
2025年3月9日(日)まで開催されていた『Sanrio Virtual Festival 2025』(サンリオVfes 2025)。
今回の新作パレードとして、『RYUGU – Generated Paradise』(以下『RYUGU』)が上演されました。無料コンテンツだったこともあって、鑑賞したVRChatユーザーの方も多かったのではないでしょうか。
AIをテーマに展開されたこのパレード。本記事では、『RYUGU』のストーリーを紹介しながら、パレードに込められたメッセージについて筆者なりの解釈でお届けします。
あくまで筆者はこう受け取ったという話ですが、それでも良ければおつきあいください。
※以下、ネタバレ注意です! また、記事中「」で引用している歌詞やセリフは筆者による書き起こしのため、正確ではない可能性があります。
目次
『RYUGU – Generated Paradise』あらすじ
ロボットの亀に導かれ、キティとシナモン、クロミがやって来たのは、なんと、AI竜宮城。
公式サイトより引用
そこは、AI乙姫が住む、なんでも思い通りになる不思議な世界…。
さあ、あなたは何をGenerateする?
すべての願いが叶う理想の場所 AI竜宮城へ出発!

物語は、キティ、シナモン、クロミが知恵の木の下に集まっているところから始まります。
ピアノが思うように弾けないとつぶやくキティ。宿題に追われないで自由に空を飛びたいと願うシナモン。イライラして子分に八つ当たりしてしまったと嘆くクロミ。
3人は口をそろえて「もっと思い通りになる世界があったらいいのに」とつぶやきます。
そこに現れたのは、人工知能で作られた亀。
「竜宮城はすべての願いが叶う理想の場所です。ぜひ私についてきてください。」
AI亀の発言に興味を持ち、3人は一緒にAI竜宮城に向かいます。
「プロンプト ジェネレート これがAIの魔法
呪文直して 再生成 繰り返したらきっとそこは 竜宮城」

AI竜宮城への道中、亀は『プロンプト(Prompt)』、『ジェネレート(Generate)』という言葉を3人にレクチャー。
『プロンプト』は生成AIに対する指示や命令文のようなもの。

魔法を生み出すAIの言葉『プロンプト』(指示文)を使うことで、望んだものを『ジェネレート』(生成)してくれることを、キティたちに教えます。
『プロンプト』を使って望みのものを『ジェネレート』できる、なんでも思い通りになる場所。3人は、AI竜宮城がどんな所なのか、期待に胸を膨らませます。

「きっとこのアタイにぴったりな場所さ!」
「今日も明日も永遠に 竜宮城でパーティーだ」

3人は竜宮城に到着。AI乙姫様がここは望みをすべて叶える場所だと出迎え、歓迎のディナーに招きます。
そこで出されたのは、生成された3人の大好物。3人は理想と全く同じ味に舌鼓を打ちます。

AI乙姫様はキティたちに語りかけます。ここでは何でもできる。何の制約もない。なんでもやりたいことを心に思い浮かべてみて、と。
自由に空を飛びまわるための理想の風、間違えず完璧にピアノを弾ける手袋、自分がいつでも幸せでいられるよう調整された環境。AI竜宮城はなんでもやりたいことを自由に過ごせる場所なのです。
望み通りで感激する3人。ずっとここにいようかなと考え始めます。
そんな一行とAI乙姫様、AI亀は、竜宮城でパーティを開き、なんでも思い通りにできる理想の環境を満喫します。
なんでも叶う竜宮城で感じたもやもや
パーティの後、イスの場所が変わっていたり、壁の色が変わっていることに気づくクロミ。
全部が完璧になるように、AIが調整していることに気づきます。

全部が完璧であるということ。それは、自分の意志や心が入る隙がなくなってしまうのではないか。すべてが完璧であることが目的なのだろうか。全部自分の思った通りになる世界は、他人とのかかわりが無くなり、時に孤独になのではないか。
もやもやしだすキティたち。

「もやもやをデリート……もやもやをデリート……」
3人の周りには“もやもやの塊”が出現。観客はステッキを使ってパーティクルで3人のもやもやを消していく参加型演出のシーンです。
現実世界に帰ることを決意
「触れ合って、混ざり合って、共鳴し合おう」

たとえカンペキじゃなくても、楽しく弾けたらそれが一番ステキなこと。
思い通りであることは気分は最高だが何か物足りないこと。
自由に空を飛ぶのは、時には嫌なことがあるから楽しいということ。
もやもやから解き放たれた3人はそう気づき、現実世界に戻ることを決めます。
AI乙姫様は、「ここでの時間が、あなたたちの生きる世界に新しい発見を与えられたとしたら嬉しい」と語り、玉手箱を渡して見送ります。
「みんなでつくる未来 AIサポートThank you!」
現実世界に戻ってきたキティたち。物語の始まりの地である知恵の木の下に帰ってきます。
AI乙姫様に託された玉手箱を開けると巻物が入っており、次のメッセージが記されていました。
「未来を作るのはあなたたち自身、私たちはいつでも助けますよ」
そうして、知恵の木がにぎやかなステージに代わり、パレード最後の曲が始まります。

「わたしたちがつくる未来 アイのサポートThank you!」

「生成完了!」
「AIともなかよく」というメッセージ
サンリオVfesのバーチャルパレードは『RYUGU』以外にも、『Musical Treasure Hunt』は、音楽は心と心をつなぐ宝物ということを教えてくれ、『Dreamin’ a Dream』は、夢見ること、夢見る力の大切さを思い出させてくれました。
大人向けの演出はありつつも、分かりやすいテーマが多かった過去のパレードと比べて、今回の『RYUGU』は『生成AI』という、完全に大人向けのテーマ。これまでよりちょっと踏み込んだ、時事性のある話題を扱ったパレードです。

生成AIの普及が急速に進む中、生成AIとの向き合い方にはまだ明確な物がない状況。
そんななか、この『RYUGU』では、サンリオなりの生成AIとの向き合い方をメッセージとして教えてくれたような気がします。
竜宮城は望みをすべて叶えてくれるところだけど、救世主じゃない

キティたちがAI竜宮城から帰ると決めた場面を見た時、AI乙姫様がすんなり帰してくれたことを、筆者は意外に思いました。
でもAI竜宮城は“望みをすべて叶えてくれるところ”だから、たとえ現実世界に戻りたいという願いでさえかなえてくれるのだろうなと思いました。
AIにすべて身を委ねるのではなく、主体的に使っていこう。願いをすべて叶えてくれる“ヒーロー”じゃなくて、力を貸してくれる“パートナー”として、上手に付き合っていこう。AIに任せられる部分はお手伝いしてもらって、ひとも、AIも『みんななかよく』豊かに暮らしていける未来を作っていこう!
筆者はそんなメッセージを受け取りました。
おわりに

大人でもサンリオの世界観に触れて、楽しめるサンリオVfesのコンテンツですが、その中でも『RYUGU』は特に明確に大人をターゲットに狙い撃ちにしてきている感じがしました。サンリオは子供向けコンテンツだと考えている方こそ、だまされたと思って体験してみてほしい!
もちろん、難しいことを考えなくても、VRパレードならではの演出で楽しめることは言うまでもありません。一度通して鑑賞すると、きっとサンリオの魔法の虜になっているはずです。
直近ですが、3月17日15時から、最後のパレード上演が行われます。
記事執筆時点ではYouTubeでの公式配信のアーカイブでも、『RYUGU』を観ることができるようになっています。
そして、みなさんが『RYUGU』を感じたこと、思ったことを、ぜひ何かしらの手段で発信してみてもらえると嬉しいなと思います。
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