ピラミッドを探索するほど“本当に歩き回れるVR”を体験!? 横浜駅前『IMMERSIVE JOURNEY』でクフ王の歴史に迫ろう。『Horizon of Khufu』先行体験レポート。ネコを撫でるのにも夢中になれる

2024年12月1日より、広大なフロア全体をVRプレイエリアとして活用できる『IMMERSIVE JOURNEY』が横浜駅前アソビル3階に開設されます。

第一弾の作品は『Horizon of Khufu』。エジプトのクフ王ピラミッドを中心に探索を進め、気がつけば不思議な力で過去のクフ王たちの生活を覗き見るというストーリー。考古学体験という真面目な題材ではありますが、VR技術をこれでもかと活用し、驚きと楽しさに満ちた感動の旅を楽しめるエンタメアトラクションです。

横浜駅みなみ東口を出て少し進めばすぐに到着 アソビル3階に『IMMERSIVE JOURNEY』がある

開設を目前に、先行体験のご招待をいただきました。特に記事にするというお話があった訳ではないのですが……「VR体験に慣れすぎてしまっている人間の視点で書ける者は限られているのでは?」と思いましたので、体験レポートをお届けしたいと思います。

結論、“めっちゃ歩けるVR”はどうあがいてもワクワクする

この写真よりも広い空間を全て“VRしながら移動する”ことに使える!?
普段VRに慣れている我々だからこそわかる…… わかってしまう、その凄さが!!

まず、上記の写真を御覧ください。そう、この空間すべてが“VRコンテンツのために用意されたフロア”なのです。もう、細かい説明はいらないような気さえしてきます。バーチャルライフマガジンに来られる読者諸兄におかれましては、普段のVR体験がいかに現実のお部屋という制限で我慢させられているものかを、ご理解いただけるのではないでしょうか。

コンテンツの性質上、映像画面を記事中で一切ご紹介できない(手持ちのカメラで収められない)という、かなりもどかしいレポートではあるのですが、日々VRを楽しむ方々にこそ「堂々と前に歩いていいんだ!」という体験をしていただきたく、ピラミッドへの冒険をオススメしたいと思います。

たぶん僕はピラミッド観光できないまま。だから感動できる。

あの吉村作治先生が日本語訳の監修をされている

係員による丁寧な説明と、VR装着後の映像でも安全確認や移動方法のレクチャーが入るので、しっかりと設計されたシステムであることがわかります。

次に移動すべきエリアが青い枠線で表示され、実際に存在する柱や壁は近づくと赤いウォールラインが表示されるようにもなっています。更に、付近にいる他の客の位置が白い人影としてリアルタイムに描画されるというシステムが導入されており、これは『VRChat』とはまた違った不思議なリアルタイム性の面白さがありました。実際に衝突してしまう問題に対する安全設計はかなり慎重になされたものと思います。

ピラミッドの前でガイドの“モナ”から案内を受けます。眼前に広がるピラミッドの大きさは、仮想世界の様々なワールドを体験していた筆者としても、かなり圧倒される光景です。自分が屋内にいるという感覚は、慣れてしまっていることでどうしても残っているのですが、それでも首を大きく上下に見回してしまうほど。

移動は実際の歩行と、自動で動く床のような表現とをうまく組み合わせて進行します。遊園地の劇場型アトラクションのように、一定時間止まって観察するタイミングと、ある程度移動するタイミングとが交互にやってくるので、来場者が同じ場所に留まらないような工夫が凝らされていました。

ちゃんと歩いてピラミッドに入る、という体験!! 実際の観光で採用されている入口がここなのだ、という小さな知識とともに感動がやってきます。「たぶん、一生のうちにエジプトへ行けることはないのだろう」という寂しさのような思いが込み上げ、それが余計に「ならばこの目でしっかりと体験してやろう」という気にさせていたのです。

考古学としてのリアルな鑑賞。バーチャル空間としての唯一無二。

調査研究されたピラミッドの内部構造データを基に作成されたバーチャル空間は、VRだと分かっていてもヒヤリとするような洞窟めいた感覚を持ってしまうほどの迫力がありました。実際の観光コースを案内してくれるモナとの歩みはリアルですが、ところどころ“VRじゃなければ危険過ぎる見せ方”も織り交ぜられていました。

ピラミッドを貫く斜めの大きな空間。そこをレールにして大きなブロック岩を滑り落としていたという解説。現在は通路にもなっている場所ですが……そう、VRであれば滑り落ちてくる岩をそのまま体験できてしまう訳です。

狭い通路のくぐもった感じや、石櫃のある広い部屋で響き渡る声の感じも、細かいサウンド効果で丁寧に再現されていました。途中からはネコの神様であるバステト様の案内に切り替わり、ここぞとばかりにVRらしい表現で詳しいピラミッド構造を解説してくれます。

圧巻なのは、本来立ち入れないピラミッド外装上部。エジプトの現在の町並みを一呑みに眺められるその位置へ出た時の開放感は、山登りの朝日を目の当たりにしたような爽やかさがありました。

筆者の好きなステルスアクションゲームで現役時代のピラミッドへ登ったことはあるのですが、それでもディスプレイの平面な体験が限度でした。たぶん、同じような空間は『VRChat』でワールドを作れば実現できるのだとは思います。それでも、自分でじっくりと歩き回って到達する“ピラミッドの上”は格別でした。日程の都合でこの時は筆者ひとりでしたが、大事な人と一緒に体験できたら素晴らしい思い出になることでしょう。

クフ王の葬儀に参列し、当時の人を想う。

『Horizon of Khufu』は、遠いピラミッドに訪れて内部構造を体験するだけではありませんでした。ファンタジーな要素を盛り込んで、時代や物理スケールを大きく変化させるような演出も続きます。

クフ王の存命時代や葬儀の模様。順を追ったミイラの作成方法まで。目前の体験とともに語られる知識は、やはり強い印象として残ります。人類はタイムマシンを作ることはできないのかもしれませんが、技術によって近い経験を得られるようにすることは可能なのでしょう。

筆者はピラミッドにまつわる人々の存在について、研究の成果で少しずつ説が変わっていくのを実感した世代でもあります。当時の奴隷によって強制的に作らされたかのような印象、先入観はまだどうしても残っているのですが、ギザの周辺遺跡群を再現した映像を見るほどに、かつての賑やかさが想像できるようになり、そこには人間的な営みが確かにあったのだと今では感じています。

“VRへ驚くあの感激”がまた得られる場所

はじめて購入したVR機器は『Valve Index』でした。

装着して広がる立体視の世界。慣れずにふらついて、すぐに酔ってしまったあの頃。

部屋の中にいるのにとにかく広く感じるという感動と衝撃は、正直なところ少しずつ慣れてしまっている自分がいます。それでも、素晴らしいワールドを制作しているクリエイターは数多く存在し、新しい感動を生み続けているのは間違いありません。

たぶん、『IMMERSIVE JOURNEY』に訪れるほとんどの人は、VR体験のないお客さんになることでしょう。VR慣れをしている筆者でも感動する体験だったことから、そんな人達にとっては驚きの連続なんだろうなと思わずにはいられないのです。

VRに慣れた私達はちょっとした体験会だと、ともすれば「家でもできるので……」と遠慮してしまうかもしれません。そんな私達にとっては、“普通に歩けるVR”という一点が普段と異なる部分になりますが、だからこそずっと憧れる環境でもあるはず。機会があればぜひ『IMMERSIVE JOURNEY』へ足を運んでいただければと思います。

『IMMERSIVE JOURNEY』概要

営業日時: 原則年中無休 平日 11:00~21:00 / 土日祝 10:00~22:00
アクセス: JR横浜駅「みなみ東口」通路直通、「東口」より徒歩2分
チケット: 平日4,000円等 詳しくは購入ページにてご確認ください

投稿者プロフィール

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