音楽+映像+視界ジャック=極上のトリップ体験。「CANDYTRIP#4」参加レポート

3月19日、「SHISHIMARU_獅丸」さん主催のクラブイベント「CANDYTRIP」の第4回がVRChat内で開催されました。

演奏開始時にはすでにフルインスタンス(満員)になっていたほどの盛況でした。

どんなイベント?

2022年8月に第1回が開催されたこのイベントの大きな特徴を3つ、紹介します。

「サイケデリックトランス」オンリーのイベント

クラブイベントによって演奏される音楽のジャンルは異なりますが、「CANDYTRIP」では「サイケデリックトランス」と呼ばれる高揚感・トランス感の強いジャンルに特化した演奏を行っています。

(#4限定で)全曲ライブ演奏

「CANDYTRIP#4」における試みとして「イベント中に演奏される楽曲を全て出演DJが自作した曲に統一する」というものがありました。このため、普段は認められていない「イベント内の録画・録音」が今回は特別に許可されていました。

会場入り口の注意書きより

後日主催者さんに伺ったところ「毎回こういう事が出来るほどオリジナル曲を制作しているわけではないので、今回はスペシャル回という感じだった」とのことです。

視界ジャックを多用した映像効果

「CANDYTRIP」の最大の特徴ともいえるのがこの「視界ジャックを多用した映像効果」です。
視界ジャックはVR上のエフェクト効果の中でも「対象の視界全体に影響を及ぼす」ものを指しており、視界ジャックの影響を受けると例えば下のように周りの見え方が変化します。

写真は一切加工していませんイベント内で見たままの光景がこれなのです。

出演者の紹介

ここで「CANDYTRIP」のイベントを構成するDJ(ディスクジョッキー)、VJ(ビジュアルジョッキー)、PJ(パーティクルジョッキー)を紹介しましょう。

DJ 獅丸

「CANDYTRIP」の主催者。サイケデリックトランス(PsyTrance)のVRクラブイベント「PSY-APPLE(サイナポー)」の存在に衝撃を受けてVRChatを始め、そこで誘われた事をきっかけにPsyTranceのDJ・作曲を始めてからまだ一年弱、という現在急成長中のDJ・作曲家。VRChatID:SHISHIMARU_獅丸

DJ TOYZPLAY

2015年より北海道を中心に活躍しており、野外レイブイベントへのDJ出演歴もあるPsyTranceDJ・トラックメーカー。近年ではVR内でのDJ活動も盛ん。VRChatID:TOYZPLAY

DJ 影虎。(ゲスト出演)

有名音楽ゲームにも多くの楽曲を提供しているDJ・作曲家。VRChatの長寿イベントである「今日も一日生き延びてえらい!集会」の副主催も務める。VRChatID:影虎。[KAGETORA]

VJ novu

VR・リアルを問わず幅広いジャンルを手掛けるベテランVJ・DJ。使用する映像素材の豊富さと「音楽に合わせた適切な映像を素早く出す」技術の高さで主催者からの信頼も厚い。VRChatID:vj_novu

PJ skkn

本イベントの会場である「CATCLUB」のオーナー兼ワールド製作者。音楽と連動した視覚エフェクトの制作・使用に定評がある。読みは「せっけん」。

 

このように、リアルとVRにまたがる幅広い領域で活動しているクリエイターが一丸となって「CANDYTRIP」は作られています。

イベントの様子

「CANDYTRIP」における音楽・映像・視覚エフェクトが一体となった表現はどのような物なのか。
これはもう、音声付きの動画を実際に見てもらうのが一番早いです。「CANDYTRIP#4」の様子を撮影したものの一部をご覧ください。

激しい光の点滅を伴う動画が掲載されています。光刺激に敏感な方は閲覧に際して十分注意してください。

実例#1(DJ:TOYZPLAYさん)
実例#2(DJ:影虎。さん)
実例#3(DJ:獅丸さん)
PJが発動させたギミックにより参加者全員が強制的に(!)空中浮遊しています
実例#4(DJ:獅丸さん)
#3の約4分後。空中浮遊と映像効果のせいでどこが床でどこが天井かもう分かりません

音楽と映像表現が組み合わさった表現と一緒に、参加者が驚いたり興奮したりして盛り上がりながらイベントを楽しんでいる様子も伝わればと思います。

本当に凄いトリップ体験でした。動画を編集しながら「これでも現地で味わった時の興奮や感動がまだ十分伝わらないなあ」と歯がゆく感じるほどに。

主催者インタビュー

主催者の獅丸さんに、イベント開催の経緯や今後の展望について話を聞いてきました。

きっどえー_kidA_ jp

「CANDYTRIP」を始めたきっかけや経緯について教えてください。

獅丸さん

「PSY-APPLE」で知り合った方に「凄いところがあるよ」って連れてもらったのがskknさんが主宰していた「CATCLUB」というイベントで。そこではチップチューンが演奏されていたんですけどパーティクルとか視界ジャックの表現が本当に衝撃的でした。
行った翌日になっても余韻が残っていて「本当に凄いな」って。

獅丸さん

その後、別のイベントで偶然skknさんに会って「この人が『CATCLUB』の人だよ」って教えてもらって。それでskknさんに「『CATCLUB』でサイケデリックトランスをやりたい」って言ったんです。
skknさんと話し合った結果「CATCLUB」のハコ(会場のワールド)を借りる形で新しくイベントを開くことになって、それが「CANDYTRIP」だった、という感じですね。

きっどえー_kidA_ jp

イベントの今後の目標や、やりたいことはありますか?

獅丸さん

今は「CATCLUB」のハコを借りてる状態なので、いつか「CANDYTRIP」専用のワールドを作ってもらってそこでやれたらいいなと思ってます。
skknさんの作ったワールドでヴェネチア国際映画祭(のXR部門)で紹介されたものがあるんですけど、ああいうダンスクラブとは違った雰囲気の所でやるのもいいかなって。

教えていただいたワールド「[VMV] CC Type01
音楽に合わせてパーティクルや視界ジャックを用いた映像表現が電車の中のようなワールド内に飛び交います。
獅丸さん

とにかく、観客の皆さんがびっくりするような事をやりたいですね。
テーマパークみたいなイベントをやりたい(笑)

きっどえー_kidA_ jp

「CANDYTRIP」の次回開催予定はありますか?

獅丸さん

今のところは未定ですが、2~3か月に1回のペースで開催しているので次回もその辺の時期にできればなと。だから5月とか6月頃かな?

獅丸さん

スタッフ全員が毎回全力でやってくれてるので、あんまり頻繁には出来ないんですよね……観客の皆さんの体にも悪いし(笑)

HMD(ヘッドマウントディスプレイ)を装着した状態で受ける光刺激はモニターでの動画閲覧時よりも強烈です。
光刺激に敏感でない人も目の酷使にはご注意ください。

まとめ

「CANDYTRIP」は、優れたクリエイターたちが音楽・映像・エフェクト表現において協力し合い「VR上でしか表現できない極上のトリップ体験」を生み出していた、独自性の高いイベントでした。

イベント終了時のあいさつの様子。
左からnovuさん、影虎。さん、skknさん、TOYZPLAYさん、獅丸さん

次回開催が今から楽しみですし、このような「VRだからこそ可能な表現手法」の魅力がもっと広まるといいな、とも思います。

公式ダイジェスト動画、あります

「CANDYTRIP」スタッフによるアフタームービー(イベントのダイジェスト動画)を最後に紹介します。記事を読んで興味を持たれた方はこちらも是非どうぞ。

CANDYTRIP#4 after movie – YouTube