そんなことまで話していいんですか!? 『ノゲノラ』作者・榎宮祐先生のトークイベント『物づくり語り』がすごかった

2022年6月23日(木)、『VRChat』でライトノベル作家・榎宮祐先生によるトークイベント『物づくり語り』の第2回目が開催されました。

『ノーゲーム・ノーライフ(以下:ノゲノラ)』を代表作に持つ榎宮先生。2021年12月を境に『VRChat』に降臨し、そのガチなドハマりっぷりがファンだけでなく、『VRChat』のユーザーの間でも話題となっています。

今回のイベントは、そんな榎宮先生が、クラブイベント『Sara’sBuddy(オーナー:@sara_azura)』提供のもと、来場したゲストと1時間のお喋りを楽しむ特別企画。そんなイベントに同席する機会をいただくことができました!

♦榎宮祐さん Twitter
https://twitter.com/yuukamiya68
♦Club Sara’sBuddy Twitter
https://twitter.com/SarasBuddy

榎宮先生の“マジ”トークが聴ける1時間

(左)榎宮祐先生 (右)ゲストのおふたり

当日のゲストとして来店されたのはおふたりで、揃って、榎宮先生のTwitterをきっかけに『VRChat』を始めたとのこと。なお、イベントに参加できるゲストは先着順で2名(開催日によって変動)という超狭き門であり、幸運にもその切符を手に入れたことに「まさか自分が参加できるとは思わなかった」と口を揃えていました。

そんなおふたりがソファに座り、斜め横に榎宮さんが着席する形で、イベントはスタート。憧れの人が、手を伸ばせば届くような距離感に居るというわけですから、最初は緊張気味だったゲストのおふたり。しかし、ご安心を。周りには『Sara’sBuddy』のオーナーやスタッフさんも同席して、給仕をしつつ話題をサポート。すぐに笑いが生まれ、なごやかな雰囲気でトークがくり広げられていきました。

一方、主役の榎宮先生といえば、タバコを片手に、おふたりの質問にしっかりと答えながらマジトーク。文章の書き方や、「エロが一番好きだから、本当のエロは書かない」というクリエイターとして考え方など、ラフな口調でありながら、先生の真面目さを感じさせる内容が語られていきました。講演会というよりもインタビューの現場に近いマジの雰囲気です。


時には『ノゲノラ』に関する話題も飛び出し、「本当はもっと気軽に書く予定の作品だった」という裏話や、「主人公であるシロとソラは、理想の天才像を体現したキャラクターたちであると」いった、インタビューでも語られたことのない真面目な話が、ぽんぽんと飛び出していくので、筆者も驚きです。ズラした赤縁眼鏡がチャームポイントの、バッチリ改変したカリンちゃんというお姿で、かわいらしく動きながらお喋りされているので忘れそうになりますが……。飛び出す内容を聞いていると「目の前にいる娘は、本当に榎宮先生なんだなぁ」としみじみ思ってしまうのでした。

榎宮先生を追って『VRChat』を始めるほどファンであるゲストのおふたりにとって、特別な時間になったのは間違いないであろう本イベント。1時間にわたって密度の濃い会話が飛び交いあっという間に終了。最後は仲良く記念写真を撮って閉店となりました。

榎宮先生にお話を聞きました!

イベントの終了後、トークを終えた榎宮先生とお話する時間をいただき、本イベントについてをうかがいました。

――お疲れさまでした! とても貴重な内容も多くて、正直驚きました!

榎宮祐(以下、榎宮):お疲れ様です。個人的に、“今回は”わりとおとなしい内容だったとは思いますが……(笑)

Sara’sBuddyスタッフ:第1回のほうが、内容としてはヤバかったですね。正直、今回も記事にできるかなって思ってました(笑)

――榎宮先生はこういったイベントをされるイメージがなかったので、ここまでガチなトークイベントになるのは意外でした。

榎宮:確かに、『VRChat』を始めるまでは、本当にこういった機会はありませんでした。そもそも、作家として、自分の創作論を語るタイプではないですから、今までは話すとしても編集の方にのみだったと思います。まして、ファンに語る機会なんて、ありえませんでした。

――『VRChat』でこういったトークの場を設けるに至った経緯はなんなのでしょうか?

榎宮:今の時代、ここまでクローズドな場でお話できるのはかなり貴重なことだと、僕は思うんです。例えば、今日、お話した些細なことでも、SNSやイベントはもちろん、こういったインタビューなど、みなさんが見えるような場所で言葉にしてしまうと、予想のできない波を立ててしまう危険性をはらんでいます。

――先生ほどの知名度となると影響力も大きいですから、そういったことを気にしなければなりませんよね。

榎宮:実際、僕がただ『VRChat』で遊んでいるだけでも、フレンドさんがアップロードしたツーショットに、苦情が届く事件があったんですよ。貴方みたいな人が、なんで先生に近づいているの?」みたいな言い分でしたけど。

――それは、なんとも身勝手なお話ですね。

榎宮:その話を聞いた時には「よっしゃ、もっと撮りましょうよ!」って、さらに撮りました(笑)。しかし、自分がそのような立場に居るのは理解していますから、個人の意見を話す時には、表に出ない場所で話すくらいしかできません。そして、ファンの方に、現実でそういった機会を設けようとしても、握手会での数分が限界です。

――そこで活用できたのが『VRChat』だったと。

榎宮:『VRChat』では、とても気軽に場所を用意できますし、人と会話するハードルも低いです。『VRChat』で遊んでいると、ファンの方とじっくりとお話させていただく機会も増えました。それならば、人を集めて、話す場所を用意するのも面白いかもしれない。……と、『Sara’sBuddy』のオーナーであるサラさんに話したら、とんとん拍子で形に(笑)。

Sara’sBuddyスタッフ:『物づくり語り』は我々にとってプラスになる活動なのはもちろんですが、それ以上に、イベントとしてワンクッションを作ることで、榎宮先生を守ることに繋がると考え、『Sara’sBuddy』の提供を提案させていただきました。例えば、イベントに参加するにはフレンドの承認が必須となります。それを、先生のアカウントで管理しようとすると大きなリスクを抱えますが、我々がその仲介をすることで、先生にご迷惑のかからない形にできるのです。

榎宮:今でさえ、僕がpublicに居るだけで、インスタンスのみなさんをザワつかせるのに、参加希望者のフレンドを全部承認していたら、僕が楽しく『VRChat』をプレイできなくなってしまいます(苦笑)。そういった部分をすべて引き受けてくれるので、本当に助かっています。

――本来はイベント事務所でやるような役割を『Sara’sBuddy』で引き受けていらっしゃるわけですね。

榎宮:『VRChat』のユーザーには、びっくりするほどガチなクリエイターさんが、たくさんいらっしゃいます。しかし、現実の活動をおおやけにしてしまうと、自由に遊べなくなったり、トラブルを抱えてしまう立場の方も多い。そういった人をサポートする場として、こういった形のトークイベントは、とても需要があると思いますね。

Sara’sBuddyスタッフ:私どもとしても、先生はもちろん、そういったクリエイターさんが気軽に語られる場所として、今後も場所を提供していきたいと考えいます。本日は2名という定員でしたが、それも、今後どのくらいの規模でやるのがベストかを探っている最中の人数で、今後は増やしていく予定です。

――先生も、今後も定期的に『物づくり語り』でお話される機会があるのでしょうか?

榎宮:はい。今後も、無理のない範囲で開催したいです。普段は“話さない”だけで、”話す”ことは楽しいですから(笑)。

(左)『Sara’sBuddy』オーナー・サラさん (右)榎宮祐先生

クラブでの開催ということで、榎宮先生が飲みながら気軽な雑談をくり広げるのかな……と思いきや、蓋を開けてみればマジのトークイベントだった『物づくり語り』。その裏には榎宮先生の“話したい”という想いと、それを支援するべく動く『Sara’sBuddy』スタッフの深い理解、その先を見据えた考えがありました。榎宮先生だけでなく、より多くのクリエイターさんが、こうしたトークイベントを気軽に開催できるようになれば、とても楽しいことになりそうですね!

今回、取材にご協力いただいた榎宮祐先生は、MF文庫Jで『ノーゲーム・ノーライフ』を連載中。ライトノベル最新刊の11巻は現在好評発売中。アニメ版もとても面白いので、あわせてご覧くださいね!(アニメ2期の発表待ってます……!)

■『ノーゲーム・ノーライフ』MF文庫J オフィシャルウェブサイト
https://mfbunkoj.jp/product/ngnl/

加えて、『Sara’sBuddy』のオーナーが運営する新イベント・彼岸旅館『逢曲時(おうまがとき)』が、7月22日(金)23時にオープン! 和の世界観で、和服美女が各部屋で接客と舞を披露等するイベントとなっています。こちらも要チェックです!

■彼岸旅館『逢曲時』 公式Twitter
https://twitter.com/oumagatoki_vrc

投稿者プロフィール

翡翠ミヅキ
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ライター業を営む鳥類魔術師Vtuber&バーチャルフォトグラファー。『ファミ通』『Up-Station』他、多数の企業媒体で執筆中。大好きを発信し続けております。アニメ、ゲーム、ダイビングのことならお任せください。詳細はTwitterへ!