小学校の授業でお馴染みの書写。墨汁と筆と和紙を使い、抱負を書初めする。
和紙と筆を使って文字を書いた経験のある方は多いと思います。
そんな「書の道」を4歳から20年以上歩み続けている青柳美扇さん。
モンスターハンターライズの筆文字を担当したり、JFAサッカー「天皇杯」のオープニングアクターとして書道パフォーマンスの披露、JRA「有馬記念」でも書道パフォーマンスを披露するなど、数多くの実績を積み上げられました。
2021年には、MBS「情熱大陸」にも出演され、書道家のニュータイプとして注目されています。
2022年の11月にバーチャルと現実で個展「青柳美扇の世界」を開催。
なぜメタバースの世界に飛び込んだのか、インタビューを申し込んだのですが…
想像以上のお話をお聞きすることが出来ました。
「私、本当に書道が大好きなんですよ」
私は4歳から書道…最初は習字からだったのですが…
ですが…?
本当に書道が大好きなんですよ!
大好き…!
ありがたいことに幼少時代から沢山の賞を頂きまして、大好きになった結果、週1で通うペースの習字教室に通うところ…
通うところ…?
週3で通ってました(笑)
大好きすぎる!!!
先生から「ちょっと通い過ぎじゃない?」ってたしなめられたほどで笑
ですが、そのおかげもあり「私は世界一書道が上手い人間だ!」という謎の自信に満ち溢れていました!
大好きな書道が世界一上手いと思えるなんて本当に素晴らしいと思います!
ですが…
ですが…?
大学入学時代の話なのですが、一番最初に堂々と見せた作品が先生に「下手だね」って言われたんですよ
ええっ!?どうして!?
あまねこさん、習字と書道の違いって分かりますか?
いやー…正直分かりません…
習字は、美しく、早く、正確に書くもの。
書道は習字の基本を得た上で自分なりに表現するものなんですよ。
高校生まで書いていたものは『習字』だったことを思い知らされました。
書道は『習字の基本+個性』が必要なんですね。
言われたときに初めて挫折を味わったのですが、当時を起点に本当の意味で書道を歩み始めることが出来ました。
メタバースに興味を持ったのは『あの番組』です!
メタバースに関心を持ったきっかけは何ですか?
「マツコ会議」でVR特集を見た瞬間ですね。
タナベさんが出演された『あの番組』ですか?
あの番組で『ファンタズムセブン』を見た瞬間「私もメタバースで何かやりたい!」って感情が湧き出てきました!
そして
そして…?
その番組が流れている最中にタナベさんにDMを送りました!
新幹線のような行動速度…!
そしたらタナベさんから「とりあえずVRChatで会いましょう」と言われまして…
いきなりVRChat!?メタバースは初めてですよね!?
そうなんですよ!ビックリしたんですけど「これについていけないとチャンスを手放してしまう!」と思って、必死に調べてなんとか行けました!
チャンスを掴む握力が凄い!
それでVRChatでタナベさんとお会いしてファンタズムセブンも案内して頂いて、その上で私がメタバースでやりたいことを伝えて、一緒に作る運びとなりました。
その後HMDも買われてますよね?ということはゲーミングPCも購入されたと…
もうすっごいお金かかりましたね笑
ですよね笑
3Dモデリングにも挑戦しました!
聞いた話だと、青柳さんの作品をタナベさんに送ってワールド制作を依頼されたとか?
その通りなんですけど、実は自分でモデル制作もしているんですよ!
なんと!
モデル制作したいとタナベさんに相談した時に「オレンジさんを紹介しますね」と仰って下さり、NeosVRでオレンジさんとお会いして制作していきました!
凄すぎる…
オレンジさんに色々教えて頂いて、Blenderを覚えて、NeosVRに「Aoyagi bisen ちょっぱやワールド」を作ってに3Dモデルを設置したり、色々やりました!
ものすごい速度でアウトプットされてる…
風神雷神や鳳凰に描かれている『美』の文字が連なっているアレ、VRの中で自分で作ったんですよ♪
すごすぎて気の利いた言葉が出てこないです…
オレンジさんにも「この短期間でここまでアウトプットされてる方、はじめてみました」と褒めてくれました!
オレンジさんお墨付きの書道家は、青柳さんしかいないと思います。
メタバースには無限大の可能性がある
今回のメタバース個展を通じて新たな可能性は見つかりましたか?
メタバースには無限大の可能性がある気がします。
無限大の可能性
私は書道に向き合っていくうえで『伝統と革新』をとても大事にしています。
私が話題になったのは、海外で甲冑を着て書道パフォーマンスをしたことがきっかけでした。
確かに、伝統を守りながら革新的な事をされていますね
そして今回メタバースで展覧会を開催して感じたことは、日本だけでなく、世界中の人が気軽に見ることが出来る。ネット環境とゴーグルがあれば様々な壁を乗り越えられる事が分かったんですよ。
なるほど
また、これは書道の世界の話になるんですけど、現実で個展を開催するのってとても費用がかかるんですよ。その費用を賄うために書道とは別の活動をする方も多い。
ふむふむ
でもメタバースなら現実ほど費用は掛からない。家の中から参加できる手軽さもある。
制作としても、集客としても、メタバースは本当に無限の可能性があると思います。
今後の活動
青柳さんは今後どのようにメタバースで活動していきたいですか?
立体的な文字を作ってみたいです!
立体的な文字!?
立体空間で文字を書くのって本当に難しくって、和紙に筆が乗る感覚がないし、見る角度を少し変えるだけで崩れちゃうんですよ。
文字は平面ですから、横から見ると一本線になっちゃいますもんね。
それを360度どこから見ても美しい文字を作りたい。それがメタバースでやりたいことです!
その作品、凄く見てみたいです!!!
他にも『刀』という文字を書いたら本物の刀が出てきたり、他の書道家やアーティストが作品を展示できるような美術館をメタバースで建てて、多くの方が刺激を感じるような場所を作りたいです!
とても素敵な夢だと思います!本日はお時間を頂きありがとうございました!
国境の壁や病気の壁を越えられる、個展の費用が抑えられる。
このような話は当たり前のようにありましたが、書道家として何年も活動されている青柳さんから聞く言葉は、今までにないほど重みがありました。
私もメタバースの可能性を届けられるよう、新しい挑戦をしてみたいと思います。
青柳さん、刺激たっぷりなお話をありがとうございました!
青柳美扇(書道家/アーティスト)
あおやぎ・びせん
大阪府出身。世界10カ国以上で書道パフォーマンスを披露。
国内では国立競技場の貴賓室作品をはじめ、2020年の元日には、国立競技場のスポーツイベントのこけら落としのイベントとして6万人の観客を前に「JFA天皇杯」のオープニングアクトを務めた。
現在は書道パフォーマンス甲子園アンバサダーとしても活動。
代表作 手塚治虫原作TVアニメ「どろろ」、「モンスターハンターライズ」、関ジャニ∞「友よ」、「FIBA男子オリンピック予選公式試合球」「JFA天皇杯」筆文字デザイン等。
2021年に文字を立体的に組み上げた書の現代アート「美の鳳凰」シリーズを発表。
制作過程の様子が密着取材され、書道界のニュータイプと称され MBS「情熱大陸」に出演。大好きな書道を通して、様々なカタチで伝統と革新を発信し続けている。
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まず初めに書道の魅力をお聞きしたいのですが…