世界最大のVRイベント「バーチャルマーケット」。メタバース上にある会場で、アバターなどの3Dデータ商品やリアル商品(洋服、PC、飲食物など)を売り買いでき、世界中から100万人以上が来場しギネス世界記録™も取得しています。
出展者がブースを配置するコンセプトワールドは100ワールド数を超え、開催毎に増えています。
『Vketさんぽ』は、過去に開催されたVketコンセプトワールドにもう一度目を向け、ワールド製作者やワールドコンセプトデザイン担当者と一緒にワールドを散策し、Vketコンセプトワールドの新しい顔を見つける企画となっています。
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今回さんぽするワールドは?
今回さんぽするワールドは、2023年12月2日~17日に開催されたバーチャルマーケット2023Winterで公開された『龍の背中』です。
バーチャルマーケット2023Winter公式HPはこちら。
記事に出てくる人の紹介
伊達焼き屋
Vketさんぽ執筆ライター。コンタクトレンズが外せず「終わった」と思ったことがある。
さんぽスタート!
――本日はよろしくお願いします。『龍の背中』の世界観を改めて教えてください。
何千年も生き移動し続ける巨大生物【龍】と、その背中で息づく独自の生態系と謎の不定形生物「ムーイ」の出会いと成長の物語。
【龍】は特定の生物種ではなく、永い時を経て神格化し【龍】と呼ばれる生命体に成った。という世界観です。
なぜ龍に成ったのか。元の生物はなんだったのか。食性や行動原理まで謎に包まれています。
――かなり壮大なコンセプトですが、参考にした映画やアニメなどはありますか?
『円環少女』っていう昔の小説があるんですけど、魔法使いが個人の浮遊城を作って世界を放浪するって舞台なんですが「放浪」って良いな~と思って、
そこから『天空の城ラピュタ』や『ハウルの動く城』のエッセンスが加わっていきました。
そもそも龍の背中っていう言葉が良いよね!
シンプルだけど情景が伝わるとても良いネーミングだと思ってます。
――飛空艇が不時着してすぐにムーイがいますが、ユーザー主体で集会が開かれるほど本当に人気なキャラクターですよね。
ムーイは「バーチャルの思い出を形として残したい」って案と、アバター表現や改変対象を増やす意味でペットをデザインする楽しみを提供できたらいいな。という思いからクリエイターチームが考えてくれました。
飛空艇が墜落して、ムーイに出会って、ラストに飛空艇が直っている。というストーリーもクリエイターチームが考えてくれたんですよ。
――最初から「ムーイ」を作ろうとした訳ではなく、構想案から着想を得てから生み出されたんですね。
そうなの!
「こういうのができたらいいな~」っていうフワッとしたところからムーイが生まれたんだから凄いよね。
ここに水が流れてますが、長い年月をかけて【龍】に溜まった雨水かもしれないし、【龍】の体液かもしれない。って設定です。
――体液って聞くとちょっと見え方変わってきますね。
僕らが立ってる場所も大地のようになってるけど【龍】の皮膚ですよ。
人間だって皮膚と粘膜では質感が違うように【龍】も生き物ですから、そういう違いは当然あるよねってクリエイター班と話し合ってました。
あ!ここ個人的にスゴイ語りたいポイントなんですけどいいですか!
――ぜひお願いします!
Vketは基本的に全てのブースを見ていただきたいので視線誘導がバッチバチに効いています。
このエリアだと、左側のブースを見てもらった後は自然と右側のブースに移動するように地形やオブジェクトの形を決めているんです。
左のブースを見てもらったら赤い植物が視界に入ってきます。
これが行き止まりの役割を果たしてて、右に行くしかない導線になってるんです。足元の根っこの形も左から右に流れるように生えてますよね。
――本当だ!意識すると導線が見えてくる!
目の前に壁をドーンと置いて強制的に右側に行くしかないようにもできるけど、それだとワールドの雰囲気と合わないですよね。
なので、視線の先やオブジェクトの形から「誘導したい方に行きたくなる」技術がどのワールドもふんだんに使われています。
――僕らからみると何気ない段差や立体物だけど、こういうところにVketの真髄が込められているんですね。
出展者さんとユーザーさんのことをめちゃくちゃ考えるのがVketの文化というか、Vket魂みたいなものがありますね。
コンセプトワールドができるまで
――コンセプトワールドはどういった流れで作られていくのでしょうか?
コンセプトチームがジャンルや色合いや「ユーザーさんや出展者さんにどういう体験をしてもらいたいか」などの大枠を決めて、あとはワールドクリエイター班に任せてます。
クリエイターさん達には出来るだけ自由に羽ばたいてほしいので。
最初は箱と床だけでワールドのクレイモデルを作って、歩く距離や導線を入念にチェックします。
その後にコンセプトアートのテクスチャを貼ったりしながら徐々に詰めていくって感じですね。
――導線の話だと、光る植物が生えているのも導線を分かりやすくするためなんでしょうか?
まさにその通りですね。
特に下り坂は導線的に見えにくいので「こっちに道があるよ~」って無意識で分かるようにオブジェクトを置いてます。
人は光ってたり動いてたりするモノをつい見てしまうので、上手く使えるものは使ってます。
『龍の背中』のような自然物が多いワールドは作るの難しくて、構造に規則性があるとスゴイ違和感なんですよ。「この岩使いまわしだな」とかすぐバレちゃう。
このワールドもオブジェクトを使いまわしてるところあるけど、違和感が無いような配置や作りをしてます。ワールドモデラ―の手腕ですね。
さいごに
――今回のさんぽで他の【龍】にも会いたくなりました。
きっとこの世界には他の【龍】もいると思います。
今回会えたのは移動性のモンティネメシス(龍の姿)とウンバルスカイ(亀の姿)でしたが、全く動かない巨大な蟹のような姿の【龍】もいるかもね。
何千年も動かない【龍】に人間が住み着いて王国になってたり・・・。
なんて考えたら色々面白いよね!
――本日はさんぽありがとうございました!
動く城のフィオさん(@phio_alchemist)
VR法人HIKKY CVO。Vketを始めた人。ワールドコンセプトメーカー。現実世界でメガネを新調した。