2025年6月6日~29日(現地時間)、英国発のインディペンデント国際映画祭『レインダンス映画祭』のXR部門『RAINDANCE IMMERSIVE 2025』が開催されます。
今回で10回目を迎える『RAINDANCE IMMERSIVE』は日本のVR作品を積極的に紹介する国際映画祭としても知られていますが、今回選出された日本発のVR作品(または日本のVRChatコミュニティが舞台の作品)は筆者調べで全出展34作品中7作品と、近年にない多さとなっています。
この記事では、『RAINDANCE IMMERSIVE 2025』に出展する日本関連の作品について、期間中に『VRChat』内で行われる公演の日時も含めて紹介していきます!
目次
“BEST MUSIC SHOW”部門ノミネート作品
Blue Rondo: Stratos
国々の諍いを乗り越え、目指すは星の先々。
宙高くへと続く細い線は、蜘蛛の糸だろうか。期待も不安も抱え音楽とともにカプセルへと乗り込む。
Blue Rondo: Stratos — Raindance Immersive
しだいに風のささやきは消え、ふるさとのやさしい響きが懐かしい。
未知への鼓動、淡く象る光の憧憬。
ストラトスのその先へ
『VRChat』内で活動しているバーチャルミュージシャンのグループで、昨年の『RAINDANCE IMMERSIVE 2024』で「Best Live Show」を受賞したEMN Recordsのショーが今回もノミネート。2025年3月にお披露目されたライブ会場ワールド『Blue Rondo』(リンク先はお披露目パーティーのライブアーカイブ)を更に進化させた会場での公演になる模様です。成層圏(ストラトスフィア)の向こう側での音楽体験を期待したいです。
Cinematic Neon Club: Mona Lisa Overdrive
サイバーパンクにインスパイアされた世界へ足を踏み入れ、唯一無二のライブ・ミュージック・ショー体験を。
Cinematic Neon Club は、精緻(せいち)に反応する映像演出、緻密に設計された没入型ステージ、そして、目の前で響くヴォーカルの歌声を巧みに織り交ぜ、五感を刺激するシンフォニーを創り上げます。たった3人のライブパフォーマーがこの圧巻のショー全てを担い、純粋な創造のシナジーが放つ力をあなたの目で確かめてください。
Cinematic Neon Club: Mona Lisa Overdrive — Raindance Immersive
テクノの力強いビートに、ハウスの心地良いグルーヴ、スピーディなドラムンベースのエネルギーがぶつかり合う。そこにこの瞬間だけのライブヴォーカルが加わり、全てを高みへと導きます。
これは、ただの音楽ショーではありません。鼓動に身をゆだね、シネマティック・ネオンの流れとひとつになる旅へとあなたを誘います。
2024年より活動している3人組音楽グループ『Cinematic Neon Club』(略称『ネネクラ』)が今回初登場。ダンスミュージックを主体とした作曲に透明感のある歌声、そしてパーティクルを多用したステージ演出という、メンバー3人による化学反応とも言えるステージは必見です!
・6月7日(土)22時~23時
・6月8日(日)9時~10時 ともに『VRChat』内の会場にて
TONEVOK: Sonic Sky Journey
VoxelKei と R.Tone によって生み出されたリアルタイムのオーディオビジュアル・パフォーマンスユニット「TONEVOK」が贈る、かつてない没入型ミュージカルアドベンチャーへようこそ。
ハードウェアシンセサイザーで R.Tone が即興で紡ぐ繊細かつ多層的な音の波を受け、VoxelKeiが瞬時にダイナミックで感応的なビジュアルエフェクトを創り出し、鮮やかなVRChat の世界で躍動させます。二人の手によりすべての音と映像がその場で生まれ、完全にシンクロし、没入感あふれる一度きりの体験を創り出していきます。「Sonic Sky Journey」は、ただの音楽ライブではありません。それは、音楽が色鮮やかな風景を描き、光が幻想的な空間を形作り、夢のような世界が命の鼓動で満たされていく、息を呑むような変容の旅なのです。天空へと舞い上がり、「神の視座(God view)」から、幻想的な日本列島を巡りましょう。ネオンに染まる東京の光のざわめきから、雪をまとった富士の荘厳な静寂へと、エネルギーの移り変わりを感じてください。
TONEVOK: Sonic Sky Journey — Raindance Immersive
音が形を成し、空間として姿を現し、輝く光を放つ。TONEVOKのSonic Sky Jouneyと一体になり、感覚を研ぎ澄まし、目の前で世界が生まれ変わる瞬間を目撃しましょう。
今年(2025年)3月には『SARUSHIMA WORLD(メタバースヨコスカ)』でライブイベント「a ten minute Dream Vol.2」(リンク先はライブアーカイブ動画)も行った、VoxelKeiさんと R.ToneさんのユニットTONEVOKのライブがノミネート。
仮想空間の日本上空で繰り広げられる『言語を用いずに行われる一期一会の体験』はきっと忘れられないものになるはず。
・6月14日(土)11時~12時
・6月15日(日)22時~23時 ともに『VRChat』内の会場にて
Torchlight
「忙しい毎日や荒れ狂う世界に向き合い続けていると力尽きてしまいそうなときがあります。そんなときでもすぐそばに創作があって、手を動かし始めたらまた心に火が灯って、それが身体を動かす熱になるんだなと最近よく思います。この熱でまとわりつくもの全部焼き尽くして、その炎で未来を照らしていけるように、そして誰かの種火になれるように、精一杯パフォーマンスします!」
「トーチライト」はバーチャルYouTuberキヌのVRライブパフォーマンスです。
Torchlight — Raindance Immersive
キヌの表現で世界を満たしてトーチライトを灯します。
バーチャルYouTuber・VRアーティストのキヌさんからは、今年3月の『Sanrio Virtual Festival 2025』が初演の7th live『トーチライト』がノミネート。
圧倒的なまでの光と音、そして言葉で観客の身体と頭を焼いたVRライブが、再び行われます。
・6月8日(日)11時~12時
・6月8日(日)20時~21時 ともに『VRChat』内の会場にて
“BEST LIVE PERFORMANCE”部門ノミネート作品
Rhythmic Root
アフリカが原点の音楽を通じて、異なるスタイルのミュージシャンがコラボレーションし共鳴することで、1つのルーツで繋がる人類を表現していきます。西アフリカ発祥のアフロ・ハウスをこよなく愛するFavisama(Dj)の音楽に、Maru-17(ジャンベ)とAz(歌)がリアルタイムで演奏して、今までに無い音楽の旅行に連れていきます。
Rhythmic Root — Raindance Immersive
クラブミュージックの一種である『アフロハウス』のDJであるFavisamaさんと西アフリカ起源の民族楽器である『ジャンベ』奏者のMaru-17さん、それにジャズシンガーであるazさん、という(紹介動画のサムネイルにある通り)前代未聞といって良いほどに異なるジャンルの音楽家によるライブ。どのような音楽が、そしてパフォーマンスが生まれるか楽しみです。
・6月15日(日)10時~11時30分
・6月21日(土)21時~22時30分 ともに『VRChat』内の会場にて
“BEST SHORT FILM OF VR”部門ノミネート作品
A Dutchman In Virtual Japan
VRChatという没入型プラットフォームの中でも、特に日本のシーンは豊かで多様性にあふれており、そこは、人々が集う仮想拠点となっています。ワールドクリエイター、音楽家、ダンサー、語学教師、文化の伝え手、本当に様々です!
しかし、国境のないこの仮想空間においてさえ、「言葉の壁」は大きな障害となりがちです。それでもなお、日本文化をこよなく愛するオランダ出身のバーチャルフォトグラファー・Kaerunは、その壁に屈しませんでした。長年にわたる情熱とバーチャルのレンズを通して、彼は日本のVRChatコミュニティと深く関わり、敬愛するクリエイターやアーティストたちと友情を築き上げてきました。
活気あふれるイベントから、心温まる集いまで、Kaerunとともに、バーチャル日本を巡る旅へ出かけましょう。
A Dutchman in Virtual Japan — Raindance Immersive
『VRChat』の日本語圏コミュニティでフォトグラファーとして活躍しているKaerunさんを取り上げたドキュメンタリー動画が“BEST SHORT FILM OF VR”部門にノミネート。
トレイラー動画にはカソウ舞踏団の団長yoikamiさんやCinematic Neon Club、AMOKAといった日本のVRシーンで活躍しているアーティストが多く登場しています。
・6月15日(日)0時~1時 『VRChat』内の会場にて
コンペティション外出展作品(ノミネート部門無し)
The Architect Across Realities
「oji chang」は現実世界の建築を設計するだけにとどまらず、VRChatという没入型プラットフォームで、まるごと新たな現実を彫刻するかのように創り出す、革新的な建築家です。
The Architect Across Realities — Raindance Immersive
この魅力あふれるショート・ドキュメンタリーでは、デジタルと現実の境界を曖昧にしつつ、彼の無限の想像力を息を飲むような3D空間へと具現化していく創作プロセスに迫ります。
東京での現在の暮らしから、幼少期を過ごした京都の実家へ。彼自身の旅路は最終的に「Metro Kyoto」へとたどり着きます。これは、VRChatの参加者と京都の実際の観客がひとつになり、バーチャルとリアル世界のパフォーマンスがダイナミックに展開される、ユニークなクラブカルチャー現象です。
二級建築士の資格を持つ一方でXRや空間コンピューティングの開発を行い、『VRChat』とリアル世界の両会場を繋いで行われるクラブイベント「シュっとしてるやつ」(リンク先はXのハッシュタグ検索結果)に携わる、といった活躍をされているoji_changさんについてのドキュメンタリー動画も出展されています。
トレーラー動画にはJentagawaさんらVRで活動しているDJさんも登場しており、前述の「シュっとしてるやつ」を中心にした日本でのVRクラブシーンに取材した内容になっているようです。
・6月29日(日)8時~9時 『VRChat』内の会場にて
まとめ

以上、『RAINDANCE IMMERSIVE 2025』に出展する日本発・日本関連のVR作品を紹介しました。
今回紹介した作品を含め、様々な作品の公演・上映が行われますので、この機会に気になるアーティストや作品を知るきっかけになれば良いと思います。
参加方法
『RAINDANCE IMMERSIVE』の公演は事前予約制となっています。以下にその予約方法および参加方法を紹介していきます。
昨年までの『RAINDANCE IMMERSIVE』出展作品や今年の一部公演(例:BREAK THE SILENCE)には各作品の紹介ページ内に予約用のURLが掲載されていますが、記事執筆時点(6/7未明)ではそれ以外の方法で一般客がチケットを購入する方法が確認できない状態になっています。今後動きがありましたら随時追記する予定です。
1.予約用のURLより、各公演のチケット予約を行う
イギリスのオンラインチケットサービスであるeventbriteを利用した予約形態となっています。また満席の場合は“Join waitlist”(空席待ち)することが出来ます。
2.(VRChat内での公演に参加する場合は)RAINDANCE IMMERSIVEのVRChatグループにあらかじめ加入する
映画祭のスタッフが予約を行ったユーザーに入場許可を行うシステムの都合上、公演開始48時間以上前のグループ加入申請が必要とのことです。
3.イベント開始15分以上前にVRChatにログインする
4.メニュー画面から「SOCIAL(ソーシャル)」タブ→「GROUP ACTIVITY(グループのアクティビティ)」と進み、(入場許可が出ていれば)「Raindance Group」内に会場のインスタンスが表示されているので入場する
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・6月22日(日)12時~13時
・6月22日(日)19時~20時 ともに『VRChat』内の会場にて