エンタメ×試着の新しい3Dモデル展示会『テアトロ・ガットネーロ』体験レポート

VRSNSで遊ぶ際、必ず必要なものが『アバター』です。
自分の身体の分身となって動く『アバター』には、特別こだわりたい人も多いでしょう。

現在各VRプラットフォームにおいて、アバター展示イベントが盛んに行われていますが、3Dモデルを制作する会社『黒猫洋品店』は、これまでにない新しいアバターのプロモーション販売の企画を始動しました。

動くアバター展示会『テアトロ・ガットネーロ』

黒猫洋品店とVRプロアクターチーム『カソウ舞踏団』が率いる、アバターショーと試着会が楽しめる新しいイベントをレポートします。

『テアトロ・ガットネーロ』体験レポート

「ここってラスベガスのシルク・ドゥ・ソレイユなの!?」

ラグジュアリーな照明や絨毯をふんだんに使う、贅を尽くしたような劇場。
入場口から観客席に至るまでの弧を描く通路には、期待を煽る様々なポスターが掲載されています。

入場すると場の雰囲気に圧倒され、思わず背筋が伸びてしまうほど。

出演するアクター達も初めてこちらのステージを目前にしたとき、あまりにもリアル過ぎて登壇するのが怖かったと語っていました。

開幕前から期待大。一瞬で満席になる話題のイベント

イベントはワールドの動作が重くならないよう、観客はあらかじめ用意されたローポリゴンのアバターを着用して入場する形となっていました。

本イベントの収容人数は50名程だったのですが、開幕と同時に一瞬で満員に。

観戦を希望された方々は、その倍を遥かに超える人数だったとのことです。

イベント前にスタッフより諸注意が行われましたが、イベント中は是非とも歓声を上げたり、感想を口にしたりして、イベントを賑やかして欲しい、との事。

ステージが暗転すると、一気に会場の雰囲気が変わり、“演劇”が始まります。

「皆さんは、ご自分の魂の形を、考えたことがあるでしょうか」

印象的な一言を切り口として“魂の形に合うアバターを見つける”をテーマとした『テアトロ・ガットネーロ』のアバター劇が行われました。

アバターの個性を『動き』で楽しめるエンターテイメントショー

アバター劇は基本的に“動き”のみの演出。

細かなアバタースペックの説明は、隣にいる司会者が注釈してくれますが、劇中はとにかくアバターを“魅せる”事にフォーカスしたショーのようでした。

例えば山猫図書館から販売されている『調香師の人狼、ゲレルト』は、ワイルドかつエレガンスなアバターデザインとなっていますが、劇中では恭しくお辞儀をしてから自信たっぷりに座って見せたり、少女アバター『桜クロイニャン』にひざまずいて手を差し伸べたり…。

その動きはまるで古典絵画で描かれるよう!

彼がステージに登場すると、客席からは「おぉ」「カッコいい」という歓声が次々と上がっていました。

一方、黒猫洋品店から販売されている『桜クロイニャン』は、先ほどのゲレルトとは違う、少女らしい、お淑やかな動きでステージを歩き回ったり、客席にウインクを飛ばしたり。

こうしたアクターの“動き”が加わることで、固定ポーズでは分からなかったアバターの魅力を再発見できるのだと感じました。

また、360度見渡せるステージでアクターが動くことにより、細かなアクセサリーの一つ一つの揺れもチェックすることが出来ます。

演劇というパフォーマンスを挟むことで、アバターの持つ魅力が最大限に引き出されていました。

演劇に関しての知識は疎い私ですが…。
演劇において、観客に強烈な印象を与えるために、敢えてアクターが舞台の上から降り、観客席にてパフォーマンスをする手法がしばしば用いられるそうです。

その演出は『テアトロ・ガットネーロ』でも同様に行われていました。

ゲレルトと桜クロイニャンが、観客の目の前で踊っている……!

目の前で手を振ったり、お辞儀をしたりする姿に、観客席からは異口同音に「かわいい!」「かっこいい!」と歓声が上がります。

この瞬間、ゲレルトと桜クロイニャンは、現実世界で生きる存在となったに、違いありません。

演劇です。これは五つ星の演劇です。
演劇という媒体が持つ強みを、最大限に生かし、VR世界に落とし込んだ、次世代の演劇……!

エルフの森静岡支部が制作する「Netzach 〈ネツァク〉」の演目では、ディズニー映画のバンビのように跳ねるパフォーマンスが印象的でした。

演目中は負荷軽減のために、観客はカメラ撮影は禁止されていましたが、演目が終わり、カメラ撮影が許可されると、凄まじい拍手とシャッター音が暫く鳴り止みませんでした。

試着会も大盛況

演劇がすべて終わった後は来場者同士で『試着』を楽しむことが出来ます。

勿論、私も試着しましたよ!

これは自撮りではなく、人から撮ってもらった写真なので、撮影して貰った時は気が付かなかったのですが……。
こうして、ファッションポスターを背負って撮影されると、まるで自分がパリコレのファッションモデルになったかのような気分になりますね。

そしてこちらは、ゲレルトを着た私と、ネツァクのツーショット!

事前にネツァクの魅力を演目で魅せられていたおかげか、会場内では早くも彼女のバリエーション豊かな表情を使いこなす方々で溢れていました。
また、自分でゲレルトを着てみたところ、「あぁ、肉球柔らかそう……」と、試着しなければ分からない感想を抱きました。

“演劇”と“試着”の両方を楽しめる『テアトロ・ガットネーロ』

これまでにもユーザーの間で3Dモデルの試着会は数多く行われていますが、『テアトロ・ガットネーロ』では、演劇鑑賞に来場した客やパフォーマーのファンなど、3Dモデル好き以外の新しい客層にもアプローチが出来そうです。

VRに経済圏を作りたい。『テアトロ・ガットネーロ』の大きな目標

アバター劇場『テアトロ・ガットネーロ』には、1つの大きな目標があります。

それは、VRChatに小さな経済圏を作ること。

現在、アバターや小物の3Dモデル販売、ワールド用アセットなどの販売で収益を得ている人は少なくありません。
ですが、3D制作以外にもパフォーマンスや運営・企画など、優秀なスキルを持ったユーザーが多く存在しています。

『テアトロ・ガットネーロ』では、そうした才能を持つ人の活躍の場として、イベントの宣伝、広報、運営などにおいても報酬金を支払い、紹介するアバターの制作者さんからも、宣伝料を受け取っているそうです。
(このイベントの収支形式について、VRChat運営に問い合わせ、許可を得ています)
様々な才能に対し、長く活動を続けられるようになり、VRの文化はさらに盛り上がることが期待されます。

新しい形のアバター展示会『テアトロ・ガットネーロ』
演劇とアバター展示を兼ねそろえた、これまでにないエンターテイメントに今後も目が離せません。

【黒猫洋品店】
公式サイト https://www.k-youhinten.com/
Twitter https://twitter.com/krnk_yohinten

投稿者プロフィール

sun
sun
会社勤めでフリーライターな同人小説家
『VRChat』小説家_sun(サン)
最近はVRChatのイベントなどに参加しながら、出会った方々やワールドをモチーフにした1ページ小説を書いております!