みなさんは地震が起きた時、我々VRで暮らす住民がどのように対処したらよいのか考えたことはあるでしょうか。
今年1月の能登地震、そして4月3日に起こったばかりの台湾の地震により多数の被害がでたことは記憶にあたらしいところです。
特にここ最近、大きめの地震が国内のあちこちで増えていることもあり、不安に思う人もいるのではないでしょうか。
ソーシャルVRで活動している私たちに共通すること、それは地震が起きたらまずVRヘッドセットを外し、現実の世界での身の安全を確保する事です。しかし突然の出来事に情報がなく、混乱してしまうこともあるかもしれません。数秒の猶予が、自分の命を左右してしまう、こんな重大なときにどう動いたらいいのでしょうか。
そこで、VRChat内にいても、地震から自分の身を守るための情報を得ることができたら……?
VRの世界から地震情報を知らせる『地震情報Beta』グループとは
VRChat内には『地震情報Beta』というグループがあることをご存知ですか?
こちらはグループの通知機能を利用して、グループに加入したユーザーに地震の情報を教えてくれるシステムになっており、これによってVR内で現実で起こった地震の情報を得ることができます。
現在、このグループに加入している人数は2000人を超えており、おそらくなにかのきっかけで存在を知り、気になるから入ってみた、という方もいらっしゃると思います。
筆者も加入をしていますが、淡々と情報が流れてくることに頼もしさを感じています。
しかし、こんなすごいグループを作った人は一体どんな人なのだろうか……?
どのような地震の情報を取得しているのか……?
バーチャルライフマガジンでは、このグループを作成・運営されている方にぜひお話を伺いたいと思い、インタビューが実現しました。
インタビュー U・N・オーエン
記事執筆・編集 橘いんでー
オーエン:まず活動の概要を教えていただけないでしょうか?
あっきー:概要と言っても、特にそんな大きなことをしているわけではなくて、
地震が起きた時、その情報を取得して震度4以上の記載があったら、VRChatグループの通知に流すっていうことだけやっています。簡単に言えば、震源地の情報と言った方が早いです。何回目の通知であるか、震源地、最大震度マグニチュード、あと震源の深さです。
オーエン:テレビとかに出るような情報を網羅して、配信している、という感じですか?
あっきー:いえ、テレビとかで出るものって、起きてすぐわかるものではなくて、数分経ったあとに、テロップとかで出るはずなんですね。こっちの場合だと強震モニタさんの情報を使ってるので、どこでどれぐらいの規模の地震が起きてるのかってのがすぐわかるくらいの情報量にはなっているはずです。
強震モニタというのは、「地震情報Beta」グループの情報の取得先として利用しています。こちらは防災科学技術研究所さんのウェブサービスでして、データをちょっとお借りして配信をしています。情報を取得して何かをするっていうのは、自分で作ったウェブサイトに地震情報を出したりとかは以前からやっていました。
オーエン:なぜそのような活動を始められたのか、きっかけなどありますでしょうか。
あっきー:やはりきっかけは3.11(※東日本大震災)の影響が大きいですね。その時から地震情報を積極的に集めるようになりました。
僕は千葉県在住ですが、千葉県沖地震で結構被害がでたのもあって、ずっと記憶に残っていて、そういう経験から、というのもきっかけのひとつですね。
オーエン:VRゴーグルを被っていると、視界が奪われた状態になるじゃないですか。見えているけど、見えていない、的な。やっぱりVR内で、地震の情報などを受け取れるようになる必要性っていうのを感じたんですか?
あっきー:地震情報をいち早く掴むっていうところでずっと気にかけてどうしようか考えている状態でした。そんなとき、VRChatでグループ機能ができると知って、さらにお知らせ機能も投稿できます!っていうじゃないですか。もうこれはやるしかないな、と(笑)
グループ機能ができてすぐ取りかかったので、もう何としても一番早くやりたい、という気持ちでした。
オーエン:地震や災害がリアルで起きた時、様々な懸念事項は実際起きてくると思うんですけど、これはVRの中からどう動いたらいいのかというサポートの一環であるように感じました。そのような感覚で運営しておられるということでしょうか?
あっきー:まずは地震情報を収集するっていうところを伝えたいっていうのがあるかもしれないですね。グループの説明に、「自分が信頼する情報の取得元をちゃんとみつけましょう」っていうのがちゃんと書いてあります。
オーエン:地震が起きてから、これが正しいか正しくないか、自分で情報を取りにいくきっかけになるように、ってことですね。
あっきー:そうですね。VRChatのグループって比較的入りやすいと思うんですけど、それをきっかけに、自分のスマホだったり、自分のPCに通知のアプリを入れて回してもらいたいな、と。だから速報だけじゃなくて興味を持ってもらって、いざというときに備えてもらいたい、とかそういう狙いがあります。最初はもう本当に、とにかく一番にグループを作りたい、というのが原動力だったので(笑)
グループができてすぐ、ツイッターにこんなグループ作りましたよっていうのを投稿したんですね。その日付が2022年12月11日だったんです。
オーエン:それじゃもう2年近くは経っていますね。ということは今年の1月に起きた北陸の能登地震を含めて、実際の使用事例とかも発生してると思うんですけど、反響とかはありましたか?たとえば、実際通知が来てみて、こういうことを自分もしたよ、とか周囲のフレンドさんとかに確認とったり。
あっきー:反響、という反響はちょっと調べてはいないのでわからないんですけども、結構通知が鳴っているなあ、というのは感じています。
フレンドの住んでる場所はできるだけ把握しないようにしてるので、周囲にいるフレンドに何か地震来るよっていうのは言ったりしてます。いやでもそういうのはいいですね。知ってる人がいたらね、少しでも備えることができますよね。
「地震Beta」グループの今後の展開について。支援のためにFANBOXも開設へ
オーエン:今後はどういう展開にしていくおつもりですか?なにか新しいやりたいことなどあったりしますか?
あっきー:そうですね……他の警報とかつけられたらいいなって思っています。
例えば他の警報、全国に影響があるといえば津波ぐらいかなとは思うんですけどそういった他の情報も出せたりしていければいいかなと思っています。
グループにはロール機能もあるので、それを使ってそれぞれのロールごとに配信するっていうのをやってみたいですね。
あっきー:そういえば一つ重要なお知らせがあるんですけど、現在の情報取得先である強震モニタなんですが、昨年の7月か8月あたりに利用条件というのが設定されました。
今までのデーターの取得ができなくなって、もう事実上できないような感じになってしまったんですねこのままズルズル運営していくといずれお叱りが飛んでくるだろうということになってしまいまして。
オーエン:ええっ……ここの利用条件というところですか(利用条件を読む)要するに強震モニタで赤い色が出たよとか言って配信するのはいいけども、地震だと断言するのはやめてくれって話ですよね?
あっきー:そうですね。一応他のデータ取得元はあるので、そっちからデータを取得しようと考えてはいます。
今考えているのは、『Project DM-D.S.S.』さんっていうところなんですが、そこが結構気象庁との整合性もあって、割と信頼できるソースなんですよ。そこからデータを取得しようと考えてはいるんですけど、そこそこ金額がかかりまして。個人プランだと500円なんですが、緊急地震速報を含むプランに関しては、個人プランでの二次配信が許可されていません。法人プランであれば問題ないそうです。
あっきー:それに今は自宅に置いてあるRaspberry Piで情報の取得と配信を行っているので、電気代とか回線費用だけなんですけど、継続性というところから考えると、AWSとかのクラウドに手を出さないといけなくなるんです。でもそうすると趣味でまかなえる金額ではなくなってきますので、なんとかしたいな、と。
FANBOXを開設しているので、今後継続するためにはご支援いただけると本当にありがたいです。
オーエン:ほんとうにありがとうございました。本当にお金の問題があると大変だと思います。読者のみなさんも、ぜひ皆様ご支援のほどをよろしくお願いいたします。
地震は本当にいつ起こるかわかりません。わからないからこそ怖く、誰もが不安を感じます。
私たちユーザーが出来ることといえば、普段から防災や災害時の行動、備蓄品などを見直したりして、いざというときの場合に備えておくことだと思います。
『地震情報Beta』グループの存在がVRユーザーを救う、ひとつの手立てとして継続・活用していけるよう、さらに『地震情報Beta』だけに情報を依存せず、様々な発信源を知っておく事も重要ですね。
『地震情報Beta』グループURL:https://vrchat.com/home/group/grp_798dff1c-3212-4886-92bb-4430b7c691b4
あっきー X(旧Twitter):https://twitter.com/axtuki118
FANBOX支援先:https://www.fanbox.cc/@axtuki1
投稿者プロフィール
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2022年6月よりライター活動を始めた駆け出しライター。
私立VRC学園を卒業後、店舗型イベントのキャストなど色んなことにチャレンジしている。
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あっきー
「地震Beta」グループ運営。
ワールドギミックやアバターギミックの制作などもおこなう。
日本語話者向け集会場「FUJIYAMA」の日本語問題のギミックや
株式会社バーチャルパーティー主催「「バーチャルダイスパーティー」
などのギミック制作にも参加。