アナログゲーム製作チーム『シエラゲームズ』制作の想起血戦カードゲーム『ブラッドリコール』がVR上で遊べる『VRブラッドリコール』が現在『VRChat』内で公開中です。
5月末のワールド公開以降、記事執筆時点(6月25日現在)で訪問者数のべ8000人、お気に入り登録数1500近くと好評を博している『VRブラッドリコール』ですが、このゲームには膨大な量の世界観設定が有ることをご存じでしょうか?
『VRブラッドリコール』における世界観設定の多さを示す一つの例が人器(プレイヤーが用いる武器)カードのデザインです。
多くのカードゲームのカードには名称や効果などの説明文のほかに『フレーバーテキスト』と呼ばれる、ゲームの雰囲気を盛り上げるための文章が書かれています。
『ブラッドリコール』の人器カードのフレーバーテキストはイラストの背面に薄い字で書かれているのですが、その文字数は多いもので130字近く。カード効果の説明よりもはるかに長い文章が6つの人器カードの両面にびっしりと書き込まれています。
また、『VRブラッドリコール』には『還るべき場所』というチルワールドが用意されていますが、これはVR化にあたって設定を追加したのではなく、VR化以前に発表された設定資料集や小説に描かれている内容の一部を再現したものなのです。
フレーバーの量のみならず、設定資料集や小説を刊行するほどの膨大な設定……カードゲームにそれほど詳しくない筆者でも、これがとんでもない事だというのはわかります。
ここまで設定を作りこんだ『ブラッドリコール』というカードゲームはどうやって生まれたのか。VR化の経緯や今後の展望も併せて、『ブラッドリコール』原作者のオオタユウさんをはじめとする制作陣の皆さんにインタビューを行いました。よろしければ最後までお読みください!
目次
アナログゲーム業界に“嵐(シエラ)”を起こす。ブラッドリコールの制作チーム『シエラゲームズ』について
ーーまず原作カードゲームである『ブラッドリコール』はどのような経緯で制作されたのでしょうか。
自分はここ2年ぐらい専業のゲームデザイナーとしてやっていこうと活動しているんですが、そのきっかけになったのがZUMEさんなんです。
もともとZUMEさんとはゲームデザイナー同士ということで親交があったんですが、ちょうど僕が『ブラッドリコール』の原案を書きあげた頃にZUMEさんがボードゲームのプロデューサー業を始めると聞いたんです。『渡りに船だ』と思って『ブラッドリコール』の企画書を持っていったらトントン拍子で話が進んで、一緒に制作を行うことになりました。
その際に『サークルの垣根を越えていくような場所を作りたいよね』ということでZUMEさんと僕とで立ち上げたのが『シエラゲームズ』になります。
ーー『シエラゲームズ』とは具体的にどのような事を行う団体なのでしょうか?
シエラ(θύελλα)はギリシャ語で『嵐』という意味なんですが、今まで見たことのないゲームシステムやデザインの構築、メディアミックスやIP化などを通じてアナログゲームの業界に嵐を起こすようなゲームを作りたいという思いが込められているんです。
「業界に嵐を起こすようなゲームをどう作るか」を考えたとき、必要なのは人同士の繋がりだと思っています。サークルの垣根を超えて優秀な人たちが集まって一本の作品を作るような、そんな組織に『シエラゲームズ』はしたいと考えています。
ーーオオタさんは『幻想遊戯団』、ZUMEさんは『Keepdry』という別々の組織で活動していますが、それぞれの団体の垣根を越えて集まる場が『シエラゲームズ』なんですね。
僕の得意な分野ってカードやゲーム全体のデザインなんです。アート的観点でのカードデザインと、ゲームの『体験設計』の部分ですね。
逆にオオタさんはゲームのフレーバーというか世界観づくりと、それをストーリーとしてゲームデザインに落とし込めるという強みがあって。
それをうまく合わせたら最高のものができる、って思ってやってる感じですね。
ジャズの演奏みたいに要所要所でチームを組んでやって、それが終わったら解散して自分たちのサークルに戻る、というのが『シエラゲームズ』での創作活動の形になってます。
お二人の話によれば「今後『シエラゲームズ』から(共同設立者である)オオタさんやZUMEさんが関わらない作品が出る可能性も大いにある」とのことでした。
キャラクターゲームとしてのアナログゲームって10年、20年ぐらいの歴史しかないんです。ある意味『吹けば飛んでしまう』業界と言えてしまうので、みんなで協力してアナログゲーム制作の技術を高め合って継承することで大きな土台を作りたいと思って活動してる部分は大きいです。
普段のサークル活動より『プロフェッショナル』な作品制作の場としての『シエラゲームズ』
ーーオオタさんは『幻想遊戯団』と『シエラゲームズ』の二つの団体の代表を兼ねていることになりますが、それぞれの団体の活動内容に違いはあるのでしょうか?
『シエラゲームズ』の活動の一部を『幻想遊戯団』のメンバーが手伝うこともありますし、『幻想遊戯団』の活動の延長線上に『シエラゲームズ』の活動がある側面はあります。
ただ、自分として活動内容の使い分けはしていまして、『幻想遊戯団』はより遊びの場としてのサークルだ、と捉えています。
簡単に言うと『サークル活動としてやるか仕事としてやるか』という違いですね。
自分がやっている『Keepdry』も一応会社という体裁は取っていますが基本はサークル活動としてやっていて、ビジネス的な観点というより自分が気に入ったものを作るという“遊び”として動いてることがかなり多いです。オオタさんの『幻想遊戯団』も学生時代の仲間を中心にして良いものを作ろうとしてるという意味では似ていると思います。
『シエラゲームズ』ではもっとプロフェッショナルというか、売れるものをきちんと最高のクリエイティブで作っていこうという感じでやっています。「これ良くない」「これは全然駄目だ」みたいな話を僕とオオタさんが激しく議論しながら作ったのが『ブラッドリコール』ですね。
先に紹介した人器カード内のフレーバーテキストについても
ZUMEさん「フレーバーが130字とか、カード内に収まるわけが無いでしょ!」
オオタさん「でも気持ちが入ってこうなってしまったんです!なんとかこの文字数で!」
という激しいやり取りがあったとか。『フレーバーテキストをイラストの背景に入れる』というゲーム発売時に評判になったカードデザインは(デザイン担当の)ZUMEさんにとって「結構なストレスの中で生まれた」物だったそうです。
きっかけはクトゥルフ神話TRPG。『ブラッドリコール』のストーリー制作秘話
ーー『ブラッドリコール』の1人用モード(ストーリーモード)はクトゥルフ神話に登場する邪神の名を冠した<神話的狂気>に主人公である『あなた』が立ち向かう、という筋書きになっています。このようなストーリーが生まれた経緯について教えてください。
元々『幻想遊戯団』は学生寮内のサークルでして、そこでクトゥルフ神話を題材にしたテーブルトークRPG(TRPG)を使って長い間遊んでいました。なので「クトゥルフ神話を題材にしたゲームを作りたいね」という話はサークル内でもしていたんです。
僕はTRPGのキーパー(※)を担当していたんですが、キーパーの仕事として『ゲームシナリオを書く』というのを月に1本から多いときは週に1本ぐらいのペースでやっていたんですね。
毎週土日に合計12時間ぐらいかけて遊んでたので、毎週12時間ぐらい遊べるだけのシナリオを書いてくるっていうことが当時の自分の目標になってました。
※キーパー:TRPGにおいてゲームシステムの管理や進行を行う役割。ゲームマスターとも
ーー12時間遊べるだけのゲームシナリオ⁉どれぐらいの文章量になるのか想像も付かないです……
当時からそれぐらいの分量のシナリオが書けていたので、これをゲーム制作に反映できないかと思いまして。
クトゥルフ神話TRPGベースのシナリオを(主人公とゲーム内に出てくる過去の『血廻想起者』の合計)7人分書いて、それをベースにしたゲームにしたいなと思ってゲームデザインを組み始めました。
当時はZUMEさんが制作陣に入ると思ってなくて、主人公が<神話的狂気>と戦うに至る理由付けとしてのストーリーを作品にした、デッキ構築の協力型ゲームにすればいいかなと思いながら作っていました。
ーー『ブラッドリコール』のストーリーや骨格となる部分はオオタさんが一人で書き上げた、という事なのでしょうか?
ZUMEさんに企画を持っていった時点で『ブラッドリコール』の基本的な設定は固まっていました。
設定資料集などにも書いた事なんですけれども、人類が存在する前の世界で滅ぼされたイス星人(※1)の女の子がいるんですね。イス星人は時を移動したりするなど時間に関係する能力を持っているんですが、この能力を使って人間と契約して『血廻想起者(ブラッドリコーラー)』を選び大神アザトース(※2)の目覚めを阻止しようとする。そんな『ブラッドリコール』のストーリーの基礎となる部分は既に書き上げていて、ZUMEさんに企画を持って行った時には既にキャラクターの一人である『廃滅の緋』のストーリーについて内容を詰め始めていました。
※1 イス星人:クトゥルフ神話に登場する旧支配者(人類発生以前に地球を支配していた存在)の一つ。時間を超越するほどのとてつもない科学力を持ち、互いに精神を交換する装置を使って人類とも交流を行う。 参考:イスの偉大なる種族 (いすのいだいなるしゅぞく)とは【ピクシブ百科事典】 (pixiv.net)
※2 大神アザトース:クトゥルフ神話に登場する宇宙の原初となる存在。この世の全ては『アザトースの見ている夢』であり、アザトースが眠りから覚めればこの世は一瞬にして消滅する、とされている。 参考:アザトース (あざとーす)とは【ピクシブ百科事典】 (pixiv.net)
オオタさんの言う通りで、僕の所に話が来た時点で原案はかなり固まってたんですよ。なんなら『ブラッドリコール』というタイトルまで決まっていました。
ゲームシステムの話を聞いた時も(ダメージを受けて生じる『ブラッド』によって強力なデッキ構築が可能になるという)リスクリターンの部分が凄いしっかりしてて、ゲームのテーマとしてもシステムとしてもとても分かりやすいものだったので「これは一緒に作りたいな」って思いましたね。
これは本当に色んな所で言ってる事なんですけど、ボードゲーム業界で世界観を作らせたときにオオタさんを超える人に出会ったことが無いんですよね。
作り込みとか深さがしっかりしてて、僕が本気でぶつかっても絶対壊れないストーリーになってて。オオタさん自身も本気でぶつけ返してくれたので『良いモノ作り』が出来た感じはしますね。
ーーゲームのみならず設定資料集や小説を刊行できるようにするためには、各キャラクターについて相当な設定の作りこみが必要だと思います。現段階でストーリーや各キャラクターの設定というのはどれぐらい作成しているのでしょうか?
ゲーム制作時に内部の人に説明するための年表というかレジュメのようなものが存在しているのですが、それでいうと一人のキャラにつき3万字ぐらい、合計20万字ぐらいは書いてますね。
20万字と言われてもその分量を想像しにくいと思いますが、短編小説として有名な太宰治の『走れメロス』の文字数が1万字ほどです(筆者調べで10,081文字)キャラクター1人分の設定資料だけで『走れメロス』3つ分の文字数……⁉
ブラッドリコールのストーリーは1920年代から(主人公の居る時代である)2040年までの時系列で構成しているんです。
<神話的狂気>というのは強大な存在で、(時間を超越した存在である)『時読みの少女』から見てもほとんど絶望的な未来しかない状態なんです。その絶望から何とか逃れようと過去の『血廻想起者』が勇気を振り絞って必死に戦うという人間賛歌、そしてそれが主人公に繋がっていく血の継承の物語として『ブラッドリコール』のストーリーを書き続けています。
『ブラッドリコール』の拡張セット第一弾『最期ノ詩』に登場した新規キャラクターである『超克の桜』と『機翼の藍』もそれぞれ基本セットに登場した『廃滅の緋』と『天穹の蒼』と深い関係にあり、二人によって『ブラッドリコール』の年代史を埋める物語が展開されています。
今後の展開についてもそれぞれの『血廻想起者』と主人公との関係性を多面的に紹介していくようなストーリーになる予定とのことです。
ーーまず膨大な量のストーリーの作りこみを行いその後でゲームシステムを構築していった、という事なんですね!
ゲーム内のお気に入りのキャラクターやエピソードなどはありますか?
お気に入りとしては本当に全員なんですよね……。みんな自分の手から生まれた娘たち、息子たちみたいなところがあるんで。
ただ、強いて言うならゲームのパッケージを飾ってるキャラクターにはより思い入れがあるかな。『機翼の藍』と主人公、『廃滅の緋』のストーリーは踏み込んで書いていますね。
ここからキャラクターの一人『廃滅の緋』の話題に。
『廃滅の緋』こと蘇芳夕燈は普通の青年だったんですけど、自分の恋人が血廻想起者でして、駆け落ちをして<神話的狂気>とは関係のない世界に逃げようしたんだけど結局襲われたんですよ。その時に恋人が『あなただけでも生きて』って言って血廻想起者の能力を彼に渡して。そのあと恋人の仇をとるために恋人の一族のもとに入って物凄い努力をして、最終的に一族全員の命を預かって<神話的狂気>と戦うんです。
蘇芳夕燈くんは血廻想起者としての素養はゼロだったけど強い意志で戦っているというか。昔の彼女が自分に遺したもので戦ってるから彼だけは発狂が出来ない、っていうのは彼のストーリーのミソになってますね。
ーー『廃滅の緋は発狂できない』と聞いて思い当たることがあるのですが、ゲーム内でも『廃滅の緋』のリコールカード(ブラッドで購入して使用できるカード)の効果である【発火】は【発狂】カードと相性がいいですよね。この仕様も狙って作っているのですか?
【発狂】カード自身は何の効果も持たず、相手から送り付けられることで自分の手札が圧迫される『妨害カード』の一種です。一方、『廃滅の緋』が描かれているリコールカードが持つ【発火】の効果は『場に置かれた時にデッキからカードを1枚引く』です。そのためゲーム内において【発狂】カードを送り付けられたら【発火】カードを購入して効果を打ち消す対応が可能です。
そこは滅茶苦茶こだわってますね。ゲームデザインとシナリオ執筆の両方をやってるからこそ、そういうストーリーに合ったカード同士の組み合わせを作ることが出来るので。
自分はゲームデザイナーとしてもシナリオライターとしても二流かもしれないけど、両方を一緒に作ることが出来るから他の人よりも少しは良い物が作れるという想いはあります。
強固な世界観を持ったキャラクターゲームだからこそ。『ブラッドリコール』VR化に至った経緯
ーー『ブラッドリコール』がVR化されるに至ったきっかけや経緯について教えてください。
ZUMEさんに紹介していただいたのが最初ですね。「『VRガンナガン』の反響が凄かったから『ブラッドリコール』も次に続いてほしい」と言われて。
カードゲームのVR化について「他の人に頼んでまでVR化して本当に大丈夫なのか?」と心配されることもあったんですが、僕は「むしろ大歓迎です!」という立場でしたね。
ゲームデザイナーとしては、知ってもらわないとゲームってどうしようもないので、ぜひ作品を知ってほしいし遊んでみてほしいんですよね。それで『面白い』と思ってもらえれば今後出すゲームの売り上げにもつながると思っています。
もう一つは、シナリオライターとして世界観に絶対の自信があるからっていうのがありますね。「世界観を知ったらゲームに書かれていること以上のことをもっと知りたくなるよね、設定資料集も欲しくなるよね、小説も欲しくなるよね」という感じで関連本の購入に繋がっていけばいいなと。設定資料集や小説まで読んでいただいて初めてブラッドリコールの世界は完結すると思っているので、そういう意味で『ブラッドリコール』はVRと凄く相性が良いと思っています。
僕としては「VRガンナガンの経験をそのまま活かせるカードゲームは業界内でもすごく少ない」と思っています。
2人対戦用のLCG(※)ライクなものでなおかつキャラクターのデザインもしっかりしていて、かつVRガンナガンのように『銃を撃つ』みたいなユーザー体験に落とし込みやすいみたいなものってほとんど無いんですよね。
※LCG:『リビングカードゲーム』のこと。一つのパッケージ内に入っているカードのみを用いて遊ぶタイプのゲーム形式で、全てのプレイヤーが同じデッキ構成で遊ぶことができるのが特徴。
『ブラッドリコール』は僕がオオタさんと作った思い出もありますし、なおかつ僕がREARVさんとオオタさんの間を取り持ちやすい事もあったので、僕の方から「絶対ブラッドリコールをVR化した方がいい」と(REARV代表理事の)とむこさんに伝えて、今回VR化させてもらった形ですね。
ーー単にプロデュースを手掛けた作品だからというだけでなく、VR化に適したゲームであるという判断があったから『ブラッドリコール』のVR化を推薦した、という事なんですね。
REARV代表のとむこさんから見て、『ブラッドリコール』のVR化を提案されたときの手ごたえはどうだったのでしょうか?
必要となるギミックであったりとか概念、テーマ性とか含めてビジョンが見えやすかったんですよね。
このゲームは自傷という行為があるから、VR化時には刀で手を傷つけるようなアクションが必要になってくるであろう事も想像できましたし、また(血戦時に)刀を振って相手を攻撃するという概念も持ち込めるので、『VRガンナガン』の延長線上の作品としてVR上で再現できるんじゃないか、という感触はありました。
あとREARVとしてマネタイズを考えた際にキャラクターコンテンツが必要であるとも考えています。
クラウドファンディングの時も(アバター衣装などの)キャラクターグッズが一番ユーザーが求めているものになってくるだろうし、より支援していただく理由付けになると思っているんですね。『ブラッドリコール』はグッズのビジョンが立ちやすかったってのも非常にありますし、今回オオタさん達に来ていただいて本当にやりやすかったです。今後も色々な展開が可能だと考えています。
ゲーム製作者から見たVRアナログゲームの良さ
ーーアナログゲームのVR化にあたって、ゲーム製作者から見た利点や魅力のようなものはあるのでしょうか?
デザイナーって作ったゲームの反響をTwitter(X)ぐらいでしか見れないんですよね。Twitterの意見って「超面白かった」か「クソゲーだった」かの二極化しやすくて、その間の情報が手に入りにくい。
でも『VRブラッドリコール』では実際遊んでいる人の生の感情が見られるんです。プレイヤーの方がワイワイ言いながらプレイしているのを見ると「ゲームを遊んでもらってる」と実感することが出来ますね。リアルでも体験会などで実際に遊んでいるところを見る機会はありますが、そんなに回数は多くないので。
リアルでアナログゲームを遊んでる人の写真って、基本的にSNSで公開できない性質のものじゃないですか。なのでどうしても上がってくる情報が地味になって話題とかトレンドが生まれないんですよ。『アナログゲームからトレンドが生まれない』というのは多くのゲーム作家を抱えてる悩みだと思います。
それがVR化されることで検索で引っかかるデータの量が増えると思っています。『ブラッドリコール』もVR化で情報トレンドとして伸びたんじゃないかな。
あと、VR上で生の声を聞いて「ゲームとしてここはしっかり構成しないと」と反省した部分も多くあったし、逆に励まされて「ここを評価してもらえて良かった」と思えた、そんな経験も多く得ることが出来たのは作品をVR化して凄く良かったと思ってるところですね。
ファンと触れ合えるんですよね。いろんな意味で。
作家ってどうしてもあまり表に出ない傾向があるんですよね。普段家にこもって一日中パソコンの前で作業するような生活をしているので。
なので繋がりが持てる場としてVRでファンや関係者と顔を合わせて喋ることが出来るというのは僕にとって凄く嬉しいことなんですよね。
それがVRの良さですよね。人と会えるんですよ、こっちの世界は。
『ブラッドリコール』そして『シエラゲームズ』の今後について
ーーVR版も含めた今後の『ブラッドリコール』の展開について教えてください。
まず近いところでは『VRブラッドリコール』をより盛り上げるイベントをいろいろと準備しております。今後REARVさんの方から情報が出ると思うんですけど、ブラッドリコールの大会などを計画しています。
それと同時に、6月以降オフラインのティーチングイベントや公認大会を多く開催しており、リアルとVR両方で連携してやっている所です。
『VRブラッドリコール』に関しては7月の4~6日にかけてREARVによる公式大会が開かれており、今後も初心者向けの公式体験会などが予定されています。
また『ブラッドリコール』のオフラインイベントとして、全国でボードゲームを始めとしたホビー商品を扱っているイエローサブマリンの各店舗やその他ボードゲーム取り扱い店舗でオフラインの公認イベントが開催されています(7月21日まで)。実施店舗や日時は下記リンクを参考にしてください。
「BLOOD RECALL」公認イベント in イエローサブマリン | ゲーム・ホビー商品の販売買取はイエローサブマリン (yellowsubmarine.co.jp)
さらに、今回のVR化で得た情報も元にして第2拡張セットも制作できればと思っていて、現在制作準備を始めたところです。そちらもぜひぜひ期待していただければ。
ーー『シエラゲームズ』の今後の活動予定はどのようなものがありますか?
『シエラゲームズ』としては、現在『メゾンドナイトメア』というユーロ系と言われる大型のボードゲームの、一風変わったキャラクターゲームを作成しています。
今回も「サークルの垣根や業界の垣根を越えた活動をしていきたい」ということで、僕とZUMEさんに加えてゲームデザイナーとして六角えんぴつの蜂月さんをお迎えしてます。こちらの方もとても有名なユーロ系の作家さんなので「三人でキングギドラだ!」と思いながらやってるんですが(笑)
『メゾンドナイトメア』についてはクラウドファンディングなどの情報を近日公開する予定とのことです。
いろんな方々とクリエイティブの輪を広げていくことが『シエラゲームズ』の目的だと思っているので、今後もいろんな人とマッチングして繋がりながらゲームを作っていく場になっていけばいいな、というのが『シエラゲームズ』の共同代表として思っていることですね。
僕もほぼ同じですね。
アナログゲームというくくりだけでなく、いろんな所に対して先陣切って突っ込んでいけるようなチームにしていくのが『シエラゲームズ』として僕がやっていきたいことかな、と思います。
VRアナログゲーム業界もこれからどうなるかわからないんですけれども『シエラゲームズ』がそこの部分のパイオニアとして存在していければ良いかな、と考えてます。
インタビューを終えて
『ブラッドリコール』の原作者とプロデューサー、『VRブラッドリコール』の開発団体代表の3名によるインタビューからは、『ブラッドリコール』が製作者の所属団体の垣根を超えて『業界に嵐を起こす』ために制作された、圧倒的な世界観をゲームシステムに落とし込んだカードゲームであるという事、その強固な世界観が『VRブラッドリコール』の開発と事業としての展開に大いに役立った、という事を知ることが出来ました。
そして何より、お三方のアナログゲーム、そしてVRの世界への情熱の深さを伺い知ることが出来ました。今後も『シエラゲームズ』と『REARV』の2つの団体はVRとリアル両方のアナログゲームの世界に“嵐”を呼び起こす存在になると筆者は考えていますし、期待しています。
『VRブラッドリコール』のクラウドファンディングを実施!その他にも様々な予定が!
インタビュー内で言及のあった『VRブラッドリコール』のクラウドファンディングが実施されることがインタビュー後に決定しました!
本記事でも紹介した『ブラッドリコール』の拡張セット第一弾『最期ノ詩』のVR化を目標としており、7月27日(土)18時開始予定となっています。
REARVでは公式大会や初心者向けのイベントを随時開催している他、『VRブラッドリコール』のワールドのアップデートも随時行っています(7月2日付のアップデートでは配信用のカメラ切り替えアセットや初心者向けのフェイズ進行説明文の追加などが行われています)
この他にも『VRブラッドリコール』に関する様々な計画が進行中とのことです。ぜひREARVのX(twitter)アカウントの情報をチェックしてみてください!
『VRブラッドリコール』および『ブラッドリコール』の関連サイト
・一般社団法人REARV 公式X(twitter):https://x.com/REARV_Tw
・REARV EVENT(REARVが主催する大会やイベント情報を中心に掲載するアカウント):https://x.com/REARV_Ev
・『ブラッドリコール』公式サイト:https://thyella-games.com/blood-recall
・シエラゲームズ 公式X(twitter):https://x.com/thyella_games
・シエラゲームズ BOOTHショップ:https://thyella-games.booth.pm/(拡張セットを含むゲーム本体、設定資料集や小説集などを販売しています。『VRブラッドリコール』やこの記事で『ブラッドリコール』の世界が気になり始めた方におすすめ)
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『ブラッドリコール』『VRブラッドリコール』制作メンバー
オオタユウ
幻想遊戯団代表/シエラゲームズ代表
2019年、大学在学中にサークル『幻想遊戯団』を立ち上げ、カードゲーム『ペンデュラム・ドールズ』を制作。『ブラッドリコール』は2作目で、ゲームデザイン・原作を担当。
X(twitter):https://x.com/otayu_gensou
ZUME
株式会社Keepdry取締役/一般社団法人REARV特別顧問/シエラゲームズ共同代表
『ガンナガン』をはじめとしたボードゲームのプロデュース・ディレクションなどを手掛けるフリーランスのボードゲームプロデューサー。『ブラッドリコール』ではプロデューサー・DTPデザインを担当。
X:https://x.com/urinrinrinrin
とむこ(TOMCO)
一般社団法人REARV 代表理事
自身が制作したカードゲームがVR化されたのを見に行ったことがきっかけで『VRChat』の住民になった“ぎゃんぐのぼす”
『VRブラッドリコール』はREARVがVR化した2作目のゲーム(1作目は『VRガンナガン』)
X:https://twitter.com/Gang_Para