エレクトロPOPユニット「ハジマルイオン」が4月28日にニュー・シングル「遊覧空間」のリリースを決定し、そのティザームービーが4月17日より公開されました。
VRChatを舞台にした人々の出会いを描いた本楽曲のMVは、全編にわたってVRChatで撮影されています。
企画制作は「ハジマルイオン」のクリエイティブチーム(CD贄田さん(CHERRY)/AD杉本さん/Pr椙岡さん(EPOCH))とユーザー側から「VisitoR」の共同体制にて行われました。
※CD Creative Director(クリエイティブディレクター)
※AD Assistant Director(アシスタントディレクター)
※Pr Producer(プロデューサー)
目次
「ハジマルイオン」について
ボーカロイド・プロデューサー鶴三(ツルゾウ)と歌い手ムイカによって結成されたユニット「ハジマルイオン」。
共同プロデューサーにアーティスト・アレンジャー・DJ など多方面で活躍中のサウンドクリエイター中塚武氏を迎え、エレクトロ、フュージョン、ジャズ、クラブミュージック、ロックを新たな感覚で融合させた“キメ”まくりで刺激的なJ-POPを提唱しています。
ハジマルイオン公式サイト:https://hajimaruion.jp/
制作メンバーにインタビュー!
MVの全編をVRChatで撮影したわけ
ーー今回、どのような理由でMVの撮影プラットフォームをVRChatに定められましたか?
(「ハジマルイオン」CD:贄田さん)
「ハジマルイオン」は楽曲を手掛ける鶴三さんがボカロP出身で、元々ニコニコ動画周りのカルチャーが背景にあります。そういったところと親和性の高いプラットフォームの方がいいんじゃないかと思い、どのあたりがベストかと自分なりに色々探してみたんです。その過程で、VRChat側では色々なライブやコンサートが行われていて、音楽ともすごく相性がよさそうだと感じました。
結果、「ここなら彼らの音楽を受け入れてくれそうだな」という期待もあってVRChatがよさそうだと思い、今回の撮影プラットフォームとしました。
さらに「ハジマルイオン」自体のコンセプトに、「大人たちがあまり立ち入らない、若者たちだけのための時間や空間を祝福するユニット」という、ピーターパン的な設定がありまして。
そのコンセプトを形にした楽曲にしていこうと思ったところ、VRChatという場所を知り、
「それは我々がすごく体現したいことが行われている場所だ」と感動しまして。
この世界の具体的なイメージ、情景からも楽曲に色々と反映させていきたいなと思っていました。
VisitoRとコラボした経緯
ーー本楽曲でVRChatでのMV撮影にVisitoRさんが尽力されていたわけですが、ぼくの認識としてはVisitoRさんは企業というよりユーザー団体の印象があります。
どのような経緯でVisitoRさんをお知りになったのでしょうか?
(「ハジマルイオン」CD:贄田さん)
今回VRChatを活用していくにあたって、椙岡さんの協力も得ながら実績のある会社さんを色々とリサーチしていきまして。その中で最も良いと思ったのがVisitoRさんだったんです。
お声掛けしてからは打ち合わせの最初の段階から既にVisitoRさん側からいろんな知見をいただいておりまして。
「現地のユーザーと一緒に進めていくことがいい内容を作る」とは思っていたのですが、チームとしてもとても前向きに最後まで走っていけるなと感じました。
(VisitoR:tai_taiさん)
僕らも「面白いことをしたい!」というグループなので、今回のお話をいただいたときすぐに飛びついていきました。
『遊覧空間』というこの楽曲自体が僕らが普段過ごしているVRChatの世界観とすごく合っていたので、「この作品でどういう表現をするか」と考えた、というよりは「VRChatのこんなところを使っていきたい!」とワクワクしていた気持ちの方が強かったですね。
今回1つのコンテンツをピックアップ、というよりは、「VRChat上での人々の出会い」の様々な情景をピックアップしていったこともあり、多分僕らが過去手掛けた中でも最大規模の映像作品だったのでその点でもかなり刺激的でした。
ーー「VRChat上での人々の出会い」という内容もあってか、「映像制作のプロ」が「VRChatに行く」というよりは、「VRChatユーザー」が「プロ級の実力を身に着けた」といったような印象のVisitoRさんへと繋がっていったんですね。
(「ハジマルイオン」CD:贄田さん)
はい、おっしゃる通りだと思います。
制作の舞台裏
ーー今回の作品の制作は、だいたい何名ほどの規模感で行われたんですか?
(VisitoR:tai_taiさん)
エキストラで登場してもらった分も含めると100名は余裕で超えますね。
VisitoRさん側の撮影・編集担当は3人でやっていきましたが、参加してくれたみんながそれぞれの知見からいろんな要素を提供してくれて。それらを持ち寄ってああした方がいいかな、こうした方がいいかなと詰め合わせて構成を練っていきました。
そうして出来上がっていたパートごとの映像を編集にかけていった感じでしたね。
(「ハジマルイオン」CD:贄田さん)
通常の映像制作は撮影をしたものをオフライン編集をして、その過程で各パートどのテイクでやっていくかを決めたり、どこまで使っていくかの尺を決めたりと大枠の設計作業をまずやってから、それが固まった後に本編集として色味を良くするなどの仕上げの作業をやる、といった工程で進んでいくんですよ。
ただ今回の『遊覧空間』の制作はここからがオフライン編集で、ここからが本編集といった分け方があんまりなくて。
計7、8回くらい編集してます(笑)
映像制作過程は、ビデオコンテを1回作って、ずっとそのコンテに更新をかけていきながら、制作過程でブラッシュアップしていくといったやり方で進めてきました。
編集工程もVisitoRさんとビデオコンテを見ながら一緒にやっていきましたね。
最後の仕上げの部分に関してはVRChatの映像制作の文脈を持たない、普段から本職で著名アーティストのMVやCMの制作をしているエディターに入ってもらって、界隈の外の目からフラットに見た時、どういう風に編集点を作っていけばより盛り上がるかな、音響はどう調整すればアガるものになるかなと色々とやってもらいました。
広告映像や実写MV制作に携わるプロのスタッフと、VRChat内の映像制作を極めてクオリティ高くやっているVisitoRさん達とを掛け算しながら、最終的な仕上がりを少しでも良くしていこうと試行錯誤していく進行にさせてもらいました。
制作陣のこだわり
ーーそうして出来た『遊覧空間』。きっと随所にこだわりを重ねたポイントがちりばめられていると思います。制作側としてどのポイントがお気に入りなのか、ぜひお聞きしたいです!
(「ハジマルイオン」CD:贄田さん)
お気に入りのポイントはほぼ全部と言ってもいいくらいたくさんあるんですけど(笑)
特にこれ、というのであればやっぱり僕は前半の場面でメインの2人がスクーターに乗ってタワーに飛んでいくシーンですね。
ああいう象徴的な絵をすごく作りたいなと思っていましたし、歌詞とも極めてシンクロしている描写であったりもするので、制作段階の最初から「ここはやりたい!」とずっと考えていました。
あの場面はかなりテイクも重ねていただいて、結果的にすごくいいものになったと思います。
あともう1点上げるとすれば、後半の畳みかけていくような映像が展開されるシーンですね。
この場面に関しては制作の最後の段階までVisitoRのお二人にお願いして、「VRChat側のいろんな人たちの姿を見せていきたい」と、出来る限りいろんなユーザーさんに力を貸してもらったおかげであのような仕上がりになれたので、すごく思い入れがありますね。
(VisitoR:suibowさん)
ティザームービーの最後の方にも映っている場面なんですが、みんなのスマホを円形に並べてピースするシーンですね。
VRChatユーザーたちが実際に秋HUBとかに行ってやるやつです。
ーーオフ会やると携帯の待ち受けにアバターの写真を載せて、それを並べて写真を撮る(リアルアバターの写真は撮らない)っていう、アレですよね(笑)
(VisitoR:suibowさん)
コンセプトをVRChatに落とし込んで何か映像作品を作ると思った時、この場面が浮かんできました。
VRChatユーザーとしてもちょっとほっこりする場面かなって思うので私はとても好きですね。
(「ハジマルイオン」CD:贄田さん)
このお話を最初にお聞きしたとき、僕ら「素敵すぎる!」って湧きましたよ!
詳細を教えてもらった後は「絶対、この場面で映像を終えよう!」って思いましたね。
(VisitoR:suibowさん)
こういった一般のレーベルから出る楽曲で自分たちがVRChatで過ごしている様子が使ってもらえるのはすごくうれしくて。
「自分たちの気持ちに共感してもらえてるんだな」ってところをMVを観たVRChatユーザーの皆さんに思ってもらえたら嬉しいですね。
(「ハジマルイオン」Pr:椙岡さん)
今回のMVにはすごく「日常感に溢れたところ」というのが入っていて、お祭りだったり、ビリヤード場やDJの場面などが、VRChatに詳しくない僕でも現地の空気感が伝わりましたし、お祭りの場面で金魚が宙に浮いていたりなどユーザーの皆さんが過ごしている中で起こる、
「普段の生活で見かけるものがちょっと変わったものになっている日常」の光景が違和感なく見れたので、僕はこれら一つ一つのシーンがすごく刺さりましたね。
ーー最初にプラットフォーム選定の理由でもあったように、テクノロジー感全開というよりもリアルとある程度接点のある日常の要素をピックアップしていったからこそきっといい感じに組み合わさったんですね。
記念ワールドを公開&フォトコンを開催!「イオ」と「クーロ」をいろんなワールドに連れてってあげよう!
ーー今回のMV公開に先駆けて記念ワールドが公開され、企画も開催されるとお知らせをお聞きしまして。どのような内容なのでしょうか?
(VisitoR:suibowさん)
Twitterでも公表があったのですが、「ハジマルイオン」公式キャラクター「イオ」と「クーロ」を主人公としたフォトコンを開催します!
9日の21時に一部が公開されるワールドにてペデスタルを設置してありますので、そこからクローンしていって、皆さんが普段過ごしているワールドの数々で素敵な写真を撮ってほしいなって思います。
フォトコンの期間は4月19日〜25日までで、アバターの使用もその期間限定となっています。
公式キャラクターの「イオ」と「クーロ」は「日常」でお馴染み、あらゐけいいち先生完全書下ろしのとってもかわいいデザインなので、この機会にぜひいろんなところに着ていって様々な景色を見せてあげてほしいです!
ワールドはこちらから!
4月27日、MVの試写会を開催&ワールドが全体公開!
ーー今回制作された『遊覧空間』、完全版が公開されるのはいつでしょうか?
(「ハジマルイオン」CD:贄田さん)
4月27日にMVが公開されるのですが、その2時間前にVRChatにて試写会を開催します!
試写会の開催時間になると、ワールド全体が公開され、奥の劇場スペースに入ることができるようになります。
一番イケてる写真を撮られた方の作品は一番大きく載りますので「我こそはつよつよフォトグラファー」という方はぜひぜひフォトコンへの投稿をしていただければと思います!
- コンテスト応募受付期間: 4月19日~4月25日まで
- コンテスト応募条件
① VRchat内のワールドで、ハジマルイオン公式キャラクター
「イオ」と「クーロ」が映った写真を撮影すること
② #遊覧空間フォト を付けてTwitterに投稿すること - 楽曲フルバージョンの試写会開催の4月27日に開放される奥のエリアにて
応募された作品を展示(イケてる作品は大きく展示されます)
今後の展望について
ーー今回、この大作を制作されましたが、今後はどのような展開をされるご予定でしょうか?
(「ハジマルイオン」CD:贄田さん)
せっかく結べたご縁ですので、ここで終わりということにはしたくないですね。
まだ構想段階ではありますが、ワールドでライブを披露してみたりとか、次作以降も何かのタイミングでみんなでお祝いをする機会を作ったりとか、色々と継続的にやっていけたらいいなと思っています。
ーーメディアという立場を抜いて1人のユーザーとして、このような形でユーザーがこの世界で 展開していた活動が外部の方や、その道の本職の方に評価されてるというのは、
ぼくはただ傍から見た側に過ぎないんですけど、すごく嬉しいことだなって思いました。
(「ハジマルイオン」CD:贄田さん)
VRChat界隈の皆さんにもこういう取り組みがあるということを広く知ってもらいたくて。
アーティスト自体はデビューしたての新人ということもありますし、「ハジマルイオン」ともどもこの取り組みを応援してもらえたら嬉しいですね。
ーー今後の「ハジマルイオン」の展開、楽しみにしています!
この度はインタビューにお付き合いいただき、ありがとうございました!
制作陣の紹介
EPOCH.inc について
EPOCH はクリエイティブプランニング・ディレクション、プロダクションワーク、ディレクターマネージメントを行う新しいタイプのクリエイティブレーベルです。クライアントの「モノ、コト、サービス」の本来の魅力を、メンバーであるデイレクターを基軸として、ありとあらゆる領域の多様な表現を追及した上で、選択し、提案し、カタチにしていきます。その上で、EPOCH はクライアントとお客様の間に新しい価値観を生み出すための「シーン」作りを追求し、提供し続けます。
公式サイト:https://www.epoch-inc.jp/
CHERRY について
コミュニケーションが多様化し、
マス広告ありき、デジタルありきといった、
ワンパターン発想ではターゲットが動きにくい時代。
出稿枠の中だけで完結する従来型のクリエイティブではなく。
手法や枠組みに捉われないジャンルレスなアイデアによって、
社会的なニュースをつくる。ブランドのファンを育てる。
そんなブランドと世の中の最適な関係づくりを実現していきます。
公式サイト:https://chrry.jp/
VisitoR について
VisitoRは、メタバースを拠点として活動するクリエイティブチームです。
メタバース内での映像撮影やアクター、通訳、3D制作、音楽制作など多岐にわたって活動しています。
次世代のマーケットとしてのメタバースであなたの新しい表現と体験をサポートします。
公式サイト:https://project-visitor.com/