NAGiSAの延長でかけがえのない友を作った話【寄稿】


皆さまこんにちは、あかみやと申します。

厳寒の日々も終わりとなり、春爛漫の陽気に包まれる今日この頃、いかがお過ごしでしょうか。

今回はNAGiSAでの体験談をお届けします。

日本人交流ワールドとして定番となっているNAGiSA。
自動マッチングと1対1で話せることから、非常に支持を集めているワールドです。
この記事を読んでくださっている皆さまも、一度は訪れたことがあるのではないでしょうか。

あまり利用されたことのない方にも、興味をもたせることができればいいなと思い、書きました。
もちろん普段から利用する方にも、NAGiSAの魅力の再発見のきっかけになれば嬉しいです。

それでは、本編をお楽しみください。

NAGiSAの延長について語られることは少ない

NAGiSAというパブリックワールドは評価が割れやすい。

支持する人の意見としてよく挙がるのは、短時間で多くの人と話せることが楽しい、話しかける勇気がなくても会話を楽しめる、イベントまでのスキマ時間を埋めるもよし長時間の暇つぶしにもよしという柔軟性が好き、というものだ。

一方不支持派からは、5分間では大して深い話に発展しないこと、1対1ゆえに会話が盛り上がらないと非常に気まずくなること、NAGiSAに慣れてしまうと複数人の交流の経験値が蓄積されないことがよく指摘される。

個人的な所感としては、支持派がNAGiSAに求めているのはライトな会話であり、必ずしも深い話を特定の人とすることを求めていない傾向があるように思う。
対して不支持派は、VRChatでコミュニケーションを取る際は、じっくりと時間をかけて向き合いたいという思いがあったり、コミュニケーションのあり方について一家言がある印象だ。

注目したいのが、どちらの立場もNAGiSAは5分間で沢山の人と喋る場であることを暗黙の前提としていることである。

どちらの側からも、延長について語られることが少ない。
これについてわたしは長年疑問に思っていた。

わたしが主に利用するnoteでも、NAGiSAを題材とした記事が投稿されることがあるのだが、延長について詳しく突っ込んだ記事というのはついぞお目にかかったことがない。
触れるにしても1~2文程度で、あっさりと言及を終えていることが常である。

だから今回、自分の手でNAGiSAの延長について、書いてみることにした。

NAGiSAの魅力は、5分で多くの人と話せることだけではない。
むしろ、延長によって生まれる深い会話こそが、このワールドの本当の面白さなのではないか──そう考えるようになったからだ。

転機となったKの言葉

わたしも昔は、NAGiSAは5分間で様々な人と交流することが主流の楽しみ方で、延長はあくまでもオプションのひとつだと捉えていた。

当時のわたしは、5分ごとに相手が入れ替わる会話スタイルにどうしても馴染めなかった。
わたしもかつては、不支持者側の立場を取っていたのである。

転機が訪れたのは、フレンドであるKからの言葉だった。

「NAGiSAは延長してじっくり喋るための場だと考えると、結構面白いよ」

聞いた当初は目が覚める思いをしたものだ。
そうだ、確かにNAGiSAには延長ボタンがある。
どう楽しむかは当人が決めていいのだということに、わたしはようやく気づいたのだ。

Kからの成功譚を聞き終えて、わたしの心もNAGiSAに対して前向きなものに変化していくのがわかった。

そうと決まれば善は急げ──後日早速NAGiSAへと飛び込んでいった。

そして初回のマッチングで早速、わたしにとって忘れられない出会いを経験することになる。

Gさんとのマッチング──noteを知る稀有な人

「こんにちは。あかみや、さん……え、もしかして……あのあかみやさん? note書いてるあの?」

静かなトーンながらも驚いたリアクションを見せてくれたのが、初回のマッチング相手であるGさんだった。

わたしはnoteでVRChatの記事を書いている身だ。
VRChatをテーマにした記事を投稿すると、ありがたいことにスキ数が大体20前後となる。
VRChat-note界隈ではちょっとした有名人のように扱われることもある。
ただそれでも、VRChat全体から見ればnoteなどミクロレベルの界隈のひとつでしかない。
パブリックで出会う初見の人やフレプラのフレンドでない人から「note書いてる人ですか」的なリアクションなど、基本的にされることがない。
半年に1回あれば多いほうである。

その半年に1回の出来事が、今ここで起こったのだ。

Gさんの驚きと戸惑いの反応は、わたしに大きな喜びとかすかな困惑をもたらした。
こんな場面に遭遇すれば、根掘り葉掘り聞きたくなるのが人情というものだろう。
食い気味に延長を申し込んでから、わたしはGさんに矢継ぎ早の質問攻めを仕掛けていった。

GさんはVRChat-noteの記事全体をチェックしているというよりは、わたしの記事自体に注目していたらしい。
それも結構昔から。なんという僥倖……。

あまりにも嬉しくて、いつも以上にテンションが上がっていた気がする。
Gさんからすれば、記事とのギャップが凄まじく映っていたかもしれない。
自分の調子の乗り具合を制御できず、「もっとこういう風にVRChat-noteが変わってくれれば……」やら「今のVRChat-noteの空気感ってさ……」などと言いたい放題をしていた記憶がある。

そんなこんなで1時間以上話し込んだ後に、わたしからGさんにフレンドを申し込んだ。
ある意味わたしのほうが熱心なファンのような振る舞いをしていたなとつくづく思う。

その後もGさんとの関係は続いている。

わたしからGさんのいるところに押しかけるのが常で、話す話題もやはりVRChat-noteの話が多い。

Gさんは穏やかな物腰を持っており、自分の内面や心の動きに対して敏感なものを持っている人という印象がある。
note以外だと、人間関係や人間心理、VRChatに対する所感など、奥行きのある話をすることが大半だ。

湿っぽい人だとか重たい人だとかという感想は、まったく抱いていない。

むしろわたしも、そういう話を大好物としているので、きっと同類なのである。

『あの日 あの時 あの場所で 君に会えなかったら 僕等は いつまでも 見知らぬ二人のまま』とかつて小田和正は歌っていた。
わたしたちの出会いはラブ・ストーリーではないけれども、運命の出会いであったことは間違いなかった。

(左がGさんです。いつもありがとう!)

Jさんとのマッチング──同じ趣味と違う趣味

「わたしね、実家にあった本200冊を自分の家に持ってきたんですよ。だから今、積読がすごいことになってるんですよね。本の山と一緒に過ごしています(笑)」

別日のNAGiSAでマッチングしたJさんは、個性的な話題を多く持っている人だった。

JさんはよくNAGiSAを利用する人だった。
非常にプロフィール文を充実させている理由も、聞けばNAGiSAで会話をスムーズに運ぶためだという。常連の意気込みを感じた。

そういう理由は抜きにしても、Jさんは興味のアンテナが敏感で、気になったことはなんでも手を付けてみるという人だった。

その趣味のひとつとして、Jさんは読書を挙げていた。
わたしという人間は興味関心の幅が相当狭い。
食いつく話題といったら、VRChatの様相(主に心理的観点、社会的観点)についてか、noteの話題か、読書の話題か、哲学的トピックくらいである。
そんなわたしの受信範囲の狭いアンテナがビビビッ!と強烈に反応した。
読書を嗜む人とパブリックで遭遇することはほとんどない──ぽこ堂を除けば。

これは深い関係になれそうだという予感を感じて、今回もわたしから延長を誘った。

「お、読書ですか! いいですねー! 今なにか読んでますか?」

わたしが切り出すと、Jさんは綾辻行人だと答えた。
綾辻行人はミステリー作家だが、わたしはほとんどミステリーに手を出していない。
ここで話が合わずだんまり……とはしなかった自分を褒めてあげたい。
昔読んだミステリー小説である『オリエント急行殺人事件』を持ち出して場をつなげた。
せっかく読書好きと会えたのだから、簡単に会話の流れを終わらせたくないという一心だった。

それからはわたしがよく読む本のジャンルを紹介するなどして、大いに盛り上がった。
ついでにわたしは、今でも通っている本好きのためのイベントをJさんに紹介した。
Jさんは今でもそのイベントに足繁く通っている。なんならわたし以上に。

Jさんとは今でもよく交流する仲となっている。
イツメンだと言い切れるくらいの関係だと思っている。

Jさんからは様々な話を聞いてきた。

一から塩を生成した話、女装の話、生物が好きでYoutubeで間違った知識を教える動画に怒りのbat評価を押しているという話、昆虫標本を作ったという話……。
Jさんからは、他の人の口からはおおよそ出てこないような話ばかりが飛び出してくる。
なんだかJさん自体がバラエティボックスのようだなと思う。

(右がJさんです。おや? 後ろにナイスなギリシャ像が見えますね……)

さて、ここまでは延長ボタンのおかげで素敵な出会いができたというエピーソードを披露してきたわけだが、もうひとつ、別の用途で延長をすることもある。

最後にそのケースの模様を語って、終わりとしよう。

NAGiSAでのマンツーマン初心者案内

「お、NewUserなんですね! VRChatを始めてからどのくらいなんですか?」

「えっと、1週間くらいですね」

「へー! じゃあ他のパブリックワールドへは行った? JP Tutorial worldとか」

「いや、確かに1回行ったんですけど、人が多くて……いられなかったんですよね」

機銃を抱えた少女のサンプルアバターを着た初心者とマッチングした。
名はFさんだ。

Fさんは初心者らしく、まだVRChatにおけるコミュニケーションに慣れていない様子だった。
そもそもコミュニケーション全般に苦手意識を持っているのかもしれない。

それでも彼はこちらが質問をすれば答えようとしてくれる。
ぎこちなくあっても懸命に応じようとする姿勢に、思わず自分の昔の初心者時代の面影を垣間見た。

基本的な設定や仕様については理解できているかを尋ねると、チュートリアルをまともに確認していないからなんとなくでプレイしていると返ってきた。案の定といったところだ。

「もしよければだけど、今からここで俺がひと通り説明しましょうか?」

残り時間は2分を切っていた。
Fさんはうめくようなつぶやきを発してから、こう答えた。

「……じゃあ、お願いしてもいいですか。すみません」

こうして互いが延長を押し、マンツーマンの初心者案内を行うに至った。
初心者案内は何度も経験しているので、自分なりの説明の手順が確立されている。
NAGiSAであろうがどこであろうが、空で説明することは容易い。
特に詰まるところもなく、30分程度で最低限の説明を終えた。

さて、初心者案内はここからが肝心だ。

「Fさんはさ、VRChatを始めようと思ったきっかけって何だったの?」

「……Youtubeで動画を見て、面白そうだなと思ってそれで始めてみたんです」

まずは動機を聞いて、FさんがVRChatに何を求めているのか当たりを探る。

動画をきっかけにVRChatを始めるのはド定番となっている。
だからこれだけでは漠然としすぎていて方向性が掴みきれない。
どんな動画を見てきたかを聞くと、某有名実況者の名前が挙がり、具体的な動画名も飛び出してきた。

なるほど見えてきた。
Fさんは動画で見るようなきらびやかな交流を、理想像として描いているのだろう。
そしてきっと、彼は理想と現実のギャップを味わいつつある。
見えない傷が増えてきている彼にはそろそろ、介添となるものが必要に見えた。

「そうだね、VRChatってさ、フレンドと交流して過ごすのがメインになっているんだけど、フレンドの作り方というのは色んな種類があるんだよね──」

わたしはかいつまんで自己流のフレンドの増やし方、交流の仕方を教えた。
かいつまみはしたものの、30分以上はレクチャーし続けていた気がする。
ひと通り説明を終えた後、Fさんは「ありがとうございます」と口にしたが、どこか不安げな響きを伴っていた。

数瞬の沈黙の後、わたしは尋ねた。

「やっぱり、不安?」

「んー……、そう、ですね。今のところ、NAGiSAでしか喋れてないですし……」

「──だったらさ」

努めて明るい声を出しながら、わたしはメニューを操作する。

Fさんにフレンドリクエストを送るために。

「俺をセーフティネットとして使ってくれていいよ。VRChatに入って、どこか人がいるところに行けなかったり、あるいは行ってもうまくいかなくてどうしようもなくなったら、俺のところに来てくれていいよ。気兼ねなく、いつでも。」

「……いいんですか?」

Fさんのまだ不安そうな様子を払拭するように、わたしはサムズアップを取りながら言った。

「いいよいいよ! じゃなきゃ、延長してここまで長々とレクチャーしないって!」

何度目かのFさんの「ありがとうございます」を聞いた後に、わたしたちはフレンドとなった。
そうして別れることにした。
激励の言葉を送ってから、わたしはリスポーンをした。

実は、あれからFさんとは交流をしていない。

けれどもわたしは知っている。

フレンドリスト上のFさんはいつも、フレプラで複数人と過ごしていたり、緑ステータスのプラベで過ごしていたことを。

便りの無いのは良い便り──。

初心者案内をする側は、初心者がひとりで旅立つのであれば、寂しい思いに気付いたとしても、それを笑って見届けてあげるべきだ。

いかがでしたか?

今回は取り上げませんでしたが、他にもいくつかNAGiSAで印象に残っているエピソードはあります。

例えば、わたしのことを「お兄さんお兄さん!」とすごく親しげに呼びかけてくれた学生の方と、◯◯主義というカテゴリーに宿る魅力についてを語ったことがあります。
彼の言動は、まるで人懐っこい犬がじゃれついてくるようであり、わたしの頬は緩みっぱなしでした。

あるいは、「あたしinするのがまちまちだから、NAGiSAとかひまり旅館を中心に回ってるんですよね。だから特定のフレンドとはあんまりつるまないですね」と、サバサバした女性とマッチングしたこともありました。
あまり特定の人を気にいることがない方なのかなーと思っていましたが、それでも話は自然と弾み、なんとお相手から「せっかくだからチルワでゆっくり喋りましょう」とお誘いを受けました。
しばらくひとしきり喋ってから、フレンドになって別れるに至りました。

これがNAGiSAでのお持ち帰り……!
噂には聞いていましたが、とうとう自分が経験することになるとは……。
(むしろこれを記事にするべきだったかも?)

この記事を最後まで読んでくださった皆さまにも、NAGiSAに限らず良縁と巡り会えることを、ささやかながら祈らせていただきます。

普段はnoteのほうでVRChatの記事を書いています。
もし興味があれば、そちらもチェックしていただけるとたいへん嬉しく思います。

https://note.com/alive_canna3443

バチャマガ様での書きぶりとは違い、だいぶ好き放題に書いています。
面食らう部分もあるかと思いますが、ご容赦いただければ幸いです。

それでは皆さま、次回の記事でまたお会いしましょう。

よきVRChatライフを!

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寄稿者紹介

あかみや

読書とおしゃべりをこよなく愛する一般人。
noteでVRChatに関する記事を書いていますので、読んでいただけるとうれしいです!

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バーチャルライフマガジン編集部
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