
2026年6月28日(日)、名古屋・栄の久屋大通公園で開催された『ミライLabo 3rd』へ、バーチャルライフマガジンは出展者として参加してきました。今回は「ミライをラボトリーする」をテーマに掲げ、通算で3回目を数えるイベントです。
会場となったのは中部電力MIRAI TOWERテレビトーヒロバにある『Snow Peak Cafe』周辺。環境・スポーツ・教育といった身近なテーマから、メタバースやVRといった最先端の体験までがひとつの公園に同居する参加型のイベントでした。

当日の空模様は少し気まぐれで…… 午前中こそ傘が必要なほどの雨でしたが、お昼前には雨が引いてすっきりとした晴れへと変わっていきました。カフェの入口から見上げるタワーの表情も時間とともに明るくなっていったように思います。
ただ、今回はいつもの取材とは少し立場が違いました。バーチャルライフマガジンは他の出展者とはやや異なるかたちでの参加で、メディアとしての協力を行う代わりに出展ブースをひとつ用意していただいたという格好だったのです。
そんな半分は運営側、半分は取材者という不思議な立ち位置から見えた一日を等身大でお届けできればと思います。
目次
「何の展示だろう?」の興味に、メタバースと家族連れが行き交う

まず印象的だったのは来場者の顔ぶれです。VRやメタバースを掲げるイベントというと、どうしても機材やアバターに親しんだ層が中心になりがちですが、『ミライLabo 3rd』の会場はまるで様子が違いました。地域にお住まいの方々、とりわけ家族連れの姿がとても多かったのです。
久屋大通公園という立地もあってか、休日の公園に出かけた延長でふらりと立ち寄った方も少なくないようでした。会場の入口あたりで周囲をぐるりと見回しながら、ここが一体何に関する展示会場なのか分からないといった雰囲気で入ってくる来場者が目立ちます。

そこで出番となるのが私たちが用意した会場案内のチラシでした。戸惑っている様子の方には声をかけ、チラシをお渡ししながら「VR・メタバース関連の展示ですよ」とお伝えします。すると、ふっと表情がほころんで興味を持ってくれる方がいる。こうした手応えは普段のVRイベントではなかなか味わえないものでした。
会場のどこを切り取っても“いつものVRの人たち”だけではない空気が流れている。その事実が『ミライLabo』の姿を表していました。
屋外エリアには名古屋の名産がならぶ

会場の屋外、テレビトーヒロバに並ぶブースはVRやメタバースとはまた違う顔ぶれでした。主役は名古屋の文化や地産の食材たち。地域に根ざした展示が並び、休日の公園らしいのんびりとした空気が漂っています。
筆者はブースを巡る合間の休憩がてら、野外ステージの解説に耳を傾けて過ごしていました。中でも心に残ったのが、菱太産業株式会社(屋号:太田屋)の皆さんによる、名古屋の“白い調味料”をめぐるお話です。ご家族と思われる登壇で、お子さんも元気いっぱいに説明してくれる姿がなんとも微笑ましく、つい足を止めて聞き入ってしまいました。
名古屋の味噌の意外な一面は、実は“白”から始まった!

名古屋の味噌と言えば、多くの人が濃い茶色をしたあの力強い味わいを思い浮かべるはずです。筆者もそのイメージを疑ったことはありませんでした。
ですが解説によれば、そこに白味噌を混ぜ合わせることで味の渋みや強さを程よく調整でき、より美味しく仕上げられるのだそうです。濃い味噌一辺倒ではない、繊細な使い分けの世界がそこにはありました。
さらに紹介されていたのが、『つけてみそかけてみそ』でおなじみのナカモ株式会社が実は白味噌から歩みを始めたのだ、という一節です。名古屋の味噌の濃さばかりに目を向けていた身としては、その出発点が“白”にあったというのはなんとも意外なお話でした。
関西とも関東とも言えない、白醤油という味わい

『ミライLabo 3rd』コラボ企画の「白の逆襲」あいちめし® 協会プレゼンツでは、ナカモ株式会社と菱太産業株式会社のタッグで、おつまみや、味噌の配合率を変化させた味比べを楽しめるブースが展開されていました。
興味深かったのは、太田屋がつくる白醤油のお話です。白醤油という存在そのものについてもしっかりとアピールされていました。
「出汁の関西VSうどんの関東」といった東西の対比はよく知られたところですが、名古屋の白醤油を使ったうどんにはそのどちらとも違う良さがあるのだというのです。
ありがたいことに、その白醤油のスープを実際に試飲できる機会にも恵まれました。透き通った見た目は関西の“だし”によく似ています。ところが口に含んでみると、確かにしょうゆらしい塩分の強さと風味が前面に出てくる。関西とも関東とも言い切れない、独特の味わいがそこにありました。名古屋の食文化の奥行きを舌で教わったような一杯です。
様々な来場者層が楽しめる場となったVR/メタバースエリア

『Snow Peak Cafe』の1階へ足を踏み入れると、屋外とはがらりと空気が変わります。ここが、VRやメタバースの体験が集まる屋内エリアでした。
あるブースでは、VRの中で活動するキャストと画面越しにリアルタイムで言葉を交わせる体験会が行われていました。画面の向こうにいる相手とその場でやりとりが成立していく感覚は、VRに馴染みのない来場者にとって新鮮に映ったのではないでしょうか。
また別のブースでは、イベントとコラボしたガチャがとにかくよく売れていました。会場を彩る華やかな一角として多くの人の足を止めていたようです。

そんな中で筆者が特に良かったと感じたのが、自治体や地域発のブースでした。伝統芸能『石見神楽』をVRChatで発信する江津市、複数のワールドを公開し『メタバースヨコスカ』として展開する横須賀市、そして農業を楽しく体験できる『農業メタバース』。これらのブースでは、終始小さなお子さんの多くが楽しそうに体験へ没頭していたのです。
正直なところ、事前には少し懸念もありました。VRChatの要素がどうしても強く出ると、“ゲーム趣味寄りの大人向け”の空気になってしまうのではないか、と。ですが実際の会場は、配置の工夫や幅広い年齢を想定した内容がしっかりと揃っていて、大人も子どももそれぞれが自然と楽しめる場になっていました。
メタバース領域を伝える難しさと、VR専門メディアとしての葛藤

正直に打ち明けると、バーチャルライフマガジンとして今回のイベントにどうアプローチするかは、ギリギリまで悩んでいました。
私たちはVR専門のメディアです。ですが、私たち自身の立場や活動を来場者に伝えようとすると、どうしても前提となる説明――VRChatとは何か、メタバースとは、そして私たちがそこで何を発信しているのか――が積み重なっていきます。知ってもらうまでに必要なコンテキストがあまりに大きいのです。
かといって用意した会場案内チラシをただ配って回るだけでは、私たちは単なるインフォメーション役になってしまいます。私たちのブースには、これまで掲載してきた記事を印刷して綴じたファイルを参考用に1冊置いた程度で、大がかりな展示があったわけでもありません。専門メディアとしての知名度をこの場で広げたい、けれど押しつけがましい説明はしたくない…… そんな葛藤を抱えながらの一日でした。

結局、筆者が心がけたのは来場者の反応や前提知識を一人ひとり見極めることでした。何の展示か分からず入ってきた方には、VR・メタバース関連の展示だと一言そえてチラシを渡す。興味を持ってくれた方にはもう少し踏み込んでお話しする。相手にとって過度な説明にならないよう、距離感を測りながら接していったのです。
インフォメーション役に徹するのでもなく、専門性を一方的に押し出すのでもなく。そのあいだのちょうどいい立ち位置を来場者との対話の中で探り続けた一日だったように思います。
VR文化の良さを、内へも外へも

イベント終了後、運営から来場者数の御礼が発表されました。『ミライLabo 3rd』の来場者数は6,000名。地域の家族連れから、全国から集まったクリエイターやメタバースコミュニティの人々まで、本当に幅広い顔ぶれが久屋大通公園に集った一日でした。
振り返ればこの日の会場は、いつものVRイベントとはまるで違う場所でした。名古屋の食文化が語られる屋外ステージのすぐ近くで、子どもたちがVRやメタバースの体験に目を輝かせている。地域のリアルと、バーチャルの最先端とが、ひとつの公園で自然に隣り合っていたのです。
その中で、VR専門メディアである私たちがどう振る舞うかは最後まで手探りでした。ですが、何の展示か分からず入ってきた方がチラシ一枚をきっかけに興味を持ってくれる。その小さな手応えの積み重ねこそが、この日いちばんの収穫だったように思います。
VRやメタバースはまだまだ“知る人ぞ知る”世界かもしれません。だからこそ、その文化の良さを、内側の人へも、そして外側の人へも伝えていく。バーチャルライフマガジンとして、その活動をこれからも大切にしていきたいと、あらためて感じた一日でした。
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① 地域の人々と直接VR体験を共有
② なんといっても名古屋で開催していること(VRに名古屋飛ばしはさせません!)
③ チャレンジを促す場に