推しと目が合う!ゴンドラが走る!エピト3周年ライブ『Love Delivery Man』イベントレポート

2022年2月4日、メタバースタレントであるエピト氏が主宰するツアーライブ『Eito Mizuki LIVE TOUR 2022 Love Delivery Man』が開催された。

2019年にVR / MRのアプリメーカー『Gugenka』のプロデュースによって誕生し、現在個人勢として精力的に活動している水木瑛斗(みずきえいと)、通称エピト氏の初のワンマンライブ。

ライブはVRChatで行われ、現地会場の他にYouTubeでリアルタイム配信も行い大盛況となった。

バーチャルアーティストは数多くとも、個人勢で専用会場を作り、演出込みのライブを行えるアーティストはそう多くはいないだろう。

今回はそんな『Eito Mizuki LIVE TOUR 2022 Love Delivery Man』の模様をレポートしたい。

物販・手書きチケット・会場、すべてが手作りのライブ

開場20分前、筆者がVRChatのライブ会場に降り立つと、入り口の物販エリアでは当日観戦チケットが当選したユーザーたちで既に賑わいを見せていた。

この場に並んでいるペンライトや応援うちわ、Tシャツは飾りではなく、実際にエピト氏のBOOTHで販売されているグッズだ。

イベント参加者は事前に購入したデジタルアイテムをアバターに着用し、各々会場に持ち込んでいた。
中にはうちわにメッセージを書くなど、現実の男性アイドルの応援文化を汲んだ独自のアレンジをする人も。
グッズを通じてファン同士『それいいですね』『私もグッズ買いましたよ!』と交流する様子は現実のライブ会場さながらの光景だ。

今回運よくイベントに当選したユーザーにはエピト氏から手書きのサイン入りデジタルチケットが贈られるというユニークなサプライズ行われている。

ライブ当選者はエピト氏の直筆サイン入りえチケットをVRChatに持ち込み、嬉しそうに手にしていた。

こうしたデジタルグッズを介したコミュニケーションが行えるのは空間があるVRだからこそ出来る演出と言えるだろう。ライブ配信のコメント欄ではなかなか再現しがたい事だ。

開演前に客同士でツーショットを撮れるのもメタバースならでは。

仲間とともに観覧するライブはユーザーのかけがえのない思い出となって記録されていくのだろうと感じた。

ステージから颯爽登場!エモすぎる演出に歓喜

開演時間になり会場の照明が落ちると、中央のモニターにオープニングムービーが流れ始める。
客席からワッと上がる歓声。

エピト氏のこれまでの活動がフラッシュバックで流れ、ツアータイトルロゴが表示されるとモニターを割ってエピト氏本人が登場した。

エピト氏の3年間の集大成を飾るようなオープニングには、観客席から『エモすぎる!』と歓喜の声が上がっていた。

1曲目にはエピト氏の最初期のオリジナルソングChuChuChuで打ち抜いてを披露。
80年代アイドルを彷彿とさせるキャッチーなメロディーと歌詞で観客を盛り上げた。

ライブ中には『みんなの声聞こえてるからね!』とレスポンスを返し、ファンサービスもたっぷりだ。
歌い終わりのMCで『こんなに緊張するかなってくらい裏でえずいてましたけど、みんなの顔見て安心しました』と語ると、客席には和やかな笑いが聞こえていた。

ライブ中はアイドルらしくキリっとしていて、MCではほんわかとしたフレンドリーさでユーザーと触れ合う。こうした絶妙な距離感が彼の魅力だ。

『じゃあ2曲目準備してくるからね』と間を置き、しばらくすると今度はVRソーシャル界隈で人気の漫画家、リーチャ隊長(@rietzscha)とユニットで登場。

エピトとリーチャ隊長の名前をもじったユニット名『リピート』としてデビューシングル『 仮想世界(バーチャル)から君へ 』を歌い上げた。

今回歌った曲はなんとこのライブのために制作したオリジナルソング。

楽曲制作を行ったMilia氏(@xmiliax)曰く、懐かしい日本の王道的メロディでイケメンな歌詞に仕上げたとの事だ。2人もステージを駆け巡りながら歌詞にあわせた振りで観客を沸かせていた。

しかし残念ながらライブ後のMCでリーチャ隊長により、『リピート、本日をもって解散します!』と宣言が。

『またみんなに会えることを楽しみにしてます!』と言いつつ、何故かセカンドシングルが出るという予定も立っているらしく、エピト氏によるとこれからも“何らかの何か”が続いていくそうだ。

巨大えぴくまのゴンドラが登場!

3曲目はジャニーズユニット“修二と彰”の『青春アミーゴ』を九条茘枝(くじょう らいち)とカバー。サビに入るとステージにゴンドラが登場し、ステージを一周した。

本ライブ一番のこだわりギミックには会場も大盛り上がり。
観客と演者が同空間に存在するVR生ライブでゴンドラが登場するのはかつてない演出だ。

エピト氏がゴンドラ移動中、筆者が手を振るとエピト氏は目をあわせて笑顔を見せてくれた。
リアルでも数々のアイドルライブイベントに足を運んできた筆者だが、VRライブで推しと目が合うという体験は新鮮だった。

これもその場にいないと味わえない、ソーシャルVRだからこそできる体験だろう。

ゴンドラに乗れるバーチャルタレントは大手であっても稀だ。
そもそもバーチャルタレントが現実のライブ会場で同じようなことをしようとしても、現実とバーチャルとでは次元が違うのでどうしても映像演出の色が強くなってしまう。
だがメタバース空間なら演者が実際にその場にいるのだから、ゴンドラに乗って歌を歌う事が可能という訳だ。

九条茘枝氏はMCで『このライブを誰よりも楽しみにしてました』と語っていた。


ライブ後半にはエピト氏と同じくGugenkaに所属していたバーチャルタレント、天護ねも、鈴山八広(ハチピ)がステージに登場。

残念ながら東雲めぐは会場に来れなかったそうだが、ビデオメッセージで『自分の後輩がソロライブを開催するのは感慨深くて嬉しいです。エピトが誰よりも悩んで頑張ってきたことを知ってるし、絶対に成功するって信じてます。』とエールを送った。

終盤はエピト氏が新曲『キセキ』を披露。
歌詞中の『願いが響き合いますように』『繋がっていくように』というフレーズは、エピト氏のこれまでの考えや想いが詰まった歌詞になっているそうだ。

まだまだユーザー同士が手探りで場を創り上げている、未開拓なメタバースの世界。
そんな中、先駆者として3年もの間活動を続けてきたエピト氏の努力はただならぬものがあっただろう。

もともとエピト氏は相方の鈴山八広(ハチピ)と一緒に “一度は諦めたエンターテイナーへの夢を仮想世界で再挑戦する”というコンセプトでデビューしたバーチャルタレントだ。

メタバースの世界にはタレント事務所も無ければオーディションも無い。
成功へのロードマップ、登竜門が存在しない中、他ユーザーと横並びになって一緒に企画を立ち上げ、夢を叶えていく姿は今現在も多くのVRユーザーに希望を与え続けている。

私たちの応援が彼を成長させ、彼の応援が私たちを成長させてくれる、まさに『響き合う存在』なのだ。

ライブの締めでエピト氏は
『もう感謝しかなくて。個人勢なのにこんなにライブが出来て、グッズもいっぱい出して。
お友達が支えてくれて、何かあった時に思いとどまらせてくれるのもみんな。
めちゃくちゃいろんな人に助けていただいて、3年間やってきてマジで良かったっていっぱい思った!泣いた!』
と声を震わせながら笑顔で感謝を伝えていた。

エピト氏の活動は今後もメタバースタレントの先駆者として、この世界に彩を与えていくに違いない。

『Eito Mizuki LIVE TOUR 2022 Love Delivery Man』 2022年2月4日(金)@VRChat セットリスト

1.ChuChuChuで打ち抜いて エピト
2.仮想世界(バーチャル)から君へ エピト&リーチャ隊長
3.青春アミーゴ エピト& 九条茘枝
4,虹  エピト&ハチピ& 天護ねも
5.キセキ エピト
6.鶸色の月 エピト
ーアンコールー
7.きみでよかった エピト