_nel
Note : https://note.com/nemchan_nel

投稿者プロフィール

バーチャルライフマガジン編集部
バーチャルライフマガジン編集部