
「分人」が、ついに“身体”を手に入れた。人はひとつの人格ではなく、関係ごとに異なる“複数の自分”として生きている——。小説家・平野啓一郎氏が提唱した「分人主義」は、現代の人間観に大きな問いを投げかけてきた。そして今、その「分人」にアバターという肉体を与え、物理現実を超えた自己表現と人間関係を可能にする空間——メタバースが現実になった。自己の在り方を自在に変化させられる時代に、人類はどこへ向かうのか? 8月24日、「分人主義」提唱者・平野啓一郎氏と、メタバースを舞台に人類の進化を探究するVTuber「バーチャル美少女ねむ」がYouTube LIVEにて公開対談! 文学とテクノロジーが交差するこの対話が、人類の“次のかたち”を照らし出す。
目次
8/24「分人進化論」平野啓一郎✕バーチャル美少女ねむ 徹底対談【“分人主義”とアバターで人類は進化する!?】
・配信日時:8月24日(日)11:00AM より1.5時間程度予定
・YouTube LIVEにて無料配信
・配信URL:https://www.youtube.com/watch?v=PfxW2VpVGLo
「分人主義」とは何か? “本当の自分”はひとつじゃない
「分人(dividual)」とは、従来の「個人(individual)」に代わる新しい人間のモデルとして平野啓一郎氏が提唱した概念である。
「個人」は、分割することの出来ない一人の人間であり、その中心には、たった一つの「本当の自分」が存在し、さまざまな仮面(ペルソナ)を使い分けて、社会生活を営むものと考えられていた。これに対し、「分人」は、対人関係ごと、環境ごとに分化した、異なる人格のことだ。中心に一つだけ「本当の自分」を認めるのではなく、それら複数の人格すべてを「本当の自分」だと捉える。この考え方を「分人主義」と呼ぶ。
職場や学校、家庭でそれぞれの人間関係があり、ソーシャル・メディアのアカウントを持ち、背景の異なる様々な人に触れ、国内外を移動する私たちは、今日、幾つもの「分人」を生きていると言える。
自分自身を、更には自分と他者との関係を、「分人主義」という観点から見つめ直すことで、自分を全肯定する難しさ、全否定してしまう苦しさから解放され、複雑化する先行き不透明な社会を生きるための具体的な足場を築くことが出来るのではないだろうか。
※出典:「分人主義」公式サイト|複数の自分を生きる
https://dividualism.k-hirano.com/
※参考動画:平野啓一郎「自己の多様性を生きる
https://www.youtube.com/watch?v=yyss0igkVx4
メタバースで「分人」が”肉体”を手に入れる:「ディビデュアル」プロジェクト
バーチャル美少女ねむの著書『メタバース進化論』(2022年、技術評論社)では、平野啓一郎氏の提唱する「分人主義」を参照し、メタバース技術と掛け合わせることで、より多様な生き方の可能性を提示している。
仮想世界メタバースでは、アバターによって「分人」に肉体と身体性を与えることが可能だ。これにより、物理現実とは完全に切り離された人間関係を築いたり、現実の自分とはかけ離れたキャラクターとして振る舞ったり、全く異なる姿かたちで他者や世界を感じることができる。こうした環境は、自己のアイデンティティや人生そのものを自由にデザインすることを可能にしている。実際、現実とは異なる「もうひとつの自分」として新たな人生を歩む住人たちが、すでに数多く存在している。
2024年にスタートしたねむの音楽プロジェクト「ディビデュアル」は、こうした現象を広く伝え、人類の進化を加速させることを目的として始動。楽曲やMVの制作に加え、多くの住人を巻き込んだ参加型の企画が展開された。今回実現した平野氏との対談は、ねむにとって念願であり、本プロジェクトの集大成といえる。
・出典:”分人(dividual)”とは何か? 「ディビデュアル」プロジェクト始動【メタバース進化論から該当箇所を公開中】
https://note.com/nemchan_nel/n/nc45e64fdace6
・参考動画:【MV】ディビデュアル -分人新生- / バーチャル美少女ねむ (Music by Kapruit)【4K】
https://www.youtube.com/watch?v=ojeO8kPeip8
出演者と著書の紹介
●平野啓一郎(小説家)
1975年、愛知県蒲郡市生まれ。京都大学法学部卒。在学中の1999年に文芸誌『新潮』に投稿した小説『日蝕』で第120回芥川賞を受賞した。以後、一作毎に変化する多彩なスタイルで、数々の作品を発表し、各国で翻訳紹介されている。主な著書に、小説『マチネの終わりに』、『ある男』、『本心』、『富士山』等、エッセイに『私とは何か 「個人」から「分人」へ』、『三島由紀夫論』等がある。2025年、『文学は何の役に立つのか?』と『あなたが政治について語る時』を刊行。
・公式サイト https://k-hirano.com/
・公式X https://x.com/hiranok
<”分人主義”に関する著書(一部)>
・私とは何か――「個人」から「分人」へ(講談社) https://amzn.to/3UJb6uY
・本心(コルク)https://amzn.to/4fgpkgl
<2025年刊行の新刊>
・あなたが政治について語る時(岩波書店) https://amzn.to/3UHUjsg
・文学は何の役に立つのか?(コルク) https://amzn.to/41p2TzP
●バーチャル美少女ねむ(VTuber / 作家)
黎明期の仮想世界で生きる「メタバース原住民」にして、その文化を伝えるエバンジェリスト。2017年から美少女アイドルとして活動している自称・世界最古の個人系VTuber。「バーチャルでなりたい自分になる」をテーマに人類の進化を促すことを目的に活動している。メタバースの革命性を論じた著書『メタバース進化論』(2022年、技術評論社)で「ITエンジニア本大賞2023」を受賞。MoguLive VTuber Award 2023では「今年最も輝いたVTuber」に選出された。
・公式note https://note.com/nemchan_nel
・公式X https://x.com/nemchan_nel
<著書>
・メタバース進化論――仮想現実の荒野に芽吹く「解放」と「創造」の新世界(技術評論社) https://amzn.to/3UdsEzg
・VTuber学(共著、岩波書店)https://amzn.to/478uBVi
・仮想美少女シンギュラリティ(VTuber文庫)https://amzn.to/41q9z0C
投稿者プロフィール

バーチャル美少女ねむ
VTuber / 作家。「メタバースで生きていく」をテーマに人類の進化を促すべく活動中!
Twitter : https://x.com/nemchan_nel
Note : https://note.com/nemchan_nel