
2025年5月15日、VRChat内にて育良さんかわいいサミットが開催されました。
育良さんかわいいサミットとは、サンリオVfes内のCMにてその立ち振る舞いが話題になった育良啓一郎さんに予想外な話題を呼んだCMの制作エピソードや反響について、赤裸々にお話を聞くイベントです。
本イベントは、サンリオVfesの会場でアンドエスティのCMを見た観客の一部からCM製作者兼出演者の育良啓一郎さんに対し「育良さんかわいい!」というコールが自然発生し、Xで「#育良さんかわいい」というハッシュタグを付けて紹介する人が現れるなど局所的に話題になったのが発端となり、交流のある浅田カズラさん主導の元、イベントが開かれました。
目次
テーマ① あの動画どうやって作ったの?

浅田:本日はサンリオVfesで「可愛すぎる」と話題になったCM製作者の育良啓一郎さんをお呼びし、CM制作の舞台裏や、広報担当として考えていること等を色々聞ければと思います。よろしくお願いします。
育良:どうしてこうなった。
浅田:先ずお聞きしたいのは、あのCMはどうやって生まれたんでしょう?
育良:サンリオVfesに名だたる企業がCMを打ち出してる中で全てVRChatで撮影されたCMが流れたら面白いんじゃね?と思ったのがキッカケです。訳あってCMをイチから作らなきゃいけない状況で、全部VRC内で撮るなら自分でも出来ると思い決行しました。
まあ、締め切り間に合わなくてメチャクチャ迷惑かけたんですけど。
浅田:素材は全て育良さんお一人で用意したということですか?
育良:そうですね。そしてほぼ突貫工事です。同じカットを何度も撮り直して撮った素材を組み合わせています。何カット撮ったとかは覚えてません。
浅田:画面内に二人写る場面がありますが、それはどうやって撮影したんですか?

育良:接客パートは昔撮った動画を再利用してます。これは一人で二役分をグリーンバックで撮影して後で合成しました。
浅田:かなりスムーズにCM完成まで仕上げたという印象ですが、元から動画制作のノウハウがあったとか?
育良:ほぼほぼ無いに等しいです。でも、必要なカットやこういう素材がいるなっていうのはなんとなく頭にあったので、それをひたすら撮った感じですね。ある程度筋道が決まってたら何が要るかある程度分かるので。
テーマ② 動画撮影で最も重視したことは?

浅田:CM制作にあたって重要視してた部分や、マインド的なものはありましたか?
育良:『テキスト情報を無くして印象で伝える』というのは意識しました。サンリオVfesは海外のユーザーさんも来られますし、文章って基本的に読まれないので。
あとは、僕一人で撮ってるので音声を入れようにもちょっと厳しいものがあったので、アンドエスティはどういう会社でなにをしているのかをビジュアルだけで伝えられるようにしてます。
育良:他に考えてたことは、僕がTikTokをやってた経験から、見てて心地いいCMになるよう音ハメ要素を少し入れてますね。

浅田:あぁ~!確かに音ハメありますね。
育良:全編VRC内撮影という点で、もっと企業を身近に感じてほしいという思いもあります。
なんかVRChatにいる企業さんって謎にユーザーと距離近いじゃないですか。あの商店街のような距離感が良い。企業だから~ってそんなに身構えなくて大丈夫です。
テーマ③ アバターを操演する際の心境は?

浅田:いま育良さんが着ているアバターは一色 晴ちゃんですが、普段使っているアバターとは違いますよね。育良さんのアバター観をお聞きしたいです。
育良:僕はアバターを着ているという認識です。服を着替えるように状況に合わせてアバターを変えています。
普段パーカーとジーンズで過ごしてるとして、ある日スーツに着替えたらなんとなく気持ちがピシッとするじゃないですか。僕にとって晴ちゃんは『店員さんがお店で着る服』って感じです。
浅田:私服のような仕事着って感じ?
育良:そういう面もあるし単純に「カワイイうちの子」って面もあります。
浅田:ちなみに、改変せずデフォルトの晴ちゃんを使う想定ってしてました?
育良:僕がデフォルトの晴ちゃんを使って広報活動してたら『育良啓一郎=晴ちゃん』っていうイメージがついちゃってアバター自身を汚染しちゃうと思ったんですよ。それを避けるために改変して“自分の晴ちゃん”にしました。
アバターをよく理解しないと愛着も生まれないし、愛着のないアバターを売るなんてできません。そういった部分でも自分のものにするって大事だなと思います。
テーマ④ 実際にCMを作ってみて気づいたことは?

浅田:CM制作でのメリットデメリットってありますか?
育良:メリットはCM放送が終わってもこうしてたくさんの方がCMを覚えてくれたことですね。逆にデメリットは話題性はあったけどマーケティングとして何を伝えたかったかブレた点かな。
浅田:作業面でやった方がいいこと、やらなくていいことはありますか?
育良:やった方がいいことはこまめにリマインドすること!
あとは『誰に向けた広告なのか』をキチンと考えておくことですね。ターゲットを定めておく。
浅田:なるほど。ターゲットを定めておけばやることが明確になったり人に任せられる部分も見えてくると思うので大事ですね。
育良:基礎を大事にしつつ、どこで遊び心を入れるかです。
よく「会議室ノリ」なんて言いますけど、誰かしらに刺さったのなら、そこをターゲットにしても良いと僕は思ってます。誰に刺したくて、刺さった人にどうしてほしいかまで考えられたらベスト。
テーマ⑤ VR方面の広報として気づいたこと

浅田:広報戦略という面で、VRChatの人達はなにを面白がり、どんなメッセージが響くんでしょうか?
育良:すごい雑に言えば「浅田カズラをヒドイ目に遭わせます」「浅田カズラを埋めます」とか言うと面白がります。

育良:これはカズラさんが自ら埋まったんで面白くないです。嫌がってる方が面白い。
浅田:ちゃんとダメ出しされた。
育良:『日常からギリギリ延長線上にあるような面白い事』って見ている人から「おっ」って思われやすいんです。「なにか面白い事言ってみる」という、大喜利みたいな。
それを(広報として)達成したい目標にどう結びつけるかが重要な気がする。
浅田:『浅田カズラがヒドイ目に遭う』が大喜利的な「面白いこと」であり、それを広報としての目標に上手くつなげることが有効という訳ですね。
浅田:ちなみに、過去に育良さんが手掛けた広報で反響のあったものはなんですか?
育良:バーチャルマーケットにBEAMSが出展してくれた際、接客を大事にしてたBEAMSの魅力を伝えるには文章だけじゃなくて動画が良いよな。って思ってBEAMSさんに提案したら本当に動画作ってくれたんです。
ユーザーさんからの反響もあったし、動画だったからこそ僕が伝えたかったBEAMSの魅力がより多くの人に伝わったんだと思って嬉しかったな。
育良:さっき『商店街の距離感』っていうワードを出しましたが、身近な距離感がVRChatの人達に響くんだと思います。
浅田:さっき育良さんが話した『日常からギリギリ延長線上にあるような面白い事』のような、『自分に降りかかりそうな非日常』がユーザーの心を掴むのかもしれませんね。
質疑応答

記者:多くの来場者から「育良さんかわいい」という歓声が上がっていました。イベント前後で『育良かわいい』という自認の変化はありましたか?
育良:揺るがないことは、僕はアバターそのものをファッションと捉えていて、この姿はカワイイと思っていますが「育良かわいい」とは思ってないです……。
でも、今回のイベントを通して表面化していない新たなかわいい、“ブラインドかわいい”があると思ったので、各々が自分の可愛さに気づいていくことがこれから大事なのかもしれませんね。
育良:あと、記事の最後に血文字で「にげろ」って書いておいてください。
記者:分かりました。ありがとうございます。

大盛況のうちに終わった育良さんかわいいサミットでした。
次回開催は未定ですが、前向きに検討しているとのことです。

投稿者プロフィール

浅田カズラ
(@asada_kadura_vb)
フリーライター・編集者
メタカル最前線編集部
育良啓一郎
(@ikr_4185)
株式会社アンドエスティ
アンドエスティメタバース所属