皆で踊ろう!VRダンスの敷居は思ったより低い…!?三点トラッキングで充分踊れるって本当?


日々恐ろしい速度で進化、発展していく「VRChat」 新しいアバターや新しいワールドは毎日のように作られていくし、そもそも「VR機材の手に入りやすさ」がどんどん良くなっているので、VRReadyスペックを満たしているPCを持っていれば「Oculus Rift S」もっていないとしても「Oculus Quest」ならPC要らずと、かなり値段は安くなった。中古に抵抗がなければ「HTC VIVE」や「Windows MR」などの中古品は格安で手に入る時代に。

しかしその現状でも「VRで踊る」という文化はまだまだ発展途上どころか、ごく少数の文化で留まってしまっている…と筆者は思っていたのだが、ここ最近VRで踊る人をよく見かける上に、話題にも上がりやすい。この勢いにのって普段から「フルボディトラッキングじゃない三点でも、Questでも踊ろう!」と常々言いまわって踊っている筆者が、イベント中に実際踊っている人達や、自分自身の経験を踏まえてVRダンスの良さや実際の敷居が案外低いことをアピールしてみるつもりであるっ!


前回の記事では「ダンスサイファー」というイベントの取材記事でVRダンスという文化に触れてきた。しかしそこでは全員が「フルボディトラッキング」で踊っている。 なおかつ、かなり広いプレイスペースをもっているように見える…。いくらVRが昔より安くなったとはいえ、誰でも手軽にフルボディトラッキングかつ5x5mのプレイスペースが手に入る、というようなことは「まだ」ない。

しかし本当に広いプレイスペースやフルボディトラッキングがなくては踊れないのか?というような質問を多く聞く。筆者の個人的な解答としては「否」である。正直あの有名なBeat Saberをプレイできるなら、充分すぎる環境があると思っている。三点トラッキングで立つことができるなら、VRダンスは可能だ。


もし「VRアクロバット」という分野があるならばフルボディトラッキングが必要かもしれない。

「HTC VIVE」や「OculusRift」「WindowsMR」といったモデルから「OculusRiftS」や、今話題の「OculusQuest」など、これらのVR機器があるのであれば、ほぼ誰でもVRダンスを始められるのではないかと思っている。むしろOculusQuestであれば「無線接続」という大きなアドバンテージすらある…。

と、文章でつらつらと書いていてもVRの表現力に及ぶべくもないので、実際突発DJイベントで踊っているQuestユーザーの方々に取材を申し出てみた。


yoikami

3時間くらい踊ったあとで申し訳ないんですが、バーチャルライフマガジンの記事に書きたいのです!踊ってもらってもいいでしょうか…そして撮影して記事にしたりしても、いいでしょうか…!?

きと

はい!まだうまくないんですが、やってみます!

ほぼ初めてという人もDJイベントでは皆とテンションをがっつり上げて、もはや自然と踊っているなんて人もちらほら…
yoikami

じゃぁ、今日は最初から一緒に踊ってくれたたらこさんも、撮影いいですか…!?

たらこ

全然いいですよ!踊るだけでよければ!

Questはなにかと「不便利」が目立つような話を聞く、主に「いけるワールドが少ない」「アバターに制限が多い」「フルボディトラッキングができない」などといったものだが、ケーブルがない無線接続なので腕を振り回しても、頭を振ってもケーブルに邪魔されることがないのだ。 トラッキングもかなり良好なため、これだけ動いてもロストすることがない。何より頭を振ることで足が自動で動くため、三点トラッキングにはフルボディトラッキングとまた別の踊り方、表現方法がある。

一概に優れている、と言い切ることはできないが実際にステップを踏んだりできる広い空間がなくても、無線接続でがんがん動き回っていればアバターが自動で足を動かしてくれるというわけだ。 ダンスをしっかりやっていた人には物足りないかもしれないが、ダンスを全く知らなくても音にのって体を動かすだけで良いということが、誰でもできるVRダンスの最高のメリットだと思う。 


筆者も三点で踊り始めたので、フルボディトラッキング設備があっても三点で踊ることは少なくない。

次の問題は「プレイスペース」だ、しかしこれは問題というとキリがない。もちろん動くにしろ踊るにしろ広いほうが良いに決まっているからだ。 ただ、狭いから踊れないということは決して無い。筆者もできるだけ広さが欲しいと常々頭をひねっているが、現在のプレイスペースは1.4m x 1.5mなのである。正直スタンスが広いステップなら踏めない広さだが、VRダンスを存分に楽しめている自覚はある。

「無限歩行」と呼ばれる方法で、あたかも広い空間にいるかのように見せることもできるのがVR…筆者がVRダンスを始めた時は、VIVEの三点トラッキングでプレイスペースは60cm x 90cmほどだった。 肩幅に足を開くともうそれ以上は開けず、フルボディトラッキングですらない。ダンスはたしかに難しいことの多いコンテンツかもしれないが「VRダンス」においていうなら「楽しむ」こと以上に重要なことは無いと思っている、是非音楽にのって体を少し動かしてみてほしい、それはもう立派なダンスだと筆者は考える。


そして、筆者がPerformerとして遊びに行かせてもらっている各イベントでも、一緒に踊ってくれる人やVRダンスを始めてくれる人も増えてきた、場合によってはインスタンスにいるほぼ全員で一緒に踊ったりすることもある、とくにQuestユーザーは新しいことにどんどん参加してくれる傾向があるように感じる。比較的新しいイベントでのことなら、Quest宴会(上記ツイート)や、きとさん、たらこさんが参加していたDJイベントなど、場合によっては15人近くがステージに登って踊り、ちょっとしたダンスバトルやダンスサイファーの形になることもある。フルボディトラッキングがほぼいない状態でもである。


細かい話になってしまうが、ダンスは男性と女性で踊り方が違うことも少なくないはず、VRChatではそもそも「アバター」がまるごと違うとボーンの構成も違うし、同じアバターでも改変によってテーマも違う。自分にしかできないダンスは数多い上に、アバターによっても踊り方が違うので自分の作った、改変したアバターは「自分が一番最初に踊る」わけなので、踊り方や表現方法はもちろん自由自在だ、踊り方は自分でつくっていくことになる。

逆にアバターを使用しながら「このアバターはどういう踊りができるだろうか」「こういうムーブをしたいけど、良いアバターはないかな」と、新しい視点でアバター文化を見直すこともできるかもしれない。帽子を被ったアバターなら帽子を使った動きを取り入れてみたり、手が大きいなら手の表現を大きくしてみたり、武器をもっているなら演舞のように動いてみたり、表現方法は完全に自由でいいはずである。

住んでるところが遠く、もはや国が違おうとも、同じ音楽を聞いてVRChatという場所で一緒に踊れるという文化が多少でも広まってくれれば、VRダンスはもちろん、VRという世界がより一層盛り上がっていくのではないかと考えているので、音楽系のイベントなどでは少し体を動かしてみてはいかがだろうか。


動きも大きくなかったり、もはやダンスというよりどたばたしているだけというような動きも、アバターによってはとても似合う場合もある、余談になるが筆者が試着用でアバター宣伝をさせてもらっている所ではアバター作者の方が「やっぱり作ったからには動かしてほしい、踊っているところをみるのは本当に嬉しい」という意見も数多い。

音楽は日常的にそばにある、なんならワールドのBGMで問題ないので、楽しいVRCライフに、VRダンスという分野を取り入れてみるのも悪くはないのではなかろうか、かくいう筆者もVRCでダンスを始めた一人である、是非VRダンスを含め、これからのVR文化がより一層賑わい盛り上がっていけるよう、今はとにかく精一杯VRというコンテンツを楽しむ所存であるっ!

投稿者プロフィール

yoikami
yoikamiVRPerformer
モーションアクター&ダンサーなどで活動中!VRCではPerformerとして活動中~!
BREATH ACTORS『カソウ』舞踏団 団長
MusaSilentSpeakers 団長
V踊団「BREAK THROUGH」ダンスチームリーダー

世界最大規模音楽祭「SXSW2021」AvatarDanceCONTEST 優勝
にっぽんど真ん中祭り2020 特別賞受賞