
写真をもっと上手く撮りたい!でも何をすればいいの?みんなは何を考えて撮ってるの??そんな一つ上を目指す方に向けてお送りする連載企画!フォトグラファーさんをお呼びして、写真を撮る際に気になるアレコレをお聞きします。
第三回のゲストはTATAMIさんです!
撮影をした後にする作業としてよく耳にするのが「レタッチ」。何のためにやるの?どうすればよいの?といった基本を聞いてみましょう!
(聞き手はトラスク、寝る間をオシムの2名)
目次
レタッチって一体なに???


よろしくお願いします!
僕もVRChatで写真を撮り始めてレタッチの勉強をしているんですが、本やフォトグラファーさんによって、定義がバラバラなんですよね……「画像編集ソフトを使って、写真を加工・編集する作業」というのが一般論として概ね当てはまるんじゃないかなと思います。
特にVRChatでの写真に関しては修正が多いんじゃないかなと思っていて……物理法則がないじゃないですか、ぶいちゃって。
体に髪が貫通したり、衣装から足が出ちゃったりみたいな、マイナスの部分を0にする作業が僕は多いですし、クライアントワークをするうえでも必須になってくるのかなと思います。
長い髪の毛や、ふわふわ巻いてる髪型とかだと貫通しやすかったりするので、修正するというのも良くあります。

それって出来るんだ……!



貫通はフォトショップのクローンツールで修正したりとか、最近はAdobeのAI生成を使って修正するのが多いです。僕は「貫通警察」が自分の中にいるので、貫通を見ると許さん!ってなって直していきます。

ほわ~~~!

そういう加工って超大変な印象があったので、できないように思いこんでました……

僕もいろんな人のサポートが無ければここまで来れてないかも知れないですw

僕らが想像してたレタッチって、色味を変えるとか、明るさを調整するみたいなのを想像していたんですけど……全然違う方向から来た。

ステップ1がマイナスを0にする作業とすると、ステップ2が明るさや色味の調整になるかなと思います。そういった作業はAdobe製品で言うと『Photoshop』を使うか、『Lightroom』を使ってる方が大半だと思います。
風景や引きの写真とかの場合はそんなに気にしなくても良いかもしれないんですけど、僕の場合はモデルさんや商品の写真とか、顔をメインで撮影することもあるんですけど、そういった場合は切っても切れない作業ですよね。

前にアバターレビュー記事を担当させていただいたことがあったんですけど、凄い良い写真が撮れたんだけど貫通してしまったというのがあって。その時はカメラマンさんが「何とかしときます」って言ってたんですよ。今思えばこういう作業をしていただいてたんですね。
こういう(貫通直しとかの作業は)結構地味な作業になってくるんですか?

そうですね。時間をかけるしかない部分もありますし、地道な作業になります。
あとは、どこまでこだわるかにもよりますね。こんなもんかで済ませる場合もありますし、どこを見ても違和感がないところまで突き詰める場合もあります。

レタッチって専門技術みたいなイメージも持っていたし、素人には出来ない部分もあるような気がしていたので、地道にやる部分も多いと聞いて安心しました。

よかったです。確かに専門的な技術の印象が強いですよねレタッチって。
ただ写真自体は自由だと思っているので、自分が満足するのが大事だと思います!トラスクさんも自身で撮った写真で満足いくレタッチを目指してください。

頑張ります……!

見て、学んで、まねて、習得するレタッチ技術!

そういった知識ってどういった形で勉強されていったんですか?

そうですね……大学時代に副専攻で美術関連の物をとってて、そこに少しだけ写真があってAdobeのソフトについて触ったことはあったんですけど……
実際はVRChatを始めてからなので、ここ2年ぐらいで得た知識で。Discordでイラストレイターさんの画面見ながら「こうやって瞳をぬれば魅力的になるんだ」とか、「こうやって影いれてるんだ」とか、見てまねるみたいなことが多かったですね。

盗むじゃないですけど、そうやって見ていったんですね。

そう。見る、学ぶ、まねぶ(まねる+学ぶ)ってことを意識するのが多かったです。

そういった、勉強できる場があったんですか?

そうそう。VRChatでクリエイター喫茶みたいなイベントがあって、そこでお会いした方に作業サーバーへ誘っていただいたのがきっかけです。そこで色々見ていましたね……!

飛び込むって大事だ……自分だけで何とかしようと思いがちなので。

そうですよね。僕もそれになりがちで、そうすると変に沼にハマってしまう気がしていて。自分の軸が定まっていないのもあって、他撮りっていうのにたどり着いたんですけど、それゆえに目的をもって飛び込んで、(自分や周囲とも)ほどよく距離を保ちつつやっていくのがいいなと思っているんですが……中々できずに四苦八苦しています(笑)
逆に風景撮るとマイナススタートが無いと思うんですよ。「周りが暗いから明るくしなきゃ」とかはあるんですけど、人物に比べてレタッチの意味合いがまた変わってくる気がしますね。
TATAMIさんのレタッチはどこから?

TATAMIさんがレタッチを始めたきっかけってどういう感じなんですか?なんとなく最初から知っていたのか、勉強する上で知ったのか……

最初からあって、矛盾が気持ち悪かったのがあると思うんですよ。物理法則を無視してるとか、光が後ろから入ってるはずなのに、アバターの光り方がおかしかったりとか。
普段現実の写真を見ているので、(現実と異なる部分に対しての)違和感が気持ち悪かったのが始まりです。最初はWindowsに入ってるソフトを使って、ピクセルで色拾ってドット打ちで貫通直してたんですよ。

ええー!?

そうそう。最初の3か月ぐらいはそれでやってて、もっといいの無いかなぁって探した結果今は『Photoshop』に落ち着いたんですけど……起源はそこかなぁ。

違和感がでて、そこで「できない」じゃなくて「何とかしよう」になったんですね。

それこそイラストレイターさんとか漫画家さんの作業を見ていたから、なんとかできるんじゃないかなって思ったんですよね。やったら面白そうというのもありましたし。
TATAMIさんのレタッチはどこまで?

逆にレタッチしすぎて全然違う物になった経験はありますか?

初期はあります。「イラストじゃん!」っていうはざまになった事はありますね。

その線引きはどうしていますか?

僕はイラストとか絵が描けないんで、基本的には絵になることはないんですけど……線引きとしてあるのは、自撮りをしない分、写真を届ける先が決まってるんですよね。つまり、モデルさんなどに「レタッチができました!」ってお渡しして、その人が喜んでもらえればよいのですが、受け取った人が写真として認識する、かつ喜んでもらうのはどこだろうというところで判断することは多いですね。あとはアバターや衣装がもともと持つ印象が変わりすぎないぐらいでとどめるかな?
全然色が違うところに持っていく方もいると思うんですけど、そういうところは作品に近いものかと思っていて、その線引きをどこに置くかでレタッチの行く末を決めている感じがしますね。
レタッチの基礎知識について

技術的な部分は使っている編集ソフトの機能を理解することだと思ってます。それがレタッチの可能性を広げるかなと。
マインドセット的なところで言うと、自分の好きな作品、漫画や映像作品を見て、その明るさとかをインプットし続ければ、それが自分のこだわりになってきます。そうすると色温度やカラーバランスの好みが決まってくるので、その方のオリジナリティになってくるかなと思います。

結構自由にやっていいってことなんですね。

そうですね。自己満でいいと思ってます(笑)

色温度こうしなきゃ、というよりは感覚でやってるんですか?

そうですね。技法的な部分はあるけれど、最終的にはこの色が好きだからとか、見慣れてるからこうしました、みたいなところになってくると思うので。写真と対話して引っ張っていってもらうのが良いと思います。
ピクセル単位で写真と“対話”!?

写真と対話か……でも直してるときはそういう事なのか。

例えば、VRChatでも普段は瞳のピクセルまで見る距離によるなんてことはないじゃないですか。でもレタッチをしているとそういう瞬間は何回もあるんで、こだわりがみえたりするんですよね。
目のキラキラ具合とか、ハイライトが3色あるなとか。そこまで間近で見れるからこそ、対話が成り立つのかなと思います。

ピクセル単位!?全然解像度が違くてびっくりしました……



写真だからこそできることですよ!VRChatでもそんなにまじまじと足先の素材感見たりとかはないじゃないですか。レタッチを通して色々なこだわりを知れます。
自撮りだと中々ないかもしれないですけど、他撮りをすることが多いので芽生えたことかもしれないですよね。

ちなみに写真を撮る段階って、レタッチについてはいつ意識し始めますか?

撮ってるときは意識してないですね。撮った後に写真をモニターで見て、「ここもう少しこうした方がいいな」って気づくことが多いですね。撮るときはモデルさんとの会話を楽しんでいることが多いです。

撮った後のレタッチの段階で「ここレタッチしづらいなあ」とか、「こうしとけば良かった~」みたいなことは……?

めっちゃありますね!
ぶいちゃは特に現実の写真と比べると多いですよね。光の相性とかもあるし。没写真はめちゃくちゃ多いですよ。それだけでハードディスク埋まっちゃうんじゃないかみたいな。

それの回避はもう経験ですか?

そうですね。撮影前には資料を作って、モデルさんや衣装に対する解像度を上げるようにしているんですけど、それでも「こうすればよかったなぁ」というのはあるので、これはもう永遠の課題ですね。

取材でもたまにあるので、どの世界も一緒なんですね……

(笑)
でもそれに気づけるってことは本気で向き合ってるって証拠なので、そこからフィードバックを受け入れて次に生かしていければ、どんどん成長して「気がついたらこんなところに!」みたいなことになって行けると良いですよね。

フォトグラファーさんは写真のどこを見てるの?

この質問って、その人の世界観に直結するかなと思っています。
僕は基本的に現実の写真、広告とか雑誌の表紙とかをよく見ています。ショッピングモールに行って、ルイ・ヴィトンとかシャネルとかにあるでっかい写真を見たりとか参考資料に持ってきていて、そこのインプットが強かったりしますね。

そういうのが好きで影響を受けてきたってことなんですか?

そうですね。それこそ写真撮り始めてからじゃないかな?意識したの。
最初は何が好きなのか分からなくて……そもそも写真始める前は趣味もなかったし、好きなこと、お金を使ってやりたいと思えるほどの物ってなくて、写真を始めて何が好きなのかを掘り下げたところで、「ファッションが好き」、「人が好き」、「コミュニケーションが好き」、それを写真と組み合わせたらどうなるんだろう?というのをやっていく過程で、そういう物を見ていったのかもしれない。

自分が好きだと思える表現を見るって言う感じなんですね。

好きなものや長所として認識している物のパワーアップのためにインプットを増やして、それをかけ合わせて、Blenderにかけてごちゃ混ぜにして、写真に撮ってレタッチをしたらこうなりましたって言うのが僕の写真なので。好きなものや見てるものが、自然と写真撮るときもレタッチするときも出てくるのかなと思いますね。
あと、いいなと思った写真をあんまり言語化しすぎなくてもよいかなと思うんですよ。感性で感じていって、それが積み重なってみると「つまりこういう事なんだ」って気づくところがあると思うんで……なんか好きだなとか、なんか良い写真だなってものを集めるとか。
実際Discordに立てている自分のサーバーにも、デジタルスケッチブックって言って、自分がSNSとかでみていいなと思ったものをただただまとめていて、それを見返したときに「なんか共通点あるな」って気づくんですよ。

うわ~!それいいなぁ!

結構大事だと思っていて、壁にぶつかった時に「自分て何が好きだったんだろう」って振り返りができるんですよ。自分は本当に背景が無くて、人物が多くて。やっぱり人が好きなんだなって思います。
まねて、極めることから始まる上達の道!

最後に、「写真が上手くなりたい!」と思う方へのアドバイスをいただきたいです。

ひとまずまねてみる。まねてみて、しっくり来たら極めてみる。それを繰り返していけば上手くなるし、その人らしさみたいになっていくのかなと思います。

それは撮るときもだし、レタッチもだしって言う事ですよね。
本日はありがとうございました!
「レタッチ」と言っても様々な解釈や作業があり、その上で思い思いの写真を作っていくことが実感できた今回。本企画は次回で一区切りの予定です!最後までお楽しみに!
撮影ワールド:KURAGARI COFFEE
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バーチャルフォトグラファー
TATAMI(@TATAMIN_desu)
バーチャル空間に特化したモデル撮影・レタッチを得意としているフォトグラファー。
クライアントワークを中心に活動している。
最近は、イベント運営や動画制作などにも力を入れている。