言ノ葉堂~同人小説家垂涎のVR本屋さん~

この度、初めてバーチャルライフマガジンに寄稿させて頂いた、sunと申します!

私はコミティアや文学フリマなどといった即売会で同人誌を頒布している、同人小説家です。

また、他のクリエイターさんから「これで小説を書いて欲しい!」とお願いされたキャラクターや、Vtuberさんご本人を題材にして、有償で小説を執筆させて頂くフリーライターでもあります。

ですが昨今のご時世においては、同人イベントに参加するのは非常に困難。

行き場のない創作意欲を解消できず、フラストレーションが募る一方だった折に、とあるVtuberさんから『VRChat』の魅力を伝えられ、バーチャル世界に飛び込んだ次第。

かねてより、VRの住人から有償依頼を頂いているのもあり、飛び込んだその日に、「VRChatで色んな世界や住人の方をモチーフにして執筆したい!」と決断しました。

今回は、私が一番お世話になっているワールド『言ノ葉堂』について、私自身が執筆した短編小説二篇を交えつつ、紹介させて頂きます!

言ノ葉堂とは

投稿された文学作品がワールド内で読める!

落ち着いた雰囲気なVR世界の本屋さん、それが言ノ葉堂です。

このワールド最大の魅力は、なんと言っても、皆様が投稿された文学作品が本になり、それがワールド内で読めるという点!

画像右側に映っていらっしゃるのは、言ノ葉堂製作者のじむの朔(さく)さん。

【じむの朔さん】
Twitter:@Books0422  Youtubeチャンネル

VRChat内で、多岐にわたって活動されている狐さんであり、当サイトバーチャルライフマガジンのライターでもあります。

VR世界に不慣れだった私に、操作のコツやVRデバイス(VALVE INDEX)の使い方を教えて下さったり、私の作品に対する丁寧な感想を下さったり、活動をご支援して頂いたり……とてもお世話になっている御方です。


「VR世界だと、物書きが活躍するのは難しいだろうな……」と、最初は不安に思っていた私ですが、意外なことに沢山の物書きさんが言ノ葉堂に訪れ、作品を投稿されていました。

短編小説の他、長編小説の試し読みや現代短歌などの本も置かれています!

音楽の投稿やラジオ配信、集会イベントも!

言ノ葉堂は、コトバを使った活動を応援するワールド。

コトバを使っていれば何でもOKなので、短歌でも詩でも音楽でもブログ記事でも、投稿できます!

オリジナル作品だけでなく、他の方の作品で「オススメしたい!」と思ったものも投稿可能です。

投稿フォームはDiscord内のサーバー、『言ノ葉ラジオ』内に存在し、VRChatで遊んでいれば誰でも参加可能です。

『言ノ葉ラジオ』の招待フォーム:discord.gg/N3YcQzN

また、火曜日22からYoutubeにて配信される、言ノ葉ラジオがありますが、そこでは投稿、オススメされた文学作品や楽曲、そしてTwitterで募集された今週の140字小説などが紹介されます!

以前、ひーろーさんがご投稿された、言ノ葉ラジオのインタビュー記事(2020-7-16)がありますので、そちらへのリンクを掲載致します。

じむのさんに伺いましたが、「ラジオは今の放送内容をベースに、順次テコ入れを重ねていく方針です。なので、今後放送内容が変わっていくことになると思います」とのこと。

実際に、第一回目配信の内容と昨今の配信の内容が、若干変わっておりますので、留意頂ければと思います。

下記は、執筆時点における直近の配信のアーカイブです!


ところで、丁度この記事を公開する直前、なんとじむのさんから新しいギミックを見せて頂けました……!

言ノ葉堂の二階には、ラジオの収録スペースがあるのですが、今後はラジオ内で新しく、ゲストをお呼びするコーナーが設けられ、その為の椅子やテーブルと、それに伴う公開収録の観覧スペースが新設されました!

ゲスト対談コーナーならではの、ライブ感を演出したいとのこと。

近々実際に使われるので、私も早く現場を観覧してみたいな……!

更に余談となりますが、木曜日22時~23時は同ワールドにて、『言ノ葉のつどい』という集会イベントが開催されます。

私のような小説家は勿論、音楽家やラジオMC、同人サークルのライター、音声作品の台本執筆者など、実に様々な方がいらっしゃるので、かなりの刺激を頂けます。

私にとっては週一の楽しみであり、毎週のように参加しておりますね……!

言ノ葉ラジオ 公式HP

※2021-3-13追記

本日、言ノ葉堂のHPが出来上がりました!

蔵書目録や過去の新聞が掲載されている他、次に配信されるラジオのゲストさんの告知とか、​お便り送信フォームなどが開設されています。

Web上で手軽に情報共有、確認などができるのは大きいですよね、かなり便利……!

実際に投稿しました!

製本する喜び、二度目の初体験

さて本題ですが、私が投稿した時の体験談をば!

拙作『泡沫の魂』『本の虫』、二篇を収録した本です。

実際に手に持てる、ページをめくる楽しさが味わえる……これは日頃から本を読む人間としては、とても興奮する体験です。

コピ本か印刷所発注かに関わらず、同人誌などを作った方々なら分かって頂けると思いますが、自分の作品が収められた本を手に取る瞬間は、筆舌尽くしがたい感動が味わえます……!

現実世界において、自宅に初めて同人誌が届いた時……段ボールを開封した瞬間の本の匂い。イラストレーター様から頂いた表紙絵に触ったときの、ツルツルした感触。そして、一生懸命書いたという実感をもたらす、本の重さ。

VR空間で自分の本を手に取った瞬間、そんな二度目の初体験を享受できました。

今思えば、あれが初めて味わったVR感覚だったかも知れない……。


Twitterや自サイトで小説を投稿するのは、読む側も書く側も気軽で良いものです。

ですが経験則として、たとえネットで無料で読める作品でも、人目に触れる同人イベントにて頒布すると、読者の皆様から大切に、興味深く読んで頂けます。

実際に、言ノ葉のつどいにいらっしゃった方々が、互いの作品を読んだことをキッカケに、仲良くなったこともあり……こうした交流の楽しみ方は、コミティアや文学フリマなどといった、同人イベントの醍醐味そのものですね。

個人的に言ノ葉堂は、VRChat上で毎週のように同人イベント的な交流が出来る場所と捉えております!

冒頭でも述べましたが、私がVRChatに飛び込んだ理由の一つは、時勢が時勢ですから、現実世界の同人イベントが軒並み中止、そもそも往来が困難だったから。

同人イベント特有の出会い、交流、クリエイター同士の切磋琢磨や、刺激の受け合いが、気軽にできる言ノ葉堂は、正しく私のような同人小説家にとっては、願ってもない場所なのです……!

『泡沫(うたかた)の魂』

拙作、『泡沫の魂』は、水底の『ゴヤ』さんと、ゴヤさんが製作されたワールド『Sea Bottom Life』をモチーフに執筆した作品です。

【水底の『ゴヤ』さん】
Twitter:@Ju_goyah Youtubeチャンネル

VRChatに飛び込んだその日、友人と共に『[JP] Tutorial world』に遊びに行った際に、偶然お目に掛かったゴヤさんにチュートリアルワールド案内して頂きました。

クトゥルフ神話で有名な深きものどもな可愛らしい半魚人さんであり、VR海の家「常夏」スタッフであり、最近Vtuberデビューされた御方。

製作されたワールドであるSea Bottom Lifeは美しく幻想的な深海のワールド。

拙作においては、クトゥルフ的な要素、可愛らしい笑顔、よくチュートリアルワールドにいらっしゃる初心者の水先案内人さん、などといった要素を強調した作風にしました。

言ノ葉堂でもご覧できますが、画像ファイルとして当記事にも掲載します!

『本の虫』

そして『本の虫』は、言ノ葉堂とじむの朔さんをモチーフにした小説!

皆様が作品を投稿することで、花開くように読める本が増えて、VRの本屋さんに生命が芽吹く……本が生き物(虫)のようになる。

それを、読書好きという意味の、本の虫という慣用句に擬えた、ダブルミーニングの題名となります。

同様に画像ファイルとして掲載します!

おわりに

誰もが気軽に動画撮影・投稿できるようになった現代。

VRが日常に浸透し、誰でも可愛い・カッコイイ存在として受肉できるようになった現代。

私のような物書きは、果たして時代に適合した存在なのかと、不安を抱えながらVR世界に飛び込みました。

しかしながら、VR世界では私が思った以上に物書きの力が求められていると知り、また多くの物書きさんがVR世界にいらっしゃることを知って、私の予想は良い意味で裏切られました。

私事ではありますが、ゴヤさんやじむのさん他、今回は掲載していない小説のモチーフにさせて頂いた方々から、「自分のワールド・自分自身の姿なのに、夢みたいに感じる! 理想が実現したみたいだ!」という嬉しい感想を頂いております。

今のVR技術では実現が難しい、例えば嗅覚とか、味覚とか、触覚とか……そして、文章というメディア媒体が得意とする、そのワールドや人物に篭められた理念を具現化する点において、むしろVR世界に置いて物書きの需要は高まりつつあるのではないのかと、僭越ながら思い至りました。

近いうちに、VR世界のワールドや住人について、有償で執筆させて頂くサービスを開始する所存ですので、その際には是非ご用命頂ければ幸いです。

最後になりますが、今回寄稿するにあたって、バーチャルライフマガジン編集長のみつあみやぎこさんには大変お世話になりました!

小説の書き方と記事ライターの書き方は大きく違うものですから、「私のような、記事ライターとしては素人の者が、小説を交えながらの寄稿でも問題ないのか」と、内心恐縮しながらお問い合わせしました。

やきごさんから素早いご返信を頂いたところ、とても丁寧で分かりやすいご説明をして頂き、またプロットをお見せした際に、多くのお褒め言葉を下さったおかげで、緊張が解れて安心し、記事を寄稿する決断ができました。

右も左も分からない私を導いて下さった水底の『ゴヤ』さん、私のVRでの活動に多くのアドバイスやお力添えを下さるじむの朔さん、そして記事の書き方のご教授など寛大なご配慮を賜ったみつあみやぎこさんには、この場をお借りして心の底より御礼申し上げます!

そして、私の拙い記事を最後まで読んで下さり、ありがとうございました!