最強のVR将棋指しが決まる『第一回VR将棋オープン戦観戦記』

4月11日と12日にかけてVRChatのTAMAGOSYOUGIワールドではVR将棋の最強者を決める「第一回VR将棋オープン戦」が開かれました。VR将棋オープン戦事務局(事務長 Yuri)主催で総11人の参加者と5人の審判の組合で行われた本戦と準決勝を勝ち抜いた対局者二人の緊張感の走る決勝戦。そしてその優勝は誰だったのか。今から調べてみましょう!

VRChatで将棋を楽しむ者たちはここに集まれ!

大会当日、欠席者一人を除き、大会開始に予定された8時まで、参加者全員がTAMAGOSYOUGIワールドに集まりました。主催者から簡単な大会の説明と質問応答時間を持った後、本格的に一回戦を対局が始まりました。対局マッチ及び一回戦シード権はランダムで決まり、一回戦の先後手は事前にダイス振りで決め、トーナメント表の発表と共に参加者に伝えたとのことです。

TAMAGOSYOUGIってどんなワールド?

第一回VR将棋オープン戦が開かれるTAMAGOSYOUGIワールドはおんたま名人が制作した将棋ワールドで、デスクトップ・VRともに将棋がプレイできるよう、様々な大きさと種類の将棋盤が用意されてあり、ワールド中央にはVideoplayerの他にワールド内将棋盤の観戦及び解説ができるシステムも備えられています。
将棋盤がおかれてあるスペースは適切なサイズで個別に分かれていて将棋に集中できる環境を提供すると同時に、ワールドが大きく改変されてからは多人数が一斉に対局することもできるようになっています。
またワールド所々には将棋に関するルールも絵で説明していて将棋が初めての方にもおすすめされています。

本線開始!決勝を目指して勝ち抜けよう!

一回戦

各対局での参加者の持ち時間は30分、持ち時間を使い切ったら30秒の秒読みに入ります。対局用インスタンスを立て、審判を割り当てることから一回戦の対局が完全に始まったのは8時20分頃で、持ち時間を考えると各対局が終局を迎えるまでは1時間ほどかかるのではないかと予想されましたが、予想外にも多くの対局が30分内外の短い時間で勝負が決まりました。

一回戦の勝者はchocoseiya・KiramekiAria・Sara_Minobe・NIGAOMOI・amaeさんの5人。一回戦で脱落という惜しい結果を残した九条ゆうきさんは「普段から指してる人にはさすがに勝てなかったけどけっこ粘ったほうかな」と語りました。彼の対局は一回戦で行われた対局の中で一番遅く勝敗の結果を知らせてきました。

二回戦

二回戦の対局で一番早く勝利した者は準決勝のシード権を取得するという対局規定から、対局相手の欠席により30分ほどで勝利が確定できるamaeさんのシード権取得が有力とされていましたが、amaeさんより少し早く二回戦の対局に入ったNIGAOMOIさんが一番早く勝利を知らせてきました。その後、chocoseiyaさんとamaeさんが順番に戻り、準決勝はchocoseiyaさんとamaeさんの一戦になりました。
NIGAOMOIさんの終局の速さには関係者全員驚く模様でした。

準決勝

chcoseiyaさんとamaeさんの準決勝は秒読みまで入る接戦になり、対局開始から1時間10分ほど経過した果てにchocoseiyaさんの勝ちで局を結びました。準決勝進出でVR将棋オープン戦3位という成績を残したamaeさんは「決勝戦で披露するために秘訣の作戦を用意してきたのに残念だ」と話しました。

1日の休憩と準備時間を持ち、決勝戦は明日の12日。決勝戦進出者は決勝の進行に関する案内を聞いた上、解散するという流れになりました。chocoseiyaさんは連続で3対局を消化したことから多少の疲れがみえましたが、準決勝の結果が出るまで集合インスタンスで待機していた観戦者の応援の中で退席しました。

VR最強の将棋指しは誰?

決勝戦は観戦したい!というリクエストが多かったことから決勝戦対局はYouTubeでの生配信になりました。
決勝戦も本選と同じく持ち時間30分に秒読み30秒、対局開始時間は午後8時で会場はTAMAGOSYOUGIでした。また、先後手の決めは駒の表と裏のどちらかを対局者が選び、駒を振って出た側を当てた方が先手という、二回戦から導入された方法からNIGAOMOIさんが先手に決まりました。
決勝戦特別インスタンスに両対局者が集まったのは午後8時。生放送の準備が整いたのは8時5分頃で、すぐ対局が始まりました。

対局解説

ダイレクト向かい飛車に美濃囲いを採用した後手に対し、先手は城跡通り指す場面が続き、ソフト検討では互角、やや先手が評価される模様でした。
後手が美濃囲いから高美濃囲いまで駒組を進めた時点で33手目、▲7五歩で駒がぶつかり、△同歩 ▲8六銀の形で続かれましたが、36手目の△8四歩で形判断は先手有利に変わりました。

▲7五銀 △7四歩打 ▲8四銀 △4四銀 ▲7八金 △5四歩 ▲7七桂 △6二金で ▲4二角打の手も可能で、その後飛車先突破も有力となります。本譜では34手目の▲7五銀に対し、△8三銀で▲8四銀で割り込む手を防ぎ、次の機会を伺う様子でしたが、40手目、△7六歩打の歩垂らしから▲6四銀 △6二金 ▲7四歩打に繋がれ、再び先手勝勢に。

先手の攻めに対し、後手が受ける場面が続き、70手目に仕返しの△7七角打で先手に大手をかけ、反撃に出ましたが、▲同桂 △同歩成 ▲同金 △7六桂打 ▲同金で力が尽きてしまう。午後9時、決勝戦は後手投了で幕を下ろし、投了時の両対局者の総消費時間は先手12分53秒、後手23分42秒でした。

NIGAOMOIさんの優勝と賞状授与式

優勝のNIGAOMOIさんにはVR将棋オープン戦事務局からの賞状と優勝トロフィーが授与されました。優勝した感想に対し、NIGAOMOIさんは「次回も参加できたらまた優勝したい」と話しました。

VR将棋オープン戦事務長のYuriさんは今大会を開催した感想について「まだ未熟なところも多いですが、次また開催できるならその時はもっとしっかりした大会進行と大会に重ねて楽しめるコンテンツも追加した姿でお会いしたいです」と述べました。
またVR将棋オープン戦事務局は第二回VR将棋オープン戦は早ければ今年度8月に、より改善された対局規定と優勝者特典で、再びVR将棋ファンの方々を訪ねる予定というコメントを付けました。

VR将棋オープン戦決勝戦の結果と棋譜はVRChat内新聞の週刊フレンドプラス4月28日号にても確認できます。

決勝戦 棋譜

○ 手合割:平手
○ 先手:NIGAOMOI
○ 後手:Chocoseiya
○ 審判(記録):Yuri

▲2六歩 △3四歩 ▲2五歩 △3三角 ▲7六歩 △2二飛 ▲6八玉 △4二銀 ▲9六歩 △9四歩 ▲5八金 △6二玉 ▲4八銀 △8八角成 ▲同 銀 △7二玉 ▲4六歩 △8二玉 ▲4七銀 △7二銀 ▲7八玉 △5二金 ▲5六銀 △3三銀 ▲7七銀 △6四歩 ▲6八金 △7四歩 ▲8八玉 △6三金 ▲6六歩 △7三桂 ▲7五歩 △同 歩 ▲8六銀 △8四歩 ▲7五銀 △8三銀 ▲5五銀 △7六歩打 ▲6四銀 △6二金 ▲7四歩打 △7二金 ▲7三歩成 △同 金 ▲同 銀 △同 金 ▲6五桂打 △6三歩打 ▲7三桂成 △同 玉 ▲5一角打 △6二銀打 ▲7四歩打 △同 銀 ▲同 銀 △同 玉 ▲6二角成 △同 飛 ▲6五金打 △7三玉 ▲7四銀打 △7二玉 ▲7三金打 △6一玉 ▲6三銀成 △同 飛 ▲同 金 △7七角打 ▲同 桂 △同 歩成 ▲同 金 △7六桂打 ▲同 金まで

75手にてNIGAOMOIの勝ち

図は▲同 金まで
持ち時間 各30分 指し手 75
消費 ▲12分53秒 △23分42秒