Vアーティスト特集♯4 Tatsh バーチャルマーケット5楽曲に込めた想いについて

「世界最大・VR空間で開催されるイベント」バーチャルマーケット5

今回の開催テーマは『World beyond』として世界各国をイメージしたグローバルな展開を図っています。
そんな『World beyond』の世界観を楽曲で彩ったTatshさんに楽曲制作のお話しを伺いました。

プロフィール

Tatsh】
本名ː清水達也。フリーランスの作曲家、編曲家として音楽ゲームやアニメのOPなどの楽曲制作を手掛ける他、 サークルとしても精力的に音楽アルバムを多数発表。音楽とリンクしたWeb小説/HARMONIXも制作している。

世界中からアクセスできるバーチャル展示場の可能性

今回バーチャルマーケット5では企業ブースワールドの楽曲を中心に制作されていますが、どのような経緯で楽曲制作をしたのでしょうか?

Tatshːバーチャルマーケット5のワールドBGMは公募をしていたのですが、公募のお知らせがあった時にサンプルで既存の曲を出したんです。そうしたらバーチャルマーケットの運営の方からお声かけ頂いて。

そこからお話しを進めさせてもらい、計5曲の楽曲提供をさせてもらいました。

エントランスに加え、『World beyond-day(ワールドビヨンド デイ)』『World beyond-evening(ワールドビヨンド イブニング)』『World beyond-night(ワールドビヨンド ナイト)』、nightに関しては入り口の日本の街並みが広がるエリアと、その奥のオーストラリア風のエリア、それからその先の海辺のエリアのサウンドも手掛けています。

すごくやりたかったのでお話しをもらえて嬉しかったです。

現在に至るまで音楽ゲームやアニメの主題歌の楽曲制作など、様々な場所で活躍されているTatshさんですが、VRに興味を抱かれたきっかけというのはありますか?

TatshːやっぱりミュージックVケットの存在が大きいです。VRで展示会がやっているというのはバーチャルマーケット4の時から耳にしていたのですが、その当時はいまいちどういうものかは分からなくて。

でもミュージックVケットが開催されたのをきっかけにデスクトップモードで遊びに行ってみたら知り合いがプレイしていたんですけど、手が動いたり足が動いたりでなんだこれ!と…(笑)
それですぐにVRを始めましたね。

機材はWinodowsPCを新調するところから始めたので安くはなかったですが、今となればVRChatを始めれて良かったと思っています。

ミュージックVケットと同時期に開催していたコミックVケットも、現実の秋葉原の街並みをVRで再現しながら展示会をやっていたじゃないですか。

そういう試みもすごく面白いなと思って。今年はコロナの影響でコミックマーケットが無かったのでそういう試みは外から見ててとても興味深かったです。

楽曲制作秘話 いるだけでワクワクする空間演出を目指して

Tatshː楽曲を作るときはまだワールドが出来上がっていなくて、コンセプトアートからイメージして楽曲を制作しました。

和風の世界観の『World beyond-night(ワールドビヨンド ナイト)』は結構すんなりと出来上がりましたね。
鳥居とか五重塔とか、コンセプトアートにあった和の感じを出しつつ、スペイシーさも出せてるかなと思います。

オーストラリア風のエリアに行くと一気に曲が変わってパリピ感が出ますね(笑)

Tatshːそうそう、まさに依頼されたときにパリピ感って言われたんですよ!
ワールドのコンセプトはオーストラリアって言われたんですけど、オーストラリアの曲ってあんまりなくて。

なのでオーストラリアの民族楽器の音を入れつつ、EDMの分かりやすいパリピ感をイメージして楽曲を作りました。

Tatshːエアーズロックを抜けた後に広がる海のエリアは、これは曲ではなくてフレーズを10個くらい渡しまして、それらを流してもらっております。

隙間がある音楽、環境音楽として良い感じに出来たんじゃないかなと思います。 密度のある音楽を作ってきましたが、それとは逆な音楽も大好きでしたので、今回、このような作品を創らせてもらえて嬉しかったですね。

今までにぎやかな場所だったのが一気に抜けてプライベートな空間になってて。
そこにしずくが落ちるようにキラキラした音が流れるのがすごく素敵ですよね。秘密の場所を見つけた!みたいな感じで…。

Tatshːそうですね。ここは特に展示があるわけではないのですが、なんとなく来てほしい場所ですね。

Tatshː『World beyond-evening(ワールドビヨンド イブニング)』の方は映画のトゥモローランドをイメージしたんですね。

ワールドに入ったときに、目の前の世界が一気に広がるような開放感をイメージして書き下ろしました。

Tatshː『World beyond-day(ワールドビヨンド デイ)』の方はピアノやストリングを入れたオーケストラっぽい雰囲気にしようかと思ったのですが、いまいちしっくりくるものが出来なくて。

なのでクラブサウンドの方向で作りました。
ジャンルで言うとプログレッシブハウスとかになると思うんですけど、それで作ってみて聴いてもらったらOKを貰いました。

デイ、イブニング、ナイト、どれも広がりの感じられる音楽でワールドに入ったときにわくわくしました!それこそまさにテーマパークに遊びに来た!っていう感じで…!

Tatshːそうそう、結構僕、ディズニーランド好きなんですよ。年パスを持っていた時期もあります。 家も近いので、よく行ってました。 園内に音楽がかかってるんですけど、うるさすぎない感じがあるんですよね。 うるさくないんだけど安っぽくもない。

わかります。音楽が世界に溶け込んでいる感じがありますよね。

Tatshːディズニーランドって乗り物とか乗らないでも楽しいじゃないですか。
いるだけで楽しいとか、気分がいいとか…バーチャルマーケット5の音楽もそういう音楽になったらいいなと思って作りました。

Tatshːエントランスは最初楽しい曲を作ってみたんですが、神秘的なつかみどころのないような感じのイメージとのことだったので作り直しました。

神の世界みたいな、人知を超えた存在とかそんなイメージなのかな。この曲も結構自分で気に入ってます。お蔵入りしたほうの楽曲も、どこかのタイミングで披露できたら嬉しいですね。

全体的に曲を作るにあたってやりやすかったのはバーチャルマーケット様側で既存の曲だとか参考曲を出してこなかったので、依頼の際にイメージを固定してこなかったのはやりやすかったですね。

結構自分の方でイメージを膨らませてから作って、あとは細かいところで修正していったので。

なので自分のアイデアや個性が出せたかなと思います。とてもリスペクトしてもらいながら、やり取りさせてもらいました。

何が生まれるか分からないバーチャル世界の楽しさ

これからVRの世界でどんな活動をしていきたいですか?

Tatshːやれることがあればなんでもお声かけ頂けると嬉しいです!
何をやるかを分からないのも楽しいですね。
もしかしたらまだ新しいものが出てくるかもしれない。

僕のサークルでは音楽とイメージリンクした小説を制作しているのですが、そういった創作物をワールドにしたりとか、そういうのをやれる機会があったらいいよねって思います。 一緒に作ってくれる方、どんなスキルでも良いので協力してもらえたら嬉しいです。

あとはそういったクリエイティブな活動をする人以外にもVRをどんどん体験してくれる人が増えるといいですよね。
いまSNSをやってない人ってあんまりいないじゃないですか。VRの体験がそういう日常の一環になればいいよねって思います。

ミュージックVケット2にも参加予定なので開催した際はブースに寄ってくれると嬉しいです。