
2025年2月から3月にかけて開催された『Sanrio Virtual Festival 2025』(サンリオVfes)。
毎週末のアーティストパフォーマンスでは、VRChatで活躍するアーティスト、クリエイターたちによるステージが披露されました。
その中でも3月2日に行われた『QuestMaker featuring サンリオキャラクターズ』では、PC、Quest(Android)の分け隔てなく、“みんななかよく”サンリオキャラクターたちのかわいいステージを楽しめるものとなっていました。
今回は、その制作を担当した『QuestMaker』というクリエイターチームに注目し、結成の経緯や制作の裏話、今後の目標などを伺いました。
目次
チーム『QuestMaker』とは?
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— Sanrio Virtual Festival 2025 Summer Edition (@SANRIO_Vfes) February 15, 2025
📢アーティストのリハーサル動画🌟
\#QuestMaker featuring サンリオキャラクターズ のリハーサル動画をいただきました🎀#QuestMaker featuring サンリオキャラクターズの出演は…
1回目:3月2日(日)18:30~
2回目:3月9日(日)16:00~
タイムシフト上演:3月17日(月)10:00~… pic.twitter.com/5zS7N2F0a1
2019年より、Quest(Mobile)/PCどちらのプラットフォームでも気軽に楽しめる表現を探ってきた者たち。PCとQuest分け隔てなく「みんなで仲良く」楽しめることを目指し各々活動している。 そんな思いを持ったメンバーが、今回のSanrio Virtual Festivalにあわせて集まり「QuestMaker」というチームになった。
Sanrio Virtual Festival 2025 公式サイトより

『QuestMaker』結成のきっかけは?

――まずは、QuestMakerの結成や、メンバー起用のきっかけを教えてください。

QuestMakerは『サンリオVfes』のステージをやらせていただくことになった時にメンバーを集めて結成しました。
メンバーは『題名のないお茶会』や『劇団あのこ』でつながった子もいますが、もともとはQuestコミュニティで一緒に遊んでいた仲間で、Questのことが好きなメンバーっていうのが一番大きな起用理由かなって思います。


メンバーの皆には、これまでもQuest対応のパーティクルライブなどの制作を手伝ってもらっていたんですが、クオリティがすごいんですよ! でも、なかなか外の人たちに評価されないのが自分として納得がいかなくて、ちゃんと正当な場所に出して評価を受けたかったんですよね。
それで、サンリオVfesでQuestの演目をやりたいなと3年くらい前から思っていました。普段からQuestの限界値をメンバーのみんなに見せてもらっているので、このメンバーならすごいものが作れると思ったんです。
――メンバーの皆さんは、あの子゜さんからサンリオVfesでパフォーマンスやるよ!って聞いた時どうでしたか?

正式に話を聞く前からあの子゜ちゃんに匂わせられてたから、やっと来たか~って感じでした。盛り上がるでも盛り下がるでもなく、あの子゜ちゃんが言うならやってあげるかって感じで。
割といつも通りなノリで始まるんだよね。

面白ければいいよって感じでした。

毎回無茶ぶりされることが多かったから、初めはいつもの無茶ぶりを受けるくらいで受け止めつつあったんだけど、段々「これサンリオじゃん!?」ってなって頑張らないとなって。

今度はライブか~、やるか~って感じでした。


!?!?

たろーちゃんの誘い方は例外で、ちょっと特殊だったんです。
「サンリオVfesやってみない?」って言ったら、最初は結構「無理だよ」とか、「他にも上手い人いるよ」って言われたんですけど、たろーちゃんは劇団(あのこ)の方でもポスター描いたりビジュアル手伝ったりしてくれていたので、一緒にお仕事したいなって思ってめっちゃ口説きました。
そうやって何とか思いを届けました。


あの子゜さんなら大丈夫かなと!
サンリオVfesパフォーマンスの裏話

――サンリオVfesの出演キャラクターはどのように決まったのですか?

まずは、「Questの子に楽しんでもらえるものがいいよね」っていうのが最初にありました。それはどんなものか考えてみると、やっぱりサンリオさんのキャラクターたちがしっかり見れるものが良いんじゃないかなって。
なので、分かりやすさを求めて2024年のサンリオキャラクター大賞上位のキャラクターたちに出演してもらいました。
――分かりやすい……! メンバーの皆さんの好きなキャラクターたちなのかなって思ってました。4曲構成になったのは何か考えがあったのですか?

お客さんの体験を考えた時に、15分くらいのパフォーマンスがちょうどいいと思ってたんです。それで、15分で2曲や3曲だとちょっと物足りない気がして、4曲をYouTubeショートのように短く回していくという形にしました。

――制作の中でメンバーの皆さんが特に力を入れたところはありますか?

力を入れたところはパーティクルですね。これはQuestMakerしかやってないことだと思うんですが、QuestでもPCみたいにたくさんのパーティクルに囲まれたりとか、ちょっと進んだ演出をやってみたいっていうのがあるので、イチからギミックを作って、すごく力を入れて作ったところです。
Questのワールドは100MBという容量制限があるので、そこに収まるようにしつつ、かつサンリオキャラクターたちの魅力を引き出せるような自然な動作にするのは結構チャレンジングなことだったと思います。かなり試行錯誤を繰り返してましたね。


力を入れたところは、動きやダンスなどを通じて、サンリオキャラクターたちの魅力やかわいさを引き出すことができたところかな。
(詳細はここではご紹介できませんが、キャラクターたちの動きの一つひとつに対し、お客さんにサンリオキャラクターたちのかわいさをたくさん感じてほしいという想いが込められているのを感じました。)


ポチャッコのソロ曲って少なくて、唯一といっていいソロ曲が、今回使った「ロケットで宇宙へ」だったんですね。
あの子゜さんが演出を考えるときにすごく苦労されていたんですが、私は曲を聞いた瞬間映像が浮かんできてたから、本来の担当は音響だけど、その枠を超えて演出にも関わらせてもらいました。音響的にも曲調がちょっと懐かしい感じなので、これを入れた方が絶対雰囲気いいと思ったんです。
演出面ではたろーさんにいろいろ2D素材を作ってもらったりして、負担は増えたかもしれませんが、いいものになったと思います。

制作スケジュールが中盤~後半に差し掛かるくらいのタイミングで、みんなが体調不良で動けなくなっちゃった! とかでこのままだと納期に間に合わない! ってなったことがあって、スケジュールを組み替えて製作期間を短縮できたのはファインプレーができたかなと思います。

あとは、制作終わった後もパフォーマンスのVisit数とか情報を集めたり、整理してくれたりしてたので、そこも助かりましたね。
――縁の下の力持ちという感じだったんですね。

僕は情熱で引っ張るタイプで、「こういうことをやれば、見てくれる人が喜んでくれる」といった想いを周りに伝えて共感してもらい、と巻き込んでいくスタイルなんですね。
でも、自分にも抜けがあるのは自覚しているので、よくバター(tkt)と一対一で話をして、そこを補ってもらっています。彼と話がまとまれば大丈夫だと感じるし、冗談抜きで“相棒”と呼んでます。
――皆さんが制作のなかで苦労したことはありますか?

一番苦労したのは、みんながあんまり慣れていないチーム制作だったので、みんなの進捗を合わせながら進めることですね。このタスク管理がすごく難しかった印象です。

今まで大体一人で全部やっていたので、GitHubをさわったことがなくて、エラーを吐いたときに、バターに助けてもらってものすごく感謝しています。なのでバターがいなかったらたぶんできなかったかなと思います。
バターいなかったら何週間制作が止まってたかわからないですね。

制作チームをまろやかにしてくれたのはバターのおかげです。表に出ないので分かりにくい部分ではあるんですが、本当に大きな仕事をしてくれたと思っています。


大きなイベントに関わるのが初めてだったのですごく緊張しました……

(たろーさんにとっては)結構大変だったと思います。それでもめちゃめちゃチャレンジングなことでも本当に一生懸命にやってくれました。
リアルで会ったときに殴られる覚悟はできています

僕はこのチーム一同にリアルで会ったときに、2、3発は我慢しようと思ってます。殴られた後に「ありがとう」っていう覚悟はできています。

たろーちゃん、殴りたかったら殴ってもいいんだよ(笑)
あの子゜さんがディレクションで気を付けたことは?
――あの子゜さんがディレクションをする上で気を付けたことはありますか?

“喧嘩させない”かな。
もともとみんな仲いいですし、チームの相性もいいだろうなとは思いつつ、こういう制作をするとどうしてもぶつかっちゃうことは出てくるので、そういう時はいったん自分に意見を集中させていました。自分で収まらないときは「バターどう思う?」みたいな感じで意見を聞いたりして、落ち着いて一つの決定に行くようにしていました。


それから、やっぱり目的はいろんな人にこの子たちの技術や、Questすごいんだぞ!っていうのを見てもらうことだったんですよね。
彼らがすごいものを作ってくれるのは確信を持っていたので、いろんな人に見てほしかったんですよ。なんならPCにも劣らないようなものを見せつけてやるぜみたいな意気込みだったので、後はそれをどうやって広めるかっていうところで広報周りも力を入れました。
――演出は大枠をあの子さんが決められたんですか?

そうですね。
僕は何やるにしても別に僕の考えは否定されていいと思ってるんですね。 演出周りもやっさんが考えた方が本当は絶対いいんですけど、ゼロから始めると苦労するだろうなと思ったので、まず一旦ゼロから1ぐらいまでを作りました。
それで「こういう感じだったらどう?」って言ったときに、「もうちょっとこっちの方が見栄えいいじゃん」とか言ってもらえた方が、僕にとっては「ヨッシャ!」なんですよ。
なので、大枠だけざっくり決めてしまって、後はやっさんにほぼお任せしてました。

困ったらアイディアをもらいに行ったりはしたけど、演出についてはあの子゜ちゃんからもらうのはベースラインだけで、ほぼ全部任せてもらえたので、すごく楽しく制作できました。
今後の活動について――QuestとPCの壁をぶち抜きたい
――サンリオVfesの後はどのような活動をされているのですか?

QuestMakerはサンリオVfesのために結成したチームではあるんですけど、Questのコミュニティをもう少し盛り上げたいと思っています。
個人的な主観なんですけど、QuestとかAndroidコミュニティに元気が無くて寂しいなと思ってしまっていて。でもQuestっていうコミュニティにはもっとすごい人がいっぱいいると確信しているので、彼らを見てほしいし評価してほしいなって思っています。
なので、QuestMakerとしていろいろやってみようっていう状態ですね。
表に出ているものだと、YSSというアーティストさんのALPKという曲のパーティクルを作成させていただいています。


Questと名前の付いた僕たちがいろんなところで名を知ってもらえたら、Questってすごいって思ってくれる人がいっぱいいるかもしれない。だから、もうちょっと活動を続けてみようと思ったんです。
おこがましいことかもしれないですけど、僕たちが発端でコミュニティの側でもなにか作ってみようとか、なにかやってみようとか思ってくれる人が増えたら嬉しいなと思います。


Questでも楽しいもの、面白ものが作れたらそれを展開していきたいっていう想いも込めて、BOOTHでの活動も考えています。
それから、Quest対応に困っている企業さんって多いんじゃないかなって思っているんです。
Quest対応したら、観れる人が増えるし、販売物を展開する機会も増えるはずなのに、誰に頼んだらいいかわからない。
一方でQuestコミュニティ側からすると、「Quest対応できるんだけどなあ」と思うところで終わっていて、主張する人がいない。
なのでそこを取り持っていきたいなと思っています。
――Questって、PCユーザーの中には本当に接点がない方も多くて、そこを取り持つ人もそんなにいなかったと思いますし、QuestとPCの壁を壊していく存在になってほしいです。

もうぶち抜いてやろうと思ってます!!
今後の目標は――打倒、キヌさん
――今後の目標はありますか?

もし来年もサンリオVfesがあれば、大ボスのキヌさんを倒しに行くつもりで挑んでいきたいですね。
もちろん足を引っ張るつもりはなくてむしろ憧れているので、だからこそ正面から胸を借りて、挑ませていただきます。
“Questでも”という言葉をなくしたい

Questでできることとか、魅力とかを広げたり、いろんな人たちとコミュニケーションを取って、Questコミュニティのみんなと一緒に盛り上げていきたいなっって思います。
やっぱ1人での力には限界があって、チームの方が面白いものが作れるだろうなと思っているので、活動をどんどん広げていくとQuestの人たちがより楽しめるものを作れるんじゃないかなと思ってます。

Questでもできることを増やしていきたいし、もっと言うとPCとQuestの区別なく、同じものを楽しめるようにしたいっていうのはあります。

これQuest対応なんだ!すごいね!じゃなくて、Quest関係なくすごいねって言われるようになりたいねって。

だから“Questでも”って言葉はもう早くとっぱらいたい。その先でみんなでもっと面白いことをしよう!っていうのが目標です。
――ありがとうございました!

9月19日(金)から始まる『サンリオVfes2025 Summer Edition』では、QuestMakerが制作したパフォーマンス『QuestMaker featuring サンリオキャラクターズ』が再上演されます。
上演スケジュールは、9月25日(木)19:30~と、9月28日(日)17:00~の2回。もう一度パフォーマンスを観たい方も、前回は見逃しちゃったよという方も、ぜひご覧ください!
※視聴にはチケット(550円~)の購入が必要です。詳しくはこちら
インタビュー・文:やまびこ 写真:ヴィントレス
使用ワールド:海と、桜と。Byぱんだ(graph)
QuestMaker関連リンク
X: @QuestMaker_
BOOTH: https://questmaker.booth.pm/
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あの子゜(X: @veoxxxxxx)
QuestMakerの代表・ディレクター。
個人の活動では『題名のないお茶会』や、『劇団あのこ』といったQuest対応イベントなどを主催。
やっさん (X: @yassann357)
ワールドギミックやパーティクルなど、演出の作成を担当。
個人の活動では『夏が終わる花火大会』など、Quest等などでもきれいに快適に見られるパーティクルやワールドを制作している。
元怒 (X: @gend_VR)
アニメーションやモデリング、パーティクルなどの制作物全般を担当。
個人の活動としてアバターギミックの制作やアバター作者からのセットアップ代行などを行っている。
Mosco_あしもす (X: @Mosco_Japan)
MIX・SE・効果音など、音響を担当。
個人活動では、名曲喫茶「華麗堂」といったイベントを主催。チャリティー活動や音響作品の販売も行っている。
たろー (X: @Taro3_taro)
グループのバナーや、イラスト関係、テクスチャ等の2Dデザインを担当。
『劇団あのこ』でもポスターやイラストなどでお手伝い。無言勢。
tkt (X: @tktcorporation)
スケジュールの進行管理やGitなど、技術周りのフォローを担当。
個人活動では、Webアプリの開発などを行っている。