xR Tech Nagoya#9 レポート VR体験会を通して見えてきた事

1月25日(日)、VR / AR / MR に関連する知見共有と交流を目的としたxRコミュニティイベント、『xR Tech Nagoya』が開催されました。9回目の開催となるこちらのイベントですが、 イベントの後半ではVRレンタル アストネスさんの機材提供の元、 初心者向けの大規模VR体験会:アストネスVR体験会#5(名古屋)が開催され大盛況のイベントとなりました。今回こちらで行われたVR体験会について、主催のむろまちさん、天文仮想研究所の『ろれる。』さん、VRレンタルのアストネスさんにそれぞれお話を伺いました。


ーーーまずxR Tech Nagoyaについて簡単にむろまちさんからどういったイベントなのかをお話しいただけますか?

むろまちː xR Tech Nagoyaは名古屋で毎月末土曜に開催している技術勉強会です。東京の方ではZOZOテクノロジーズのいっこうさんがxR Tech Tokyoっていうイベントを主催されていますが、そののれん分けの形で『xR Tech』の名をお借りしています。 立上げはちょうど2019年5月のOculus Quest発売直後だった事もあり、新デバイス体験会も兼ねて開催しました。そこから今ではコアなコミュニティメンバー人が集まり、30人~50人程のコミュニティイベントとして機能しています。

大体5時間程のイベントで、前半はゲストを交えた登壇セッション、後半は展示体験会を兼ねた懇親会の構成となっています。 前半で登壇頂く人の中には、「○○を作ってみた」的な技術的な話だけでなく、今回のように天 文仮想研究所の『ろれる。』さんに実演形式でVRコンテンツを紹介して頂いたり、おきゅ たんbotさんにこれまでVRChat上で体験されたVR上のコミュニティの文化面についても説明頂く事もあります。

仮想空間での生活について語るおきゅたんbotさん

何故技術的外のコンテンツを提供しているかと言うと、ギークに寄ってしまう事に注意を払っているからです。名古屋にはまだVRやARに興味が持つ人が多く集まれるコミュニティが現状xR Tech Nagoyaしかないので、名古屋にxRを普及させて同じような仲間を増やしたい、と考えた時にVR等を体験した事の無い人が来た時の受け皿を作る必要がありました。

そこで、VRの概念的なものであったり文化を知れるコンテンツを用意して創作意欲を初めて沸かせたり、技術を活用したビジネスができないか、参加者に気付きを与える形をとっています。先に述べた登壇セッションの他、イベント後半の展示体験会では毎度クリエイター達が作ったコンテンツのアウトプットの場になりつつ、今回『ろれる。』さんの天文仮想研究所のスペースシャトル打ち上げ体験のような、VR体験の中でも特に貴重に感じされるコンテンツを用意しています。

ーーーありがとうございます。 xR Tech Nagoya は技術系の方々の交流会でもありつつ、VRに触れた事の無い、VR初心者の人にも向けてアプローチをしているのですね。

むろまちː そうですね。今のところは幅広く取り扱っています。もちろん技術系の登壇者になるとその時間非技術系の方は置 いてきぼりになってしまうかと思いますが…。

とはいえ、技術寄りの人達が満足できる場も作らなければならないので、今年はxR Tech Nagoya の派生として専門分野を掘り下げていけるイベントをどんどん開いていきたいと思っています。その第1発目として、フォトグラメトリ勉強会を1月17日に開催しています。

ーーー 今回『ろれる。』さんの天文仮想研究所が xR Tech Nagoyaでコンテンツ提供としてコラボしていたかと思うのですが、どういった内容の体験会をされていたのか詳しく教えて頂いてもよろしいでしょうか。

ろれる。ːまず登壇セッションとしてうちの天文仮想研究所の活動について説明させてもらったんですけれども、体験会の内容としましては xR Tech Nagoya の中でのアストネスさんのブースの中で体験会をやらせていただいた形です。

実際現場にどれだけ参加者の方が来るのか分からなかったのすが、今回は参加者の方が10分単位の交代制で体験されるということで、スペースシャトルの打ち上げをお見せしようということで提供させてもらっていました。お時間があれば他にも探査機のワールドとかいっぱい用意させてもらってますんでそこを…と思ったんですけれども、まぁ10分でしたらスペースシャトルの打ち上げが一番わかりやすく、かつVRならではの体験の強みが出せるかなぁという事でさせていただいた次第ですね。

ーーー僕も参加させてもらっていたのですが、結構体験される方、結構人数いらっしゃいましたよね。

yoshi店長体験会自体はコンテンツとして2つ用意させてもらっていまして、1つはVRChatを用いた天文仮想研究所の体験、もう1つは Oculus Quest を使ってBEAT SABERをHapbeatっていう振動する機械を使って体験するという、2つのコンテンツをやりました。その2つを合わせると20名近くの方が体験されていたかと思います。 今回のxR Tech Nagoya の来場者数が30名ほどだったので、ざっくり3分の2くらいの方が体験されていたかと思います。

音の振動を体に直接伝え、普段聞く音楽をライブ会場やクラブハウスで感じるような迫力で臨場感を体感できるネックレス型ウェアラブルデバイス

天文仮想研究所の体験会は VALVE INDEX と Oculus Rift S それぞれ1台ずつ用いて計2つで体験会を回していたのですが、 BEAT SABER×Hapbeatの方は Oculus Quest 1台だけでやったんですよ。なので台数のキャパ的にVRChatの天文仮想研究所の体験をされる方が多かったですが、両方体験される方もいましたし、そういったことも考えると大体20人くらいですね。

ーーー僕の印象なのですが、参加者の方は結構 Oculus Quest 持ってるけどVRChatやったことないとか、VRChat興味あるけど手を出せていないとか、本当に初心者の方が体験されているような印象だったんですけど…

yoshi店長ːうん、多かったですね。そういう人が。僕の場合 BEAT SABER と VRChat 、両方アテンドさせてもらって、被ってもらう前や待ち時間の間に、その人にVR機器を持っているかどうかの質問、持っているなら何を持っているのか、普段VRChatをやるか、BEAT SABERをやるかっていう質問を全員にさせてもらっていたんですね。

で、どちらのコンテンツも、僕の印象では初心者の人が多かった。 BEAT SABER やりたいって人は『僕 Oculus Quest 持ってないんです』とか『 BEAT SABER やったことないんです』って人が真っ先に来られたし、VRChatに関しては『Oculus Quest は持ってるけどVRChatはやったことないんです』とか『VR持ってないけど最近VRChatに興味を持って、VR買おうかどうか迷ってます』とか『アカウントは持っててデスクトップで入ったことはあるけども、実際にはめちゃくちゃライトユーザーです』という人が多かった印象です。どちらの体験についてもヘビーユーザーの人はほぼ皆無だったんじゃないかなって印象です。

だからそういった意味では僕らがやった体験会っていうのはやって良かったなって思いがありますね。

ーーー『ろれる。』さんの体感としてはどうですか?初心者の人に体験してもらって、手ごたえみたいなものはありましたか?

満点の星空の下、スペースシャトルの打ち上げが間近で見学できる

ろれる。そうですね。やはり先ほど申したように、参加者の方がスペースシャトルを打ち上げるところを見て、参加者の大半の人が『おお~!』というような歓声が出てたので、楽しんでいただけてたのかなと。初めての体験を今してるんだっていうのがにじみ出てたのがすごく良かったです。

あと、体験会ではHMDを被ると周りにVRChatterが他にもいるという状態だったので、そういった目の前に相手がいるという体験をすごく楽しんでおられたのかなと、それは肌で感じましたね。

ーーー今後も xR Tech Nagoya もそうですし、アストネスさん自体でもVRの体験会をされていくっていうお話を伺っているんですけども、今後どのような体験企画を考えていらっしゃいますでしょうか?

yoshi店長ːはい。 今まで5回体験会の方をやってきまして、次回はアストネスVR体験会#6 (東京)を予定しています。

東京の台東区蔵前の会場を使って、目的としてはVRにちょっと関心があるけどなかなか手を出せないっていう人たちに対して興味のあるコンテンツを用意しようと。具体的に今何を用意しようかと言うと1つのブースは『VR睡眠体験コーナー』。先日ねほりんぱほりんでVR睡眠というものがあるということについては直近1カ月で周知されたと思うんですが、VR睡眠ってなんぞや?って人に対して、実際に被って、中にいる人とお話をしながら寝てもらうっていうコンテンツをなんとなく考えてます。

で、これは普段からVR睡眠をやってらっしゃるVR睡眠プロフェッショナルの方にはですね、ぜひアストネスのVR睡眠体験会で、VR睡眠アドバイザーとしてご協力をいただきたいと思っています。

もう1つは Hapbeat dual っていうものを用意しているので、 BEAT SABER を Hapbeatを付けてやることによって、VRを被る以上の臨場感を提供出来たらなと思います。

それからもう1つがバーチャルモーションキャプチャーを使った BEAT SABER を三人称視点で体験できるコンテンツを準備中です。これをやることで、VRで BEAT SABER を遊ぶだけに留まらず、体験者の方がアバターとなってVRゲームで遊んでいる様子を撮影し、写真や動画を体験者の方にVR体験会のお土産としてお渡ししようと思っています。

その動画を体験された方たちにお渡しして、その方々が『僕これやったんだよ』って周囲の友人・家族、SNSなどで広めて頂くことによって、VRで遊んでみたいという人を増やそうと画策しています。

バーチャルモーションキャプチャーを使用するとアバターを着用した三人称視点でのゲーム動画が撮影できる。バーチャルモーションキャプチャーは無料。

ーーーそれはいいですね。1つ気になった点として、『VR睡眠』は確かにTVでも取り上げられてHOTなワードかとは思うのですが、結構クセのあるコンテンツですよね。それをどういう風に体験会で実施するのかなっていうのがすごく気になってて…。僕VR睡眠をやってるフレンドはそこそこ知ってるんですけど、体験会でやるとしたら、例えばキャッチ―なのだったら可愛い女の子アバターが傍にいて寝てくれるとか。そういう体験だったらすごい分かりやすいかなとは思うんですが、隣にあの…知らないおじさんが寝ててもあまり面白くないでしょうから…(笑)

yoshi店長ːそこはどうしようか考えているところなのですが…。VR睡眠をやろうって言っている理由は…そもそもVRChatの文化っていうのは一般の人にとっては大多数が理解できないと思ってるんですよ。フォースも訳わかんないし、バ美肉も意味わかんないし。その中にはVR睡眠っていう訳の分からないものもあると。

訳の分からない物を理解するってめちゃくちゃ難しいし、ネットで調べてVR睡眠やってる人のブログ読んでも何のことかよく分からないと、僕は思ってるんですよ。

だったらVR睡眠をやれるところをリアルでも1つ作れば、興味ある人は来ればいいし、実体験すればどんなもんかわかると。別に僕はVR睡眠を美化したいわけじゃなくて、訳の分からないものかもしれないけど、実際にそれを世に提供してみることで、興味がある人がこれは何なのかっていうのを体感することが出来る…っていう場を用意しようと思っています。

ーーーとりあえず文化を外に提示してみるという試みですかね。今のところそういった文化っていうのもVRChatのコミュニティの中で完結してしまっている部分はありますから、外の世界の人に体験してもらうっていうのは価値のあることなのかなとは思いますね。

yoshi店長ː世の中に提示することによって、例えば誰かの癒しになったりとか、そういう可能性があるかもしれないですし、それはもう世の中に提示していかないと分からないものですよね。

ーーーどういう需要があるかっていうのを外に発信して探っていくという事ですね。

yoshi店長ːはい。そして今回の xR Tech Nagoya で、このメンバーで活動が出来たっていうはめちゃくちゃラッキーだと思ってます。みなさん本当にありがとうございます。 xR Tech Nagoya のイベントを主催をしているむろまちさん、VRChatの中でも100人以上ものメンバーを率いて活動している『ろれる。』さん、 イベントのアテンドを手伝って下さったシンクライトさん 。情報発信をしているみつあみさんもそうですし、みなさん個々の持っている力を合わせれば何かいい感じのものが生まれそうだなと、今回の体験会でそう思いました。

ーーーそうですね。僕も同じことを感じていて、それぞれの方が持っている力っていうのを束ねたらすごい大きなものになるんじゃないかなっていうのは思っています。それで僕もこういった情報発信っていうのを行って、みんながまとまってくれたらいいなっていうのでやらせてもらっている部分はあるので、そこはすごく同意ですね。

個人の力だけとか、1つのフォースの力だけで動いてもやっぱりどうしても限界っていうのはあると思うので外部の方の力ですとか、他の協力者の方々と提携してやっていけたらもっともっとVR業界が発展していくんじゃないかなと思います。本日はありがとうございました。