世界最大規模の音楽祭「SXSW」がついにVRChatに!?完全Quest対応。VR技術の最先端がそこには詰まっていた【体験レポート】

photo by pichikyo

世界最大規模の音楽祭「サウス・バイ・サウスウェスト」(※以下 SXSW)
業界人向けのアーティスト見本市とも呼ばれ、SXSWで活躍したアーティストは世界中から引っ張りだこに…!
なんていう、アーティストの登竜門として名高いイベント。このイベントでの活躍をきっかけに世界へ羽ばたいていったアーティストも多いはずだ。

そんなSXSWも去年は時世柄中止になってしまい、この空白の1年は多くのアーティスト・企業にとって損失の1年であった。

時は流れ2021年。SXSWから衝撃の発表が行われた。
なんとSXSWが『VRChat』で開催することが決定したのだ。
3月16日~3月20日の5日間開催されたSXSW。それも完全にQuest対応をしているという…はたして、VRのSXSWはどんなイベントになっているのか、一体Questでどれだけの体験ができるのか、筆者が実際に行ってきた体験を写真を踏まえて紹介したい。

イベント独自のシステムも扱われているVRの『サウス・バイ・サウスウェスト』

バーチャル上に再現されたテキサス州オースティンの町並み、そしてレッドリバーストリート…。

VR SXSWは現実のSXSWと同じく、映画や音楽など、数々の芸術作品のコンペが開催されている。
もちちろんライブも熱が高い。ノートルダム大聖堂をそのままVRにもってきて、パーティクルをバチバチに使いながら、世界的有名な作曲家によるDJのイベントなども…。VRChatを3年やっている筆者だが、これだけ豪華な演出には驚きを隠せない。

ワールドも遊び心が満載だ。片手で持てる飛行機で空を飛んで移動することもでき、快適に楽しく、そしてVRらしくワールドを見て回ることができる。

ちなみに、左図のように毎日シネマでは催し物がタイムテーブル通りに行われている…どれも中々見れないものばかり。

ステンドグラス一枚にしても規模が違う。解像度も高い。右下に見えている豆粒が筆者である。

photo by pichikyo

これはノートルダム大聖堂前、なにやら地面から青い光がでているが、すべてマンホール。飛び込むと…それぞれに曲名が描かれており、XRの360度ライブにてDJイベントをみることができる。光の数だけDJがある。

そしてこちら。なんとこれが「ポータル」の役割を担っている。VRCで見慣れたポータルではなく、ここに飛び込むとワールドを変更して会場に入ったりすることができるのだ。実在するシネマや、現代アートの美術館…実在するオフィスなどもある。実際SXSWの常連である人であれば「ここだよここ!」となるようだ。

PCワールドと謙遜ないほどの完成度!オシャレなフォトスポットも

完全Quest対応のSXSW。ワールドにはQuestユーザーに優しいシステムが多様に実装されている。その一つとして「自撮りができるフォトスポット」も各所に用意され、大きな魅力となっている。

photo by pichikyo

VRChat上において、Questユーザーは仕様上写真を撮ることが出来ないのだが、この自撮りスポットのおかげで「Questユーザーだから写真がとれない」と嘆くこともない。
さらに、撮影すると写真がぽこん、と落ちてくるのでリアリティもある。機能とお洒落がしっかりと兼ね揃えられているエンターテイメント性の高いギミックだ。

photo by pichikyo

それだけではなく、このように映画がポスターとなっているのだが…アクセスすると、その映画の中に入り込み360度VRにてみることができる。これだけのギミックが仕込まれているのにQuest対応。今までQuestはマシンスペックの問題でグラフィック表現に限界が…と常々言われてきたが、SXSWの会場はそのような通例を覆している。

一体どうやって実装したのか、なぜ可能なのかわからない程のクオリティだ。

現代技術最高のVRクオリティ…の割に日本人ユーザーに認知されていない…!

SXSWでは海外のビジターやニューユーザーが多く集まっていた。
話を聞くと、みな「SXSWにいくためQuest2を購入した」のだという。
海外ユーザーからの期待の熱はすごい。しかし筆者の他に日本人はほとんどおらず、すこし寂しい印象もあった。

それもそのはずと頷ける内容がいくつかあり、そもそもSXSWは日本語であまり告知を出していないのだ。

そしてイベントに参加するにはチケットを買う必要があり、通常では$399(日本円で43000円ほど)かかってしまう。参加してからは「安すぎる…」と思えるものも、4万円という値段は知らずに払うのは度胸がいる。

photo by pichikyo

とはいえ、本当に参加してしまえば「こんなにすごいことがあるんだ」という感動がたくさん並ぶ。

はじめてVRをかぶってワールドに入ったときを思い出してほしい、あの感動がもう一度あると思っていただければ、想像が容易いのではないだろうか。ワールドがこれだけすごく、コンテンツも山程ある…次からはもっとお手軽な値段になる可能性も捨てきれない。実際今回も学割チケットは数千円で手に入るようになっていたが、日本語でのアナウンスが少なかったことから注目度が低くなってしまったのかもしれない。

ともあれ、筆者は音楽が好きなのもあって値段以上に楽しめた、というより「行ってよかった」という感想である。日本人アーティストも参加していて、筆者はとくにVaundyの「不可幸力」を聞くことができて大歓声をあげてしまった。

イベントなどなどが終わった後、アフターパーティで集まってわいわい話す様…筆者は英語が得意ではないが、片言ながら雑談を楽しめた。

SXSWは世界的に有名な音楽祭だが、VRにくるのは初めて。これからもっと日本へのアナウンスが増えることだと予想されるので、次回は見逃さないように名前だけでも覚えておくのが良いかもしれない。少なくともVRの進化はとどまることを知らないので、VRの1年がどれほど進むかは記事を読んでいる人皆がよくわかっていることと思う。

なにより、Quest2の販売…これが一番大きい。3万円強でVRができて、解像度も高いのだが…いまだにQuest用のコンテンツは、PCと比べて大きく少ないといわざるを得ない。しかしこのSXSWのワールドはVRrOOmというメーカーが制作しているとのこと…Questで楽しめること、コンテンツは日々増えているので(クロスマーケットセカンドが先程あったのもあり)これを機会にQuestを購入してみるのは、大変おすすめできる。

筆者がVRを購入したときはHTC VIVEが8万円くらいの時代であったので、今の進化に目をみはることはもちろん、2~3年後にどうなるのか、これから楽しみで仕方がない。トラッカー大航海時代…といわれている2021年だが、VRの進化は他の追随を許さない勢いで進んでいる。楽しむコンテンツが楽しみきれないほど増えていくのなら、精一杯楽しむだけではないか、筆者はそう考えながら今日もVRCへログインして、好きなワールドでも巡ることとする。

投稿者プロフィール

yoikami
yoikamiVRPerformer
モーションアクター&ダンサーなどで活動中!VRCではPerformerとして活動中~!
BREATH ACTORS『カソウ』舞踏団 団長
MusaSilentSpeakers 団長
V踊団「BREAK THROUGH」ダンスチームリーダー

世界最大規模音楽祭「SXSW2021」AvatarDanceCONTEST 優勝
にっぽんど真ん中祭り2020 特別賞受賞