写真をもっと上手く撮りたい!でも何をすればいいの?みんなは何を考えて撮ってるの??そんな一つ上を目指す方に向けてお送りする連載企画がスタート!フォトグラファーさんをお呼びして、写真を撮る際に気になるアレコレをお聞きします。
第二回のゲストはrocksuchさんです!
VRChatには数多くのカメラギミックがあります。「デフォルトカメラとの違いは?」という基本的な部分やシーンごとによる使い分けなど、一歩先のところまでうかがいました!
(聞き手はトラスク、寝る間をオシムの2名)
本日はお忙しいところご参加いただき、ありがとうございます!早速始めさせていただきたいんですが、トラスクさんなんでそんなに遠いの……
あ、すみません。前回BISさんに画角を習って……ちょっと遠くから撮影を。
ズームするときは離れないといけないですからね(笑) 大事です。
目次
デフォルトカメラでもいい写真は撮れるのに、なんでアセットを使うの?
では仕切り直して……今回も基本からお聞きしていきたいです。写真を撮る上で必要な知識について、うかがいたいです。前回はBISさんにズームや画角の話をしていただいたのですが、自分だったらこうだなというのはお話はありますか?
リアルのカメラだったら、シャッタースピードや露光などのパラメータが色々あるんですが、VRChatだったらカメラのアセットによっては明るさを変えたり、シャッタースピードの概念があるのが『Integral』だけって言うのもあって、そんなに覚えることはないんじゃないかなと思いますね。
しいて言えばカメラアセットなどの操作の仕方ぐらいかな。
意外とパラメーター的に出来ることは(現実に比べたら)そんなに多くないですよね。デフォルトカメラだとズームと絞りだけかな?
そうですね。基本的にはそれで撮れてしまうので、だいたい何とかなってしまいます。
デフォルトカメラの欠点がいくつかあって、BISさんもお話されてましたけど、ボケが大味なんですよね。アバターにピンと合わせても周りがぼやっとしてしまったり。それは持ち味でもあるんですけど……他にもデフォルトカメラのドローンの飛距離やズームも制限がありますよね。そういうデフォルトカメラの制限を突破してもっと自由にドローンを飛ばしたり、ズームをもっと使いたいという場合は、アセットを使うと良いと思います。
他にも、デフォルトカメラでの撮影に対して、全く違う撮り方をしてみたい、ただ綺麗なだけじゃなくてアーティスティックな写真を撮ってみたいという場合も、選択肢に入りますね。
リアルとVRChatのカメラの違いは?
リアルのカメラはVRChatの後で始められたりとかはあるんですか?
VRChatの方が先です。
『VirtualLens』(※)を始めたのが4年ぐらい前で、リアルのカメラが3年前ぐらいかな。旅行に行ったり都会に行ったりしたときは人撮ったり、風景撮ったりしたりしています。
(※デフォルトカメラの機能強化に伴い販売が終了し、現在は大幅に機能強化された『VirtualLens2』が販売されている。)
僕の周りで写真やってますって人はリアルで先に土台があって、バーチャルでもって人が多く居ましたので、ちょっと安心しました。
結構多いと思いますよ。私の周りだと半々ぐらいだと思います。
先ほど言っていたシャッタースピードや露光といったカメラの知識は、リアルで初めてから勉強されたのですか?
そうですね。逆に、バーチャルだとF値や、絞りやズームについて、全然意識してなかったし、感覚的に覚えてたので、リアルのカメラ触った時には「めっちゃ値いじるじゃん!」って混乱しました。リアルのカメラを自分であれこれ試しながら覚えて言った感じです。普通のカメラもそうですけどフィルム機も買ってみたりしたりしましたね。
写ルンですとか、チェキとかですか?
そうそう。
(リアル)写真のパンフレットとかみると、下に小さく撮影のパラメーター表が書いてあるじゃないですか。見るたびにカッコいいなこれって思うんですけど、実際のカメラで撮ってからその辺のパラメータを気にするようになったんですか?
そうですね。それまでは全然気にしてなかったので、適当に撮ってたんですけど。BISさんも話されてましたけど、対象との距離感って凄い大事で、焦点距離と実際の物理的な距離の感覚って数字を見て覚えていくんですよ。数字があれば記録も残りますし、色々な指標になります。いいのが撮れたなって時に数字を覚えておくといいと思います。
そうすると、得意な距離とか好きな画角とかも出てくるようになると思います。覚えていくと、なしでも分かるようになるんで。
特に『VirtualLens2』だとパラメータが出るので、使う人はみんな気にするとよいと思います。
え、パラメーターでるのカッコいいですね。買うか~!
(笑)
リアルのカメラが一台数万円ってのを考えると、カメラアセットは激安なんですけど……『VirtualLens2』の機能を完全再現しようとすると凄い額になるですよね。それこそ億になってもおかしくない。
カメラアセット全部買うと1万円ちょっとになると思うんですけど、そういう比較をするとすごく安いです。手軽なのがVRChatの良いところですよね。
めくるめくアセットの世界へようこそ!
アセットに話を戻しまして、詳しいところを聞いていきたいんですが、rocksuchさんはいくつぐらいアセット持っていらっしゃるんですが……?
えっと……『VirtualLens2』、『VRCLens』が基本であるとして、『Integral』、『Flex FishEye Lens』……これは魚眼レンズですね。チェキっぽいカメラ『Photoboio Instant Camera』やスマホ型の『TemPhone』等、細かいものも合わせると色々あります。今出たのは……6個ぐらい?
沢山ある!その中でよく使うのは『VirtualLens2』ですか?
そうですね。基本的に使うのは『VirtualLens2』で、最近はIntegralも多いかな?
『VirtualLens2』は使いやすいのと、ドローンの操作に慣れているのもあるんですが……顔認識AFってのがあるんですよ。デフォルトカメラにはポイントフォーカスやマニュアルフォーカスがあると思うんですけど、『VirtualLens2』はそれに加えて、対象の顔にずっとピントを合わせ続けてくれるという機能があります。私はライブの撮影依頼とかを受けることがあるんですが、高速で動き回っていてもピントが合います。
また、慣れるとドローンの操作とズームの操作が同時にできるんですよ。そういう点でもよく使うギミックですね。使いやすいので初心者さんにもおすすめしているギミックです。
『Integral』はちょっと特殊で、色々使ってみた方に、最後にオススメするみたいなものではあるんですけど……
色収差などのリアルで起こる現象を再現しているものなんですが、これをVRChatで撮ると、リアルとも、今までのバーチャルのカメラとも全然違う写真が撮れるんですよね。そういう意味で試行錯誤のしがいがあって「どんなものが撮れるんだろう?」ってやり続けているものですね。
僕も本当に最近『Integral』を使ってみたんですけど、シャッターを開きっぱなしにしましたみたいな写真が撮れるので面白いです。ただ、狙った写真を撮るのがとても難しそうだなとも感じました。
そうですね。狙った写真を撮るのは難しいんですけど、逆に言うと偶然性も撮れるのが面白いところです。ブレやノイズが撮れるのが面白い。
リアルカメラに一番近いって感じなんですか?
……機能を近づけていって、(リアルの写真と)一番遠いものが撮れるみたいな感じなんですよね。
似て非なるものが撮れるんですよね。
でもそこが面白いカメラなんです!
それこそ前回記事のサムネイルは『Integral』で撮っています。下手と言えばピンボケだろうという所でやってみたんですけど。
ピンボケを逆に再現できるんですよね。それが逆にリアルっぽいとかもできます。
なるほど。例えば車の写真とかで、車は綺麗に撮れるんだけど風景は流れているみたいな写真は撮れるんですか?
頑張れば出来ると思います。
ただ、リアルだとFPSが無限なんですけど、VRChatはFPSに制限があるので、高速に動くものは描画が飛んでしまうんですよね。速度を落とすとかいろいろ工夫すると同じようなものが撮れると思います。
アセットもたくさんある!その使い分けは?
いろいろ使い方をうかがいましたが、改めてお聞かせください。
「この場面でこのアセットをよく使う」みたいな使い分けはあるんですか?
『VirtualLens2』であれば対人でよく使いますね。さっき言ったライブであったりとか、人がたくさんいる所とか。『Integral』は人がいるときにブレを撮るのも面白いんですけど、光の漏れやノイズなど、リアルの現象を再現したリアルっぽい写真を撮りたいときとか。とって出しでエフェクトみたいな変わった写真を撮りたいときは使いますね。
『Flex FishEye Lens』は超広角なので、情報量をたくさん入れたい時に使います。『TemPhone』や『Photoboio Instant Camera』は、それこそスマホっぽさやチェキっぽさを出したいシチュエーションで撮ることが多いですね。
撮りたい対象が決まった時に、パッと画も浮かぶので自然と選択できることもあります。経験則である程度判断できるんですけど、結構その場で色々なカメラを試すことも多いですね。それが大事なので。
いっぱい撮れってことですね。やっぱりベースはそこになるんだ。
そうですね。試行錯誤がとても大事なので!
rocksuchさんがアセットを使いだしたきっかけは?
ちなみに、rocksuchさんはどういうきっかけでアセットを使いだしたんですか?
私の場合は、『VirtualLens』が出た時に始めたんですけど、その時代って、VRChatのカメラが超広角かつ、ボケもない物しかなかったんですよ。その時代にボケもズームもできるというのが画期的でがっつり写真を始めたし、カメラアセットも使うようになりました。
VRChatから写真を始めたので、強い動機というよりはそういった環境的な物が大きかったですね。
さらにさかのぼって、写真を始めたのはどういうきっかけなんですか?
他の所でも話しているんですけど……昔からワールド巡るのが好きなので、当時も当時なりに色々とったりしていました。今はあまりなくなったんですけど当時はアップデートで結構ギミックやワールドが壊れることもありました。
作者さんが更新してくれればよいんですが、そうでなければ壊れたままになりますよね。ワールドもそうですし、人もそうですけど、無くなったりいなくなってしまうことがあります。その様子を残したいなと思ったのがきっかけです。
残すというと、自分では結構覚えていたつもりでも、写真を見返して初めて「忘れてたな~これ」ってなることは結構ありますよね。
ワールドでも人でも、思い出す鍵としての写真って凄い楽ですよね。なので手軽にどんどん撮って残していって欲しいです。
rocksuchさんは毎月ギャラリーを更新されていますが、どういった基準で載せているんですか?載せるつもりで撮るのか、日常で撮っているものから良かったものを載せるのか。
大体は日常で撮ったやつを載せることが多いですね。もちろん前者を意識される方もいますし、私もいつかやりたいと思っていますが!
写真って基本的にTwitterにあげるじゃないですか。でもSNS上で写真が見られるのって小さい画面だし、一瞬ですよね。そういった意味で、しっかり写真が見られることってあまりないので、機会を作るという意味も込めてギャラリーを作りたいなぁと思ったのがきっかけです。最初は『Re˸collection – リコレクション –』ですね。
フォトグラファーさんは写真のどこを見てるの?
面白い写真というか、試行錯誤が見える写真が好きで……この写真にどうやって至ったんだろうって。
撮るときは一瞬でも、様々な積み重ねがあって写真を選んでいるはずです。そこに至った考えや経験みたいな、文脈って言うんですかね。とった人の考えが完全に分かるわけではないんですけど、自分なりに納得いくようなものを考えています。見て考えるのが好きって感じですね。
BISさんもそうでしたしrocksuchさんも、「写真を見て情報を得る」というプロセスがあってそれが大事なんだろうなって思います。
考え方は人それぞれなんでしょうけど、皆でギャラリー行ってワイワイ言ってるのを後ろから眺めたい。
(笑)
たまにフレンドとギャラリー行くとそんな感じになります。
ちなみに日常写真とかも見方としては同じなんでしょうか?
同じかなぁ……そういう時は感情というか、その場の雰囲気が読み取れるかみたいなのを見ていることが多いですね。
写真の上達になによりも重要なのは「観察」!次に「試行錯誤」!バックアップも忘れずに!!
最後に、「写真が上手くなりたい!」と思う方へのアドバイスをいただきたいです。
「観察」が大前提で、一番重要です……!次に試行錯誤ですかね。
まず観察。対象がワールドでも人でもそうなんですけど、カメラをパッと構えずにまず目で見る。目で見たりドローンを使って観察をしていくと、撮りたいものが決まってくると思うんですよね。そこから試行錯誤していくんですよね。
カメラってめっちゃ手軽なので、試行錯誤も凄い手軽なんですよね。いろいろ見て、いろいろ経験した積み重ねがその人の写真になっていくので。
フォトグラファーさんの写真てたまに「これどっから撮ったんだろう?」って言うのがあるんですけど、観察の結果ってことですよね。
そうです。いろいろ見てみる、いろいろ試してみる。いっぱい撮りましょう。
ちなみにrocksuchさんは月何枚ぐらい撮られてるんですか?
ええと……依頼などを除くと、3~4千枚ぐらいですかね。そこから選別して現像してってなると100~200枚とか。そこから世に出るのがさらに半分ぐらいみたいな感じかなと。さっき言ったように私はワールド巡りが好きなので、毎日community lab巡って写真撮るみたいなことやってたりすると増えていきます。
月4桁はとったことないな……!それだけ撮ると容量もとんでもないことになってそうですね!
ですね(笑)。なのでバックアップ用の物に移してます。他にもTwitterやFlickrに上げてるのも、何かあった時のバックアップみたいな意味合いもあります。
SNSがバックアップって言う考えはなかったなぁ。自分もバックアップしていこう……本日はありがとうございました!
VRChatのカメラギミックは奥が深い……そして、観察と試行錯誤が大事だと感じた回となりました。本企画は数回にわたってお届けする予定です!撮影の基本、アセットときて次は……?次回もお楽しみに!
撮影ワールド:うたた寝の庭先 – Early summer gardens –
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バーチャルフォトグラファー
rocksuch(@rocksuch)
VRChatで旅をしながら風景やスナップ写真を中心に様々な写真を撮っている。
色んなカメラアセットを試すのが最近の趣味。