大人気カードゲーム「ガンナガン」をVRChatで。10/10(火)ワールド公開予定!

10/18 追記

「VRガンナガン」内の配信活動向けのカメラギミックについての説明および原作ゲームのプロデューサーからのコメント紹介を追記しました。

人気ボードゲームをVRChat内に再現したワールド「VRガンナガン」が10/10に公開予定です!

人気ボードゲーム「ガンナガン」とは?

「ガンナガン」はアナログゲーム製作サークルKeepdryから2019年11月に発売された二人用の「高速二丁銃バトルカードゲーム」(ゲームの公式HPより)です。プレイヤーは銃士(ガンナー)と機銃(ナガン)を選んで相手と戦い、相手のライフがゼロになれば勝利となります。

……と書くと単純なゲームに見えますが、ガンナガンの奥深さと面白さはここからです。

4人の銃士、3つ(ずつ)の機能、6丁の機銃から広がる無数の可能性

ガンナガンは「銃士(ガンナー)」と銃士1人につき3種類持っている「機能(ユニークスキル)」、相手のライフを削る武器である「機銃(ナガン)」2丁を事前に選んでゲームを行うのですが、ガンナガンはこの組み合わせで戦い方が大きく変わってくるゲームとなっています。
まずは、それぞれの要素について説明していきましょう。

カードゲームの「ガンナガン」には現在、最初に発売されたガンナガン(基本パック第1弾)の他
・拡張パック「OVER HEAT」
・基本パック第2弾「W SHOUT」
が存在しますが、本記事では「VRガンナガン」内で採用されている基本パック第1弾の内容を元に説明します。ご了承ください。

銃士(ガンナー)

4人の銃士たち(「VRガンナガン」ワールド内にて撮影)

プレイヤーの分身となる「銃士」は4人用意されています(リンク先は公式HPのキャラクター紹介)
銃士にはそれぞれ、「自分が3HIT以上のダメージを受けた際、相手に1HITのダメージを与えることが出来る」「ゲーム開始時に1回だけ任意の枚数手札の引き直しが出来る」といった固有スキルがあり、また自分が引くことが出来る手札の数などの特徴が各々で異なります。

技能(ユニークスキル)

銃士「ナトリ」が持つ3種類の技能

銃士にはそれぞれ必殺技とも言える「技能」が3種類づつあり、プレイヤーは事前に技能を1つ選択して対戦を行います。
技能は基本的に1回しか使えませんが戦局を大きく左右させる強力なものとなっています。

機銃(ナガン)

6丁の機銃。形式も特性もそれぞれ大きく異なります

機銃(ゲーム内の設定でN.A.Gun/ナガンと呼ばれています)は6種類あるうちから2種類を選んで対戦を行います。
これらの機銃に弾丸となるカードを装填して相手にダメージを与えるのですが、1ターンにつき装填できるカードの数や相手へのダメージ量がそれぞれ違うほか、「与えたダメージ分だけ自分のライフを回復できる」「与えたダメージ分だけ相手のカードを捨てさせることが出来る」などといった固有能力がそれぞれの機銃にあります。
また自分が手札を引く「デッキ」も機銃に付随したものとなっており、一度発動させると毎ターン効果が発動する「設置」カードが多いデッキや、相手の攻撃に対して発動する「対応」カードが多いデッキなどが存在しています。

デッキ用カード。機銃を選択した時点でそれに付随したデッキで戦う事になります


そのため、選んだ機銃とその組み合わせによって戦い方は全く変わってきます

このように、銃士技能機銃の組み合わせで戦い方が大きく変わってくるゲームが「ガンナガン」なのです。

公式によるルール説明動画

記事内で説明しきれなかった要素を含め、「ガンナガン」のゲーム進行について分かりやすく説明した公式動画がありますので、こちらも参考にしてください!

基本パック第2弾「W SHOUT」に基づいた動画であるため、「VRガンナガン」とキャラクターやカードの内容が異なります(基本的なルールや進め方は同じです)

VRChatでの快適なカードゲーム体験を可能とする数々のギミック

単にゲームの中身をデジタル化してワールド内に配置しただけでは、VRChat内でアナログカードゲームを快適にプレイすることは出来ません。
ワールドを制作した団体が「High-end Analog Game Experience」(高品質アナログゲーム体験、略称「H.A.G.E」)と呼んでいる、VRChat内での快適なカードゲーム体験を可能にした数々のギミックについてここでは紹介していきます。

高品質のカード

まず、カードゲームを構成するカード本体から。
「VRガンナガン」内のカードは厚みがあり、また細かい傷なども表現しているなど「VRなのに本物のカードのような質感」が実現されています。

カードに厚みがあることを説明する、ワールドを制作した団体「REARV(リアーヴ)」代表理事のとむこ(TOMCO)さん。REARVについてはこの後の記事で紹介します
カードの一つを見ているところ(プレイの様子を録画した動画から抜粋)
本物のカードっぽくなっている様子が伝わればと思います

カードが吸い付くテーブル

「VRガンナガン」内にはゲームを行うテーブルにカードが吸い付くギミックが搭載されており、カードを持ったままテーブルの真上付近で手を放す(カード保持のため押し込んでいたボタンを離す)と、所定の位置にカードが置かれるようになっています。

機銃の一つ「ヌエ」を選択し、配置するところ

プレイヤーがストレスを感じることなく、綺麗なカード配置でゲームを行うことが出来るギミックとなっています。

手札ボール

「VR上で複数のカードを同時に持ち運ぶ」ことを可能にしているのがこの「手札ボール」です。
カードを手札ボールに近づけるとカードがボールに追従するようになり、複数のカードを同時に持ち運びできるようになります。

手札ボールで複数のカードを持った時の様子
ボールを持ったままカードのシャッフルや展開・収納が出来るようになっています

また、ボールを持っている人以外にはカードが見えないようになっており、リアルのカードゲーム以上に他のプレイヤーに手札を見られる心配が少なくなっています!

ゲーム内ライフの計算システム

カードゲームの「ガンナガン」においてプレイヤーのライフの増減は計算機やメモ帳などを使って管理しますが、「VRガンナガン」ではワールド内にある銃やシリンジを相手や自分に向かって使う(Useする)ことでライフが自動的に増減する仕組みになっています。

プレイ領域を上から見た図
シリンジと銃(左右の黄色い円)を用いてプレイヤーのライフ(中央上)を管理します。

この他にも、VR上でプレイヤーが快適にカードゲームを遊べるようにするためのギミックが複数設置されています。

「VRガンナガン」ワールド試遊会の様子

10/10のワールド一般公開の前に「VRガンナガン」ワールドの試遊会が何度か行われており、筆者もそのうちの2つにお邪魔させていただきました。(ここまでの記事で紹介してきた写真や動画もこの試遊会で撮影したものです)

カードゲームの「ガンナガン」のストーリーの世界観に沿った、サイバーパンクな雰囲気のワールドに多くの人が集まり、ゲームの試遊を行っていました。

試遊会には「ガンナガン」のプロデューサーであるZUMEさんも訪れており、参加者とエキシビジョンマッチを行うなどして盛り上がっていました。

写真左前方に居るのがZUMEさん。
このあと右側に居るノラネコPさんとライフ差がわずか1で決着する大接戦を繰り広げていました

「VRガンナガン」やってみた感想

筆者も実際に「VRガンナガン」をプレイしましたが……

プレイ中の筆者

VRガンナガン、面白いです。

筆者は現実世界でアナログカードゲームをやったことが無いのですが、それでも「強力な銃士と機銃、機能の組み合わせを考える楽しさ」と「相手の組み合わせを見て対策を考える面白さ」にはまってしまいました。
デッキから有効なカードを引けるかどうかという運の要素もあるため、筆者がプレイしたり見学したゲームはいずれも「1ターン差でギリギリ勝てた」という接戦であり、「最後まで勝敗が分からない」という緊張感を持ってゲームを楽しむことが出来ました
VRでのカードゲーム用に作られたギミックも扱いやすく、スムーズにガンナガンの世界にのめり込めた気がします。

……正直言って、これだけ書いてもまだ「ガンナガン」の面白さを伝えきれている気がしていません。ぜひ一度「VRガンナガン」をプレイして、このゲームが「大人気カードゲーム」と呼ばれている理由を体感してほしいと思います。

「VRガンナガン」を制作した「REARV」とは?

記事内でも紹介しましたが、「VRガンナガン」を制作したのは「REARV(リアーヴ)」という団体(一般社団法人)です。
REARVが今回のような「既存のアナログゲームのVR版ワールド」を制作するに至った経緯や今後の目標などについて、代表理事であるとむこ(TOMCO)さんにお話を聞く機会をいただきましたのでご紹介します!

引用元:https://x.com/REARV_Tw/status/1708807595685978548

REARV設立までの経緯

とむこ(TOMCO)さん

自分はギャングスターパラダイスというアナログカードゲームの製作者でして、カードゲームの世界でかれこれ10年ほど活動しているんです。
この間のコロナ禍でリアルのカードゲーム全体の売り上げが大きく落ち込む事態が起こりまして。カードゲームを遊べる店舗もどんどん潰れていって、けっこう危機的な状況になったんですね。

とむこ(TOMCO)さん

そんな時に「自分の作ったゲームがVR上で遊べるワールドがある」という話を聞いて、見に行ったら結構良かったんですよ。VRChat自体にもすっかりはまってしまって。

その中で(VRガンナガンでも用いられている)カードゲーム用のアセットを作成したもーりさんに出会いまして。VR上でカードゲームを遊べる仕組みをもっと普及させてリアルとVRをアナログゲームで繋ぐ事を目指して今年(2023年)の3月に「REARV」という法人を立ち上げたんです。

REARVの団体ロゴ。左側の「RE(AL)」と右側の「VR」が中央の「A(nalog Game)」で交わる、という団体の理念を表現したデザインになっています

REARVの活動内容とこれから

とむこ(TOMCO)さん

REARVでは色んなカードゲームの製作者をリアルとVRの双方向で繋げることを目指しています。

今回の「VRガンナガン」ではゲームの製作者(ZUMEさん)の承諾をいただき、VRChatのユーザーの皆さんにガンナガンを紹介する感じですね。

「アナログゲーム製作者の公認ワールドをVRChat上に作ることで、VRChat上で配信活動をしている人が権利関係を心配せずにワールドおよびアナログゲームを紹介することが出来る」という利点もある、とのことでした。

(10/18追記)「VRガンナガン」のワールドには動画配信に便利なギミックも設置されています。記事末尾にギミック紹介を追記したのでそちらもご覧ください!

とむこ(TOMCO)さん

逆に、アナログゲームをVRでリリースして人気に応じてリアル版を作るという事も考えています。

アナログゲームをリアルで制作するのって凄くコストがかかる事なんです。製作者が手作業で作るケースが多いので、ゲームによっては商品を1つ生産するのに1時間かかってしまうものもあるんですね。とてもじゃないけど採算が合わない。
商品の複製が簡単なVRで先にリリースすることは製作者にとってリスクの軽減にもなるんです。

VRChatでの掲示用に作成されたREARVのポスター(の一つ)
リアルとVRを繋げるだけでなく、アナログゲームの継続と継承を目的にした活動を目指していることが分かります。

デジタル化されたアナログゲームに無くて、VR化されたアナログゲームに有るもの

とむこ(TOMCO)さん

ボードゲームをデジタルゲーム化する試み自体は以前からあるのですが、あまり上手く行っているとは言えない状況なんです。

リアルのアナログゲームでは「指向性のある会話」が行われているものが大半なんですが、デジタル化されるとそれが失われて冷たい空気になってしまいがちなんですよね。
会話の相手が見えない事でどこに向かって話しているかが分からなくなり、暴言が生じやすい空気感になってしまう。

とむこ(TOMCO)さん

ですが、VRだと身振り手振りやアイコンタクトを交えた一体的なコミュニケーションをとることが出来るんですよね。「指向性のある会話」が出来るので暴言を吐く人もぐっと減る。これはVRならではの良さだと思ってるんです。

とむこ(TOMCO)さん

人との出会い」はカードゲームでもVRChatでも起きるんですよ。僕はその両方にはまっちゃった感じです。

まとめ

「VRガンナガン」は人気アナログカードゲームと「アナログゲームをVRに紹介し、アナログゲームの盛り上がりと文化継承に寄与したい」団体が手を組んで作られたワールドとなっています。

「VRガンナガン」の一般公開は10/10午前0時を予定しています。
また公開30分前の10/9午後11時30分からはREARV主催のカウントダウンイベントも開催予定です(詳細は下記スクリーンショットおよびリンク先を参照)
リアルで「ガンナガン」をプレイしたことの有る人も無い人も、ぜひワールドを訪れてアナログゲームとVRの新たな可能性を感じてほしいと願っております。

カウントダウンイベント開催詳細

引用元:https://x.com/REARV_Tw/status/1709046605775815005
REARV CAFE(VRChat内グループ):vrc.group/REARV.3964

(10/18追記)「ガンナガン」プロデューサーのZUMEさんも配信への協力を表明!「VRガンナガン」内の配信向けカメラギミックについて

先日、「ガンナガン」プロデューサーのZUMEさんから以下のようなポスト(ツイート)がありました。

配信向けワールド内カメラギミック

「VRガンナガン」のワールドには動画撮影・配信を想定したカメラギミックが設置してあります。

ワールド内には手持ちカメラと固定カメラが5個づつ設置されており、ゲームをプレイしている様子を様々な角度から撮影することが可能となっています。

手持ちカメラおよび固定カメラを順番に切り替えている様子。手持ちカメラは機種によって映り方が異なっています

「ガンナガン」プロデューサーZUMEさんが配信への協力を表明している事も含め、VRChat上で配信活動を行っている皆さんに「VRガンナガン」はおすすめ!……かもしれません。