【PR】『VRoid』っぽくないアバターを作りたい!! その秘訣はテクスチャにあり――。『VRoid Studio』先駆者であり、元U-Stellaグループ会長&イラストレーター・しらとりこはねに相談してみた【インタビュー】

素敵な『VRoid』アバターが作りたい!

VRoid』は、誰もが絵を描くように、自分の3Dキャラクターモデルを創作できるピクシブ株式会社によるプロジェクト。さまざまな視点で“バーチャル”に関わる人なら、一度は聞いたことのある存在でしょう。

難しい知識がなくても3Dモデルの制作ができることにあわせて、無料で利用ができるほか、著作権やその他の権利の大部分が利用者に帰属する『VRoid』。数年遡れば夢のまた夢であった「自分だけのアバター!」という存在が、2018年のβ版『VRoid Studio』によりグッと敷居が下がり、正式版となった今では多くの人が、さまざまな理由で使用するツールであり、プロジェクトとなりました。

現在は『VRChat』や『cluster』をはじめ、メタバース空間での利用はもちろん、VRMのファイル形式に対応するアプリケーションにも多く活用されています。特に、“無料”であることや“権利の大部分が帰属する”という点は大きく、個人のVTuberさんや、ビジネス目的でのユーザーのニーズが非常に高い存在です。

……そんな中で、『VRoid』を1度は利用したことがあるなら、必ずぶつかる悩みがあります。それが、

なぜか『VRoid』っぽさが抜けない! こと。

過去、筆者が数日かけて作ったVRoidアバター。やっぱり『VRoid』っぽい。

自分で頑張ってモデルを弄りまわしても、どうしても『VRoid』っぽさが滲み出てしまう自分の『VRoid』アバター。いろいろ試行錯誤をしてみるも、なぜか『VRoid』っぽい。どこまでやっても『VRoid』っぽい。そんな悩みから脱出できず、凄腕クリエイターの人に依頼したり、他の選択肢をとったという経験がある人も少なくないのではないでしょうか。かく言う筆者も、そんな中のひとりで、最終的には諦めて販売アバターの改変へ歩みを進めたタイプです。

しかし、『VRoid』の可能性は無限大。うまく活用できれば「えっ、これが『VRoid』!?」と驚いてしまうような、素敵なアバターを作れることも知っている!

いったい、どんなコツがあるのか! 教えてほしい!

……と、いうことで今回は、『VRoid』っぽくないアバターを作る専門家にコツを聞きに行きました! お相手は、BOOTHで販売されている『VRoid』専用テクスチャとして大人気の商品『VRoidっぽくないお肌2』を制作した、イラストレーター・しらとりこはねさん。

「どうしたら、“『VRoid』ぽく”ならないのでしょうか! 教えて、こはねさん!」

人物紹介

しらとりこはね

2017年頃からイラストレーターとして活動を開始。テクスチャアーティストとして、VRoid専用の肌テクスチャ『VRoidっぽくないお肌2』を始め、BOOTHで『VRoid』向けの商品を多数販売中。

過去には音声作品を中心としたキャラクターIP事業を複数展開する企業・U-Stella Inc.の副代表兼、U-Stellaグループの会長を務める。同社休業に伴い、現在は辞職しボランティアで作品を提供中。

(インタビュワー:翡翠ミヅキ

『VRoid』と出会い人生が変わった。

――本日は、『VRoid』っぽくないアバターにするコツをお聞きしに来ました! よろしくお願いいたします!

しらとりこはね

すごい勢い! よろしくお願いいたします(笑)。

――僕も昔『VRoid』を触っていたのですが、どうしても『VRoid』っぽくなっちゃって諦めました。こはねさんは、『VRoidっぽくないお肌2』を始め『VRoid』にまつわるクリエイターとして先駆者的な存在だと認識しています。『VRoid』関係の商品を取り扱うショップを始めたのはいつ頃なのでしょうか?

しらとりこはね

だいたい、2019~20年頃でしょうか? 当時、『VRoid Studio』はβ版のリリースを控えていて、先行体験できるキャンペーンに参加したのが始まりでした。当時から触っているクリエイターさんは数少なく、古参の『VRoid Studio』ユーザーといっても差支えないはず。いろいろお答えできると思います。

――こはねさんが『VRoid』で作品を作ることになったキッカケはなんだったのでしょうか?

しらとりこはね

以前より、私はイラストレーターとしても活動しておりまして、『VRoid』の商品を扱う前には、VTuberさんの立ち絵などを中心にご依頼などを受けていました。

しかし、自分の筆が遅いことや、持病により体力的に沢山のご依頼を捌くことに難しさを感じていたこと。そして、もともと初対面の方と話したり、メールのやりとりなども苦手で……。次第に「なんでもできる人になりたい! 不労所得が欲しい!」と夢見るようになっていったんです。

――夢の不労所得ですね!

しらとりこはね

はい(笑)。それから、BOOTHを利用した通販で何かしらのストック販売を始めようと考えていたところで、VRoidプロジェクトの存在を知り「これは!!」と目を付けたのがキッカケになりました。

――ある意味、運命的な出会いだったわけですね。

しらとりこはね

ですが、最初こそ“『VRoid』が1番上手い人になりたい!”という意気込みでチャレンジをしてみたのですが、当時は今より機能もグッと少なくて、すぐ挫折してしまったりもしましたね……(笑)。

――そうなんですか!? 意外です。

しらとりこはね

それでも、今はBOOTHの売り上げのみで生活できるくらいにはなりました。一度は挫折したものでも、長く続けて、クオリティ上げていく作戦が上手くいきました。

――それからBOOTHでショップを展開し、商品を発売されていったわけですね。『VRoidっぽくないお肌』という商品を作ることになった経緯はなんだったのでしょうか?

しらとりこはね

第一に「自分が欲しいけど、存在しなかい。なら、自分で作ろう」と思ったことですね。

現行するバージョンとは事情が異なりますが、β版の『VRoid Studio』で用意されていた公式プリセットは、お肌がこってりしていてかなり独特でした。当時、これが絵柄に合わない人が多く居た印象で、トレンドの絵柄とは異なるものだったこともあって、私自身も自分の中でも使いにくさを感じていました。そこで、まずは自分用に、汎用的に使える肌が欲しくて作成し、それを商品として置いてみた……という流れです。

ネーミングに関しては、検索ワードだったり、インパクトを意識しています(笑)。

本題:『VRoid』っぽくない『VRoid』アバターを作るには?

――いよいよ今回の本題『VRoidっぽくないVRoidの作り方』についてうかがいます。イラストレーターでもあるこはねさんから見て、皆が“『VRoid』っぽい”と感じるのは、どういった要素から来るとお考えでしょうか?

しらとりこはね

結論から言えば、もっとも影響が大きいのはテクスチャだと思います。現在の『VRoid』で用意されている初期のテクスチャは、かなりのっぺりしているといいますか、セルルックでもなければリアルでもない。癖がなさすぎるテクスチャです。

例えば、影に注目すると、首の下やおでこにも影がなかったりして、とっても「ぺたーっ」という印象を受けると思います。そのため、デフォルトのテクスチャを使ってしまうと「そのまんまだな」という印象を与えてしまいます。

――実際に『VRoidっぽくないお肌2』ではどのような変化を加えているのでしょうか?

しらとりこはね

VTuberなど、流行りのイラストに近い表現を意識した肌テクスチャを目指しています。髪や首元から降りる影の陰影をはっきりさせたり、鼻を見やすくしたりとか。他にも細かい部分まで描き込んでいて、足元なんかを見比べてもらえると、その違いは一目瞭然だと思います。実際に、肌テクスチャを差し換えたモデルをご用意してみたので、比べてみましょう。

――……確かに! 肌のテクスチャを差し換えただけで、かなり“VRoidっぽさ”が無くなった気がします。

しらとりこはね

加えて、重要なのが瞳の描き込みです。3Dモデルに限らず、瞳は印象を大きく変えるポイントです! 落書きのようなクオリティのイラストでも、瞳がしっかり描き込まれていると、それだけで魅力的に映るものです。人の目を引くパーツですから、一番力を入れていいパーツです。

――今、こはねさんが使用されているアバターも『VRoid』ですよね。こうして、じっくり見ても「本当に『VRoid』?」と思えるくらい印象が違います。

しらとりこはね

『VRoid』です! 髪の毛の造形や、服の形状と柄は自作で、それぞれテクスチャはβ版のもの(服は陰影)を使用しています。イヤリングは七百屋 [ Nao – Ya ]様が作ったものを使わせていただいておりますが、こちらも『VRoid Studio』の髪型“はね毛”カテゴリで作られた耳飾りアイテムですね。

――ほとんどの部分が『VRoid Studio』で作られている事に驚きます。他に、ご自身のアバターを『VRoid』で作る際に意識されていることはありますか?

しらとりこはね

作りたいもののテイストに近い“資料”をしっかり集め、研究することですね。例えば、『VRChat』用に制作された人気の販売アバターなんかは、自分で使わなくても購入し、いろんな角度から見て研究したりしています。特に、『VRChat』向けのアバターはテクスチャのクオリティが凄まじく高いので、とっても勉強になります。

無から有を生み出す作業って、いろいろな意味で難しいものです。時代によってトレンドも変わりますから、多くの人に好印象を与える表現という点で、『VRChat』で人気を得るアバターは市場調査としても参考になります。

さらに、突き詰めていくと、“かわいいの黄金比”ってある程度決まっているんです。目の横幅、鼻の高さ、口の起きさから、顎先から口の高さまではどれくらいといった、パーツの配置だとか。それを意識しつつ、作っているアバターの真正面の顔と、人気アバターの販売アバターの顔を隣に並べてみて比べる。そこで自分との違いを見つけたり、調整することが一番上手くなる方法だと思います。

2024年7月末現在のVRChat向け人気アバターはこのようなラインナップ。

『VRoid』クリエイターとは“できない人”の力になれる存在

――お話を聞いて、自分にも『VRoidっぽくない』かわいいオリジナルアバターが作れる気がしてきました。

しらとりこはね

その気軽さこそが『VRoid』の魅力なので、どんどん挑戦して欲しいです! 公式で商用利用も可能なプリセットが多く用意されていますから、ある程度形がある物に対して、オリジナリティを出していく作業こそが醍醐味です。

――最近では、個人勢のVTuberさんが『VRoid』で自身の3Dモデルを用意するのも主流になってきていますよね。

しらとりこはね

無料で使えるサービスならではの特徴ですよね。私の『VRoidっぽくないお肌2』も、個人のVTuberや、小規模な企業に所属するVTuberさん、配信者さんに多く使用していただいています。過去には、のばまんさんも私が作った『Vroid』のモデルを使ってくださったことがあって、とっても嬉しかったです(笑)。

――えっ。のばまんさんって、あの『のばまんゲームス』ですか?

しらとりこはね

そうなんです。WEBカメラだけでVRMのトラッキングができる『Kalidoface 3D』というWEBサービスに、サンプルモデルとして私の作ったモデルがアップロードされていて、そこから選んで使ってもらったんです。あれは嬉しかったですね!

こはねさんのモデルが使用された配信の切り抜き

――それはびっくりですね。

しらとりこはね

あとは、他の『VRoid』関連ショップのオーナーさんが私の制作物を参考にしてくださっているお話しも耳にしています。自分で作ったテクスチャを、いろんな人が使ってくれたりするのは、やっぱり嬉しいですね。

――『VRoid』は「モデリングはできないけど自分が3Dモデルが欲しい!」という、現代のニーズにかなり刺さるサービスだと感じます。

しらとりこはね

そうですね。そして、自分でテクスチャを書いたりするのが苦手な人に対して、私たちクリエイターが活躍できる機会もいただける場所だとも思います。例えるなら、おしゃれに無頓着な人に、似合う服や、メイク、ヘアスタイルを提案するように、瞳アイラインセットとか、肌セットとか、髪型セットとかで力になることができます。私は、学生の頃からクラスメイトの似合う髪型や制服の着こなしをよく想像していたりなんかしていて……(笑)。それを画面上でできるので楽しいです。

――ちなみに、こはねさんが“商品化”する物には、なにか基準があったりするのでしょうか?

しらとりこはね

『VRoid』向けの商品で需要があるのはキャラメイクのためのアイテムなので、瞳、眉毛、二重まぶた、リップ、肌などが多いです。

ただ、基本的に、自分が「こういうものがあったら便利だな」と思うものを作っています。『VRoidっぽくないお肌』が商品化した経緯がまさにソレですね。そもそも既製品がなかったり、販売されている物でもプリセットでかゆいところに手が届かない物を中心に制作して、販売できそうなら商品にするといった流れが多いです。

――以前、こはねさんも所属されていたU-Stella Inc.の代表であるしらとりこよみさんにインタビューをした際、同じような発言をされていました。社内でそういった方針があったりしたのでしょうか?

しらとりこはね

明確にコレというよりも、「ないから自分で作るか」という意識や「やりたい動力源がある」というのが、私たちの共通点としてあるのだと思います。

※こちらが当時のインタビュー↓

『VRoid』はフルスクラッチにも対抗できるポテンシャルを秘めている

――少しお話しが逸れますが、もともと所属されていたU-Stella Inc.においてこはねさんはどんな業務に携わっていたのでしょうか?

しらとりこはね

役職としてはU-Stella Inc.グループの会長と、U-Stella Inc.の副代表を務めていました。業務としては多岐にわたるのですが、会社で保有するIPまわりを担当しており、社内のイラストや3Dモデルの制作や調整のほか、自社が保有するIPの二次創作関連の契約をとりまとめるといった事をしていて、現在もボランティアという形で関わっています。

基本的には、社長(しらとりこよみ)の「これ作りたい! これわかんない!」に応じて一緒に悩んだり作ったり、自分が思いついたものを勝手に作りたい発表することが多いですね(笑)。こちらに関しては多くが会社として皆さんの前にお出しする物で、直近だいたいのものに関わっているはずです。

U-Stella Inc.とは

キャラクターコンテンツ事業を皮切りに、音声作品の配信、VTuberのプロデュース、Live2Dモデルの開発・販売なども行う企業。『VRChat』向けのサービスとしては、BOOTHのオフィシャルショップを通じたアバター・衣装・テクスチャを販売。現在は休業中。

>>>U-Stella Inc./ユーステラ株式会社公式サイト
https://u-stella.co.jp/

――なるほど! では、そんなU-Stella Inc.の製品開発を担当。個人では『VRoid』関連商品の代表的な制作者でもあるこはねさんに、『VRoid』を取り巻く環境に関して質問をぶつけたいと思うのですが……。『VRoid』の商品って、びっくりするほどお安い価格ですよね。クリエイターのみなさん、大丈夫なのか見ていて心配になってしまいます。

しらとりこはね

そうですね……。ピンキリではあるとは思いますが、平均して安いのは間違いないと思います。私の周りにも人気のテクスチャを出している方がいますが、ひとつ300円で販売されていて、「売り上げが低い!」と嘆いていらっしゃいました。例え、100個売れても3万円です。ちょっと辛いですよね。

――それは辛い関連商品が安いので、市場がデフレ状態になっているのでしょうか?

しらとりこはね

『VRoid』の商品は無料で出す方も多いですし、基本的に自分用に作った物を販売される方が多くて自己評価ができず、高めに売っても売れないかもという不安からクリエイターのみなさんが値付けに躊躇している印象があります。そして、購入して使用される方もライトユーザーが多いので、やっぱり安い商品に人気が集まる傾向にあるのは確かです。私もβ版の頃は800円からで、現在は1,000円が平均価格ですね。

ただ、私は「今のうちに値上げしようかな」とも思っています。

――戦うなら“今”ということでしょうか?

しらとりこはね

私は、『VRoid』市場の価値観は『VRoid Studio』の更新状況に左右されると考えています。特に、アップデートでアクセサリー関係や服のプリセットが充実していけばいくほど、『VRoid』で可能な表現力が増えて『VRoid』そのものの需要が上がって、利用者も増えて、市場が活性化し、アップデートによってはフルスクラッチにも対抗できる存在になる! ……と、首を長くして期待してはいるものの、『VRoid Studio』の更新ペースは比較的遅めなのが悩みどころです(笑)。今日も今日とて、“髪の毛”で誤魔化す日々であります。

アップデートでアクセサリーの対応こそしているものの、『VRoid Studio』内でカバーできる範囲はまだまだ少ない。

――『VRoid』あるある。なんでも“髪の毛”で作ってしまう凄腕クリエイター達(笑)。

しらとりこはね

昔から、『VRoid』クリエイターには、アクセサリーから、帽子、角まで、すべて“髪の毛”で作ってきた猛者達がたくさんいらっしゃいます(笑)。今、私がつけているこのイヤリングも、他のクリエイターさんが“髪の毛”で作ったものなんです。

――これが!? やっぱり凄い技術ですけど、そもそも最初からイヤリングとして作れれば良いのにってお話しですよね。

しらとりこはね

そういった部分の改善やアップデートによって、『VRoid Studio』の中で服の型紙や、アクセサリーが作れるようになれば、状況は大きく変わっていくと思います。最近では、VRM形式にファイルが利用できるアプリがかなり増え、簡単に商用利用可能なVRMが用意できる点は他のキャラメイクソフトにはないので、VTuberさん以外への需要も高まってきているのも追い風だと思います。

誰でもゼロからクリエイターになれる時代

――『VRoid』は『VRChat』や『cluster』でも多く利用されています。「クリエイターとして」こはねさんはVRSNSをどのように見ていますか?

しらとりこはね

“いつでもどこでも、おしゃれができる場所”でしょうか。『VRChat』をはじめとするVRSNSでは、3Dモデラーさんやイラストレータさんが、ご自身でキャラクターの衣装を制作されていることも多い場です。アパレル関連のデザインをしたいと思っているような人でも、活躍できる場所で夢がありますよね。例え、一度は挫折したことがあっても。

――こはねさんご自身も、自分の性格や活動の形にあわせた結果が『VRoid』だったと先ほどお話しされていましたね。

しらとりこはね

私は企業の面接を受ける自身がなくて、挑戦できませんでした。そんな未経験者でも、チャレンジできる環境がVRSNSという場にはあります。BOOTHのような通販であれば、自分のペースで制作・発表できるのも、私のような「締切」という言葉に弱い性格の方にはピッタリかと(笑)。

――自分は締切がないと永遠に先延ばししてしまうたちなので怖いです(笑)。

しらとりこはね

あはは(笑)。そういった部分も含めて、自由に、ご自身の性格やライフスタイルにあわせた活動をできるのが魅力ではないでしょうか。最近は、学生さんでもモデラ―として活動されている方も多いですし、『VRoid』もiPad版がリリースされたことで「思いついたら、今すぐ、無料で始められる」環境が整っています。バーチャル空間とはいえ、自分でアパレルブランドを経営できるって、すごくチャンスのある時代だと思います。

――こはねさんご自身の活動としても、引き続き『VRoid』の商品を制作していくのでしょうか?

しらとりこはね

現在はU-Stella Inc.の業務もあり、新しい商品開発に関しては『VRoid Studio』のアップデート次第です。立体的なパーツを作りたいと考えているので、先ほどもお話ししたような、アクセサリーや服のプリセットなどがより充実すれば、もっと積極的に利用したいと思っています。

――では、「イラストレータとして」VRSNSのアバター文化はどのように映っていますか?

しらとりこはね

仕事や文化という視点でお答えしますね。普通、イラストレーターさんは誰かから依頼を受けて、スケジュールを立てて、作業をするというのが普通の流れです。その中で、打合せやコミュニケーションといったものも多く、人とのやりとりというのは、凄く時間がかかる部分なんです。

そんな中で、VRSNSにおけるアバター文化というのは、自分がモデリングしたものであればもちろん、アバター用のテクスチャを通販で売るという形などであれば、他人とのやりとりを必要とせず、じっくり、自分のペースで作ることができます。“イラストレーター”として、一般にイメージされているものとは、大きく働き方が違う環境です。

――事務作業、めんどくさいですもんね!「平素よりお世話になってます」なんて言わなくていいのはクリエイターにとって効率化ともいえる。

しらとりこはね

私は、そういったものが特に凄く苦手だったので、すごく性に合っている世界ですし、新しい働き方だと思うのでいろんな人に勧めたいです。そういった思いもあって、現在、個人的なイラストレーターとしてのご依頼は基本的に受け付けていないのですが、『VRoid』を教えて欲しい、BOOTHのショップを開設してみたいといったご依頼の場合は、喜んで引き受けています。

――それは頼もしい!

しらとりこはね

実際に『VRoid』商品を作ったクリエーターさんに、サムネや規約の作り方など、BOOTHでショップを立ち上げるノウハウをいちからアドバイスもしています。ご興味のある方は、しらとりこはねの公式XへDMやリプライ、BOOTHのショップにご連絡をいただければ幸いです。

――ぜひ、ご興味のある方は、これをキッカケに『VRoid』の業界を盛り上げてほしいですね! ……最後に余談ですが、普段のこはねさんは『VRChat』や『cluster』をプレイする際にはどのように遊んでいますか?

しらとりこはね

私は特定の人とグループを作って喋るということにあまり興味がなくて、パブリックな場で、知らない人たちの会話を近くに寄って聞いたりしています。普通だったら、道端で喋っている人たちの話を近くで聞くって難しいし、興味があっても話しかけられないです。それが、バーチャルな環境だと聞くだけでも楽しいし、興味があったら近づいていって話しかけやすいのが嬉しいです。……ちょっと特殊な楽しみ方かもしれません(笑)

特に、『cluster』ではシンクルーマーの方たちがロビーで歌っていたり、イベントを開いているので、作業用しながら遊ぶのにぴったりのVR空間だと思います。時々、歌っている方に対してバーチャル空間でリアクションとりながら、作業に没頭するのは楽しいですよ(笑)

プロの現場で働くクリエイター。そして、『VRoid』の先駆者として、さまざまな視点からお話をうかがった今回のインタビュー。思い立った時に、ゼロからクリエイターになれる。そんな『VRoid』が秘める可能性を、あらためて感じる時間になりました。

こはねさんのアドバイスを参考に、みなさんも『VRoid』で自分だけの魅力的なアバター作りにチャレンジしてみましょう!

投稿者プロフィール

翡翠ミヅキ
翡翠ミヅキ副編集長
みんな、お待たせ!
ライター業を営む鳥類魔術師Vtuber&バーチャルフォトグラファー。『ファミ通』他、多数の企業媒体で執筆中。大好きを発信し続けております。アニメ、ゲーム、ダイビングのことならお任せください。詳細はXへ!