去る10月14日、ミルクちゃんアイドルグループ『MilCrysta(ミルクリスタ)』のDJ部によるイベント『MilCrysta DJ Party at Club Regulus Delta』が開催されました。
目次
『MilCrysta』とDJ部について
いわゆる「こまどアバター」のひとりとして知られる「ミルク」ちゃんの可愛さを広めるために結成されたアイドルグループ「MilCrysta」に在籍しているDJ達によって結成されたのが「DJ部」であり、今回のイベントが(DJ部単独でのイベントとしては)3回目になります。
MilCrystaの詳しい活動内容や今年(2023年)6月に開かれた第2回のイベントについて、バーチャルライフマガジンに記事が掲載されていますのでそちらもよろしければご覧ください。
前回イベントも「ミルクちゃんのアイドルグループによるDJイベント」という言葉からは想像出来ないぐらい格好良いDJプレイが行われたのですが……
今回のイベントは、前回と比較するのが難しいぐらい格好良く、スケールの大きなものでした。
イベントの詳しい内容について、当日の写真を交えて紹介していきます!
イベント当日の様子
会場『Club Regulus Delta』
今回のイベントの会場は『Club Regulus Delta(クラブ レギュラス デルタ)』。1年半ほど前(2022年3月)に開催されたVRChat上での同名DJイベントの会場として制作されたワールドです。
MilCrystaDJ部の一員である『Rin*』さんがこのワールドにほれ込み、ワールド製作者であるKeisuke Kimuraさんに直接働きかけて今回の会場レンタル(使用許可)およびイベント開催にこぎつけた、という経緯があります。詳しい内容は記事後半のインタビューで。
一人目 Crim Nanakusaさん(ゲスト)
一人目のDJはCrim Nanakusa(七草くりむ)さん。VRDJとしての活動のほか、ハウスミュージックなどのいわゆる『四つ打ち系』と呼ばれる楽曲の制作配信も行っている方です(リンク先はCrimさんのBandCampページ)
イベントの開始直後から、遠くにあるDJブースを取り囲むように半透明の立方体のスクリーンが現れ、回転を始めました。
これは会場である『Club Regulus Delta』の最大の特徴であり、ここでは「半透明の6枚のスクリーンの配置を立体的に変える事が可能」なのです!
Crim NanakusaさんのDJプレイも、この映像表現に負けないぐらい力強く美しいテクノミュージックを見せてくれました。
二人目 Q330さん(ゲスト)
二人目のDJは、以前行われた『Club Regulus Delta』のイベントの出演者でもあるQ330さん。VRChat上のDJイベントであるSoundbarMéllonの店長を務めるほか、リアルでもトラックメイカー(作曲家)・DJとして活躍しているQ330さんのこの日のDJプレイの中心はCrimさんと同様のテクノミュージック。
会場はスクリーンだけでなく、DJの周りにある赤い台座の一部も回転・移動を始め、スクリーンに映し出される映像と相まって今まで見たことが無い風景が広がっていました。
VJとしてこの映像表現を行っていたのはゲストのyadex205さん。リアルとVRの両方でVJ・DJとして活躍している彼がCrimさん、Q330さんのDJプレイ時のVJを担当していました。
三人目 Rin*さん
三人目はMilCrystaDJ部のメンバーで今回のイベントの発起人でもあるRin*さん。
綺麗で透明感のある音が特徴であるトランス音楽をメインにした構成でのDJプレイでした。
Rin*さんからVJが交代となり、前回のDJ部イベント後の7月にMilCrystaに加入したvj novuさんが映像表現を担当。
novuさんはVRChatの公式カウントダウンイベントである『NEW YEARS 2023 VRCHAT SQUARE』(#VRCNYE2023)にVJとして出演するなど、VRおよびリアルの各種イベントでVJ・DJとして活躍されている方です。リアルを含めたVJのキャリアはなんと16年以上とのこと。
四人目 Rumiさん
最後のDJを務めたのはMilCrystaのリーダーであるRumi(るみもこう)さん。
ゴアトランス・サイケデリックトランスから(ハードテクノと呼ばれることもある)シュランツを経由し、最終的にダブステップの一種の『カラーベース』の曲で終わるという構成のDJプレイでした。
MilCrystaに在籍しているもう一人のVJであるらぎ汰さんも今回のイベントに参加しており、ワールド内のVJシステムの管理やnovuさんの補助を行っていました。
『HardStyle』『HardCore』といった攻撃的で高速のダンスミュージックを得意とするRumiさんにとって今回の選曲は「初めて手掛けるジャンル」だったそうですが、イベントのトリを飾るにふさわしい素敵なDJプレイを行っていました。
まとめと感想
筆者は今回のイベントで『Club Regulus Delta』というイベントおよびワールドを初めて知ったのですが、本当に初めて体験する種類の映像表現でした。
DJ・VJの皆さんもワールドの雰囲気に合った演奏・映像を繰り出していて、3時間弱というイベント時間があっという間に感じるほどに夢中になっていました。
周囲の観客からも「すごい」「かっこいい」「アイドルグループってなんだろうな……」という声が聞こえており、筆者だけでなく会場に居た多くの人に強い印象を与えたイベントになったのではないかと感じています。
MilCrystaメンバーインタビュー
今回のイベントについて、MilCrystaメンバーのうちRin*さん、Rumiさん、novuさんにお話を伺ってきました。
イベント開催に至る経緯について
ー今回の『Club Regulus Delta』でのイベント開催はRin*さんのワールド製作者さんへの働きかけがあっての事と聞きました。Rin*さんが今回の会場を知り、イベント開催に至った経緯について教えてください。
Rin*さんに教えていただいた記事がこちらになります。
#CLUB_REGULUS の映像演出に度肝を抜かれた話|Takaomi (note.com)
その記事でKeisuke Kimuraさんがワールド制作に関わっているのを知って。その内容に魅力を感じたので直談判した感じですね。
ーKimuraさんに「Club Regulus Deltaでイベントを開きたい」と声を掛けた、という事でしょうか?
実はちょっと違いまして。2022年3月ごろにClub Regulus Deltaのイベントをやっていたという事をその記事で知ったんですけど、その時私まだVRChat始めてなかったんですよ。
(1年半前の開催以降イベントが休止状態だったので)私はこの『Club Regulus Delta』っていう会場を見ること自体ができないし、過去にあんなに素敵なイベントがあったのに今後もそこを知ることもできない、っていう思いがあったので。Kimuraさんに「空いてる日でいいので(Club Regulus Deltaの)ワールドに連れて行って欲しいです」みたいな話をしたんですよ。単純に「ワールド見せてください」ってだけの。
Rin*さんがVRChatを始めたのは2022年6月からですが、リアルでは2017年ごろから関西地方を拠点にDJを行っており、同じく関西地方でDJとして活動しているKeisuke Kimuraさんとは以前から面識があったそうです。
Kimuraさんはすごく優しくしてくれて、DJさんを呼んで頂いてその時のイベントの再現をなんとしてくれたんですよ!2時間とかそれぐらい。
それを見て「私が求めてたのはこれだ」っていうのになって。
その時はまだ「この会場で私がDJさせて貰うなんて、とんでもない」と思ってたんですよ。
でも、Rumiちゃんを会場のワールドに招待して見てもらって、いろいろ話している中で「じゃあちょっとこれ、ミルクリ(MilCrysta)でやろう」という話の流れになって。背中を押してもらった感じだったんですよね。
その時はまだ「こういうイベントやりたいな、やれればいいなあ」という感じだった気がするけどね。
僕も見せていただいたんですけどめっちゃ凄くて。でも確か、当時考えてたのは「こういう(Club Regulus Deltaみたいな)ワールドを作れたらいいな」とか思ってたぐらいで、そこでやるとは全く思ってなかったですね。
ワールドが凄すぎて、僕らじゃ出来そうにないなって。
ここでDJするような技術を持った知り合いもいないしVJもいないし。
当時らぎ汰は……(VJとしては)居なかったか。
らぎ汰さんが立候補してVJを始めるようになったのは今年(2023年)6月からであり、この話の当時(2023年5月)のMilCrystaにVJは在籍していませんでした。
また、『Club Regulus Delta』においてVJは
「6面のスクリーンに映像を映す」「DJが映るサブスクリーンのカメラ操作」「スクリーン及びDJブースのオブジェクトの変形・回転」「ワールド内のライティング(照明)の変更」
といった多くの作業を同時に行います。ここでVJを行うには他の場所以上に高い技術と判断力が必要なのです。
7月にnovuさんがミルクリに入ったんですよ。新しいメンバーとして。novuさんだったらその経験とかでこの『Club Regulus Delta』のワールドでも頑張ってやっていただける、というインスピレーションが沸いたので。
実際にイベントの企画を立てて、Rumiちゃんに背中を押してもらいながら形にして行った感じですね。
イベントのゲスト招へいにあたっても、novuさんからDJのQ330さんとVJのyadex205さんを紹介してもらった、とのことでした。
ー「休止していたワールドを引き継ぐ形で今回イベントを開催した」という事だと思うのですが、Kimuraさんからはどのような話があったのでしょうか?
Kimuraさんにワールドを実際に見せていただいた時に「もし、なんですけどここでイベントやりたいと思った場合はどういった感じで話を進めればいいんですか?」って一応聞いたんですね。
その時「ぜひ、やってくれるならやってもらっていいよ」って話をいただきまして。Club Regulus Deltaのワールドでイベントを開く事について「よろしくお願いします」という感じで言ってくれました。
今後の展開
ー『Club Regulus Delta』での再度のイベント開催も含め、今後の予定はあるのでしょうか?
これは完全にRin*ちゃん次第なんだけどなあ。
俺はもう一回やりたいな、って思ってます。面白かったし。
実際にDJにあんまり興味ない人にも結構評価していただけたんで、MilCrystaのDJ部としても、「こまどアバター」のDJ界隈への興味がこれで伸びてくれればと思ってるので。
あと、シンプルにめちゃくちゃ楽しかったんで。
MilCrystaのDJ部は他の「こまどアバター」アイドルグループとのDJイベントも行っており、先日10/23にはSugaryRabbit、SummerSweet!とのコラボイベントが行われていました。
(参考:https://x.com/Mil_Crysta/status/1712392667450286484)
私、今回イベントやって本当にみんなに凄いプラスの影響があったと思ってるんですよ。
今回ミルクリのVJで入ったらぎ汰ちゃんにもワールドギミックの一部をやってもらって、らぎちゃんにもすごく影響あったと思うし。
novuさんもこういうワールドでVJやったことが少ないって話だったので。
このワールドだけに限らないんですけど、現実だと大変な、できない表現ができちゃうからそこがやってて楽しい。長くやっててもリアルだとこういうのはなかなかやる機会がないんですよね。
VJって常に考えてるんですよ、「どのように(映像を)出せばいいか、この立方体のスクリーンがこう回ってる時にこの映像を出せば恰好いいんじゃないか」って。
そういう学びがあるから、いい経験をさせてもらってるって感じですね。
私もRumiちゃんもDJめちゃめちゃ楽しかったし、こういう経験をもっと生かしていきたいな、というのはありますね。
実際にこのイベントに来たミルクリの他のメンバーも、このワールドのギミックを見て「こういったワールドを作りたい」っていう風に言ってたりしたので、ミルクリ全体でもっと進化していけたらいいな、と思ってます。
経験を生かして、みたいな。
すごい経験ができた。ゲストさんも呼んだし告知もがっつりしたし。
※ポスターの他、Rumiさんは告知動画を、Rin*さんはアフタームービーをそれぞれ作成し、X(twitter)内で公開しています。
VJ・DJに聞く「リアルとVRの違い」
ーRin*さんとnovuさんがリアルでのクラブ経験も豊富な方と聞いてお尋ねしたい事があります。リアルとVRのクラブの違いってどこでしょうか?
違い……あるといえばあるけど。
とにかく、VRの方はイベントがすごく多く見れる。
あと、リアルだと箱代(会場となるクラブのレンタル料)とかお金の関係とかあるから、DJさんとかもイベントの告知に凄い力を入れたりするんだけど。
VRChatだとそれはあんまり強くないかな。
けっこう直前の告知だったりするよね。
VRクラブイベントのいいところは会場代や入場料がかからないところ。リアルで駆け出しのDJが出てもほとんどお客さん来ないこともあるけど、VRChatだとフレンドの人が来てくれる。
VRだとDJデビューした時のほうがお祝いにお客さんが来てくれるけど、現実だと逆のことも多いよね。
リアルのクラブは開催するにも参加するにも料金が発生します。参加者目線で見た場合、入場料に加えて交通費や会場でのドリンク代といった各種出費が必要であり、VRでのクラブイベントのように気軽に遊びに行けないのが実情です。
始めたばかりでもたくさんのお客さんの前でDJできる、っていうのがすごく大きいですね。
VRクラブイベントの開催頻度も「経験を積める」という意味ですごく大きい。リアルDJが1年で得る経験値を、VRChatだと半年とか3ヶ月とかで得られちゃう。
現実で人気のあるDJでも(出演できるのが)土日全部出るとして月8回とかなのに、やろうと思えばVRだと平日もあるから月に15回とか20回とか出来ちゃうから。本当にVJ・DJ養成場って感じ。
VRの方が敷居は本当に低いよね。
いっぱいのお客さんの前でやれると自信になるしね。
Twitchのような動画配信だと直接お客さんの反応は見れないけど、VRChatだと自分が会場のワールドに居ればお客さんの声が直で聞けるから。下手したらリアルのDJよりも声が聞こえてくるまである。
リアルとVRの違いって、VJだとどうなの?会場によって違うってのはあると思うけど。
プロジェクションマッピングや透過スクリーンをリアルでやってた事もあるけど、そういうギミックをそこまでお金や人手をかけずにできるのは素晴らしいよね。設営するだけでも大変なので。
LEDパネルを使えば「動くスクリーン」はできるけど、変形させるところまで行くと予算がすごいことになる。「技術さえあれば大規模フェス並のギミックが実現できるかもしれない」のがVRならでは。
出演者からのひとこと
ー最後に、読者に向けてのコメントをお願いできればと思います。
第2回もあるかもしれないので。ぜひミルクリのtwitter(X)
の方を見ていてください!
ミルクリのDJ部の方も。進化した私たちにぜひご期待ください!
これからも、どんどん面白い表現をしていきたいですね。この会場(Club Regulus Delta)やイベントもそう。
これからの活動にご期待ください!
まとめとMilCrysta次回イベントの紹介
『MilCrysta DJ Party at Club Regulus Delta』は、主催のRin*さんの「こんな『Club Regulus Delta』という素敵なワールドを見れないなんて!」という強い思いが発端となって開催されたイベントでした。
VRという場所は「現実では出来ない表現が出来る場所」であると同時に「現実以上の密度の経験が得られる場所」なのかもしれません。
家に居ながらにして日本のみならず世界中の人と交流したり、多彩な表現に触れたりする事でたくさんの経験を得て、その経験を他の人に伝える事ができる。
その「経験を他の人に伝えていく」現場を今回自分は目の当たりにしたのかもしれない、とこの記事の取材および執筆を通して感じています。
「MilCrysta ハーフアニバーサリー」10/29(日)開催!
最後に、MilCrystaの次回イベントについて紹介します。
10/29(日)にMilCrystaの結成後半年を記念したイベントが開かれ、当日はDJ部とミルクリダンス部(リンク先はXのハッシュタグ)合同の発表も行われる予定とのことです。
本記事でMilCrystaに興味を持った方、DJ部以外の活動内容が気になる方はぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。
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自分がVRChatでDJをしていて「ワールドのギミックなどを使った空間とか映像の綺麗なところでやりたい」と思って会場を探してたんです。
色んなところ回ったり、ネットで検索したりするうちにこの『Club Regulus Delta』について紹介した記事にたどり着きました。