カバー株式会社が2025年3月期メディア向け決算説明会を開催。多様なメディアへの露出増加で拡大を達成。YouTube以外の接触機会としてバーチャルにも言及。

2025年5月13日、カバー株式会社は“2025年3月期メディア向け決算説明会”を開催しました。現地取材の機会にあずかりましたので、その模様をお伝えします。

VTuberタレント事務所としてお馴染み『ホロライブ』を擁するカバー株式会社ですが、ここ最近はVRChatへ参加するタレントが増えてきているのは読者の皆様も実感されていることかと思います。『星街すいせい』さんが日本マクドナルドとのプロモーションで『バーチャルティロリワールド』に登場したのも記憶に新しいですね。

実はバーチャルライフマガジンでは、昨年度もカバー株式会社の説明会を取材していました。この時は『COVER USA』という海外拠点に関する発表でした。

経営成績は順調で着実な拡大 TCGが想定を超える売れ行きに

2025年3月期の通期決算では、売上高が434億100万円(前年比43.9%増)、純利益が55億5,900万円(前年比34.4%増)と、順調な拡大を達成しています。

配信、ライブ、マーチャンダイジング、ライセンス関連……と4つの大枠に区切ったそれぞれの事業も年を追うごとに右肩上がりの成長を続けており、今回の発表もその状況を改めて認識するものでした。

当期の好調を下支えした理由として「トレーディングカードゲーム事業が想定以上の好調」だったと解説されており、所属タレントの存在がキャラクターのみの魅力に留まらず、多面的な強みを商品に活かせた結果である、との分析が語られました。

財務諸表を見ると、“商品”が確かに大幅な上昇となっており、トレーディングカードゲームの売上に呼応して在庫状況が反映されたのであろうことが想像できます。また、特に海外タレントの人気上昇によって、越境ECによるグッズ展開が拡大していたことも見逃せません。

直近では、その越境ECを公式的に担当している『GeekJack』が、VRChat向けアセット販売サポートを強化させる動きを見せるなど、広義のバーチャル分野が拡大を見せていることは間違いないでしょう。

YouTubeの枠を超えた“VTuber体験”をめざす
その中にはバーチャル空間への言及も

記者による質疑応答の中ではメタバース関連の展望についても語られました。

『ホロアース』で直接メタバースプラットフォームの開発をすすめるなど、YouTubeを中心にしていた“VTuber体験”を更に押し広げる方向性を示しました。バージョン1.0.0をリリースしたばかりの『ホロアース』はUGCコンテンツを支援し、二次創作方面の展開も現実味を帯びてきたことになります。

“オンライン活動”としては「バーチャルに進める方向性」も視野に入れていると語り、その一例に『VRChat』の名が出され、バーチャルライフマガジンの記者としては「いよいよか!?」と胸が熱くなる瞬間でした。

昨年の質疑の中では「VR機器を持つユーザーへのハイエンド体験の開発を急ぐよりも、まずは現在の顧客に向けてサービスを展開していく」といった返答だったこともあり、この1年におけるVRへの注目度の変化を実感します。

“オフライン活動”としては、音楽ライブやテレビ出演といった従来型の露出が挙げられました。これまでのライブ活動等の拡大を目指しつつも、“地域性”を重視した施策も可能性としてはありえるとのことでした。

いずれにしても、新たな活動領域については長期的な視点で育っていくこととなりそうです。

決算報告について

報告会名:2025年3月期メディア向け決算報告会
会計期間:2024年4月1日~2025年3月31日
登壇者名:
 代表取締役社長  谷郷 元昭
 執行役員CFO兼経営企画室長  金子 陽亮

詳細につきましては、カバー株式会社公式サイトのIR情報をご確認ください。

投稿者プロフィール

trasque
trasque
タスク崩せない人です

記事中でTrasque本人が使用しているアバターは
以下に権利表記を示すとともに、直接使用許諾の確認を頂いております
・『ナユ』『プラチナ』:有坂みと 様
・『キプフェル』:もち山金魚 様
・『ヌノスプ』:©トノダショップ 様