去る8月5日、VRChat内にて日本のエレクトロ・ポップ・デュオ「CAPSULE」のバーチャルライブが行われました。
目次
CAPSULEとは
1997年より活動を続けるエレクトロ・ポップ・デュオ。PCによるバーチャル・スタジオで音楽制作を完結させるスタイルを世界的にいち早く採用し、その自由奔放かつ刺激的な楽曲群によって音楽シーンに衝撃を与えた。タイムレスな空気感を放つVoこしじまとしこと、楽曲制作の全般を手がける中田ヤスタカによるニュー・レトロなシンセ・サウンドが特徴。国内はもとより海外での評価も高く、逆輸入的にそのサウンドを耳にすることも多い。
BIOGRAPHY | CAPSULE OFFICIAL WEB (capsule-official.com)
(後略)
「CAPSULE」は今年で結成25周年を迎える、日本のエレクトロポップアーティストとして長年活躍しているグループです。
メンバーの一人である中田ヤスタカは音楽プロデューサーとしても知られており、perfumeやきゃりーぱみゅぱみゅなどのアーティストのプロデュースや新時代 (ウタ from ONE PIECE FILM RED) など有名アーティストへの楽曲提供で名前を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
ライブを支える豪華スタッフ陣
「長年日本のエレクロポップシーンを走っているグループである『CAPSULE』が初めてVR上でライブを開催した」
これだけでも凄い出来事なのですが、これに参加しているスタッフ陣の豪華さがその凄さに拍車をかけていました。
Kizuna AIを世に送り出したActiv8とアソビシステムの共同プロダクションである「ANNIN」が本ライブの全体プロデュースを担当。
CAPSULE Live in VRChat “メトロパルス” 開催決定 (capsule-official.com)
Activ8の制作協力のもと、実写MVからXRライブまで様々な作品にたずさわる「ReeeznD」がライブ制作監督を、SANRIO Virtual Festivalへも出演した「キヌ」が演出監修を担当しています。
(各会社のHPおよび個人のX(Twitter)アカウントへのリンクは引用者が追加したもの)
Activ8が送り出した「Kizuna AI(キズナアイ)」はVtuberの元祖として有名ですし、アソビシステムはCAPSULEやきゃりーぱみゅぱみゅが所属するタレント事務所であると同時に日本のポップカルチャーを国内外に発信するイベント企画・メディア運営会社でもあります。
ReeeznD(レーズン)はでんぱ組.incのMVの監督やキズナアイ活動休止前のラストライブ(hello, world 2022 )に携わるなどの実績があり、キヌの見せる圧倒的とも言えるVRライブは高い評価を得ています(参考:【VR Live】kinu 5th live “はじまりのおわり” )
このように、実績や知名度を積み重ねてきた運営会社とクリエイターが一堂に会して作り上げたVRライブであった「CAPSULE Live in VRChat “メトロパルス”」の模様を、各曲ごとに紹介していこうと思います!
VRライブの様子
ライブタイトルにもある「メトロパルス」はCAPSULEの最新アルバム(2022年リリース)のタイトルであり、今回のライブはこのアルバムに収録されている楽曲による構成となっていました。
1曲目 ひかりのディスコ
「ギヴ・ミー・ア・ライト」のMVに出てくるステージに似た雰囲気のライブ会場に現れたCAPSULEの二人は、90年代3Dゲームを連想させるMVでの姿そのままでしした。
筆者は曲と共にステージを飛び回る光の美しさに感動して「これはとんでもないって……」などとつぶやきながら写真撮影してました。このあとの展開など知る由もなく。
2曲目 スタート
1曲目ではキーボードを演奏していた男性メンバー(中田ヤスタカ)がステージ上のパソコンに移動して操作を始めると後ろの半透明のバックバンドが演奏を始め、二曲目が始まりました。
メンバーの配置は(先ほど紹介した)「ギヴ・ミー・ア・ライト」のMVに近いのですが、光や文字などの演出はそれよりも強化されていました。
現代から見ると少ないポリゴン数(ローポリ)で表現されたCAPSULEの二人、サーバーから出てバックバンドに飛んでいるデータらしきもの(1980年代より前に主流だった記憶媒体である「紙テープ」のようにも見えます)、ステージ背後に現れる「SEARCH」などの文字のロゴ、さらに後ろでLEDのように点滅する光……そのそれぞれが1960年代~2020年代の間の異なる時代を想起させるような表現となっており、アルバム「メトロパルス」の楽曲同様「レトロな感じがするのに新しくも感じる」感覚を覚えました。
3曲目 ギヴ・ミー・ア・ライド
メンバーの配置はそのままに、3曲目が開始。
これはいよいよ同じ曲のMVと同じ構成と演出では?と思いながら聞いていると徐々に様子がおかしくなり……
気が付いたらステージと観客席が消えうせ、都市を走るハイウエイとそこを疾走するスポーツカーの上に演者と観客が移動していました。
ローポリで表現されたスポーツカー(それぞれ1986年、1992年発表のレースゲームである「アウトラン」と「バーチャレーシング」(リンク先は復刻版ゲームの紹介動画)を合体させたような雰囲気を感じます)が疾走するモチーフは「メトロパルス」収録楽曲である「フューチャー・ヴェイブ」のMVを連想させますが、上下も前後左右もその世界観に満たされている迫力は動画のそれとは違うものがあります。
文字も凄い勢いで迫ってきましたし。
4曲目 バーチャル・フリーダム
場面転換して4曲目。70~80年代のパソコンの起動画面を思わせる表示から始まりました。
その後、巨大化した演者に囲まれます。「観客が演者を囲む」円形ステージのライブは現実世界でたまに見ますが、その逆は初めてだ……
周りを飛び交う物は曲の進行とともに変化しており、曲冒頭の演出も含めてどうやら「時間経過とともに時間がどんどん進んでいる」様子。
と、なると最後に来るのは……そう、HMD(VRゴーグル)です。
HMDに空間が飲み込まれたあとの、曲の(そしてライブ全体の)終着点は我々観客が居る「VRChat」のワールドローディング画面。
ワールドのローディングが完了した先に見えるものは……それはこれから我々一人一人が確かめる事になるのかもしれません。
まとめと感想
全4曲、15分ほどのライブでしたが本当に凄かったです。
全ての曲の表現が「メトロパレス」の楽曲通りの「古いけど新しい」雰囲気で構成されており、アルバム収録楽曲のMV(記事内で紹介したギヴ・ミー・ア・ライト、フューチャー・ヴェイブのほか、バーチャル・フリーダムのMVが本ライブと同じビジュアルコンセプトで制作されています)のような、いや(二次元の画面で観る)MVよりもさらに強力なインパクトを持って迫ってくる内容でした。
……この手のVRライブの紹介をするたびに歯がゆく感じる事ですが、二次元メディアである文章や写真、動画で三次元であるVR空間でのライブの迫力や感動を伝えることは難しいです。文字通り「次元が違う」事ですので。
ですがそれでも、「CAPSULE Live in VRChat “メトロパルス”」で行われた事はVR表現の、いや音楽ライブ体験の最新系であると言えるという事は紹介したいです。
ぜひ、PCVRの出来る人(ゲーミングPCとHMDを持っている人)はこの最新系のライブを体験してほしいです。再演がありますので。
8/12(土)19(土) 20時からの再演が決定しています!
■再演日
2023年8月12日(土) 開場19時00分 / 開演20時00分
2023年8月19日(土) 開場19時00分 / 開演20時00分
■ライブ会場のワールド
CAPSULE Live -メトロパルス- Venue
*VRChat内のワールドへのリンクです。VRChatにログイン後、会場ワールドのページが開きます。
(参加方法については公式ホームページの案内も参考にしてください。
ホームページ内にライブ会場(インスタンス)へのリンクが記載されていますが、当日ここが満員であってもライブを鑑賞することは可能です(いわゆる「join戦争」はありません!))
(10/20追記) 11/18(土)、19(日)に最終公演を行う事が決定しました!
今回のバーチャルライブがヨーロッパ最大級のインディペンデンス映画祭である「レインダンス映画祭」にノミネートされたことを記念し、最終公演である「CAPSULE Live in VRChat “メトロパルス” THE FINAL」が11月18,19日の両日に開催されることが決定しました!
今回の「音楽ライブの最新系」を見たことが無い人も、もう一度見たい人も、この最後の機会をぜひお見逃しなく!
■開演日
2023年11月18日(土) 開演20時00分
2023年11月19日(日) 開演11時00分
■ライブ会場のワールド
CAPSULE Live -メトロパルス- Venue (開催当日公開予定)
*VRChat内のワールドへのリンクです。VRChatにログイン後、会場ワールドのページが開きます。
当日は時間に余裕を持ってご来場ください。開演60分前を目途に来場することが推奨されています。
詳しくはこちら(CAPSULE公式HPの最終公演開催の案内)をご覧ください!
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11/18(土)、19(日)に行われる最終公演についての情報を追記しました。