VRCアイドルグループ「SummerSweet!」が最高を追及し続けている「SS!ダンスリサイタル!」そのステージの舞台裏をインタビュー!

みなさんはVRChatで活動する、「SummerSweet!」という団体をご存知でしょうか?

SummerSweet!」は、こまどさん製作のアバター『あまなつ』ちゃんをコンセプトとし、2020年からその魅力をアピールしつつ、幅広い活動を展開し続けている、『VRCアイドルグループ』です。

その活動の中でも特設ワールドを用意して開催するSS!ダンス部活動の集大成、『SS!ダンスリサイタル』は毎回Join戦争(先着入場のアクセス争奪戦)が発生するなど大人気イベントとなっております。

今回はこれまで不定期開催だった『SS!ダンスリサイタル』が定期イベントとなることを記念し、その舞台裏をインタビューさせていただきました!
物凄い技術と熱量がこもった本イベントの魅力をぜひご覧ください!

※本インタビューは5月27日開催時点の『SS!ダンスリサイタル』の情報をもとに作成しております。

衣装・楽曲の『こだわり』

(左)衣装担当:きたむぅさん (右)歌唱担当:まるもこさん

衣装の『こだわり』

ゆーてる

『SS!ダンスリサイタル』開催のたびに衣装を作成されているとお聞きしたのですが、今回どういった衣装を作られましたか?

きたむぅさん

こちらになりますね。

きたむぅさん

こだわりポイントはリボンとドレープ(布の折り重なってる形状)ですね。
立体感を出すような形で表現してみました。

『ドレープ』により厚みのある質感のかわいいリボン。
まるもこさん

実はこの衣装、提案したの私なんです!
腰から下に広がっていくデザインの「Aラインワンピース」っていうんですが、このデザインが好きで「これどうですか~?」って話を出してみたものを形にしてもらった衣装なんですよ!

ハイウェストでスカートが広がっていくデザイン。
きたむぅさん

ダンスで使用するので肩回りはほぼ完全に貫通を抑えていたり、衣装の布地のデザインもそうなのですが、ダンスがより映えるようにスカートの動きにもこだわりを込めています。

まるもこさん

ダンスの動きだとターンの他にもしゃがんだりするので、そのときにも映える動きを追求してもらってます!

きたむぅさん

Cloth(クロス)という仕組みで自然な布地の揺れを再現しています。
ダンスのときに掴んだり離したりと色んな動きが楽しめるように作りました!

ゆーてる

すごい!膝に布が乗ってる!!!!

楽曲の『こだわり』

ゆーてる

今回のリサイタルではどのような楽曲を披露されたのですか?

まるもこさん

通常ではボカロ曲をメインにしてセトリを組んでたりするんですが、今回のリサイタルではそのうち4曲で私の「歌ってみた」音源を提供しています!

さらに4曲中2曲はわたしがソロで踊ったり、

まるもこさん

きたむぅさんがソロで踊ったりするパートで流れました!

まるもこさん

ちなみに、この2曲は今回のリサイタルで初披露となりました。

ゆーてる

この2曲というのはどういった経緯で今回初披露となったんですか?

まるもこさん

私、普段から同人音楽・ゲーム音楽などで歌ってみた活動をしていまして、元からミックス済みの音源は控えてて「いつ投稿しようか?」って考えてたんです。

そこで今回リサイタルでやる振り付けを見た時、「これめちゃくちゃダンス映えする!!」ってテンション上がっちゃって。
リサイタルの場でしか見れないお披露目をして、後で歌ってみたを投稿することで「ちょっと先に見れたプレミア感」なんてのをやってみようかなって思ったんですよ~!

ゆーてる

その場に来てくれた人にサプライズをお披露目する、すごく「粋」ですね!

まるもこさん

あとはきたむぅさんに「歌ってほしい」ってリクエストしてもらった楽曲があって、私が選んだ短めでカッコイイ曲と、きたむぅさんが選んだ綺麗に広がるような曲と合わせて2曲お披露目の構成となりました。

きたむぅさんがこんな感じで踊るかな?ってところに想いを馳せながら歌いましたね。

ゆーてる

おふたりとも頼り頼られ、仲良しですね。てぇてぇ。

2人

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ダンスの『こだわり』

左から、きたむぅさん・あずきさん・すいさん・まるもこさん・しそさん
ゆーてる

今回、ダンスを披露したセトリが20曲とお聞きしました。凄まじいですね…。

まるもこさん

普段『SS!ダンス部』のイベントで22時~24時まで通しで踊ってるので慣れてる人は慣れてるって感じですね。
慣れてても体力が追いつかない…というメンバーもいるので踊る曲の総数や順番にも工夫があります。

連続出演するメンバーを絞って、各メンバーが休憩を挟めるように組まれたタイムテーブル。
ゆーてる

タイムテーブルがメンバーのスタミナにも配慮されてますね!
とはいえ総楽曲数が多いのは確か。練習期間ってどれだけ取ってたんですか…?

すいさん

基本的に個人練習で、全員で合わせ始めたのは1週間前くらいですかね…?

ゆーてる

けっこう直前なんですね!?

まるもこさん

ダンス部みんなで「これ踊りたいね!」って曲を持ち寄って決めてます。
その振り付け見て「いい感じだな~」って思ったものを『SS!ダンス部』の2時間の間ずっとやってみたりとかしてます。

きたむぅさん

とか言いつつ今回のリサイタルの曲、『SS!ダンス部』で全然見せてないものも結構あるんですよね。

ゆーてる

定期イベントとは別枠で練習してるんだ!?
だいぶスケジューリング大変では????マジでどうやってるの???

まるもこさん

基本的にVRや時々リアルでの個人練習だけど、ちょっと確認したい時とかに集まって見てもらうとかはやってたりしましたね。その機会を『SS!ダンス部』に持っていったりとか。

ゆーてる

個人練習を各々ストイックに重ねていって、最終的に合わせて全体を仕上げていく。
名前の通りマジで「部活」ですね、『SS!ダンス部』

すいさん

他にもいろんな部活動があって、負けてられないですからね~

『SS!ダンス部』メンバーのダンスへの『こだわり』

ゆーてる

それぞれダンスへの「こだわり」ってあります?

きたむぅさん

VRChatって動きの反映のためにデータの送受信があるので、見る相手にそれが同期されてるかどうかを気にしてます。
リアルだと素早く動くところをあえてゆっくり動くなどして、「ちゃんと動きを見せる」といった点を意識してたりしますね。

あずきさん

見るお客さんに驚きを与えたいなってところもあり、ダンス中に歌詞に添ったアレンジを入れてたりします。
基本的にノリでやってるんですが、「この表現はこう出したい!!」というひらめきに素直に従って思い切りやってますね。

すいさん

私が意識しているのは人に左右されず、自分の動きを自分が一番「カワイイ!」って思える状態、自分に強い自信を持った状態でダンスしています。
最高の自信を持った自分の動きを好きになってもらえたらいいかなーと。

まるもこさん

私が気をつけてることは「自分のことが一番かわいく見える状態」で、特に表情管理を大事にしています。
ダンスは得意ではないんですけど、見た目のおしゃれとかカワイイ動きに合わせた表情とかの出し入れ・使い分けをすごく意識してます。

しそさん

皆さんに迷惑かけないくらいには練習しなきゃなって思ってます。

まるもこさん

裏方やりながら完璧に踊れるのはすごいよ!コソ練タイプでしょ!

しそさん

「振り付けをしっかり見続ける」ということはしてますかね……?

MCの『こだわり』

左からあずきさん・すいさん。通称『すいあず』のお二人。
ゆーてる

今回はこのお二人がMCということで、毎回お二人なんですか?

あずきさん

前回の「再公演」の際にやったのが好評だったので今回続投、って感じですね。
とはいえ楽曲の説明以外オールアドリブなのですが(笑)

ゆーてる

オールアドリブなの!?どういったことを話されてますか?

すいさん

直前に踊った曲で「ココ良かったね~」ってリアクションや、次の曲でリアクション出してほしいところの紹介や
「もっと声出して~~!ミュートしてる人は絵文字でもいいよ~!!」など会場を煽り立てたりしてます。

ゆーてる

ファンでもライブイベントに来た当初ってどうしても緊張しますからね。
周りには知らない人だらけで会場がまだ一つになっていない段階ですし。
そういった時にMCが空気作れるのはとてもいいですね。こりゃ続投になるわけだ。

ワールド・ギミック製作の『こだわり』

左から、あずきさん・しそさん・あきつきさん。作業服をちゃんと用意してるのがカワイイ。
ゆーてる

あずきさんだいぶ兼任してない!?(本項で3連続目の登場)
あと、あきつきさん、そのアバターは…。

あきつきさん

はい、カリンちゃんです。
『SummerSweet!』に入りたかったんですけど、VRChatを始めたのが約1年前で「あまなつ」ちゃんを手に入れられる環境ではなくて。
※あまなつちゃんは2年前の期間限定販売アバターであるため。

しそさん

スタッフに関しては「あまなつ」ちゃんの所持を条件としてるわけではないので、そっちならいけますよ、ということでスタッフとして活動してもらっています。

TIPS

『SummerSweet!』のスタッフは「あまなつ」ちゃん所持必須ではない。

ゆーてる

ワールドのギミックでこだわっているポイントってあります?

あきつきさん

自分がやっているのは「ビームライト」という部分でしそさんが組んだプログラム上で動くように設定してたりします。
ビームライトはこのシェーダーを使用してて、その動きや明滅を色々考えてる、といった感じですね。

あきつきさん

お客さんが目でも楽しめるように、また、あくまでも「主役はダンスである」ということを意識してライトの表現を構成しています。
元の曲のMVや歌詞を見たり、その曲を採用したMMDなど色々参考にしていますね。

ゆーてる

徹底してその曲について学んでいると…。
え!?一つ一つがその密度で10~15曲分!?

あきつきさん

VRChatのインスタンスって80人という上限があって、そこから負荷を考慮して減らすと入れるのはだいたい60名くらい。でも会場内にその人数がいると重くてカクカクになるじゃないですか。

その事象を起こさないよう、自分たちの公演では独自の透明アバターに変えてもらいつつ、しそさんベースの軽量化処理をもってお客さんが負荷少なく楽しめるように工夫しています。

ゆーてる

確かに60名以上いてあの軽さは驚きでしたね…。

あずきさん

今回初めて演出の担当をしました!作業がどうしても深夜帯になるんだけど、あきつきさん・しそさんが付きっ切りで教えてくれたので無事に製作できました!

私はダンスする側でもあるので、「お客さんはこれが見たいのかな?」というところに想いを馳せつつ、自分が踊ってて「これがあるといいな!」と思った演出を、自分がやるであろうアレンジとマッチするように作ってみました。

ゆーてる

踊り手が造り手に回ったからこそ得られた視点であり製作ですよね。めっちゃ良い…。

では、そんなあきつきさん・あずきさんが作った演出の動く土台を作ったしそさんにもお聞きしてみましょう。

しそさん

イベント内に毎回新しい表現を入れるようにしていますね。
今回だとカワイイ系の曲は背景を単色に塗りつぶす演出をしていたり、バックライトにも工夫を凝らしています。

アバターシェーダーってあらゆるワールドに対応させるよう、陰影があまり付かなくなってるんですよ。なのでビームライトを当ててもちょっと浮いちゃったりする。そこに対策を打ったギミックを用意したりしましたね。

ゆーてる

アバターの影の表現にもこだわりがあったんですね…!

しそさん

あと、ギミックというよりはワールドの話になるのですが、30FPSを切らないように軽量化に努めています。

そのラインを切ってしまうとダンサーがどれだけ動いてもそれが反映されなかったりしますし、衣装の持ち味であるClothもふわっとし過ぎてしまうんですよ。

なので演出を損ねないようFPSは30以上をキープするようにしていますね。

あきつきさん

加えて、VRChatで複数名で踊る際にどうしても同期ズレが発生するのですが、それを極限まで短縮したり、ドラムロールが入ったときにライトがバババッと横切る、などフレーム単位で演出と曲をあわせていたりします。

しそさん

動画を流しながら踊った時、VRChatでの動きが相手に反映されるまでだいたい0.6秒のズレが生じるんです。

それを解消するために、踊り手側に反映されている動画を0.6秒早めに再生しています。
そうすることで音による同期ズレをほぼ抑える事ができています。

ゆーてる

「遅延は発生するもの」としてその上でお客さんにソレを感じさせない工夫をされているのですね…!
機材・回線といった「VRChatの天変地異」にあたる部分をうまく乗りこなしてますね……!

総合演出・運営の想い

左から、プロデューサーのもんだみんさん・理事長のIstriaさん。
ゆーてる

この『SS!ダンスリサイタル』ってどういった経緯で出来たんですか?

Istriaさん

ダンスリサイタル自体は元々「SummerSweet!」の周年記念イベントの一環として開催されていました。

もんだみんさん

周年を迎えた月には毎週イベントを開催していて、そのトリにあたるのがこのダンスリサイタルでした。

ゆーてる

定期開催に至ったのはどうしてですか?

もんだみんさん

周年記念イベントの時に大きな反響をいただいていたのですが、当時は準備の負荷や人的リソースの問題がありまして定期開催はするつもりはなかったんです。

ただ、2周年記念でも開催した際、ありがたくも再び大きな反響をいただきまして、最終的には「定期開催にしよう!」と『SS!ダンス部』内で満場一致で決まりました。

ゆーてる

ちょうど2周年の反響もあり、あとその時期だと3期生が加入してメンバーのボリューム的にも「いけんじゃね?」ってなったんですかね?

Istriaさん

決め手になったのはやっぱり『SS!ダンス部』でいつも頑張ってるメンバーが乗り気になった、ってのが大きいですね。

ゆーてる

ちょうど2周年の反響もあり、あとその時期だと3期生が加入してきてた、というのも大きそうですね。

とはいえ、こうやって不定期のものが定期になるのってやっぱり負荷はあると思うので、思い切り決断されたのはすごいです。

もんだみんさん

これに関してはもう技術勢、それこそしそ様・あきつき様のおかげですね。

ゆーてる

「SummerSweet!」のイベントって普段どういう仕組みでできるんですか?

もんだみんさん

基本的には「イベント事業部」という部署があって、そこで月1回開催するイベントを話し合ってますね。
各部活から上がってきた企画案をそこへ持っていって審議してますね。

ゆーてる

まるで会社だ…。でもそうする必要がある人数なんですよね。

Istriaさん

合計で確か71名ですね。

ゆーてる

これほど人数がいると、通常の団体ですと自分から動ける人がいて、あとは様子見をする人というのに分かれたりすると思うのですが、どうして各部活が独立するほどに発展したと思いますか?

もんだみんさん

元々動いている人たちがいましたし、それを見て様子見している人も影響を受けたりするんですよね。

Istriaさん

メンバー同士で刺激を受けたりして、そうしてるうちに行動している人にみんな自然と合っていく、みたいな感じですね。

ゆーてる

「行動している人」が浮くわけではなく、そこに皆が着いていく雰囲気作りが出来ている、と。

Istriaさん

それでいて、参加の強制とかは特にしていないですね。

ゆーてる

参加が任意なのにここまでまとまるのか!すごいなサマスイ…!
お二人は「SummerSweet!」ってどういう「場」だと思って動かしてますか?

もんだみんさん

せっかく同じ「あまなつ」ちゃんが好きな人たちが集まってるんで、好きなことを楽しくやっていくのがいいなと。
自分はプロデューサーという動きが出来そうなんでそこをやっている、って感じですね。

好きなことが近い人たちがいて、それを実現させられる人がいる。そんな環境を今後も守っていきたいですね。

Istriaさん

「それぞれのメンバーがやりたいこと」を実現できるように、普段交流しつつ、技術面も勉強したり教え合ったり、グループとしてなにかやっていく上で、全員に対して「やりたいこと」を本人が叶えていける力をつけていける環境づくりですね。
あと、定期的にグループへの刺激になるものを入れたりしています。

ゆーてる

グループへの刺激になるもの、とは。

Istriaさん

新メンバー募集とかが分かりやすい例ですけど、コラボイベントへの参加なども最近は積極的にやり始めてますね。コラボのお話、お待ちしてます!!
また、月に2~3回はイベントを何かしら開催しているのと、参加が任意ということもあってメンバーが流動的で毎回の現場が違う雰囲気になるんですよ。

あとは欠かせないのが毎月1回のメンバー交流会を行ってますね。

ゆーてる

大きなイベント準備中とかで忙しかったりすると忘れがちなところありますよね。

Istriaさん

どんなに忙しい時でも必ずやってます。やっぱり内部が仲良くないと外に見せるものも綺麗にならないので。

ゆーてる

そんな「SummerSweet!」、今後の展開でなにか予定しているのはありますか?

もんだみんさん

すでに定期化しているイベントをより洗練させたり、好評だった不定期イベントの定期化などを行っていけたらなと。

Istriaさん

常に現状に満足していることはないよね。なにか思い浮かんだら実行に移したい。

ゆーてる

同じものが好きな人同士で、やりたいことをやる、それを限りなく最高の形へと追求する「SummerSweet!」

今後の活躍も楽しみにしております!

『SS!ダンスリサイタル』次回開催は7/22(土)!

今回特集した『SS!ダンスリサイタル』の次回開催が、
7月22日(土) 22:00~24:00 となっております!

本インタビューでもお聞きしたように、あらゆる面において全力を尽くしたイベントです!
ぜひご参加ください!

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