『メタリンピック』開催概要
主催 :WithVR
日程 :2023年10月6日(金) ~ 10月10日(火)
視聴方法:WithVR YouTube チャンネル にて配信
参加方法:VRプラットフォーム『VRChat』内にて
・VRCビリヤード同好会 10月6日 18時までに 登録フォームから応募
・その他の種目は参加が締め切られています
【追記】2023年10月5日 1時 一部表記の修正を行いました。
目次
仮想最強を目指して何が悪いッ!!
リアルな場所、リアルな距離、リアルな身体── 時に我々はそうした自然環境を、超えるべき壁として捉えてきた…… 人類はいみじくも技術の粋を結集し、実現することとなった…… そうッ!! それが<仮想>という概念ッ!! 技術ッッ!!
ついに我々が到達した『VRChat』という仮想の粋(すい)ッ!! 仮想の世界ッッ!!
人として生まれたからには誰だって一度は空想世界を志すッ!!
異世界転生を一瞬たりとも夢見たことがない……
そんなヤツは一人として存在しないッ!!
しかしッ!! 我々は出会ってしまった…… スポーツゲームワールドという存在に──
どんなに仮想と謳ってみても、人との勝負を渇望すれば、それはリアルな闘争だッ!!
ここにそれをあきらめなかった者たちがいるッ!! 偉大なバカヤロウども6種目!!
このVR世界で誰よりもッ!! 誰よりも最強を望んだ選手たちッ!!
ここに開催ッ!! 『メタリンピック』!!!
──と『グラップラー刃牙』最大トーナメント決勝戦の場面を勝手に使って盛り上がってしまいましたが、偉大なのは間違いなしッ!! この記事を読めば『メタリンピック』を全力で楽しめます!! 全ての種目に触れ、全ての主催者に会って、全部聞いてきました!!
WithVRによる開催・放送を見逃すなッ!!
『メタリンピック』はWithVRが主催する、VRChat上の他種目スポーツゲームワールド大会・配信イベントです。
VRChatはアバターだけでなく、プレイヤーが参加するための「ワールド」を制作・アップロードする機能もサポートされています。これらのワールドは、シンプルな住宅といったものから、様々な機能やスクリプトを組み合わせて複雑なゲームなどを実装したものまで幅広く存在しています。現時点でも次々と新たなワールドが登場しており、VRChatが長らく愛されている要因のひとつと言えるでしょう。
特に人気の高いゲームワールドは既に数年間の継続的なコミュニティが存在しており、活動人口も増え続けています。そうした活発な競技を集め、一挙に大会として企画されたのが『メタリンピック』です。今回は6種目が対象となっています。
開催中はWithVRによる公式配信が予定されています。VRゲームといってもそこにあるのはプレイヤー同士の熱い戦いです。リアルのスポーツと変わらないほどの激しい動きや判断力を要求される種目も存在しています!! きっとVR世界に詳しくなくても観戦を楽しめるはずです。
各種目の見どころ紹介!
タイムテーブル
日付 | 曜日 | 時刻 | 競技内容 | 主催団体 |
2023/10/6 | (金) | 22:00~23:00 | 開会式 | WithVR |
2023/10/7 | (土) | 20:00~22:00 | ビリヤード | VRCビリヤード同好会 |
〃 | 22:30~24:30 | ペコペコバトル | ペコペコバトル集会 | |
2023/10/8 | (日) | 20:00~22:00 | 野球 | VRC野球大会 |
〃 | 22:30~24:30 | クロスディスク | Xross Discs Federation (XDF) | |
2023/10/9 | (月) | 20:00~22:00 | モータースポーツ | Cucumber Rally Association |
〃 | 22:30~24:30 | ボクシング | VRCボクシング | |
2023/10/10 | (火) | 22:00~23:00 | 閉会式 | WithVR |
「リアルでもバーチャルでもそんな種目やったことない」……?
そんな方でも観戦を楽しめる見どころをまとめてみました!
VRだからこそ、今日からでも楽しめる種目ばかりです。大会の映像を通し、その本格的な世界を覗いてみましょう! タイムテーブルの順にご紹介します。 一気に行くぜ!!ついてこいッッ!!!
『ビリヤード』はリアルさが魅力!
種目の概要
『VRCビリヤード同好会』が主催するビリヤードではリアルの試合環境を追求し、独自のテーブルギミックを採用しています。このギミックでは、VRChat内で広く見かけるビリヤード台とは異なり、物理演算によりジャンプ・カーブ・ホップといったボールの挙動をも可能としたことで、様々なトリックショットを実現できます。
メタリンピックでは、日本コーチングプロビリヤード協会から「プロとしてVR世界でのコーチング認定」を受けている みなみにし さんが解説を担当! VRCビリヤード同好会では初心者講習会の開催に加え、各種イベントも活発です。みなみにし さんもその中で日々普及活動を進めています。
メタリンピック ビリヤード 出場者募集中!! (※記事掲載時点)
メタリンピック種目ビリヤードではまだまだ出場者を募集しています。
10月6日18時までに 応募フォーム へ登録しよう!
予選は10月6日の夜に開催され、本戦は10月7日20時から開始です。
大会採用ルール
- 9ボール
- タイムクロック30秒(手玉を突くまでに与えられる猶予時間)
- 本選出場者 8名 トーナメント方式
- 1試合 9ボールポケット2回先取で勝利 決勝は3回先取で勝利
試合のみどころ
とにかくリアルな試合展開
みなみにし コーチングプロをして「VRでの練習がリアルに通用する」と言わしめるほど、リアルな環境が再現されたビリヤードテーブルにまず注目!! 物理演算を細かく適用し、カーブやジャンプをはじめ、撞いた手玉の強さによって発生するホップという弾かれるような挙動まで再現されています。
テーブルに実装されている機能は日々アップデートされているので、メタリンピック本戦で採用されるものよりも更に進化したものが既に存在するようです。
VR空間で難しい操作をサポートする数々の機能
コントローラの位置を空間的に読み込む都合上、VRでは一定の位置でぴったりと静止し続けることが難しいといった問題があります。つまりそのままではキューを静かに保てません。そこで、キューを掴んだまま上下左右方向の動きを制限させる機能が盛り込まれています。
キューを構えてコントローラーを握り込みトリガーを引いておくと、コントローラの前後方向のみ反映されるようになり、きれいに手玉を撞けるようになるのです。
更に、手玉が転がっていく軌跡がガイドラインとして表示されるので、コントローラーの機能を組み合わせることで、狙った方向へ手玉を転がすことは初心者でも簡単に実現できます。
選手が「次」に何を狙うのか……!?
初心者でも手玉を正確に撞けるということは、狙った玉へのミスはあまり期待できません。ビリヤードで戦略上大切なのは、弾かれた手玉がどこで止まるのか…… という先々への布石です。この、次を意識することを「ネクスト」と呼び、選手ごとの個性が発揮される部分でもあります。
メタリンピックでは、選手が「ネクスト」をどのように狙っているのか想像しながら観戦してみてはいかがでしょうか。
VRならいつでも遊べる!
『VRCビリヤード同好会』では毎月第1日曜22時から初心者向け講習会が開催されています。
9ボールや8ボールのルール解説や当て方のコツ、ポケットへ入れやすい「ネクスト」の考え方など、まったくの初心者から少し体験したことのある方まで、まずは参加してみましょう!
講習会以外にも、同好会のメンバーが日々インスタンスを立てているそうです。リアルでは設置されているビリヤード台を探すのも一苦労ですが、VRならばいつでも(しかも無料で!)楽しめますね!!
ペコペコバトルは3次元おにぎり球技!?
種目の概要
ペコペコバトルは様々な球技の特徴を併せ持つチーム戦形式のフィールドスポーツです。
おにぎりをボールに見立てて互いに奪い合い、相手陣地にあるクリスタルへおにぎりをぶつけて破壊した後、相手陣地のゴールへおにぎりを叩き込めば勝利となります。
ゴールにはお腹をペコペコにした女の子がいるので、おにぎりを渡して食べさせてあげましょう!! つまり、ゴールはあくまでもペコペコな女の子…… ゴールエリアに投げ込むだけでは勝利を得られません。
高低2箇所の台に乗っているクリスタル周辺の駆け引きが、サッカーとも、アメフトとも、ラグビーとも、ハンドボールとも違った戦略を生み出しています。VRだからこそ「高い所へ登る」ことへの危険性もないので、より3次元的な試合となるのも特徴的です。
おにぎりボールの扱いはコントローラーで掴むことによるシンプルな制御で済むことから、チームメイト同士の位置取りやパスのつなぎ方といった要素が重要と言えるでしょう。
大会採用ルール
- 1チーム4人
- KeepOutルール(※後述)
- 試合の制限時間なし
- おにぎりを渡せたチームの勝利
【KeepOutルールについて】
KeepOut表示がされている間、プレイヤーは相手のゴールエリア内に侵入できない
(※この時はゴールの子へおにぎりを運び、直接タッチしてゴールすることはできない)
ただし、ゴールを狙っておにぎりを投げ込むことは可能
ゴールエリア内へ投げ込まれたおにぎりがゴールを外れた場合、KeepOut表示がされている間は守備側チームのみゴールエリア内へ侵入し、おにぎり回収が可能となる
KeepOut表示中に行ったゴールエリア内へのおにぎり回収時は「ロングショット(※後述)」を消費しなければならない
2つのロングショットがどちらも消費されている場合KeepOut表示は消滅し、相手チームの侵入が可能となる
ロングショットは消費してから60秒程度で復活する
【ロングショットについて】
自陣ゴールポスト内にあるハートに触れたプレイヤーは、次のおにぎりショット(おにぎりを持った状態でトリガーを引く)がロングショットとなる
ロングショットは派手なエフェクトとともに、通常よりも長く早い軌跡で飛んでいく
試合のみどころ
「位置取り」の決断…… 味方を信じられるか!?
プレイヤーは原則として同じ速度で移動し、おにぎりボールはコントローラーで掴んでいればそのまま持ち運べるので、基本的な動作にフィジカルな強さは要求されません。
おにぎりボールを持っているプレイヤーはトリガーを引くだけで投擲でき、角度をつければそれなりの飛距離で飛ばせるようになります。つまり、全員でボールに集まってしまうと、相手に拾われ危険なパスを許してしまうというリスクを背負うことになります。
そこで距離を取るにしても、相手側の高台付近を確保して攻撃的な位置取りとするのか、自陣側の高台で防御的・カウンター的な位置取りをするのか、パスを繋ぎやすくするようにフィールドに残るのか…… といった駆け引きがでてきます。
1チーム4人の場合はどうしてもポジションに抜けが出てくるので、瞬間瞬間で自分の立ち位置を決断し、時に味方を信じて動かねばならない場面が出てきます。
特に空中を移動するおにぎりを掴むのは難しいのですが、ゴールへのシュートをキャッチして防ぐことが得意な選手や、運んでいる選手からおにぎりを横取りするのが得意な選手など、大会ではフィジカル的な個性を持つ選手にも注目です。
KeepOutルールが試合の奥深さをうみだす!
従来のペコペコバトルでは、2箇所のクリスタルさえ破壊できればすぐにゴールを狙えるようになっています。そのため、試合時間が短めで気楽に遊べるものとなっていました。ただし、大会のような場面で互いの実力を試そうとする時にはあっさりと終わってしまいます。
そこで取り入れられたのがKeepOutルールです。サッカーのゴールキックに近いもので、多人数で密集した押し込みゴールという展開が減り、試合から強引さを取り除く効果を生んでいます。
KeepOut中に禁止されているのは、あくまでもゴールエリアへのプレイヤーの侵入だけなので、長距離の投擲による直接的ゴールは可能です。これにより、ゴール周辺へどのようにアプローチするかを考える必要性が出るので、高台を使ったセットプレーのようなシーンなど、チームの連携が見られることでしょう。
更に、KeepOutルールは回数制…… いわゆる体力制のような要素を持っています。とにかくゴールエリアへシュートし続ければ、相手のKeepOutルールを一時的に停止できるので、強引に押し込んでゴールをもぎ取ることも実際には可能です。試合が間延びしてしまわないという効果もあります。
初心者歓迎!ペコペコバトル集会に行ってみよう
『ペコペコバトル集会』は隔週土曜日21時から開催されています。
操作やゲームルールは初心者でもすぐに馴染みやすく、VRジャンルの中では珍しい球技の楽しさを手軽に体験できるでしょう。少人数でも大人数でも楽しめるので、お腹を満たしてあげよう!
VR野球エキシビションマッチ
種目の概要
VRChat内では野球盤やノック練習などの様々な野球ゲームワールドが存在しています。
メタリンピックでは『VR野球』としてエキシビションマッチを行います。
「野球盤」とは異なり、守備のプレイヤーも選手が実際に参加して試合を構築します。投球、打球、走塁、捕球、送球、タッチなどもVR空間で行うことになるので、ルールとしては本格的な試合となります。
野球に関するワールドはVRChat内でも歴史が長く、今回はベテラン選手を募ったオールスターゲームのような形式となりました。
VRという条件により、リアルの野球とは異なる部分もありますが、だからこそ組み込まれている機能にも注目です。
大会採用ルール
- 1チーム9人
- 攻守5回 または 2時間経過時点での得点差で勝敗を決定
- 盗塁・牽制は不可 (※VR通信のラグ、投球・打球システムの都合によるもの)
- 「ふっとびエフェクト(※後述)」の発生はアウトと判定する
- フライをキャッチした場合は選手の申告および審判のジャッジを得る
(※VR通信のラグによりキャッチの表示ズレが起きやすいため)
試合のみどころ
ピッチング判定システムが読み合いを深くする!
VR空間では精密な位置情報の入力が難しく、更には通信ラグによってプレイヤーの見ている画面が互いに大きくズレてしまうという問題があります。
実際の野球では投球に精密さが求められますし、バッティングもピッチャーと投球に反応してスイングする必要があります。このため、VR環境の問題は野球の勝負を実現する上では相性が悪いと言わざるを得ません。
そこで、野球ワールドにはピッチャーの投球をスキャンすることでおおまかな特徴を抽出するシステムが備わっています。ボール速度や回転などを読み込み、球種や変化の度合いが再計算されるというものです。
先に狙いたい位置を指定することで、よほどの暴投でなければその方向へボールが飛んでいくという補正もかかります。これにより、VRコントローラーでは実現が難しかった安定的な投球を可能としつつ、ピッチャーは実際に体を動かせばその場で戦略を選択できるようになりました。
スキャンは一瞬で終了し、その後はバッターボックスへ実際に投球が放たれるまでのタイマーが表示されます。バッターはこのタイマーを見てバッティングの瞬間を見極められるという訳です。このひと段落が挟まることで、VRで大きな問題となる表示ズレを克服し結果的にピッチャーとバッターの勝負が可能となりました。
ピッチングがリアルのそれに比べて易しくなる分、バッターはピッチャーの動きをじっくりと眺めてから戦略を予想できるので、より読み合い重視の勝負となっています。
ふっとびアウト判定システム!?
走者へのタッチもシステム的に判定されています。もしタッチアウトされてしまうと…… なんと走者が天高く吹っ飛んでしまうことに!!
VR通信による位置ズレなどもあり、際どいタッチの差を目視で判定するのは難しく、VRChat内のコライダー衝突判定でわかりやすくしてしまおうというものです。
配信画面としても視聴者にわかりやすいアウト判定で面白そうですね。
また、ふっとび効果はあくまでもタッチアウト時のものとなり、フライキャッチでのアウトでは発生しません。こちらは選手と審判による人力での判定を行うこととなります。
思ったよりも力ワザ!? 人力で試合を回していこう
VRでのゲームワールドといえば、工夫を凝らしたギミックがその花形とも言えます。ですが、VR野球ではどうしても仮想空間の問題で厳しい部分にのみシステムの力を添えて、それ以外は参加者たちで回していきます。
人力とは言っても、ファールボールを拾いに行ったり、炎天下の灼熱地獄だったり、そんなリアル野球の面倒なところを省けるのもVRの魅力です。
今回は実際の野球に近いルールを採用しているので、審判とのやり取りや、敵対同士の塁上での会話なんて場面も見られるかも知れませんね。
泣きの土下座でリベンジマッチ!?
今回のエキシビションマッチで争うチームは、チームリーダー同士が長年のライバル関係を続けており、前回の大会で「泣きの土下座」をするハメとなったリベンジマッチでもあるようです。
ふたりは同じショートを担当しており、毎週のように勝負しているのだとか。
大舞台での勝負の行方を見守りましょう。
超高速対戦 クロスディスク R3
種目の概要
『クロスディスク』は3次元空間内でディスクを投げ合い、相手にヒットさせて勝敗を競うVR空間ならではのスポーツです。
現在は『クロスディスクR3』と『クロスディスクR4』という種目の人気が高く、R3は限られた空間の中で1対1の勝負、R4は様々な障害物のある広い空間で争うチーム戦、といった違いがあります。
メタリンピックでは『クロスディスクR3』が採用されました。似たような形式のリアルスポーツを想像するなら、テニス、フェンシング、ドッジボール…… といったところでしょうか。
クロスディスクはディスクと呼ばれる、頭サイズの輪っか状の物体を使用します。ディスクはそれぞれが所持し、投げて相手に当てたり、逆に相手のディスクを弾いて防御したりして、どちらが先にディスクを当てられるかという勝負になります。
ディスクは壁・床・天井に当たるとエアホッケーのように激しく反射します。投擲されたディスクは速度・距離・時間に応じて自動的に手元へ戻ります。そして、手元へ戻ってくる間の軌跡にも攻撃判定が残っているので、予想外の角度から当てられてしまうという戦略性も生まれています。
R3では空間も狭く、互いに当てる対象は1つのみであることから、1回の決着が極めて早いという特徴があります。場合によっては開始1秒で決まることもあるので、複数ラウンドを重ねて勝利の数を競う形式が一般的です。
大会採用ルール
- 試合開始から、どちらかがディスクを当てるまでを1ラウンドとする
- 5ラウンド先取を1試合とし、これを1マッチとする
- 本戦は8人出場 トーナメント方式
- 3位決定戦以上は5マッチ制 3マッチ先取で勝利
- それ以外は3マッチ制 2マッチ先取で勝利
試合のみどころ
一瞬一瞬の読み合い、その連続
『クロスディスク』の大きな特徴は、ディスクが攻撃も防御も兼ねているという要素です。
いくらディスクが早く飛んでいくとは言え、遠距離から放たれたディスクは目視で回避が可能で、しかもディスクが手から離れている間は防御が行えません。
壁に反射して自分の位置にディスクが戻ってきた場合は手元に保持した状態へ戻るので、位置関係をしっかり考えれば素早くディスクを回収して防御の隙を潰すこともできます。
ディスクを防御に使う場合はプレイヤーのアバター全体をカバーできないので、ディスクを頭上に掲げていれば足元へのヒットで敗北となってしまいます。上下左右の壁へディスクをどのように反射させるかが戦略として重要であり、反射の使い方は選手の個性が色濃く反映される部分でもあります。
クロスディスクを実際に遊んだことがなければ、あまりに高速であるため、すぐにはその戦略性を読み取るのは難しいかもしれません。一見して、選手たちはディスクをひたすら投げあっているように見えるかもしれませんが、ちょっとした立ち位置の違いや、相手のクセを考慮した駆け引きなどが互いに高速で繰り返されていきます。
すべての行動に意図がある
まっすぐ相手に向かってディスクを投げれば、それは「点」の攻撃にしかなりません。
狭い場所で激しくディスクを反射させれば、それは「線」の攻撃になります。
立ち位置を絡ませて相手を制御できれば、それは「面」の攻撃へと拡大します。
試合開始前は数秒間だけ、ディスクは投げられないもののアバターを動かせる時間があるので、その時点から勝負ははじまっています。試合の中で同じような行動を繰り返す選手は、もしかしたら相手への「刷り込み」を狙っているのかもしれません。外したように見えるディスク投擲が、実は相手の制御を狙ったものという可能性もあります。
仮想世界のルールではあるけれども、
同時に球技のようでもあり、格闘技のようでもある。
そんなスポーツが『クロスディスク』なのです。
海外コミュニティからも参戦ッ!
メタリンピックでの種目主催は『クロスディスク連盟』が担っていますが、海外コミュニティにも参加している選手が登場します!!
4月に行われた大会でも優勝した強豪選手で、もちろん今回のメタリンピックでも優勝候補です。
『クロスディスク連盟』では、R3とR4の初心者交流会を毎月8の付く日に実施しています。試合展開は早いですが、必要な操作そのものはとてもシンプルなので、気軽にすぐ楽しめるはずです。
CRAのアツいレーシング体験を追いかけよう
種目の概要
『Metalympic Grand Prix』は「Cucumber Rally Association(CRA)」のDJ_DAIさんが主催するモータースポーツイベントです。
CRAはCHIKUWA VEHICLE SYSTEM (https://booth.pm/ja/items/3129945)という、VRChat内で車両走行を実現するシステムを利用して運営されています。主催のDJ_DAIさんの旗振りのもと、シーズンごとに様々なアップデートが施され、毎回新たなコースや車両が作成されるなど、単体のシステムを超えた本格的な長期レーシングイベントとして継続的な活動がなされています。
既にメタリンピックの予備予選は終了していますが、なんと今回は予備予選のためのコースワールドが特別に製作されました。更にDJを本職とするDJ_DAIさんによるレース告知やリザルトを表現する動画が毎回制作されており、予備予選の結果発表動画も既に制作されています。
そして更に、なんとなんとメタリンピック本戦のための別のコースワールドも制作されているとのことですので、その内容についてはぜひ本戦の配信をチェックしてください! 予備予選よりもさらに尖った超高速サーキットになるというウワサも……?
CRAで制作されている車両とコースの体験は「VRChatだからこそできる! VRChatなのにここまでできる?」がとにかく詰まっています。
コンシューマ機に存在する著名で硬派なレーシングゲームを思い浮かべてみましょう。CRAのコースでは、VR内でほとんどそれらと遜色のない操作感が得られることに驚くこと間違いなしです。スポーツ走行のセオリーをしっかり考えて挑む必要があるので、攻略しがいのあるサーキットとなっています。
いつものVRコントローラーでも問題なく、本格的な操作を行えます。あくまでもVRChatに参加しているそのままの状態で楽しめるようになっているので、特別な準備を必要とせず、すぐに発進できます。VRだからこその手軽さと言えるでしょう。
予備予選サーキットは既にパブリック化されているので、メタリンピックに参加せずともすぐに体験可能です。
予備予選は参加希望者がそれぞれ自分でインスタンスを作成し、タイムアタック形式で記録を提出する方式となりました。予備予選上位6名がメタリンピック出場者となり、メタリンピック本戦ではフリー走行の後、予選としてスーパーラップ(スーパーポール)方式でタイムを競うこととなります。
予選のタイム順でスタートグリッドを確定し、決勝サーキットへと進むという流れになります。
スーパーラップ(スーパーポール)方式
まずひとりの選手がコースへ入場し、1週するごとに次の選手がコースへ順繰りに入っていく方法。入場した選手は規定の周回を走行し、そのタイムを記録とする。
一斉走行ではタイムアタックとして正確性を欠き、ひとりずつの走行では時間がかかりすぎることから考案された方式。現実のレースでは、後半になるほど路面やタイヤの加熱具合などで有利となりやすいという指摘もある。
大会採用ルール
- 予選はスーパーラップ方式によるタイムアタック
- 決勝スタートグリッドは予選タイムで決定する
- 決勝は6選手同時スタートを行い 着順で勝敗を決定する
- 車両同士の衝突判定は無し
- 車両によるスリップストリーム効果の影響は反映される
- 予備予選と異なり、コースアウトによる失格は無し
(※ただしあまりにも意図的なショートカットが続く場合は失格となる) - 規定周回は20周前後を予定
本戦のみどころ
まずは車両の迫力をチェックしよう!
これがVRChat内のコミュニティの手で作られたものなのか? と、にわかに信じがたいレベルで作り込まれているコースや車両に注目しましょう。
エンジン音の迫力もさることながら、VRChatでは本来無効化されている(※Unityでは通常有効となっている)ドップラー効果をわざわざ再実装して実現しているのも驚くべきポイントです。
残念ながら本戦の放送では細かくチェックするのは難しいかもしれませんが、車両の作り込みもみどころです。このあたりは、また別の機会で特集したい!!
なんと言っても専用に作られたサーキット
CHIKUWA VEHICLE SYSTEM はVRChatで車両走行システムを構築できるUnityAssetです。車両の性能や挙動を細かく制御できるので、様々な種類の車両を同時にワールドへ提供できます。
予備予選のコースで既に練習が重ねられていることから、本戦では別のコースを用意するというのは理に叶っているとは思うものの、本当にやってしまえるかどうかはまた別の問題です。これだけでもものすごい熱量なのがわかります。
しかも、本戦のコースは当日のフリー走行まで選手たちでも体験できないとのことなので事前のやりこみは通用しません。緊張感のあるレースが楽しめることでしょう!
カメラワークに自信アリ!
毎回のシーズンで動画を制作していることもあり、CRAは映像への自信も覗かせています。それを支えるのが、ワールドに実装された撮影用カメラワークシステムの存在です。
人間の手による遠景アングルだけにとどまらず、実際のレース中継のような迫力のある配信を楽しめることでしょう。
スプリントレースへの想いとコミュニティの強さ
主催のDJ_DAIさんによれば、これまで大会レベルではタイムアタックレースしか開催できなかったそうです。アップデートや新規コースの投入を続ける中で得られた知見、そしてメタリンピックという大舞台が重なったことで、いよいよスプリントレースの開催を決意したとのことでした。
新規の2コースを導入し、初のスプリントレースということから、DJ_DAIさんをして「何が起こるかまったくわからない」と期待と不安を滲ませています。
これらの圧倒的なアップデートはコミュニティへ参加する人たちのアツい熱量が土台にあることも見逃せません。優勝候補にはなんとブラジルからの参戦選手もいるそうです。
更にコミュニティでは、CHIKUWA VEHICLE SYSTEM を利用した「走り屋」をテーマとした映画の制作も進められているとのこと。
新規参加者への間口も
興味がある方はCRAの関連インスタンスへどんどん参加しましょう!!
現在であればメタリンピック予備予選のワールドが立つ可能性が高いだろうと思います。フレンド+で作られることが多く、自然と集まっていくことが多いようです。
とはいえ、定例会のような形も模索されており『仮想自動車部』と題して、土日のどちらかの開催も企画されています。
VRCボクシング で「リアル」を感じろ!
種目の概要
『VRCボクシング』は、リアルなボクシングをVRChat上で実現するべく日々進化しています。実際に腕を動かして打撃を狙う訳ですが、スピードや角度といった要素が判定されるので、結果的にきちんとボクシングしている動きが求められます。
テレビゲーム的なルールで必ずしもリアルの腕力を要しないeスポーツモードや、ガードやヒットを厳しく判定するリアルモードなど、デジタルの世界だからこそ可能な幅広さが確保されており、ゲームワールドとして技術的なレベルの高さも見逃せません。
『メタリンピック』ではリアルモードが採用されます。選手たちの激しい息づかいに、きっと手に汗握る観戦が楽しめるはずです。
大会採用ルール
- 1ラウンド2分 2ラウンド制
- 3ダウンを奪うか タイムアップ時点で多くダウンを奪った方の勝利
- タイムアップ時のダウンが同数の場合は、残りの体力値で判定
- 特殊事例として、スタミナが少ない状態でダウンし、そのままKOとなった場合は敗北
- 「リアルモード」を採用
- 本戦は8名出場 トーナメント方式 2名がシードとして予選免除
試合のみどころ
ホントにやってる体力勝負を応援しよう!
リアルモードでは常に腕全体がガード判定として機能します。アゴやみぞおちは特にダメージが高くなっているので、しっかりと腕を上げてガードを固める必要があります。互いのグローブには物理判定の処理があり、強引にすり抜けてしまうような戦法は通用しません。
試合ともなれば選手たちはなりふり構わず激しい息切れを起こしますし、後半はパンチのスピードやガードで上げる腕が落ちてくるなど、本当の体力勝負をVR世界で観戦できるでしょう。
どうやって勝負を進めるの?
体力の初期値は80。パンチのダメージは最小が1、最大が10の幅で変動します。ダメージはパンチの角度やスピード、当てた位置が反映されます。
ガードとヒットには専用のサウンドが響き渡り、大きいダメージには激しいサウンドが鳴るので観戦の参考になるはずです。
スタミナという値が存在し、ボディへのダメージを食らうことで減少します。スタミナが低すぎる状態ではダウンから復帰できずにそのままKO負けとなるリスクが発生します。
ダウンすると体力の最大値が10減った状態でリセットされます。その場合、ダウンを取った側の体力は回復せず継続となります。試合としてはダウンを先取した側が有利ではありますが、ダウン直後の攻防は選手の心理的な変化が起こりやすく駆け引きが面白い場面です。
リアルの身体が勝負を分かつ
移動は原則としてVRコントローラのスティック操作を使用し、リアルモードでは選手の移動がかなり遅めに制限されます。ただしリアルの身体の動きには制限がないので、自宅の面積を利用し、実際の身体の動きでパンチを回避したり飛び込んで攻め込んだりといった戦術が、各選手の強い個性として現れてきます。
ガード自体にはデメリットがなく、相手のパンチを無効化します。一見激しく攻められている選手のように見えても、冷静なガードと反撃で勝利するといったパターンもあります。体力に自信があったとしても、ただそれだけでは勝利を得られない…… 想像以上に幅広い選手たちの戦術を楽しめるはずです。
「アメリカ・韓国・日本」注目の3カ国混合選手陣!!
『VRCボクシング』はメタリンピックでもっともグローバルな大会となりました。
今回の本戦トーナメントには、アメリカから2名、韓国から1名、日本から5名の出場が決定しました。『VRCボクシング』が開催している日頃の練習インスタンスでも多くの言語が飛び交い、お互いに片言ながら知っている単語を駆使してボクシングを教え合っています。
特に韓国から参戦する選手は、以前の日韓合同試合での優勝者で韓国内でもエース的存在として知られているようです。また、アメリカには日本の『VRCボクシング』とはまた別のコミュニティが存在しているらしく、今回の2名はアメリカでも強豪に入るとのこと。
日本ではシードとして出場する優勝候補選手が連続して記録を残す中、毎回決勝トーナメントでぶつかるライバル的な選手が今回も登場します。この選手は段々と記録を伸ばしており、いよいよリベンジなるか!? と注目されているようです。
フィットネスにも最適!? 『VRCボクシング』に参加しよう
『VRCボクシング』は木曜日と日曜日 21時から練習会が開催されています。最近では多くのプレイヤーが参加し、インスタンスを分割することもあるようです。また、これを受けて初心者を対象とした体験会も企画されています。
想像以上に激しい動作となるので、メタリンピック採用種目の中ではもっともリアル身体の運動量が高く、フィットネスとしても最適なはず!? ひとりで練習できるギミックもワールドに実装されているので、みんなの練習音を聞きながらもくもくと打ち込むことだって可能です。
「ただのVRゲーム」じゃあ収まらないぜッ!
ここに紹介した6種目は、ただゲームワールドが存在しているだけではありません。
そこにはコミュニティが存在し、歴史が刻まれ、アップデートを重ねて今があります。リアルに存在する種目も、VRでしか実現できない種目も、どれだけ仮想空間だと言ってみても、対戦には相手が必要です。
本来であれば、場所や距離、費用や設備といった側面から、地域に根ざした活動が基本となるはずです。VRだからこそ、そうした垣根を払い除けて一瞬で参加できる奇跡が起こせたのだと言っても、決して大げさな表現ではないと思います。
それでも、VRChatの中でコミュニティを見つけること…… 自分の居場所として見つけることが難しいことには変わりません。しかしながら、6種目への取材を通してお話をして頂いた主催者の皆様は、暖かく、アツく迎えてくださいました。
これだけ現実の壁を取り払えるVRのコミュニティだからこそ、ぜひ最初の一歩を踏み出して、楽しいゲームの時間を共有して頂ければと思います。メタリンピックの配信を通じて、そのチャンスが皆様にとって近いものとなることを願います。
大会開催直前のお忙しい中、取材のご対応をいただいた各主催者の皆様には大変お世話になりました。ご協力をいただき、誠にありがとうございました。
投稿者プロフィール
-
全然生活なりたってない人です
記事中でTrasque本人が使用しているアバターは
以下に権利表記を示すとともに、直接使用許諾の確認を頂いております
・『ナユ』『プラチナ』:有坂みと 様
・『キプフェル』:もち山金魚 様
・『ヌノスプ』:©トノダショップ 様
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