制作期間1年半の超大作ワールド『PROJECT:SUMMER FLARE』紹介!

 美術史において、印象派の画家を語る際にクロード・モネの名を欠かすことはできないように、VRChatのワールドクリエイターを語る際に欠かすことのできない人物が居る。それがヨツミフレーム(y23586)氏だ。

 メディアアート展『1%の仮想』や謎解きワールド『アスタリスクの花言葉』で界隈を賑わせた同氏の新作ワールド『PROJECT:SUMMER FLARE』が2021年9月23日にVRChat上で公開された。2020年2月に制作開始された本作は製作期間およそ1年半というほどの大作であり既にSNS上でも大きく話題になっているが、本記事でも同ワールドを紹介しよう。

(夏を感じずにはいられない景色の数々。一枚目アバターは筆者)

 炎天下のビーチ、クリアブルーな水族館、そして蝉の声が響く神社……、と一見それは郷愁を誘う真夏のワールドのようだが、この『PROJECT:SUMMER FLARE』の主題はそういった「雰囲気を楽しむための場所」ではない。

 上記のトレーラー映像を確認してもらえればわかるが、このワールドは「敵」が現れることもあれば銃を撃つこともある「体験型アトラクション」ワールドなのだ。プレイヤー達は広大なワールドを探索し、謎を解き、シナリオを前に進め、エンディングを目指す……といった内容である。1~4人の想定プレイ人数(最大8人)で、複数名での体験も可能だ。

 本記事ではシナリオのネタバレ等は行わないが、ここまで読んで興味を抱き、一切の事前情報なくワールドを楽しみたいという方はここで切り上げ、今すぐにワールドを体験してきて欲しい。なお、『PROJECT:SUMMER FLARE』はいわゆる「ホラーワールド」ではないことをここに記しておく。

圧倒的なクオリティとボリューム

 実際に体験してきた筆者の感想として、特筆すべきはその完成度の高さだ。精巧に練られたシナリオや謎解き&アクションの面白さもさることながら、細かな部分の「演出」が中でも素晴らしいと感じた。ワールド内でスイッチを押したり、モノを持ち上げるといった細かい所作にはそれ専用のSEが設定されており、VR体験の没入感をこれ以上なく高めている。

圧倒的没入感の中、大迫力で姿を現す大型機械!

 また、ワールド内でオペレーターと通信を行うシーンがあるのだが、その通信用のタブレット端末がスゴい! 一見空中に浮かぶ不思議なオブジェといった見た目だが……触ると中身が展開し、タブレット端末に変形するのだ! 筆者はこれを体験した際、興奮して声を上げてしまった。商業作品にも引けを取らないほどの演出ギミック、これだけでも間違いなく一見の価値アリである。

一見ただのオブジェだが……
プレイヤーが触ると高速展開!
通信用タブレットに変形!

 内容も大ボリュームだ。筆者は初見プレイでエンディングを見るまでに3時間ほどの時間を要した(6名でのプレイ)。一部の謎解きにやや苦戦したが、プレイ中は目まぐるしい展開とその演出に圧倒され夢中になるほどだった。友人と共に体験すれば忘れられない夏の思い出になるだろう。文句なしのオススメだ。

VRChatのワールド体験として歴史に残る作品

 制作者のヨツミフレーム氏はこの『PROJECT:SUMMER FLARE』を『VRインスタレーションプロトコル』と名付けている。「インスタレーション」とは「場所や空間全体を作品として体験させる芸術」のことで、まさにVRChat上で体験するワールドに相応しい命名だ。「プロトコル」とは「データを通信する際の決まりや約束事」のことだが、それがどういった意味を持つのかは、ぜひこのワールドを”プレイ”し、自分の目と耳、そしてその身体で確かめて欲しい。

ワールドに遊びに行く

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カエサル
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