バーチャル演劇Camelliaから見るVRエンターテイメントの未来

2021年2月13日にVR上で行われたバーチャル演劇『Camellia』

これまでに多数のVRエンターテイメントをプロデュースしてきた『WekEND』が手掛けたVR演劇企画は多くのVRユーザーの注目を集めました。

実際に役者や声優として活躍しているキャストを起用し、VR上でアバターを介して演劇を行うバーチャル演劇『Camellia』を通して今後のVRエンターテイメントの未来について探っていきます。

VR×演劇の新しい表現

コロナの影響で、実際の会場へ足を運んで舞台を見ることが困難になっている現在。
舞台をやりたい演者と舞台を見たい客の双方をつなぐため行われたのがバーチャル演劇『Camellia』です。

演劇を行ったのは声優・タレント・音楽アーティストなどで構成される団体『MK² square
バーチャルエンターテイメントをプロデュースする『WekEND』のサポートもと開催されました。

VR演劇の可能性

現実の演劇とVR演劇の違いはどういったところにあるのでしょうか。

これは観客側と演者側でそれぞれ挙げられますが、観客側としては場所に縛られず演劇を楽しむことができる点が一番のメリットとなり得るでしょう。

空間に入り込む性質があるVRでは、録画映像や配信などの一方通行なやり取りとは違い、場で起きている空気感を全員で共有できる点にあります。

演者の視線を感じ取ったり、他の観客のリアクションを見聞きすることができる環境はこれまで現実の舞台に足を運ぶ以外で得られづらいものでしたが、VRという仮想空間が用意されることで、上記のような場の空気感やその場にいる人しか感じ取れない演者の細かな仕草を楽しむことが出来ます。

また、演者側としてはアバターを介すことで、より自由な表現で劇を演出することができます。
体格や性別に関係なく表現が出来ることは役者としての表現の幅が広がりますし、アバターを変えれば1人で何役も演じることができるので、キャストの数が少なくても舞台を行うことができるのは大きなメリットではないでしょうか。

また、現実と比べて舞台のセットや衣装の用意に時間を要さない点も魅力です。
魔法を出すような演出や宙に浮く表演など、現実で再現するためには困難な演出でもバーチャル上ならば比較的簡単に行う事が出来ます。

これまでに無い新しい課題も

一方、バーチャルゆえの問題点もあります。
大きな問題点としては、キャストがそれぞれの家からバーチャル舞台に出演する場合、それぞれのインターネット環境によってパフォーマンスにラグが生じてしまう問題が発生してしまいます。

現状の通信技術では、オンライン上で演劇を行う際、細かな間の作りにどうしてもラグが発生してしまうため、それらを考慮した上で脚本やセリフの言い回しを作っていかなければなりません。

今回の演劇『Camellia』では通信環境をそろえるため、場所を借りて一緒にVRChatに入ってもらうことで演劇を進めたそうですが、このような通信環境の間を計算して劇を組み立てていくには従来の演劇には無い新たなテクニックが求められそうです。

また、VR上では舞台の移動や表情の表出はすべてコントローラーで操作されるため、技術的なスキルも求められる点が従来の演劇とは異なる点です。

VR演劇『Camellia』は、これまで培ってきた演じ手の演劇ノウハウが通じない点も多く、文字通り新しい挑戦であったと言えます。

しかしそのような課題を抱えながらも、VR演劇『Camellia』は大きなトラブルなく満員御礼で幕を閉じることができました。

WekENDの目指すVRエンターテイメント

上記の通り、バーチャルで行うエンターテイメントは現実では出来ない表現や、場所や費用、移動時間の削減など、物理的な制約を超えた便利なツールであるとともに、VR特有の課題点も発生します

これからVRが一般に普及するにあたり、こうしたVR特有の課題や特徴を熟知し、VRに適した演出やノウハウを積み重ねることがVRエンターテイメントを開発していくうえでの課題となるでしょう。

各社まだVR活用の知見が集まっていない中、今回のVR演劇『Camellia』をプロデュースした『WekEND』は、VRだからこそ出来るエンターテイメントを率先して開拓している団体と言えます。

これまでにVR成人式や演劇、バラエティ企画など、数々の企画を行ってきた『WekEND』

今後もVRエンターテイメントを発展させる注目の団体となっていくことが期待されます。