今回はとにかく感謝と頑張ったよ報告になります。
黒猫洋品店さん主催のアバター劇場「テアトロ・ガットネーロ」…第一幕、無事完了となりました!褒めろ褒めろ!
第二公演も予定してはおりますが…ともあれ、よいかみにとってはとてもとても大きな一歩でした。
目次
BREATH ACTORS「カソウ舞踏団」の最初の一歩
BREATH ACTORS「カソウ舞踏団」はよいかみをリーダーとして、えーすけ、Tarakoの3人からなる、プロのアクター集団です。今回の舞台はカソウ舞踏団が、仕事として受ける初めての舞台でした。
「プロとして活動すること」は簡単なことではありません。ここにたどり着くまでに2つの壁がありました。
「プロ」としてのクオリティを確保すること
まず一つに、VRChatの中で動く専門のモーションアクターとして、プロと言えるクオリティを確保することです。カソウ舞踏団は現在、自分よいかみを含み3名です。よいかみは経験者ですが、えーすけとたらこはVRで演技を始めた素人でした。だというのに、2人はすごい意欲で練習に向かい合ってくれていました。時に「できず」泣いたり、「できて」号泣したり、「演じて」知らず知らず涙を零したりしながら。
プロのアクターが指導にあたりつつ、時折現実のアクターさんに見てもらったりなどして練習を重ねていました。自分の動きではなくアバターを表現するため、理解力と表現力の練習…たった5ヶ月とは思えない上達でカソウ舞踏団は動き出せました。
テアトロ・ガットネーロという「舞台」
アクターは成果物がモノとしてありません、販売物を用意するのが極端に難しいのです。それであっても、沢山の人に見てもらう場所と、パフォーマンスをすることによる対価が必要です。
よいかみが法人様や友人にたくさんワガママを言わせて頂き、二人共をしっかり有償で雇っていただけること、契約を交わして仕事とすることなど、ありえないくらい好待遇で活動ができています!
当時、よいかみをモーションアクターとして契約していただいていた「黒猫洋品店」さんに
「アクターの出番がほしい!」
「モデラーさんにも利益が生じるやつがいい!」
「なんならもっといろんな人がメリットあって笑顔になるスーパーいいヤツ!」と駄々をこねました。
すると、モデラーの山猫さんがテアトロ・ガットネーロの原型となるアイディアを出してくれて、その日のうちに「そしたらウチが出資してアバター宣伝イベントを開きますか」と言ってくれました。
不思議な錬金術でよいかみのこねた駄々を、成立したイベントの設計図へと昇華してくれたのです!
その結果、「ここに立って、声たかだかに叫びたい」と思うステージが、目の前にありました。シルク・ドゥ・ソレイユのようなステージが。
カソウ舞踏団の二人に至っては、のぼるのが怖くてうろうろしていたほど…!ワールドの調整もたくさん手伝わせて頂き、モノの大きさ、形状、色…光の照り具合まで。
この舞台は、かんにゃさんがコンセプトアートを描き、黒猫洋品店様がモデリングをし、VRChatの謎解きワールドPandora Projectで有名なMina Francesca様に調整をしていただきました。音楽はAtree様やAmbientFlowのK.ᴗ.(くう)さんなんて贅沢も。
最初にステージを見た時は涙すら出ました。
よいかみの「舞台に登れない」病
よいかみは幾度となくステージの上に憧れ、ステージの上に立ってきました。
とある時に、ステージで大きなミスをしてしまい、とても怒られてしまったことがあります。怒られた内容は至極真当で「同じミスはしないぞ、次は驚かせてやるんだ」とポジティブに受け取り、奮い立ったはずなのですが
それから、よいかみはステージに上がれなくなりました。ステージに立つとC-PTSDのように、フラッシュバックを起こして動けなくなり、強い吐き気に襲われ、呼吸もままならなくなってしまいました。
別の話にはなりますが、スポーツに打ち込んでみれば思い切り踏み込んで、自分の力で自分の足を痛め(跳躍型疲労骨折)怖くて「本気で動く」ことができなくもなりました。
そこから病気も判明し、闘病生活をし続けて、ステージの上は遥か彼方に。
VRでもステージの上に登れないことは数多くありました、とくに自分が主役を張るようなものはずっと断らせていただきました。ステージの上が怖いのです。
よいかみは、ひどく怖がりなのです。
ステージへの挑戦
テアトロ・ガットネーロのステージは、腰より低い高さです。
でも、よいかみにとってはずっと越えられない高さでもあります。
自分が越えられない壁を前にして、反面教師のように、皆にひたすら言い聞かせました。
「いくら失敗してもいいよ、よいかみが全部カバーする、失敗したら胸を張っていい、失敗するほど本気で打ち込んだと喜んでいい、全力で取り組めないことが一番怖いんだ、絶対に失敗してもよいかみは責めない、怒らない、大いに褒める。大きなステージだからこそ、失敗してもいい、転んでいい、台詞忘れて立ち竦んでいい、よいかみが、なにがあろうとも必ず、絶対にカバーする、フォローする、イベントは成功する、これを信用できない人がいるなら、徹底的に話し合おう」
自分はたった一度の失敗で、ステージに立てなくなった。
人前が怖くなった、いまでは買い物にいくのすら覚悟がいる。
そんなよいかみを信じて「うん、団長がバックヤードにいるだけで成功確定なんだから、失敗しまくる気持ちで思い切りステージを楽しんでくる」といってくれる子達。その子達にどれだけ救われたことか、オーディエンスの皆にどれだけ助けてもらえたことか。
それでもよいかみにとって、ステージはまだ、ずっと、とても怖い。
テアトロ・ガットネーロはよいかみにとって「正真正銘の舞台」だ。決まった時間に始まり、やるべき演目があり、終わるべき時間に終わる。
いままでかろうじて立てたVRのストリートのように好きなタイミングで終わらせられる気軽さ、よいかみにとっての「逃げ場」はそこにない。
ずっと怖がり、逃げて、見ないようにしてきた「舞台」であり「ステージ」だ。
全員、仕事としてお金を払うか、受け取るかしている。それが、責任がステージに集約する。
「失敗してもいい」という自分の教えが、自分に響かない。トラウマが頭から離れない。
全員がギリギリのスケジュールで作り上げたステージ、自分の練習をかなぐり捨てて指導や調整にぶつけて、打ち合わせをして、動きも台詞も台本として全力で作った、楽しかった!とってもとっても楽しかった!
でもリハーサルでは離席と言って酷く吐き戻した。呼吸が上手にできない状態でなんとか通した。本番形式になるだけでフラッシュバックを起こしてしまう、動きが鈍る、何よりも、怖い。
実は「よいかみ無しでもできるVer」の台本も用意しました、自分が半分諦めていた証拠でもある台本です。
みんなその台本も覚えてくれた。
「どうせいらないだろうけど」というよいかみの強がりすら信じて。
テアトロ・ガットネーロ本番
当日、照明が落ちる。
ステージにいるメビウスのみをスポットライトが照らす。
大好きだったのに大嫌いになったバックヤードの緊張感。
笑ってしまう顔を引き締めて歩いたのに、畏れ慄いて立ち止まるばかりになったステージへ続く短い道。
なにより先にはいってきたのは、威風堂々たるえーすけの姿だった。
声の奥の更に奥で震えや緊張を孕みながらも、課題であった優しさも厳しさもある口調は乱れていない。
Tarakoはミラーの前でアバターを見て、集中をずっと続けている、かとおもえば照明や道具関連のスイッチを気にかけてもくれている。
プロの演者だった。ふたりともやるべきことをみて、周りを気遣い、チームとして動いている。他のスタッフの方々もだ。
リハのときに失敗した子がいたとき、よいかみが「そうなったらよいかみがこうカバーするさ」といったら「じゃあ失敗するつもりで挑戦する」といってくれたことを思い出して。
団長は、俺だ。よいかみだ。
気づいたら、ステージの上にいた。
どうやって出てきたのかなど覚えてないし、自分の練習もしていないからほとんど即興でやるしかない。
でも、二人の指導をする間、自分も勉強に、経験になったのでなんら問題はなかった。
VRCで拍手をもらったこと
現実でもらえるような拍手は、VRでは滅多にない。これが悪いことだなどとは絶対に思わない。
コントローラがあるし、そもそもノイズゲートがあるから拍手の音があまり入らない。ノイズキャンセリングマイクにしてる人ならなおさらだ。
これでもステージを数多くやってきた、ストリートではemojiに包まれ「団長ー!」と呼ばれ、本当に嬉しかったし今なお嬉しい反応がそれだ。
だというのに、よいかみはVRの中で生まれてはじめて、拍手に飲み込まれた。怖がっていた「舞台」でしか聞けない、粒が大きな、感情に任せた、ただ純粋な拍手を。
徐々に湧き上がる拍手ではなく、一斉に上がる拍手を。
ただひたすら、泣いた。
あんなにすごいステージを作ったことはない。
あんなにすごい演目をやったことがない。
あんなにすごい拍手をもらったことがない。
その拍手に応じるためにも、演目が終わるまではいくら泣いても演技を止めずにいれた。
ありがとうございます。
全部終わって、ステージ下に一人、照明を落としたワールドで。
たった腰ほどもないステージの高さ、せかいさいつよのよいかみが、やっと登れる高さ。
やっぱり戻ってきたよ。
よいかみはステージの上が大好きだから、病気になるくらい嫌いになったのに、戻ってきたよ。
仮想現実で最高のステージを作ってみせた、そして作り続けてみせる。
このよいかみが戻ってきたんだ、このよいかみが団長なんだ、見てろ、「あの時の」団長が羨むような団長になって、「いつか」威張りにいってやる。
いまだステージの上は怖いままだ、克服なんてできてない。でも絶対に、よいかみが、カソウ舞踏団がいつか仮想現実のステージを。
世界に見せつけてやる。
と、元々シナリオライター志望なだけあって、つらつらと何か短編小説のように書き連ねてみましたテアトロ・ガットネーロのちょっとした裏話と感想でした!ひたすらに「感謝」と「ちょっとだけよいかみ頑張ったから褒めろ!」という二つを大仰にかいてみたよ~(๑•̀ㅁ•́๑)✧