2023年3月18日(土)から、各VRプラットフォームで『VR横断!てるてるてん-four seasons-』が開催されます。
数々のキャラクターデザインを手掛けるフリーランスのイラストレーターてるてる法師さんの個展を『VRChat』『NeosVR』『VirtualCast』『cluster』4つのVRプラットフォームにて開催。スマホやVRで美麗なイラストを距離を気にせずご覧いただくことが可能になっています。
目次
各VRプラットフォーム会場ワールドクリエイターインタビュー!
本イベント最大の特徴は4つのプラットフォームで同時に展示会が開催される点です。
それぞれのワールドが四季になぞらえて制作されており、各VRプラットフォームならではの工夫が凝らされているところも注目です。
そこで、筆者が各VRプラットフォームに行き、ワールドクリエイターさんに直接インタビューをしてきました!
春モチーフのVirtualCast会場
ーー本日はよろしくお願いします!どういった経緯で春を担当することになったんですか?
各プラットフォームの方と、それぞれのプラットフォームで使えるシェーダーや技術について話し合った時に決まりました。
バーチャルキャストはVCIというファイルフォーマットが使えるので、その中で出来る表現として春を選んだ、という感じです。
ーーバーチャルキャストでルームを製作するメリットや、こだわった点を教えてください!
こだわった点はぜんぶです!!
敢えて挙げるとしたら、ルームに入場した時にすぐ視界に入るポジションにVtuberさんのパネルを配置して、2階までの導線をより分かりやすくした点ですね。
バーチャルキャストはNeosVRのように「VR空間にいたまま作業が完結する」のが特徴のひとつです。
なので、他ユーザーさんとVR空間でやり取りしながら直接オブジェクトを配置してルーム制作を進められます。VRゴーグルを被って見ないと気づかないような微妙な違和感に気づきやすいので、そこは制作のメリットだと感じています!
ーールーム製作者しか知らないギミックはありますか?
まだ実装していませんが、イースターエッグならぬイースターてるてるを隠しておこうと思案中です!
主催のてるてる法師さんの許可が下りたらすぐ取り掛かるつもりです!
ーー最後にてるてるてんバーチャルキャスト会場に来られる方へ、メッセージをお願いします!
精一杯頑張ってつくりましたので、みなさん楽しんでいってね!!
夏モチーフのNeosVR会場
オレンジさん
Neos VRにて高品質な映像を撮影できるツールや、ゲームやおもちゃの開発を手掛けるクリエイター。
はまどりさん
Neos VRにてVRTRPGを行うコミュニティ「NeosTRPGフォース」の長。TRPGで使うツール等を製作している。
S.Haruyaさん
インディーゲーム開発にゃっほい屋でグラフィック、企画、シナリオを担当。
本企画ではワールドアセットを製作。
ーーNeosVR会場は夏モチーフとのことですが、海の中なんですね!
NoesVRは基本的に宙に浮いて移動するので、海中の感じが出せるな~と思って夏を選びました!
実は、全ての会場のプロトタイプってNeosVRで作ったんですよ!
道幅はどれくらい広げるか、手すりの高さ、階段の踊り場から展示作品までの距離などのレイアウトは、各ワールドクリエイターや主催とNeosVR内で話し合い、実際にVR空間で確認しながら決めていきました。
ーーつまり、NeosVRで全体の設計図を描いた、という事ですか?
そんな感じです!
平面上じゃ感じにくいスケール感や、実際に歩いてみて「これ段差ありすぎじゃね?」とか、VRで見ると結構あります。
blendファイルをVR空間に居ながらドラック&ドロップで読み込めるし、現物を見ながら構想を練られるのは、かなりのストロングポイントだと思います。
「VR横断」というのがテーマのひとつだと思ったので、ゼロからイチを生み出すのに長けているNeosVRで展示会場の構想が練られたのは嬉しいです。
ーーワールドのこだわった点や、気に入っているところはありますか?
個人的に気に入っているのは鳥かごがちょっぴり海面から出ているところ!
なんかエモくないですか?
展示物よりアセットが目立たないよう、あくまで背景に溶け込むようにディテールと配色を抑えめにしたりはしました。
美術館とかのイメージが落ち着いた雰囲気なので、楽しい雰囲気というより静かな感じをイメージしてました。
ーー最後に、てるてるてんNeosVR会場に来られる方へ、それぞれメッセージをお願いします!
NeosVRなら鳥かごの外にも自由に移動できます。
鳥かご全体も1つの作品なので、他のVRプラットフォームとはまた違った楽しみ方が出来ると思います!
色んな角度からてるてるさんの作品を見て楽しんでいってください!
秋モチーフのcluster会場
messeさん
VR空間でスマホVRゲームの実況配信を中心に活動。
Cluster GAMEJAM 2022 Spring「デザイン部門」大賞を受賞。
ーーcluster会場ならではのこだわりポイントはありますか?
clusterはスマホでも遊べるVRプラットフォームなので、スマホも快適に過ごせるワールドづくりを徹底しました。
解像度の高い画像をたくさん並べると、どうしてもワールドが重くなりがちなので、画質を落とさずスマホでもキレイに展示を観てもらえるよう調整しました。
デスクトップとスマホユーザーは、一人称と三人称視点が切り替えられるんです。なので、どっちの視点でも展示がしっかり観れるようにしています。
ーーなるほど!近くでじっくり見ても、少し離れて見ても楽しめるようになっているんですね!
ちなみに、てるてるさんに乗れます!
乗ったまま移動できるので、てるてるさんと一緒に展示が観られますよ!
ーーてるてるさんに乗れるのは、これまで取材した中でも無かったギミックで少し驚いています…!どのワールドクリエイターさんもかなり自由な発想で作られてますよね。
主催が「好きなようにやっちゃおう!」って方針だったので、とても楽しく制作できました。
てるてるさんに乗るギミックも、最初は怒られるかなーって思いましたが「それいいじゃん!」って言ってくれて安心しましたw
ーー最後に、cluster会場に来てくださった方へ一言お願い致します!
てるてるてんをキッカケに、バーチャル世界や他VRプラットフォームに興味を持ってくれたらとても嬉しいし、「こういう事も出来るんだ」ってたくさんの人に知ってもらえるよう作りましたので、いっぱい楽しんでいってください!
冬モチーフのVRChat会場
りーふでさん
VRChatにてクロスマーケットやパラレルマーケット等を手掛けたワールドクリエイター。
ーーVRChatが冬を担当する事になった理由を教えてください!
VRChatはシェーダーの自由が利くので、各VRプラットフォームと比較した時に「雪の表現がやりやすい」と思って冬を担当させていただく事になりました。
ーーワールドの中で特にこだわった点はありますか?
地面をよく見てもらうと分かるんですが、雪の下にコライダーを入れて「雪に足が埋まっている」状態を再現しています。
階段や手すりにも“それっぽく”雪を積もらせました。
最初は車が埋まるくらい高く積もらせようかと考えましたが、シャレになるレベルに抑えました。
ーーワールドがPCVRとQuest両方に対応されていますが、これほど高解像度のイラストをQuestにも対応させるのはかなり大変だったんじゃないですか?
そうですね。
最初はPCVRだけにしようかって話もあったんですが「VR横断」を掲げているし、より多くの方にてるてるさんのキレイな展示をそのまま観てほしいと思って、頑張って設定しました。
展示作品とは別の部分で負荷を抑えてQuest対応したので、PCVRもQuestも展示されているイラストは全く同じ解像度です。
ーー展示作品の画質を落とさずにQuest対応したんですか?!あまり技術的なお話は得意ではありませんが、かなりスゴイ事をやっているのは分かります。
画質を落とさずに展示するとなると、今の作品数がギリギリです。
これ以上増えるならまた別な方法でワールドを作ると思います。
ーー最後にVRChat会場に来られる方へ一言お願いします!
あくまで、てるてるさんの可愛いイラストがメインではありますが「楽しい冬」という概念をワールドに込めたので、ぜひ遊びに来てください。
主催のてるてる法師さんへインタビュー!
てるてる法師さん
フリーランスのイラストレーター・live2dモデラー。
複数の専門学校で講師を経験し今は嵯峨美術大学にて外部講師をされている。
趣味は「カメラ、釣り、料理、絵」と仕事。
バーチャル世界に興味を持ったキッカケ
ーーよろしくお願いします。初めに、バーチャル世界に興味を持ったキッカケを教えてください。
ワールド制作をしてくださったDeinoさんが、メチャクチャVRChatにハマっているのをみて興味を持ちました。
最初はデスクトップモードでDeinoさんの誕生日会をVRChatでやったり、バーチャルマーケットを案内してもらったりしました。
最近Meta Quest2を買ったんですが本当に楽しいです!
みんな手足を動かして何をやっているのか鮮明に分かって「そこにいる」感がスゴく良い!
ーー分かります。言葉じゃない情報が得られると体験の質がグンと上がりますよね。
「一緒の空間で遊んでいる」って気持ちになるから良いですね!
この前のサンリオバーチャルフェスにも行きましたし、仕事が忙しくなかったらドップリハマっていたかもしれないですw
バーチャル世界で個展を開くメリットは?
ーーバーチャル世界で個展を開くメリットをお聞きしたいです。
リアル世界でも何度か個展を開かせていただいていたんですが、開催場所が大阪で、関西圏よりも遠方から来られる方が多かったんです。
時間もお金もかかるし、個展だけ見て日帰りで帰らなきゃいけない方もいました。バーチャル空間なら、日中お仕事や学業をされている方でも、自宅にいながら時間や距離に縛られずにゆっくり展示を観てもらえるのはメリットのひとつですね。
あと、展示会場をイチからデザインできるのが良いです。
リアル世界の展示会場だと飾りつけが出来る程度で、作品を展示するにおいて盛り込める要素って少ないんですが、バーチャル空間は展示会場そのものから作れる点がすごいワクワクしました。
バーチャル空間で作った展示会は季節ごとに私が好きな空の色にしてもらったり、その空間にあるもの全てが私の作品の一部なんです。
「展示会の天井を観て楽しんでいる人」っていないと思うんですよ。
私の作品と私が好きな空間を一緒に楽しんでもらえる。
それがバーチャル空間で展示会を開く最大のメリットだと思います!
バーチャル空間で展示会をしてみたい人へアドバイス
ーー今後、バーチャル空間で展示会を開く方が増えると思うんですが、そういった方へアドバイスはありますか?
今回の展示会はたくさんのサポートメンバーがいてくれたからここまで形になったと思っています。私はイラストを描く事しか出来ないので・・・。
「どんなメンバーを集めるか」はやっぱり重要になってくるとは思いますね。
あと、奇麗なワールドをたくさん巡ってほしいかな。
「このワールドで展示会するとしたらどうかな?」「ここに画を置くとどうみえるかな?」って考えながらワールドを巡ってみると、展示会場の具体的なビジョンが湧いてくると思いますよ。
ーー色んなワールドからインスピレーションを受けて制作されたんですね。
ワールド制作からイラストまで全部自分1人で作るとしたら「自分の中で100%の仕上がりだと思えるもの」に、どれだけ近づけるかになるんですが、
色んな人と一緒にやれば、自分も知らない”楽しい”がいっぱい入ってきて、100%の仕上がりが500%の仕上がりになったりするんです。
なので、自分の引き出しを増やすのも大事だし、一緒にやるメンバーも大事かなって思います。
ーー最後に一言お願いします!
今回、バーチャルでどこからでも楽しめる形で参加できるようにしていただきました!
多くの方にご協力いただき、私一人では到底できない規模の大きな展示会になっているので、できるだけ多くの方に楽しんでもらえればうれしいです!
akairoさん
バーチャルキャストにてコトブキヤ公式ルームや、どんどん亭公式ルーム等のルームを手掛けたクリエイター。