「無線衝突 vol.1」ライブレポート【寄稿】

このライブはVRCにおける「バンド」という文化(シーン)の確立、それに伴うリスナー母数の確保、そしてこれから音楽、バンドを始める人にとって「出たい」と思えるライブハウスやイベントを作ることを目的として企画・開催された。

配信アーカイブ

三連休の中日の夜8時半というVRChatのゴールデンタイム、開場して10分とたたないうちに70人のインスタンスは満員となっていた。この後閉演まで、インスタンスが空くことはほとんどなく、配信の視聴者も含めてVRバンドシーンに対する期待感が現れていた。

1組目「Ignotus Flamberge」

客電が落ち緞帳が上がったステージにいたのは1組目「Ignotus Flamberge」の3人。軽い挨拶とともに始まったのはIgnotus Flambergeの代表曲とも言える1st single「忘勿」。
エモーショナルなギターロックの多いIgnotus Flambergeの曲だが、ギターボーカルのcsの声の渋さを引き立てるようにPonchanのキャッチーなギター、つじゃむのベースという構成が他のバンドにない独特の良さがある。

MCではバンドメンバーの紹介なども挟みつつ、ちょうど祝日だという話から「ホリデイ」「宵越しLOVEきゅん♡」が続けて演奏された。「宵越しLOVEきゅん♡」は繰り返すフレーズの多さで耳に残りやすい印象を持った。筆者も何回かIgnotus Flambergeのライブに行っているが、これはあの曲だ!とすぐわかるようなキャッチーさがあふれている。

宣伝MCを挟んだあとに披露された新曲「せいなるもの」はサビで叫ぶように歌い上げるパートがあり、ボーカルの良さが引き立つ一曲となっていた。「宵篝」とMCの後に演奏されたIgnotus Flamberge最後の曲は「六畳」。六畳間で待っているあの女の子を思って書いた曲ということだが、個人的には落ちサビでブレイクが入るところやCメロから半音上がってラスサビへ繋がるテクニカルな部分もIgnotus Flambergeの強い魅力だと思う。

2組目「新平成写実主義」

10分ほどの時間を置いて2組目は「新平成写実主義」。ステージ上の見た目ではなかなか個性の強い3人と1匹(?)からなる4人組バンドだ。1曲目「どこまでも」はこみ上げるようなミドルテンポの渋いロックで、新平成写実主義のジャンルを表すような一曲となっていた。

新平成写実主義の今回のライブではMCをほとんど挟まず、2曲目「TAIWAN・ROMANCE」と3曲目「地球内生命体」の間にメンバー紹介を行った程度となっていた。「地球内生命体」はライブ前日にリリースされた2nd Singleの新曲で、一転して少しポップ寄りな、なんというか日曜日の夕方に聞きたくなるような雰囲気のゆったりした曲だった。歌詞アレンジで”このAWAKEで暴れるだろう~”と歌っていたのが何ともライブらしく、参加できたユーザーとしてとても嬉しかった。

4曲目も2nd シングルに収録されている。「いつもどおりで」生きていくのが幸せで、それができれば一番いいなという曲紹介から始まっており、新平成写実主義の曲に対する姿勢のようなものを感じ取ることができた。続く1st singleからは「Drift Apart」。間髪なしに最後まで息継ぎなしに畳みかけるように「暗闇の中で」、そして新曲の「ハートブレイク」。新平成写実主義の世界に魅了されて、あっという間の30分間だった。

3組目「JOHNNY HENRY」

記念すべき第1回となればトリは主催のYAMADA率いる「JOHNNY HENRY」。『今日こそはロックをやりに来ました』と奏でるのは最近のジョニヘといえばの「EMOTION」観客も慣れており”そんなエモーション~”と歌っている声も聞こえた。
2曲目は早速の新曲「怪人Y」、”触覚””はさみ”など、メンバーのYuki Hataをイメージした曲のようだ。シンガロングパートもあり、今後のライブ等で盛り上がりやすそうな印象を持った。

MCでは招待したバンドとジョニヘでは客層が違うな~という感想やメンバー紹介を行っていた。そして驚きの2曲目の新曲「ルポルタージュ」はお洒落なイントロやBメロの三拍子、そして”生まれてから死ぬまで~”など、耳に残るパートの多い曲に感じた。続いては青い照明で会場も染まる「Paint it Blue」。その後のMCでは主催ならではのライブの感想や無線衝突に込めた思いを語り、さりげなくAWAKE24 3rdにも触れていた(詳しくは配信アーカイブへ)。

セトリ最後の2曲は「Only You」と「Too young to Rockn’ Roll」。中でも「Too young to Rockn’ Roll」は真新しいVRロックバンドをfeatureしたイベントの〆にはもってこいとも思える曲。主催としての威厳や大御所(?)としての貫禄を出しつつも新しいVRロックバンドに対しての期待の入ったライブだった。アンコールにお馴染み「愛にすべてを」を披露していたが、その前のMCでは今後の無線衝突の出番について話していた。

ジョニヘのステージ終了後、再度出演者がステージに登場し、軽い挨拶と集合写真を撮影してからイベントの終了となった。今回のライブの感想は是非 #無線衝突VRC のハッシュタグをつけて投稿してほしい。VRChatにようやくできたライブハウス主催のバンド企画「無線衝突」、次回以降も期待したいところだ。また9月24日にも同じくV-kitazawa AWAKEで対バン企画「バーチャルライブマガジン 第3号」が開催されるため、チェックしてほしい。

投稿者プロフィール

nusa
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VR音楽イベントに出没するリスナーです。

好きな音のなるほうへ、気ままにVR生活を楽しんでいます。