VRChatで海に沈むシロクマを目撃せよ!「日産アリアとめぐる環境ツアー」体験レポート

突然だが、「カーボンニュートラル」という言葉の意味をご存知だろうか?

要約すると、二酸化炭素を始めとする温室効果ガスの「排出量」と森林植物による「吸収量」をプラスマイナス0にするという目標のことだ。二酸化炭素(カーボン)の排出と吸収を中立(ニュートラル)にするという意味である。政府は2050年までにこのカーボンニュートラルを目指すという宣言を行った。

こういった環境問題に対する取り組みは、人類共通の課題であり近年注目が高まっている。

そして、環境問題に対する取り組みの波はバーチャル空間にもやってきた。日産アリアに乗って。

・日産アリアとめぐる環境ツアー!

日本の銀座に実在するカーショールーム『NISSAN CROSSING(日産クロッシング)』の再現ワールドがVRChat上に公開され、先日大きく話題になった。

そして、日産自動車は先述した「カーボンニュートラル」や「SDGs」など、環境問題を共に考えることを主題とした『日産アリアとめぐる環境ツアー』を行うことを発表した。

なんと、そのツアーもVRChat上で行われるのだ。日産自動車のような世間によく知られる大企業が、人類共通の課題である環境問題について、VRChatというプラットフォームでプロジェクトを行うという事実に驚かされる。

本記事では、そのツアーの先行体験に参加したレポートをお届けする。

・「お勉強」じゃない? 体験アトラクション型ツアー!

ツアーはショールーム『NISSAN CROSSING(日産クロッシング)』のエントランス前から始まる。日産自動車の副社長、星野朝子氏のリアルアバターも登場し、ツアーの目的と意気込みを語っていただいた。

そしてついに、ツアーが始まった。ガスを排出することのないEV(電気自動車)である日産アリアによって、参加者たちは次の舞台に運ばれる。

辿り着いたのは氷の大地、北極だ。車移動で北極まで来るというのもバーチャル空間ならではの演出である。

氷上に佇むシロクマが哀愁を誘う。そして次にこちらを見て欲しい。

南極のペンギンだ!

そう、ここは南極と北極が合体した場所だったのだ。気の抜けた看板がシュールな笑いを誘う。

ここで私の先入観が間違いだったことを正直に言わなければならないだろう。ツアーのタイトルを聞いて、「環境問題? なんか学校の授業みたいなのかな……?」と思った方も多いのではないのだろうか、かくいう私もそうだった。しかし、この時点でそれは勘違いだったと思い知った。

ツアーガイドの鵜飼氏の説明と共に、北極の氷が解け、シロクマが沈んでいってしまったのだ!

沈みゆくシロクマにツアー参加者からも悲鳴が上がった。もちろん、これも地球温暖化の影響(のシミュレーション)だ。やはり自らの目で海に沈みゆくシロクマの姿を見ると考えさせられるものがある。

シュールな看板、シロクマが沈みゆく演出、ツアー参加者からは笑いや驚きの声が漏れていた。本ツアーは堅苦しいお勉強会ではなかったのだ。むしろエンターテイメントやアトラクションのような性質も含んでおり、「体験として面白いな」と筆者は感じた。

その後もツアーは続く。

再度ロケーションが変わったり、驚きの展開もあったりとツアー全体を通して参加者を飽きさせない工夫が凝らされていた。

もちろん、本題である環境問題を学ぶという点も疎かにしてはいない。画像やグラフ等を用いて現在地球が直面している状況を学び、今後の展望も知ることのできる大変有意義なツアーであった。

・VRChatユーザーとの協力プロジェクト!

本ツアーは環境問題を考えるきっかけとして非常に有意義なものであったこともさることながら、VRChatのユーザーとしても驚かされる箇所がいくつもあった。そのひとつに、VRChatのヘビーユーザーの協力があってのプロジェクトだという点がある。

ツアーに同行するアクターとして、世界最大級のクリエイティブの祭典SXSW(サウス・バイ・サウス・ウェスト)のVRChat会場で、アバターダンスコンテスト優勝を果たしたVRダンサーyoikami氏(@yoikami_VRC)と彼が代表を務める「カソウ舞踏団」が全面協力。日産アリアの傍に立つコンパニオンとしてツアーに華を添えていた。

また、数々のVRC内イベント制作を行うほか、TV番組用のワールド制作や『させぼ文化マンス 楽園祭 in VRChat』などの自治体イベントのワールド製作を担当するなど、VRのクリエイター兼イベンターとして幅広く活躍する VR蕎麦屋タナベ氏(@sobatang1) もワールド制作に協力。

日産自動車という日本を代表する企業がVR・メタバースという領域に進出するともなれば、莫大なコストをかけてゲーム会社などにワールド制作を外注するという手段も可能なはずである。

しかし、そこをあえてVRコミュニティで活躍しているクリエイター陣を起用しているという事実は、既存のVRコミュニティとの共生関係を築きたいというユーザーファーストの精神を感じることができた。

筆者はいちVRChatユーザーでしかないが、日産自動車という企業からVRコミュニティへの強いリスペクトを感じられ、どこか誇らしい気持ちになった。

・ツアー参加者募集は12月24日まで!

本ツアー『日産アリアと共にめぐる環境ツアー』は来年1月11日にも開催が決定しており、内容は筆者が体験したものより更にパワーアップしたものになるとのこと。

参加者募集は12月24日まで、下記の募集フォームから応募することができる。

https://forms.gle/5Wy7DZ3twitdWwhP6

環境問題を体験して考えるツアーとして、日産自動車とVRコミュニティの協力作品として、本ツアーへの参加を検討してはいかがだろうか。