趣味やイベントの枠を超え、様々な分野で活用の幅を広げ続けているVR技術ですが、中学・高校でも実際に利用される例が増えてきているのはご存知でしょうか?
大学などでの学術利用はもちろんですが、今やVR空間を教室として使用する正式な通信制高校までも存在しているのです!
そうは言っても、まだまだ一般的とは言えないのが実情です。そんな中、“全国の中高生を対象にVRの世界を広げていく”ことを目的とした団体、『仮想高校連盟(VHSL)』が発足し、『VRChat』内で交流会が開催されました。
現実の教室から、複数の生徒がHMDを持ち回りして参加!?
2024年7月9日に開催された第1回交流会は、『仮想高校連盟』立ち上げを兼ねた最初の活動となり、北海道大学と東京大学の現役大学生を含めた6つの学校が参加しました。
『仮想高校連盟』の代表を務めるのはSee2et(しーぜっと)さん。今回の参加校である『勇志国際高等学校』の現役高校生でもあります。同校は広域通信・単位制の高校であり、2024年4月からは正式に“メタバース生”というカリキュラムを提供しているのです。
副代表には、手軽にアバターをアップロードできるツール『EAUploader』代表の、こちらも現役高校生であるふうさんが就いています。
参加校のひとつである『武蔵高等学校中学校』は、“メタバース入門”という講座の一環で参加したようです。現実の教室から、複数の生徒がHMDを代わり代わりにしながら参加していました。
同校には『総合講座』と呼ばれる、教員の専門性に応じて行う独自のカリキュラムがあります。今回の参加はその中で行われたものだったようです。
“メタバース入門”は、受講生がひとりひとり研究テーマを掲げ、年度末に向けて実習や調査を重ねていく講座とされており、今回は高校1年生の受講生が企画。呼びかけに応じ、メタバース交流へ興味を持つ7名が教室に集まりました。
後日いただいた感想によると、「普通に会話をするよりも疲れを覚えたが、技術の進歩を体感できた」とのこと。交流会では、『VRChat』の操作方法をインスタンス内でレクチャーしながら会話を続ける状況となっていたので、不慣れな環境が影響してしまったのでしょう。
若い当事者の目線で語り合う“メタバース”ディスカッション
『仮想高校連盟』には、学校の枠を超えた交友関係を広げ、学生にしか出来ない活動を起こす、そんな意義があるようです。
第1回交流会では、“メタバース x 学校でできることとは?”を最終的な議題としたグループディスカッションが行われました。ディスカッションは3つのグループに分けて進行し、それぞれのグループには参加した各学校の学生が入り交じる構成となりました。
『VRChat』はおろか、VR機器すらはじめて操作するという参加者がいる中でも、ディスカッションは自然と役割分担が行われ、スムーズに進行しているように感じました。
これこそ『VRChat』らしいと思えた点としては、VR空間上で立体的に文字などを描画できるツール『QvPen』をフルに活用していたことが挙げられます。誰かが詳しく説明しなくとも自然と受け入れられるギミックとして、際立った魅力を持つツールだと改めて感心させられました。
“メタバースの良い所とは?”
“メタバースの課題は?”
“(メタバースは)どんな経済活動につながりそうか?”
……といった議題を、それぞれ発表も含めて15~20分ほど掛けて進行していきました。グループディスカッション全体としては、1時間以上じっくりと使った本格的なものと言えます。
それぞれのグループを見て回りながら、VR空間のコミュニケーションは現実の空間よりも心理的な壁を軽くする効果があるのだろうかと思わずにはいられませんでした。
関係性がフラットになりやすいという点では、昔から言われるネット上のコミュニケーションの強みと同様ですが、それが“空間的にも活用できる”こととなった訳です。
こうしたディスカッションの様子について、武蔵高等学校中学校で実教室からの参加をサポートされていた担当教員の方からコメントを頂戴しました。
メタバース空間上での、学校や学年の違う学生同士の交流の場は、学習の意欲や動機づけにつながると感じました。
また、メタバース初心者を快く受け入れてくださるVHSL参加者の気配りがあって、今回の本校の受講生が満足いく体験ができたと感じています。
『VHSL』はどのようにして立ち上げられたのか
『仮想高校連盟』は、ひとりの現役高校生からはじまった団体です。
空間的制約を飛び越えられるプラットフォームを活用できるとはいえ、複数の学校を巻き込んだ活動を実現するのは簡単なことではありません。そこで、代表のSee2etさんへいくつかの質問を行いました。
『VRChat』の教育・学術利用を広めてみませんか?
エンタメ系の話題ばかりじゃない!?
『VRChat』を教育現場や学術領域で活用する事例が増えています。
交流会・勉強会などの企画があればぜひお知らせください。
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『仮想高校連盟』問合せ先
◆ contact@vhs-league.org