余計なモン全部無視して、魂がぶつかり合う。もう一つの青春の形。『VRCボクシング大会』

『VRCボクシング大会』選手インタビュー!

Scene1:負けからのスタートでも、最強になれる(SFoxJasmine さん)

(ゆーてる)
確か直近の大型大会で優勝されて、今シーズン「最強」になったんでしたっけ?

(SFoxJasmine)
そうです!僕、「最☆強」です!!!!!

(ゆーてる)
『VRCボクシング』はいつ頃から始められたんですか?

(SFoxJasmine)
確か去年の9月頃、ちょうど夏の大会が終わったあたりですね。割と最近です。
Quest界隈で仲良くなったフレンドを見て興味を持ったんですが、最初はルールも分からないし、みんな機敏に動いてて「敷居高そうだなぁ」と見る専で参加を見送ったんです。

実際に始めたきっかけは初心者だけで開催した突発的な大会「わかば杯」でしたね。
「初心者の大会」と銘打ってるわけだし、みんな同じくらいだしそんなひどいことにはならないだろうな~って気軽な気持ちでリングに上がりました。

(ゆーてる)
その時から「最強」でした?

(SFoxJasmine)
「わかば杯」の一回戦は猿頭トリートメントさんにボロ負けでしたね(笑)
「初心者の大会」とはいえ、今日始めた人とここ数週間やってた人も初心者枠だったんで、案の定ボコボコにされました(笑)

(ゆーてる)
最初ボコボコに負けたのにその地点までいけたのは凄いですね。どうして続けられてるんですか?

(SFoxJasmine)
単純に、久々に「自分だけの何かで負けた」というのを感じたからですね。
FPSとかで遊んでるとチーム戦が多いのでどうしてもチームを言い訳にしがちなんですが、この『VRCボクシング』のリングでは1対1なので、どうしたって負けの原因は「自分の何かが不足している」でしかないので、

「自分の悪いところを直したら、その分強くなって面白くなるんじゃないか?」って思ったんですよ。

あとは負けたのが悔しすぎたのもありますね。なのでまず次に「猿頭さんをボコボコにするところから始めよう」ってなりました。
その後のイベント「サルキングダウン」で決意した通りボコボコに仕返してやりましたよ(笑)

(ゆーてる)
そこから「最強」への道のりを辿ったと。練習は普段どれくらいされてるんですか?

(SFoxJasmine)
『VRCボクシング練習会』が21時スタートで、そこから翌日2時~3時と、もう最後までずっといる、みたいな感じですね。
でもこれ「この時間まで鍛錬しなきゃ」って気負ってるわけじゃないんですよ。

勝ち負けとかじゃなく練習や試合が単純に「面白いな、楽しいな」と感じてるので、もうちょっと遊ぼうもうちょっと遊ぼうとしているうちにもう真夜中、といった感じになりますね(笑)

Scene2:「全力でボクシングやってみた」に惚れ込んだ(猿頭トリートメント さん)

(ゆーてる)
『VRCボクシング』はどういったきっかけで始められたんですか?

(猿頭トリートメント)
去年の『Vket2022 Summer』のコラボイベントで開催した鬼ごっこゲーム『Vket Escape』に出演が決まった時、その主催のぬこぽつさんに繋げてもらって「トークゲスト/ゲスト選手」という形で、『Vket2022 Summer杯』に参加させてもらいました。
そこからは練習会に参加したり、それ以外ともここのメンバーと仲良く遊ばせてもらってますね。

(ゆーてる)
結構ゲスト出演等で精力的に関わられているのをお見かけするのですが、そこまで入れ込めるのはどうしてですか?

(猿頭トリートメント)
元々からVRで体を動かすのが好きというのもあるんですが、そもそも「VRの中でボクシングをやる」って事自体が面白いじゃないですか。

僕は「VRで〇〇やってみた」というのが大好きで。
ロッククライミングが出来るワールドがあっても実際に崖登りはしてなくて「VRでロッククライミングやってみた」じゃないですか。
でも実際筋肉痛起こすくらい全力でやると、めちゃめちゃ楽しいんですよ。

画像
撮影:Riinyan@VRC

この『VRCボクシング大会』は”VRChatの中でボクシングやってみた”をかなり「本気」でやってるので、そこに全力をかけるのが最高ですね。
リングと観客席作って、試合やって、大会もやって実況まで付けて。

ある意味ぼくがやってみたかったこと全部やってくれてる、その姿や想いに惚れ込んだからですね。VRChatで過ごした中での「最高の出会い」だと思います。

Scene3:ここでの強さに、男女の壁などない(karuna3 47 さん)

(ゆーてる)
まずちょっと確認なのですが。リアルの性別開示は問題ありませんか?

(karuna3 47)
私は大丈夫です。

(ゆーてる)
『VRCボクシング』はいつ頃から始められたんですか?

(karuna3 47)
2022年3月17日からここに参加させてもらってます。
始めたきっかけは『VRChatイベントカレンダー』に載ってるのを見てそこから練習会に入りました。

(ゆーてる)
「ボクシング」という性質上どうしても男性が多いとは思うのですが、そのあたりでアウェイ感とかはありませんでしたか?

(karuna3 47)
特にそういったものは感じなかったですね。
ここにいる皆さんすごく面白くて、和気あいあいとした雰囲気がとってもよくって。
入りやすい雰囲気だったなと今も思いますね。裏表なくみんなが笑わせに来てるような明るさ・元気さがいっぱいですごく楽しいです!

(ゆーてる)
これから『新人杯』に出場されると聞いたのですが、男女別リーグですか?

(karuna3 47)
特に分けられてないですね。同じトーナメント表で試合します。

(ゆーてる)
戦ってる中で「男女差」を感じることってありますか?

(karuna3 47)
生物の骨格上、首が男性よりは細いからHMDの重みだったり、ダッキング*1 する時にそこで負荷を感じるなということはあります。痛いな~って。女性プレイヤーにはよくある悩みです。
でも、そこくらいですね。それ以外はちゃんと技術を学んで鍛えれば誰でも勝てるような仕様になってますし。

画像
撮影:Riinyan@VRC  
※大会公式アバター「アグニ」にアバター変更してるので
試合直前直後はみんなだいたい同じ姿です

それにここは男女とも鍛えてる人しかいませんから(笑)

(ゆーてる)
なるほど…。女性あるあるな首の痛みとかも鍛えればなんとかなると。

(karuna3 47)
そうですね、弱点があっても他の技術で賄えますし。鍛えて自分の動きを磨けば勝てます。

のぞむんはテレビ朝日『新世界メタバースTV!!』にて
芸人 野田クリスタルさんと戦っていました。

(のぞむん)
実際この方はめちゃめちゃ強いですよ。中身男性とか関係なしにボッコボコにしてますよ。

(karuna3 47)
もっともっと強い人はたくさんいます。
私は長くやってますが、たくさん練習してる人が追い越してくることもあると思いますし、油断ならないです。

(ゆーてる)
その謙遜の仕方、性別以前に一人のファイターですね…!!

*1:ボクシングで、上体を左右に低くかがめるなどして、相手の打撃をかわしたり、相手に空打させたりする技術

Scene4:話すのが苦手でも楽しめる、活躍できる(るあぼん さん)

(ゆーてる)
『VRCボクシング』はどういったきっかけで始められたんですか?

(るあぼん)
Vtuberの猿頭トリートメントさんに複数名が連戦を挑む「サルキングダウン」の配信を見たことがきっかけで参加し始めました。

(ゆーてる)
先日開催された『トリオ杯』でチーム優勝を勝ち取られてましたが、そこまで続けられたのってどうしてですか?

(るあぼん)
僕は話すことが苦手で人付き合いに慣れるまでちょっとかかるのですが、ボクシングだとリングに上がればやることはシンプルで、「練習するか、リングに上がるか」なのですぐに馴染むことができたんです。
そうやって試合したり、練習するの繰り返しが楽しくてここに木曜、日曜日と通ってたらなんかいつの間にか強くなっていたらしいです。

もう楽しすぎてやめられない、止まらないですね(笑)

Scene5:全力でぶつかった日々の中で花開いた「やりたかったこと」(山田 聖武 さん)

(ゆーてる)
『VRCボクシング』はどういったきっかけで始められたんですか?

(山田 聖武)
VRで体を動かして戦いたくてあちこち回ったんですが、気づいたらここに通う習慣が出来てましたね。もう楽しくて楽しくて。

(ゆーてる)
どうして続けられてるんですか?

(山田 聖武)
「最強」への憧れがあるんですよ。「強さを追求する」行為って漢としてゾクゾクしませんか?
あとシンプルに、楽しいです!

(ゆーてる)
先日の『新世界 メタバースTV!!』の取材の時、出演者にレクチャーするなど「運営」としての動きもされていたとお聞きしました。楽しさを追求するとしたら参加者のみのスタンスでも大丈夫だとは思うのですが、どうしてその動きをされたんですか?

(山田 聖武)
まずイベント自体を主催してくれていることでとりさんにはすごくお世話になってるし、僕もこうやって毎週楽しませてもらってるので、何か貢献したかったんですよ。
そんな気持ちでお役を持ちましたが、その現場も楽しいものになったんです!

収録時のリングで戦っている皆さんの攻防のレベルが高くて、もう興奮してぴょんぴょんしそうになっちゃって!
自分が猛烈にやり込んで色んな技術を知っているので、運営に回って人が動いているのを見る側でいても楽しいんですよ。
無性に選手のことを「がんばれ!!」って応援したくなるんですよ。選手とはまた違った目線の楽しみがありますね。

『俺のベルト』誕生秘話

(ゆーてる)
確か、『GRAND SLAM- in Vket2022Winter』のエンディング『俺のベルト』は山田さんが作曲されてましたよね?どういった経緯であの曲が出来たんですか?

(山田 聖武)
元々頭の中に7曲くらい曲のアイデアがあったんですが、途中まで書きかけの歌詞を仕上げられなくて、いつか作ろうと後回しにして燻ってたんですよ。
それをとりさんが「『VRCボクシング大会』の曲を作ってくれないか?」って依頼してくれてもう願ったり叶ったりで。

「歌詞は俺が思ってること色々出してくから参考になるならぜひ使って」と作詞を手伝ってくれたんです。
ポエトリー・リーディングにしたくて、『親父に買ってもらった変身ベルト』って歌詞とリズムを組み合わせてどうしようか提出期限ギリギリでやきもきしてるものを出してみたら、それを見た武蔵って子が突然

「山田、お前の才能はここで終わらせないからな」

って言ってくれて、そこから1時間足らずなのにしっかりMIXされた音源を渡されたんです。かなり驚きましたね。

『俺のベルト』は、とりさんや武蔵もそうだし、『VRCボクシング大会』でみんなと過ごした日々があったおかげで出来た曲でした。ここのみんなにはすごく感謝してます。

(ゆーてる)
僕らってアバターの向こう側に何者がいるのかわからないじゃないですか。別に何者でもいいと思うんですけど。
でも、こういった「アバターの向こう側の本人の才能や努力が花開く」って瞬間はすごく素敵ですね……!
「バーチャル空間」ならではのいいところですよね、こういう場面って。

『VRCボクシング大会』運営インタビュー!

場を担う者として、世界観を守り続ける(ムシコロリ さん)

(ゆーてる)
『VRCボクシング大会』に関わり始めた頃はどういった状況だったんですか?

(ムシコロリ)
元々ボクシングをするワールドがあったんですが、作者さんの事情でアップデートが停止しちゃって、ボクシングをする環境が無くなりかけたんです。
そんな中、2022年6月9日にとりさんの方からTwitterで新規制作の募集がありまして、そこに応募しました。

その翌日に練習エリアにあるパンチボールを作成して、そこからワールド作りが始まりました。『Vket Summer2022』に間に合わせるためにゲーム全体を1ヶ月くらいで作ったのですが

  • 依頼の制作物がゲームに組み込まれるギミックだと思っていたらゲームそのものだった
  • 競技性の高いゲームワールドのトレースを行うことになるが、トレース元データがないのでアップロードされたワールドの見様見真似しかできない
  • 『ヴードゥー・キングダム エピソード:ゼロ 眠れる王母』と同時並行した制作スケジュール

と、まあ結構な修羅場でしたね。

(ゆーてる)
『VRCボクシング』ワールド制作にあたってこだわっているポイントはありますか?

(ムシコロリ)
「現実の施設に入っているような感覚」となるように意識しましたね。質感や雰囲気を学ぶため現実のジムにも取材しに行きました。
ただ、現実のジムだとVRChatのような空間に再現するには手狭なので、実際は完全に模倣しているわけではないんです。

このワールドの軸は「ボクシング」なので、そこを強調するために実在はしなくても「コレがあったらボクシングっぽいな」と感じる要素を散りばめて、「VRChatならではのボクシングジム」を作りました。

(ゆーてる)
『VRCボクシング』で一番大事な戦闘ギミック、こちらにもきっとこだわりがあったと思うのですが、お聞きしてもよろしいでしょうか?

(ムシコロリ)
VRでやるゲームとではなくVRでやるスポーツであることを意識しています。
実際に『VRCボクシング』のパンチって当たり判定を当てればいいわけではなくてちゃんとキレイなフォームで打たないと威力が出ないようになっているんですよ。

ゲームには「エンジョイ」と「ガチ」の2つの方向性があると思うのですが、運営で認識がブレると選手も派閥が割れてしまうので「正当に努力した人が正当に強くなる」という要素を突き詰める「ガチ」の方向性を運営側は提示し、それが選手から選手に伝わっていくようにと色々工夫しています。

(ゆーてる)
選手のみなさんのインタビューからも「ゲームプレイヤー」ではなく「スポーツ選手」のようなコメントを多くいただけて、一つの世界観が確立しているんだなと感動しました!

(ムシコロリ)
イベントの世界観を守るために参加者に求める「ドレスコード」ってあるじゃないですか。
『VRCボクシング』の世界観では「スポーツマンシップを纏う」ことがそれにあたるんです。

(ゆーてる)
強い弱い、とかピリピリするとかではなく「ジムに行く」感覚で「スポーツ」を楽しむ。
そこに一点集中しているんですね。
プレイヤーの精神性にも作用するとなると裏方って相当大変なのでは……?

(ムシコロリ)
一つ具体的なエピソードを挙げるとしたら、一時期グリッチ*2 が横行したときはちょっとコミュニティが荒んでいたような印象がありました。
どれだけ自分で戦法を編み出しても、相手がグリッチを使ってきたらどうせ負ける、って「萎え」が起きるじゃないですか。
そうしたらみんな同じグリッチを使い始めて「萎え」の連鎖が起き、プレイヤーの進化が止まってしまう。

*2:ゲーム内の不具合やバグを意図的に利用して、相手を攻撃する不正行為のこと。

(ゆーてる)
それってグリッチ当事者にとっては楽しく遊ぶ、勝つための工夫でも、コミュニティにとっては世界観の危機ですよね……?

(ムシコロリ)
本当そうなんです。
でも、そのユーザーを出禁にしてしまうとプレイヤーだけでなくゲームの進化もそこで止まってしまうんですよ。

あくまでもゲームのルールや、ワールドの仕様でそういったグリッチを潰していって、界隈の上昇志向が停滞しないようにしないといけない。
世界観を守るためにはゲームのアップデートを止めてはいけないんですよ。グリッチは見かけ次第潰します。

(ゆーてる)
VRChatユーザーって、そのあたりの仕組みを見つける野生のハッカーみたいな方よく見かけるじゃないですか。そこに立ち向かうのってかなり根性が要りますよね……。

(ムシコロリ)
VRって自分の体を動かしてデバッグしないといけないので結構大変で、一日8時間デバッグに費やして休憩してまたデバッグする、そんな日が連続することもあります。
大変、って言葉じゃ収まらないくらいハードなときもあるんですが、運営が負けたら界隈が負けてしまうので、できるだけみんなが楽しめるように努力しし続けています。

(ゆーてる)
場を担う人というのは気丈に立ち続けていないと、そこを居場所とするみんなに影響が出てしまいますからね。

(ムシコロリ)
でも『VRCボクシング大会』のコミュニティって、アップデートのデバッグを選手たちが積極的に手伝ってくれるんですよ。そこが本当にありがたくて、みんなにはとても感謝しています。

自分のフィジカルを鍛えれば、戦略を磨けば「強いあの人みたいになれる」というビジョンを持てる世界観、これを守るために運営も、選手も常に戦っているんです。

大人になっても、等身大の夢を語る空間を築きたい(とり さん)

(ゆーてる)
『VRCボクシング』で一番強い人はどういう人ですか?

(とり)
『VRCボクシング』には必殺技のような「ヘビーパンチ」が繰り出せる「ゲームモード」と、
そこから移動速度が落ちて、「ヘビーパンチ」が使えなくなるけど、パンチのダメージ判定のクールタイムが縮まった「リアルモード」の2種類があります。

でもどっちのリングでも「誰が一番強いのか?」というと単純に「パンチが上手くて体が使える人」が強いです。
「ゲームの上手さ」は必要ですけど、それだけで勝つことは絶対できないですね。

(ゆーてる)
「ボクシング風ゲーム」じゃなくて「ボクシング」をやろうとしているんですね……。

(とり)
殴られて痛くないのであくまでも「ボクシング風ゲーム」の域は出ないと思います。
でも俺達はそれを本当のボクシングをやるほどに全力でやっています。

(ゆーてる)
「公平なスポーツをしていく」という姿勢はワールドのあちこちに掲示された解説や設定もそれを物語ってますよね。
もはやプレイヤー間で差が出るのは、ユーザーのフィジカルと居住地による回線速度、くらいですか。

(とり)
回線速度に関しては、ある日いつもと違う場所で突然戦わない限りは慣れます。それほど変わらないです。

(ゆーてる)
別に何処の土地に住んでるから有利とかはない。と、いうことは海外ユーザーとも戦えますね……?

(とり)
今ってVRChatのサーバーが世界各地にあるので、例えば日本ユーザー対アメリカユーザーなら、ユーロでサーバーを立てたらフェアです。
実際にアメリカでは賞金200ドルの大会が開催されましたし、韓国でも有名なストリーマーがコラボした大会がこれから行われるので、すごく海外でも盛り上がってきてますね。

(ゆーてる)
そこまで多くの人を惹きつける『VRCボクシング』をどうして作ろうと思ったんですか?

(とり)
俺達せっかくバーチャルとか、メタバースとかみたいな同じ空間にいるわけじゃないですか。
だったらそのみんなで汗かいて動いて集まって、運動してお互い強かったね、楽しかったね、って笑い合えるのがいいんじゃないかなって思うんですよ。

(ゆーてる)
ぼくも含めてですがゲームを趣味としている人って、一日の時間配分で運動の割合を少なくする傾向にありますからね。

(とり)
もちろん普通のゲームも好きですけど、どうせなら一晩中体動かして汗かいて気持ちよく寝て気持ちよく飯を食うって方が、人間として生活する上で健康的だし楽しいんじゃないかなって思うんですよね。

というか昔はこういう遊び方しかなかった。俺はあえてそのゲームがなかった時代の遊び方をメタバースを使って残していきたい、って想いがあります。

(ゆーてる)
僕も近いことを考えていて。SNSなどネットが発達して「いつでも誰とでも繋がれる」この時代において、あえてこのVRという最先端技術で「会えないと何もできない」環境に入ってるじゃないですか。
おそらく、僕たちは意図的に不便になっているんですよね。このバーチャルの空間の力で。
不便だけど本質的だからこそ、VRChat運営の人もVRChat単体の機能としては「会わないとなにもできない」仕様にしてるんじゃないかなって。グループですら一方的なアナウンスですし。

(とり)
あと、あんまり言葉を交わさなくても会って「ねぇ!ボクシングしようよ!」ってボクシングして、息切らしながら戦っていく。
そんな日々を重ねたことで生まれる信頼関係って、あるんですよ。
『メタバースTV!!』に出てたのぞむんも会って2年くらいになるんですが最初の1年はほとんど話してなかったですね。

(ゆーてる)
よくVRChat始めたてのころの人が悩んで投稿しているツイートに「話がうまくできるか不安」という類のものがあると思うんですけど、『VRCボクシング』はこの不安をガン無視できますね。

(とり)
本当にそうで。
一緒に体を動かして汗かいた時間を共有すれば、もう友達なんですよ。
でも現代社会じゃそれを実行出来る場ってなかなか無いじゃないですか。

(ゆーてる)
確かに場のマナーや立場関係・年齢とかで何をすべきかすべきでないかが暗黙の了解的にあって、それらを予め履修しておかないとうまく振る舞えないからやりづらい、というのはありますよね。

(とり)
『VRCボクシング大会』には多分そんなのないですよ。
例を挙げると俺はのぞむんの歳知らないし、のぞむんも俺の歳を知らない。

でもこいつがどんなふうに強くなっていってたかお互い見てるし、
「努力出来るやつ」だってわかるんですよ。
こうして「行動ベース」で生まれた信頼関係って、重いんですよ。

(ゆーてる)
「こいつは努力出来る、心の強いやつだ」ってことさえ分かればあとは些事、と。

(とり)
そうですね。
どこの誰であろうと別の界隈で何してようと中身が何歳であろうとどんな趣味があろうと、そんなことは本人の本質に無関係の、付属物でしかない。

(ゆーてる)
そうしたとりさんの想いが通じているのか、選手のみなさんにすごく素直な印象を受けたんですよね。

画像
撮影:Riinyan@VRC

(とり)
『VRCボクシング大会』の特徴だな思ってるのが、「青春」なんですよね。
みんなさっぱりしてるんですよ。等身大の気持ちでみんなぶつかっていってる。

(ゆーてる)
とりさん自身としてはどういったものを目指しているんですか?

(とり)
俺、新しいeスポーツを作りたいんですよ!
それと同時にみんなが、こんな感じの夢を大人になっても恥じずに語れる場所を築きたい。

(ゆーてる)
その想い、大好きです。

ただそういった「夢を語る」というのは残念ながら陽キャの文脈だって先入観を持たれがちですよね。
陽キャ・陰キャって優劣ではなく、生活だったり趣向が別ってだけでなぜか優劣があるようなカテゴリ分けをされちゃってるじゃないですか。
でも誰しも夢とかやりたいことって持ってるんじゃなかなって思うんですよね。

(とり)
バーチャルとかメタバースの空間だったら、そんな外から植え付けられた余計なレッテルやコンプレックスなんて引っ剥がして夢を語ることが出来ると思うんですよ。
ここではありのままで居られて、今自分が望んでいることが全て。
そんな環境をこれからも作っていきたいですね。

画像
撮影:Riinyan@VRC


今回は貴重なお話ありがとうございました!

リングは誰にでも開かれています。
みなさんもぜひ足を運んでこの熱気をバーチャルの肌で感じてください!

この記事の最後を『VRCボクシング大会』のエンディング、『俺のベルト』で締めようと思います。
『VRCボクシング』にかける全ての想いを込めたこの曲を、ぜひお聴きください。