12月23日、VRChat上での音楽ライブイベント『GLITCH JAZZ IN VRC』が行われました。
目次
グリッチ?ジャズ?
『グリッチ(GLITTCH)』も『ジャズ(JAZZ)』も、それぞれ音楽のジャンルの一つです。
グリッチ
3.電子音楽のジャンルの一種。音飛び、ノイズ、bpmの歪みなど、上記のような(引用者補足:コンピューターやその他の電子機器に発生する、不具合/不調/誤作動/異常/狂い/電圧急上昇などの)「不具合」の要素を含んでいる。
グリッチとは [単語記事] – ニコニコ大百科 (nicovideo.jp) より一部抜粋
上の動画のような電子的なノイズ音を聞いた経験のある方は多いと思いますが、こういった音が『グリッチ』、または『グリッチノイズ』と呼ばれています。
ジャズ
ジャズ(英: jazz)は、19世紀末から20世紀初頭にかけてアメリカ合衆国ルイジアナ州ニューオーリンズの黒人コミュニティで生まれた音楽ジャンルで、ブルースやラグタイムをルーツとしている。1920年代のジャズ・エイジ以降、伝統音楽やポピュラー音楽における主要な表現として認識されるようになった。
ジャズの特徴は、スウィングするリズムや、裏の音符の多いシンコペーションのあるリズム、初期にブルースの影響を受けた(ブルーノートもあったが、これは基本的にはブルースである)複雑なコード、複雑なスケール、コールアンドレスポンス・ボーカル、ポリリズム、即興演奏などである。ジャズのルーツは、西アフリカの文化と音楽的表現、そして黒人の伝統にある。
ジャズ – Wikipediaより、冒頭を一部抜粋
『ジャズ』という音楽ジャンルの名称は『クラシック』や『ロック』ぐらいに広い範囲を指す分類ですが、『ピアノやトランペット、トロンボーンなどの楽器を用いて演奏される音楽ジャンル』と言う事は出来ると思います。
![](https://vr-lifemagazine.com/wp-content/uploads/2023/12/Jas_Messengers01-1024x668.jpg)
ライブの様子
『実験的で面白い音楽ライブが有るらしい』という情報を聞きライブに行くことになったのですが、正直言ってその時は『グリッチ』と『ジャズ』がどう結びつくのか筆者には想像が付いていませんでした。
『音楽演奏しながら『グリッチ』的な映像表現が行われるライブかな?(『グリッチ』という名前の映像表現も存在しているため)』などと想像しつつ、当日会場に入りました。
![](https://vr-lifemagazine.com/wp-content/uploads/2023/12/VRChat_2023-12-23_22-03-45.283_3840x2160-1024x576.jpg)
会場は(体感で)幅5~6m程度の通路状のスペースになっており、その奥の方にDJブースのような機器があってそれを取り囲むように演者の皆さん(ボーカル: az さん、ピアノ:らくとあいすさん、サックス:初吹音(そぶね)さきさん、ドラム:Yuki Hataさん)が取り囲むような配置でスタンバイしていました。
『ジャズの演奏にDJブース?』と疑問に感じましたが、演奏が始まってその配置になった理由が理解できました。
![](https://vr-lifemagazine.com/wp-content/uploads/2023/12/Video-1.gif)
『ジャズの演奏にリアルタイムでグリッチ処理をかけて音を歪ませる』、それがこのライブでした。
各演者の演奏をグリッチ処理を行うyoxtellar(よっと)さん(上の動画の中央に居る人)に送信し(SYNCROOMという遠い所にいる人同士での音楽演奏に特化したソフトを用いているそうです)、リアルタイムでグリッチ処理をかけてワールド内に配信する、という演奏スタイルでした。
約一時間のライブイベントの後、アフターとして飛び入りの演者さんを交えたセッションも行われていました。
![](https://vr-lifemagazine.com/wp-content/uploads/2023/12/VRChat_2023-12-23_23-12-19.444_3840x2160-1024x576.jpg)
主催者のYuki Hataさんに話を聞いてきました
当日ドラムを演奏しており、このライブイベントの主催者でもあったYuki Hataさんにライブ後お話を伺いました。
ーー「ジャズの生演奏をリアルタイムでグリッチ処理する」というアイデアはどういう経緯で生まれたのですか?
Yuki Hataさんによれば、『インプロ部』というDiscord上のコミュニティがあり、そこで不定期に募集をかけてVRChat上のワールド内で即興演奏を行っているそうです。
教えていただいた(今回のライブの原型とも言える)『グリッチを掛けて行った即興演奏』の模様を記録したX(twitter)の投稿が以下になります。
ーー今後「こんなことをやりたい」というアイデアなどはありますか?今後のライブの予定などがあればそれも含めて教えてほしいです。
![](https://vr-lifemagazine.com/wp-content/uploads/2023/12/4Rh0W96A_400x400.jpg)
今後、特に予定とかはないですが SYNCROOMを使った遠隔セッションだと普段なかなか交わらないジャンルのミュージシャン同士が、気軽にセッションしやすいと感じていて。今後も色んな方とセッションして面白い化学反応が生まれたらいいなぁと思っています。
今回、割と実験的なまま「どうなるだろう」という部分を残したままでライブに臨んで、結果的に上手くいったと感じていますが、「ジャズ演奏をグリッチ処理する」というスタイルを磨いていったら最終的にどういう形に着地するのかは気になるので、何度かやってみたい気持ちですね。
感想
今回のライブは、他では見ないような実験的な要素の強い内容でした。
音をノイズ加工するためには一度音源をデジタル化する必要がありますが、現実世界の演奏でこれをやると臨場感が損なわれます。かといって音声のみのネット配信で同じことを行うと今度はライブでやっている感じが乏しくなってしまいます。
なので、『生演奏にリアルタイムでノイズ加工をして、聴衆に聞かせる』場所として、今回のような(VRChatのような)VRSNSという場所はちょうど良い場所なのかもしれない、と感じました。
今回のような実験的要素の強いイベントやライブが今後も開かれ、まだ見ぬ可能性を切り開くきっかけになればいいなと感じます。
![](https://vr-lifemagazine.com/wp-content/uploads/2023/12/VRChat_2023-12-23_22-36-40.796_3840x2160-1024x576.jpg)
ライブアーカイブ動画の紹介
今回のライブの様子は配信アーカイブとしてYoutube上で公開されています。
『GLITCH×JAZZ』の実際の様子が気になる方はこちらをご覧いただけたらと思います。
https://www.youtube.com/live/d_SlYQOsPQc?si=-Pfj6zkbDjJzPA6N
VRChatグループ『EMN Records』について
今回のライブは『EMN Records』さんが設置したグループインスタンスにて開催されました。
『EMN Records』は音楽VTuberのアムニェカさんが主催しているバーチャルミュージシャンのグループであり、VRChat内のセッションミュージシャンを支援しつつ、団体でもジャズセッションイベントを定期的に開催しています。
今後も(Yuki Hataさん主催のものに限らず)様々な内容のジャズセッションをVRChat上で定期的に開催していく予定だという事なので、ジャズ音楽に興味関心のある方はチェックしてみてはいかがでしょうか。
ホームページ:emnrecords.com
VRChatのグループURL:
https://vrchat.com/home/group/grp_fe339ad3-f5c8-4e85-971a-e3e980b36c83
投稿者プロフィール
![きっどえー_ kidA_jp](https://vr-lifemagazine.com/wp-content/uploads/2023/02/FCD4n9bi_400x400-150x150.jpg)
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元々、ラッパーの人とかトラックメイカーの人とかにジャズ関係の人も加わった、ジャズの演奏というより「即興演奏(フリーセッション)をするコミュニティ」が有るんです。
そこのフリーセッションで(今回のライブでグリッチ処理の演出を行った)よっとさんがグリッチを掛けてやったのが最初で。そこから「ジャズの演奏でグリッチやるの、面白いのでは?」って思ったのがきっかけですね。