リアル世界の小劇場にいるような演劇体験を『VRChat』内で!?VR演劇『明後日は終末』が8/30~9/1に公演予定【PR】

来る8月30日(金)~9月1日(日)の3日間、VR演劇『明後日は終末』の公演が『VRChat』内で行われます。

公演ポスター(引用元:https://x.com/hakushiza/status/1814450658835345821

作品紹介

あらすじ

隕石が落ちて地球が滅亡するまで、あと3日。
終末を待たずに飛び降りようとしていた男「千秋」は、空飛ぶ鯨を探す少女「鈴夏」と出会う。
何にもなかった男が、何でもないビルの屋上で見つけた、世界の最後の3日間。

VR演劇『明後日は終末』 – 公演情報 (mashirotheater.com)

明後日は終末』は「千秋(チアキ)」「鈴夏(スズカ)」の2人に、孤独なまま終末の日を迎えようとしていた女性「深春(ミハル)」と少年「悠冬(ユウト)」を加えた4人からなる公演時間30分ほどの台詞劇(ストレートプレイ)となっています。奇妙な縁で集った男女が終末の夜に見つけたものとは?

脚本はオリジナルで、静岡県内で2013年より活動を行っている『演劇ユニットHORIZON』の草野冴月氏による書下ろし作品です。

よりリアルなVR演劇を。公演におけるこだわりポイントの紹介

仮想だけど本物。新感覚の観劇体験をお楽しみ下さい。

VR演劇『明後日は終末』 – 公演情報 (mashirotheater.com)

VR上で演劇を行う『VR演劇』という試みは以前から存在しており、これまでにも様々なVR演劇イベントや公演がVR上で行われてきました。

それらのVR演劇と異なる特徴として、今回の『明後日は終末』の公演ではリアル(物理現実)世界における小劇場演劇を見ているかのような演劇体験を実現させるために演出面で様々な取り組みを行っています

その具体的な内容について、主催のめどうさんに伺ったお話を元に紹介していきます。

『明後日は終末』の主催、主演・演出などを兼任しているめどうさん。VRインプロ(台本無しで行われる即興演劇)集団「白紙座」の主宰でもあります

リアルその1 舞台上を『歩く』役者の動き

VR演劇の役者は基本的に全身の動きをVR上に反映させる『全身トラッキング』と言われる環境下で演技を行っています。

この『全身トラッキング』を採用している役者がコントローラーを用いて移動しようとすると、棒立ちのままスケートのように滑って移動する“スライド移動”ともいえる現象が生じます。リアル世界では有り得ない挙動です。

“スライド移動”のイメージ

『明後日は終末』の公演では、この“スライド移動”を極力無くす試みが行われています

『明後日は終末』の一場面より。ちゃんと“歩いて”移動しています

この『実際に役者が舞台上を歩いて演技する』を実現するために、各演者の部屋の広さも考慮した演技構成を構築したそうです。

リアルその2 ハンドジェスチャーで表情操作を『行わない』

『VRChat』内において各アバターの表情は(一般的に)プレイヤーのハンドジェスチャー(手の指の動き)によって管理されており、『VRChat』内で演技を行う人も例外ではありません。

ハンドジェスチャーによる表情管理は即座に狙った表情を出すことを可能としますが、演技の最中に手の指の形が変わってしまいます。これもリアル世界では有り得ない、不自然な動きと言えます。

ハンドジェスチャーによる表情管理のイメージ。表情を変えようとすると手の指も動いてしまいます

『明後日は終末』の公演では、この問題を表情コントロールを行う専任のスタッフを設ける事で解決しています。めどうさんによれば「他者のアバターの(表情などの)パラメーターを管理できる既存ギミックを活用し、リアルタイムで各演者の表情を変化させている」とのことです。

指の形と表情を別々に管理するシステムが構築されたことで、公演中では指を広げたり指差したりといった『指による演技』が多く見られました。これもまた、リアル世界の演劇に近づく試みの一つと言えるでしょう。

リアルその3 台詞間のラグの発生を『限りなくゼロ』に

リアル世界の演劇と比べた時のVR演劇のマイナス要素と呼べるものがもう一つあります。それは台詞と台詞の間に生じるラグ(時間差)の存在です。

演者同士の物理的な距離が離れている以上、インターネット通信によるラグの発生は避けられません。しかし、台詞と台詞の間に不自然な間が生じることで観客の没入感が削がれる恐れがあることもまた事実です。

こんな感じで近距離でやりあってる会話の場面で間が空いてしまったら不自然ですよね……

めどうさんによれば、『明後日は終末』ではラグ対策も行っており、具体的には「(より遅延の少ない)Discordで演者同士の台詞を聞きながら演技を行う」「それでもラグは生じるため、事前に稽古の様子を撮影・共有して確認した上で演技や台詞をかぶせ気味に行うよう調整を行っている」とのことでした。

通し稽古を観た感想

観劇中の筆者

今回、筆者は『通し稽古』という形で本公演と同じ内容を先行して観劇する機会をいただきました。

『明後日は終末』は登場人物4人からなる、物のほとんど置かれていないビルの屋上を舞台とした会話劇です。『終末』と付いたタイトルとは裏腹に静かな内容の物語ですが、それだからこそ物語の最後で4人の男女が見つけた『あるもの』の意味が心に染み入る、そんな内容の舞台でした。

そして今回の公演で追求されている『よりリアルな演劇体験』を目指した取り組みと演技がシンプルな構成の舞台とマッチしており、物語の深さをより際立たせているように筆者には思えました。

『VR世界の中で行われるリアルな演劇』を体験してみませんか?

『VRChat』の世界のルールはリアル世界のそれとは異なるものが多くあり、『VRChat』内で演劇を行う人にも適用されています。そのことによって『VRChat』内の演劇においてはリアル世界の演劇との違いやズレが発生してしまいますが、今までそれは「リアルとVRで違いがあるのは当然であり、仕方のないこと」と見なされていたように思えます。

ですが、今回紹介した『明後日は終末』ではVRとリアルの間のズレを極力排除することで、VR空間の中でリアル世界の小劇場における演劇体験を味わえるようにした野心的な取り組みを行っているように筆者には思えました。

公演会場の『ましろ小劇場』の舞台と観客席。会場のワールドも「リアル世界に存在するような小劇場」をイメージしたような設計になっています。

読者の皆さんも、ぜひ『明後日は終末』の公演に足を運んでいただき、「VR世界の中で行われるリアルな演劇」を体験していただければと思います!

公演情報

本公演の観覧には事前予約が必要です!当日会場に入場するためには事前に専用サイトから無料チケットを申し込んでおく必要がありますのでご注意ください。

公演日時

・8月30日(金) 20:45開場/21:00開演 

・8月31日(土) 14:45開場/15:00開演

・8月31日(土) 20:45開場/21:00開演 

・9月 1日(日)  20:45開場/21:00開演

参加方法

1.専用の予約フォーム(https://mashirotheater.com/reservations/001)から希望する公演日時を選んで申し込む(予約確認メール内のURLをクリックした時点で予約完了となります)

2.予約に使用したメールアドレスに届いた『参加用URL』をクリックし、ブラウザ経由で会場のワールドに入場する

(※公演の特設ページ(https://mashirotheater.com/events/001)内の『参加方法』の欄に、入場方法のより詳しい説明が記載されています)

公演の動画配信

YouTubeの『ましろ小劇場/白紙座』チャンネル内にて『明後日は終末』の動画配信が予定されています!配信のアーカイブ化も予定されており、見逃し視聴も可能です(ライブ配信は開演5分前より開始予定)

バーチャル劇場『ましろ小劇場/白紙座』チャンネル https://www.youtube.com/@hakushiza

投稿者プロフィール

きっどえー_ kidA_jp
きっどえー_ kidA_jp
VRの世界に生きる「少年A」……なつもりの人。