「クラフ特区O-City」内覧会レポート 推しへの想いあふれるルームが勢ぞろい

Gugenkaは9月11日、同社の展開するバーチャル都市「クラフ特区O-City」にて、入居者が作ったルームをお披露目する内覧会ツアーを実施した。「クラフ特区O-City」とは、Gugenkaが日テレVTuberネットワーク「V-Clan」の協力のもと、NTTが提供するWebソーシャルVR「DOOR」にて展開する、推しと暮らすことができる仮想都市。

奏天まひろさん、銀河アリスさん、式部めぐりさん、東雲めぐさん、菜花ななさん、花雲くゆりさん、飛鮫ナミさん、海月ナギさん、舞鶴よかとさん、水瀬しあさん、結目ユイさん計11名のVTuberが各駅を中心とした「市」の「市長」に就任し、そこへそれぞれのファンが「入居者」として住むことができるというコンセプトだ。

今回、そんな「クラフ特区O-City」において、各都市の入居者が制作した「ルーム」をお披露目する内覧会ツアーが実施された。Gugenka所属VTuberのエピトさん、天護ねもさんが指揮をとった同ツアーの様子は、こちらのYouTubeにてアーカイブを確認できる。PANORAでは、同ツアーに同行し内覧会の取材を行ったため、さっそくレポートをしていきたい。

仮想都市「クラフ特区O-City」とは

7月30日にオープンを発表した仮想都市「クラフ特区O-City」(関連記事)。「”推し”と暮らすことが出来る場所」をコンセプトに11名のVTuberが参加するユーザー参加型のプロジェクトだ。使用するプラットフォームはNTTが提供するウェブソーシャルVR「DOOR」。Gugenkaは、以前にもバーチャル展示即売会「クラフ特区」を「DOOR」にて開催しており、「O-City」もこの流れの一環となる。

「DOOR」最大の特徴は、VR/パソコン/スマートフォン・タブレットと様々な端末からアクセスできる点だ。バーチャルイベントとなると、VRゴーグルを所持していないと参加できないなど、参加障壁が高いイメージがつきがちだが、同プラットフォームはブラウザーだけで動作するため、ソフトのインストールも必要なくページにアクセスするだけでプレイできる。また、VRゴーグルで参加する場合も、PC VRのみならず、Oculus Questシリーズなど一体型VRゴーグル単体でも参加可能だ。推奨動作環境の詳細はこちらのページから確認してほしい。

なお、筆者の環境では「Google Chrome」を利用した場合は描画負荷が高いのかカクつきが目立ってしまった。「Firefox」にて試してみたところ問題なく動作したため、もし「Google Chrome」だと重いと感じる場合は、「Firefox」をインストールして試してみるといい。

「O-City」では、各VTuberが市長を務める市の「入居証明書」が購入できるようになっており、これを購入したユーザーが自分の「ルーム」をカスタマイズし住むことができる。VTuberは入居している各ルームへ訪問することがあるのが魅力だ。

「ルーム」のカスタマイズも「DOOR」の「ルームレイアウト機能」を使うことで、Unityなど外部のソフトに頼ることなく、ブラウザ上で完結できる。

もちろん、よりオリジナリティーのあるルームを作成するため、自身でblenderなどを用いて制作したモデルを使用することも可能だ。その場合は、glb形式のファイルにて用意した3Dモデルを「アセットパネル」の「お気に入り」にドラッグ&ドロップする。同様の方法で、画像、動画、音源なども読み込み可能だ。初心者から3Dモデル制作経験のある人まで幅広い利用者層が活用できるようになっている。

「ルーム」の概念にとらわれない様々な制作物

ここからは、実際に内覧会を通して訪れたユーザー制作の「ルーム」からいくつかをピックアップして紹介していきたい。それぞれ、各「市長」をイメージしたようなルームとなっていて、本人が訪れることもあるためどれも力が入っている。「ルーム」という単語からは想像がつかないような部屋もあり、魅力的なものが多い。

Megu-style Room/制作:いるのかな

東雲めぐさんの東雲市で、まず見かけたのはこのいるのかなさんによる「Megu-style Room」。配信された内覧会ツアーでも1つ目のワールドとして紹介された。部屋全体が淡いピンク色で女の子らしいファンシーな色調となっている。

カーペットが東雲めぐさんの髪飾りであったり、たくあんマンのテーブル、天井のライトはSHOWROOMの花束で、ベッドの掛け布団がめぐさんのスカートと同じ柄であったりと、部屋の様々なところに、東雲めぐさんのモチーフがちりばめられている。細かい部分まで東雲めぐ愛溢れるルームだ。

●ジェットウィング・バーチャルハウス/ササニシキ

同じく東雲市から、ササニシキさんによるルーム「ジェットウィング・バーチャルハウス」も紹介したい。これが「ルーム」といえるのだろうか。開けた空間にビーチチェアが2つ。行ける場所は、「部屋」の範囲内となっているが、背景を含めて細かく作りこまれているため、サンセットビーチかのような開放感がある。

「ルーム」という単語からは中々できない発想に、ツアーMCのエピトさんも「『部屋』という概念に囚われてない感すごいね」「ルーム作ってくださいって言われて海作ろうってならないもんね(笑)」と驚きを隠せない様子だった。

●ユニヴェール・どんぐり 222号室/制作:どんぐり

最後に紹介するのは、銀河アリスさんの「銀河市」よりどんぐりさん制作の「ユニヴェール・どんぐり 222号室」だ。ルームの様々な場所に、自作のファンアートが飾られており、本棚やハンバーガーに刺さっている旗など、かなり細かい部分もイラストで装飾されている。

こうしたファンアートをインテリアとして使用しているワールドは他にもいくつかあり、それぞれのワールドに個性が出ていた。

VTuberの新たなファンコミュニケーション手法となるか

これまで、3つほど「ルーム」をピックアップして紹介したが、もちろん他にも魅力的なワールドは様々ある。全11市、計191ルームすべてがこちらのサイトページよりアクセス可能だ。こうした「ルーム」には各市長が突発的に訪れることもあるという。

https://twitter.com/ShikibuMeguri/status/1436936823628976128?ref_src=twsrc%5Etfw%7Ctwcamp%5Etweetembed%7Ctwterm%5E1436936823628976128%7Ctwgr%5E%7Ctwcon%5Es1_&ref_url=https%3A%2F%2Fpanora.tokyo%2Farchives%2F33606

これまでも、ファンアートなどを通して偶発的に「推し」から自身が手掛けた作品を評価してもらえる経験をしたことがあるファンもいるだろう。しかし、こうして「イベント」としてファンのクリエイティビティーに着目をして、これをファンコミュニケーションに繋げた事例はそう多くない。

また、VRイベントという特質上、ファンとVTuberが同じ空間を共有できるという点も興味深い。内覧会イベントの翌日には、「オープン&おしゃべりイベント」として、入居者が事前に購入した「おしゃべり券」の枚数に応じて、マイルーム(おしゃべり用ルーム)にて市長とお話しができるイベントも開催された。今後、こうしたイベント外でも市長がたまたま自身の部屋に訪れて、タイミングが合わずともその感想を伝えてくれたりするケースもあるだろう。同じ時間が共有できなくとも、自身の制作した空間に「推し」が遊びに来てくれるというのはファンとして嬉しいものだ。

https://twitter.com/Gugenka_info/status/1436857089914195968?ref_src=twsrc%5Etfw%7Ctwcamp%5Etweetembed%7Ctwterm%5E1436857089914195968%7Ctwgr%5E%7Ctwcon%5Es1_&ref_url=https%3A%2F%2Fpanora.tokyo%2Farchives%2F33606
https://twitter.com/yokato_ch/status/1436897576708558848?ref_src=twsrc%5Etfw%7Ctwcamp%5Etweetembed%7Ctwterm%5E1436897576708558848%7Ctwgr%5E%7Ctwcon%5Es1_&ref_url=https%3A%2F%2Fpanora.tokyo%2Farchives%2F33606
https://twitter.com/musubimeyui/status/1436979956181913602?ref_src=twsrc%5Etfw%7Ctwcamp%5Etweetembed%7Ctwterm%5E1436979956181913602%7Ctwgr%5E%7Ctwcon%5Es1_&ref_url=https%3A%2F%2Fpanora.tokyo%2Farchives%2F33606

VTuberと空間を共有できるVRサービスとしては、今年1月に「ホロライブ」を運営するカバーの代表取締役社長・谷郷元昭氏が、自身のnoteにてファン向けのコミュニティサービスを含んだメタバース領域への進出を示唆し、話題を呼んでいた(関連記事)。今回の「クラフ特区 O-City」も、こうしたVTuber×メタバースの先行事例となるのだろうか。今後、VTuberとファンの新たなコミュニケーション手法としてのVRの活用という点からも、注目していきたい。

(TEXT by アシュトン

投稿者プロフィール

みつあみ やぎこ
みつあみ やぎこバーチャルライフマガジン元編集長
やぎこだよっ!バーチャルの楽しいことたくさん発信していくよ!